赤軍合唱団とは

1960年代半ばまで、日本では「赤軍合唱団」という呼び名は存在しませんでした。赤軍合唱団の本家であるアレクサンドロフ・アンサンブルが日本に初めて紹介された時(1957年頃と思われます。)の呼び名は「アレクサンドロフ・歌と踊のアンサンブル」というもので、ソヴィエト軍に所属する団体であることは紹介されていましたが、当時、西側諸外国で使われていたRED ARMY CHORUSの訳である「赤軍合唱団」の呼び名を使わなかった理由は、おそらく「軍」という字を嫌ったためではないかと思われます。
「赤軍合唱団」という呼び名が使われたのは、1968年にアレクサンドロフ・アンサンブルを日本に招聘する計画が持ち上がり、その際、従来の「アレクサンドロフ・歌と踊のアンサンブル」ではなく、より印象が強い「赤軍合唱団」を採用したのが初めてです。したがって、我が国においては、当初「赤軍合唱団」と言えば、本家アレクサンドロフ・アンサンブルを指していたと言えるでしょう。来日に合わせて新世界レコード(ビクターに販売を委託)から発売された「赤軍合唱団」名称のLPは5枚を数えます。(この1968年の「赤軍合唱団」招聘計画とその顛末については、こちらをご覧下さい。)
結局、来日直前になって「赤軍合唱団」公演が中止となり、その後、国内を震撼させた「連合赤軍」の一連の事件によって、「赤軍」という名は、一般人にとってマイナスイメージを抱かせるものとなりました(益々と言ってもいいんでしょうか)。アレクサンドロフ・アンサンブルのLPも、元の名称「アレクサンドロフ・歌と踊のアンサンブル」で発売されるようになりました。ただし、「赤軍合唱団」というネーミングがあまりにも強烈に印象を残したのでしょうか、必ず解説文中には「旧・赤軍合唱団」と記されています。
その後、モスクワ軍管区歌と踊りのアンサンブルの来日があり、「ソヴィエト軍に所属するステージで合唱、舞踊を演じる団体」というものは、アレクサンドロフ・アンサンブルだけではないという認識が、我が国にも生まれました。現在では「赤軍合唱団」といっても必ずしもアレクサンドロフ・アンサンブルのことを指すとは限らなくなりました。前述の「旧ソヴィエト(ロシアまたはかつてソヴィエトに属していた各国)軍に所属するステージで合唱、舞踊を演じる団体」は全て「赤軍合唱団」です。(もっとも我が国では、「赤軍合唱団」の演奏は実演ではなく、録音で接しており、かつ、1968年のことがあり、前述のように「旧・赤軍合唱団」といったような表記がされますので、未だに「赤軍合唱団」=「アレクサンドロフ・アンサンブル」という認識を持つ人が多いですが。)
外国では実演に接する場合が多いためか、RED ARMY CHORUS=「旧ソヴィエト軍に所属するステージで合唱、舞踊を演じる団体」という認識が定着しており、輸入CDなどで、RED ARMY CHORUSと称していても、その演奏がアレクサンドロフ・アンサンブルなのか、モスクワ軍管区歌と踊りのアンサンブルなのか、モスクワ・スカイ・アンサンブルなのか、はたまた別の軍所属の演奏団体なのか、聴いてみなければわからないと言う状態です。
では、数ある「赤軍合唱団」のうち、特に有名な(=録音がある)団体についてご紹介しましょう。
- アレクサンドロフ・アンサンブル
- 赤星赤軍合唱団
- モスクワ軍管区歌と踊りのアンサンブル
- モスクワ・スカイ・アンサンブル
- レニングラード軍管区歌と踊りのアンサンブル
- 内務省軍歌と踊りのアンサンブル