オズールの新製品の膝継手を試着! 040210

 オズールから新しいイールディング機構を備えた膝継手が出たとのことで
早速、試着をお世話になっている義肢製作所に依頼しました。

 現在、日本での販売実績が無いこともあってフィールドテスト的な意味合いもあり
2週間弱の長期試着が可能となりました。

 この膝を、私が普段使用している同様のイールディング機構を備えた3R80と比較して
どうなのかをレポートしてみようと思います。
 この2本は単軸の油圧シリンダー膝継手と言う点で共通してますが
3R80は荷重ブレーキを単純にイールディングにしているのに対して
オズールは踵を接地した時はイールディングを維持して蹴り出しの動きに移行したのを
見計らってイールディングを解除するという点でかかるタイミングが大きく異なります。

 この膝を2本同時に試着した場合、全然違う印象を持つと思います。
では、具体的にどう違うのかと言いますと

 3R80は荷重ブレーキとしてかかるため、一定の荷重を膝継手にかけてやらないと
イールディングに持ち込めません。
荷重をかけてない時はブラブラの状態です。
 対して、オズールは例えば踵接地した段階でイールディング状態になっているため
荷重をかける、かけないを問わず、ジワッと曲がります。
ですから、例えばイスに座る時にゆっくりした動作で自然に座ることが出来ます。

 ここがこの2つの膝継手の大きな違いだと思われます。
では、実際の生活を前提としてそれぞれどのような特徴を示すのかを比較すると
下記のような違いがあります。赤字の内容が特に異なる点です。

1)立脚時での安定性

 ■3R80
   イールディングの調整に、硬さと感度の2つの設定があります
  この、感度を調整することでまったくイールディングが干渉しない状態から、常に
  イールディングのかかる状態まで調整可能であり、使用者の好みに合わせて
  かかる荷重のタイミングを決定します。
   たぶん、一般的な単軸膝継手の荷重ブレーキと考え方は同じです。
  ただ、ブレーキがかかった時、普通の荷重ブレーキがガツンとかかるのに対して
  3R80はジワっと曲がっていくという違いだと思えば良いと思います。

 ■オズール
   つま先に荷重を移行しない限り、イールディングを維持するため、ある程度荷重ブレーキ
  と同様の安定性を期待できると思われます。
  調整は、イールディングの硬さのみですが、この設定を一番硬いところにもっていくと
  膝が伸びていようが曲がっていようがあまり意識しなくなります

2)階段を交互に降りる時(急な坂を下りるときも同様です)

 ■3R80
   ある程度の荷重をかけていれば、常時イールディングを維持します
  ですから、逃げ腰にならずに上から押し付けるようにして踵に荷重をかけてやれば
  比較的容易に交互降りすることが可能です。

 ■オズール
   踵に後から押し付けるようなイメージで荷重をかけ続けるとイールディングを維持
  しながら降りることが可能ですが
  少しでも荷重を抜くとイールディングが解除されてしまいます
   スムーズに交互に降りようとすると、意図的にイールディングを解除しがちになって
  しまう傾向があるように思います。

 ということで
オズールの長所であり3R80に真似できないのが
膝が伸びていようが曲がっていようがあまり意識しない点であり
これはすごい!と思います。

 3R80がオズールより好感が持てるのは、階段を交互に降りる際、積極的に
イールディングを利用出来る点だと思われます。

 いずれにせよ、一般的にイールディング機構を備えていて、手帳の補助で購入可能な
価格帯の膝継手はこの2本に絞られてくると思いますので
どちらが自分にとって必要な機能なのかを考えた上で選ぶのがカギになると
思います。

 最後に、ご協力していただきました義肢製作所と、参考意見や資料等を出して頂いた
方々にこの場を借りて御礼申し上げます。

*オズールの写真(はっきり言ってカッコイイです!)