来談者中心療法(2) 〜エンカウンターグループ〜
エンカウンターグループって言葉、聞いたことがありますか?団体によってはそれが「自己啓発セミナー」だったりもするのですが、これは宗教色が表に出されずに個人とグループのこころの流れを体験する、そしてその中から各自が何かを掴み取っていく、そんな出会いの場かもしれません。
来談者中心療法を提唱したロジャーズは、後に教育関係者を中心にエンカウンターグループを作り、より良い教育環境を整えていこうと活動を始めます。彼が生きている間に、その効果のほどは証明されませんでしたが、後になってこのグループの有効性が認められるようになってきつつあります。
期間は数日から一週間程度、場所は自然の多いところ、あまり街の中心ではないところで行われることが多いようです。施設に宿泊し、参加者全員が寝食を共にします。これが1泊2日程度ならなんとかなりそうですが、6泊7日だとか7泊8日だとかになったりすると、参加者の中に大きな気持ちの動きが生じてきます。「人と離れたい」「ひとりになりたい」といった思いを強くする時期もあるかもしれないし、「もっと他の人のことを知りたい」「そこから何か新しい自分を発見したい」と願う時期もあるかもしれません。それらが良くも悪くも集約されるのが、このエンカウンターグループの特性かもしれません。
ここでは「カウンセラー」でなく、グループの関わりを促進するので「ファシリテーター」と呼ばれる専門家が立ち会います。ファシリテーターによっては、介入的なエンカウンターグループになったり、参加者の意志に任せるというものになったりします。
グループは10〜12人程度で、そこにファシリテーターが1〜2人参加します。午前、午後、夜、と一日を三つに区切り、大体3〜4時間のセッションを1日で3回続けます。話し合うテーマがファシリテーターによって提示される場合もあるし、自由にどうぞという形もあります。
この流れのなかで、グループ全体がいろんな気持ちを段階的に体験していきます。まずは困ったな、とか、腹の探り合いといったところでしょうか。これから何が始まるのかという不安や、テーマを与えられずに始めなければならない状況への混乱やら当惑やらが起こります。そのうち、参加者が話題を共有しようと、あれこれ探りながら会話を繰り広げていきます。その話し合い中の発言の仕方や立ち居振る舞いを通じ、グループから浮き上がってしまった人や、何もしてくれないファシリテーターに対する不満が持ち上がってきます。大抵、この段階になると、誰かが泣き出してしまうようです。それを乗り越えると、今度はグループ全体の信頼感が生じてきます。グループとしての方向性が定まったり、お互いのことをもっと深く知りたいと思うようになります。ここら辺にきて、お互いの中で場が和む光景が見えてきます。その後、もっと自分の気持ちについて正直に語りたい思い出てきます。これは、前段階として、グループ構成員への信頼感が得られているという大きな条件があります。信頼できない人に、自分の深い面を語りたいと思う人はなかなかいないと思います。そして、最終的には参加者(のほぼ)全員の心の中に「来てよかった」とか「この人たちと出会えてよかった」とかいった気持ちが生まれてきます。
ざっとまとめるとこんな感じのものですが、経験する人の背景によって感じ取るものも異なるから、同じような過去を持った人たちが「自助グループセミナー」としてこのような体験をしたり、また、どんな人でもいいと門戸を広くして、様々な年代の様々な立場の人から何か新鮮なものを得るというかたちもあるかと思います。