フクロモモンガ


メチャメチャ やんちゃ!




 「フクロモモンガ」と言う名前を聞くと、多くの人が「あぁ、モモンガね!」といいます。・・・違いマス!!
 「モモンガ」は『げっ歯類』でリスやネズミの仲間です。しかし、「フクロモモンガ」は『有袋類』の双門歯亜目というグループの一員で、コアラやカンガルーの仲間なのです。
 生息地はニューギニア南部からオーストラリアです。最近、輸入される個体は ほとんどが、ニューギニア産で、オーストラリア産の個体は珍しくなってしまいました。これらは、学術的には一種類のはずなのですが、実際に飼育して比較してみると、かなりの違いがあることが判ってきました。
 まず大きさ。ニューギニア産の方が、格段に大型になり、特にオスの方が大型化します。オーストラリア産の方は、ニューギニア産に比べて小型で、雌雄で大きさの違いがありません。
 食性。オーストラリア産の個体群は、昆虫も食べますが、強い果汁、樹液食性を示します。逆に、ニューギニア産の個体群は、より昆虫食性が強く、果汁等は見向きもしない事もあります。
 性格。これが大問題。まったく違います。オーストラリア産の個体群は、好奇心が強く非常に社交的で、子供の時から飼育すると非常に良く人に馴れます。ポケットに入れて連れ歩いても平気なほどです。逆に、ニューギニア産の個体群は、臆病で排他的です。子供から飼育して、人に馴らすことは出来ますが、性格が荒いために断念する人が多いようです。
 これらの違いは、生息環境による特化だと思われます。ニューギニアは熱帯雨林に覆われていて、食べ物が多いので大型化した方が都合がよく、特にオスが大型化するのは「縄張り争い」に有利なためだと思われます。性格が荒いのも、外敵に出会う頻度が多いからだと思われます。逆に、オーストラリアは非常に乾燥した大陸で、天敵となる大型肉食獣はほとんどいません。しかも、乾燥地ゆえに食物も乏しいため、樹液などを主食にした方が生き残るのにも有利だったはずです。また、ニューギニア個体群では確認していませんが、オーストラリア個体群では、かなりの数で集団生活しているらしく、生息地の大木では、一本の木に数十匹が同居しているのも見られるそうです。この、集団性が飼育の際の「社交性」となって現れるのではと思います。
 
 当店には、十数年前に輸入された「オーストラリア産」のペアーが、まだ、居ます。何度も出産して、すでに曾孫がが繁殖するまでになりましたが、当の本人たちは、歳をとったために出産はしなくなりました。しかし、ウチに来た時には、すでに大人だった事を考えると、大きさの割りには驚異的な長寿な生き物だと思います。年に数頭しか出産しないので、これくらい長寿でないと種の保存ができないのかも知れません。

 フクロモモンガは、非常に頭の良い動物で、小型の霊長類かそれ以上の知能を持っています。人に馴れた個体が非常に飼育しやすいのは このためです。個体同士でも鳴き声による会話らしきこともしているようで、人に対して同様の鳴き声を発することもあります。また、外見も、非常に魅力的で、大きな目と耳、背中から顔にある黒い縞模様など、その仕草とあいまって、虜になってしまう人も多くいます。

 もし、オーストラリア個体群の子供を見つけたら、是非飼ってみてください。これほどの、ペットは存在しないと実感できるはずです。

 オーストラリア産とニューギニア産の見分け方
 ニューギニア産の子供は、背中が「こげ茶色」で「おなかが黄色」です。これに対し、オーストラリア産の子供は、背中が「灰色がかった薄い茶色」で、「おなかは白色」です。100%の見分け方とは言えませんが、この傾向が強いように思われます。大人になると、体色では見分けがつきません。アシカラズ。



< トップページへ