ハードディスク(HDD)の修理(分解&組み立て)2008.1.5

■はじめに

 ある日、外付けUSBハードディスク250GBを机から落として壊してしまった。モーターが回っている音が全くしない。電源を入れたまま、手のひらで叩いてみたら、「バリバリ」という音とともにモーターが回転する音がしたが、接続しても全く認識されない。が〜ん。
 データ修復会社に見積もりを取ってみると、10数万円との事だった。過去のデジカメデータなどの思い出が一杯だが10数万円の出費は痛すぎる。そこで、いろいろネットで調べてみた。やはり、自分でハードディスク(HDD)を分解しても駄目だとか、蓋を開けた段階で使えなくなるとか、一般家庭ではほこりが中に入り込み、そのほこりがヘッドに当るとデータが書き換わるとか、数ミクロンの世界のものだから分解して組み立てはむりとか、自分では無理だという情報が多かった。しかし、たまに成功したつわものもいるようだ。ユーチューブ日本語 (You Tube)で「HDD」とかで検索してみると、外国人が分解している動画があった。また、「Hard Drive Recovery Part 1〜7」は、かなりためになると思う。

 ダメもとで、私もHDDを分解してみることにした。

■分解に挑戦

 HDDを開けるのには、星型のネジ(トルクスネジ)用のドライバーが必要である。ホームセンターで、T8番とT6番の2種類を購入した。この2本があれば、ほとんどのHDDは分解できるはずだ。たまたまクリーンベンチが使用できそうなので使用することにした。家庭でも大きいビニール袋の中で作業するとかならいけるかもしれない。あと、プラッターにほこりが付着したときには、カメラのレンズ用のパフパフして、空気でほこりを取るやつがあるとよい。

必要な工具
 ・トルクスドライバ T8番
 ・トルクスドライバ T6番
 ・ラジオペンチ
 ・カメラのレンズ用のパフパフするやつ
 ・名刺(ヘッドを保護するため、5mm×10mmに切って二つ折りにする)
 ・ピンセット

 HDDを分解して中を見ると、ヘッドがバリバリに壊れていた。たぶん、落ちた衝撃でヘッドの位置がずれてプラッタに当っていたためモーターが回転しなかったようだ。そのとき手で衝撃を与えてしまったため、ヘッドが中途半端に戻り、プラッターとヘッドが当って、ヘッドの先がばりばりになって壊れてしまったようだ。昔のテレビではないのだから、叩いて直ることはないから、叩かずに修理した方がよいという教訓になった(笑)。

 壊れたHDDは、HITACHI Deskstar HDT722525DLAT80 250GBのIDE だ。一年前に購入したものだが、すでに店頭にはないため、ヘッドの交換するために完動品をオークションで手に入れた。なるべく製造年月が近く、P/Nの番号は同じものを選んだ。

■練習あるのみ

 まずは壊れていらなくなったHDDを数台もらい分解の練習をした。HDDの中には超強力な磁石が入っていて、分解するときにヘッドの先がどこかにぶつかったりするとすぐに使えなくなるので、練習に練習を重ねた。

 次に、使える20GBのHDDの分解&組み立てをしてみた。ちなみにプラッターは2枚だった。数ミクロンの世界のプラッター(HDDの板)とヘッドの関係のネジを緩めて分解した後、組立てなおしても、使用できるかどうかの実験である。分解までは成功したが、組み立て時に、やはり、超強力磁石に吸い寄せられて、ヘッドをつけるときにヘッドをひん曲げてしまった。あちゃ〜、使えるHDDをぶ壊しちまったぜ! とほほ・・・・
 気を取り直し、使える40GBのHDDの分解&組み立てをしてみた。ちなみにプラッタは1枚だった。意外だった。ヘッドのネジまで分解し、そして元通りに組み立てて、パソコン(PC)に接続してみた。なんと、ちゃんと、認識もできるし、中のデータもちゃんと生きていた。ディスクチェックをしてみても問題なし。XPのコマンドプロンプトでCHKDSKをしてみたが、これも異常なし。無事、復活できた。

 最後に本番に備えて、壊れたHDDの分解手順を再確認しておく。

■いざ本番

 下の分解写真のように壊れたHDDのヘッドを、中古で購入したHDDのヘッドと交換して組み立て直した。置換手術は大成功だ。わくわくして、HDDをPCに接続してみた。あれ?PCの反応がない?

■データ復旧ソフト

 やはり、HDDの復旧は一筋縄でいかないようだ。プラッタの一番上の面は全く傷がないようだが、バリバリのヘッドがプラッタのシステム部分のデータを壊してしまっているかもしれない。
 名古屋の大須アメ横を歩いていたら、古いバージョンの「FINAL DATA 2006 特別復元版」が激安になっていたので購入した。これを使って、ドライブの全セクタ0〜4,294,967,295をスキャンして復元する。セクタが多いので、「形式を検出」を始めたが、14時間弱もかかった。検出結果は、なーんもなし。なんじゃこりゃ!HDDのセクターのデータを見てみたが全く読めないようだ。やはり、ヘッドごとの誤差があってプラッタとヘッドの組み合わせを変えることは難しいようだ。データ修復は0%に終わった。仕方がないのでヘッドを元に戻し、せめて後から購入したHDDだけ使えるようにしようとしたが、ヘッドは肉眼では問題ないようだが、取り付け時に曲がってしまったのか、電源を入れるとカチカチいって認識しない。あらま〜、また壊しちゃった!

■結論

 40GBくらいのHDDのヘッド交換ならできるかもしれないが、250GBくらいの大容量HDDだと、かなり精密に作られているので、自分で分解・交換・組み立てをしても、元通りにはならない可能性が非常に高い
 最近の外付けHDDは、「何センチから落ちても大丈夫」とかを売りにしているようだ。やはり、私みたいに落す人がいるようだ。とにかく、外付けHDDにデータを整理するなら、そのHDDのバックアップを更に取っておいた方がよい。

転ばぬ先の杖=バックアップはちゃんととりましょう!Windows Vista対応のNorton Ghost 12.0を買いました。。。。(笑)
Windows Vista Ultimateは、データのバックアップと完全バックアップの2種類ができるが、スケジュールでできるのは、前者のみであるが、Norton Ghost12.0は、完全バックアップもスケジュールができるので、毎バックアップを取るように設定できる。

 ハードディスク(HDD)の寿命は約5年だそうです。意外に短いのですね。CD-RやDVD-Rも品質が悪いやつは数年で使えなくなるといわれているからHDDに保存しておけば安心という大間違いをしていた。

■分解写真

写真をクリックすると拡大します

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手に持っているヘッドは壊れたHDDのバリバリになったもの
HDDの中です。向こう側の円盤がプラッタです。
HDDのヘッドの拡大です。ヘッドを保護するために名刺を切ってはさみます。
HDDの全部品
壊れたヘッドと名刺で作ったヘッドを保護するもの。
FINAL DATA 2006の「形式を検出」画面です。


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