上る
ごまちゃんは最近、高いところに上るのが大好きです。テレビ台やダイニングテーブル、リビングテーブル、あらゆるところに上ります。視点が高くなると、きっと新しい世界を沢山覗けるのでしょう。そんなときのごまちゃんは、得意満面です。ダイニングテーブルに上り、キッチンカウンター越しに水道の蛇口をひねってみたり、ごまちゃんのいたずら防止のために避難させていたボールペンやハサミをgetしていたり、本当に目が離せません。そしてうっかり目を離すと、テーブルから落っこちていたりします。これはかなり危険なので、とりあえずダイニングテーブルにだけでも上らないようにさせようと、私たちはあの手この手で対処しようとするのですが、まだなかなか上手くいきません。
テーブルはご飯を食べたりする場所です。そういう場所に上るというのは、マナーからしてもアウトなことです。でもその理由ではごまちゃんは納得しません。だって2歳の子に「食べ物を食べる場所に上っちゃダメ」って言ったって、食べ物を食べる場所と上ってはいけない理由がうまく結びつかないんです。だから、ちょっと視点を変えてみます。
テーブルに上がっているごまちゃんの目の高さに合うようにちょっと屈みます。そしてごまちゃんにこう言います。「ここから落っこちたらすごく痛いよね。もしかしたら骨が折れちゃうかもしれないよ。そしたらゆーくん、いたいいたいって泣くよ。もしかしたら保育園にも行けなくなっちゃうかもしれないよ。みんなと遊べなくなるかもしれないよ。そんなことになったらママもパパも悲しいよ。だからこういう高い場所に上るのはとっても危ないの。分かるかな?」するとごまちゃんはこっくりと頷きます。そして「ママ、手手〜」と両手を伸ばしてきます。
1回の説明だけで「危険なこと」が理解できて記憶できるのは難しいと分かっています。あとは繰り返し、です。根気よく、何度も説明し、気持ちを伝え、うまくできたときには思いっきり褒める。育児ってきっとその繰り返しなんだと思います。子供は可能性の塊です。周囲の導き方一つで、のびのびと育つことは十分可能な筈です。だから私はせっかちになりません。できなくて当たり前。できるようになったらそれは大きな進歩。できるようになるには本人の沢山の努力が背景にある。そこをしっかりと受け止め、「がんばったんだね」と一緒に喜びたい。日々の細かいことにはどうしても大きな声で注意しがちだけれど、時には子供の見える世界に背を屈ませながら、「そうか、こうやってみるときっと確かに面白いよね」「ここからこうやって見ると、こういうものに関心が向くんだね」と世界を共有していきたいです。子供の世界は、大人の世界をも豊かにしてくれます。それが体験できるのは、きっと育児中の「今」だけです。その特権を、しっかり活用させてもらおうと思います。