ゲーム

・マイナーゲーに光を:弐・
私の印象に残っているマイナーゲーを挙げてみます。
今回は「メタルギア」シリーズで有名な小島監督作品との最初の出会いであるAVG「スナッチャー」を。
ブレー○ランナーのインスパイアを感じつつもこだわりのある世界設定、テーマが印象的でした。

スナッチャー
 『欺瞞に満ちた世界に生きる全てのサイバーパンカー達に捧げる』
「SNATCHER」・・・「強奪するもの」とでも訳せるであろうか?
これは2039年のネオ・コウベ・シティにおいて突如、その存在が明らかになった謎のバイオロイドの名称である。
彼らはその名の如く、強奪する・・・金などではなく、人の存在そのものを。
具体的にはオリジナルとなる人物を殺害、姿形を擬態し社会に潜伏するのだ。
しかも骨格は機械なのだが、表層面は老廃物すら出す人工皮膚、抜け替わる髪と人間のそれをほぼ完璧に模している。
その再現度を指して『極めて有機的かつ無機体そのもの』と表現されているほどだ。
その上、スナッチャーは社会的地位の高い人間にすら多く擬態している。
そんな一見、人と変わらないモノが世界中に溢れたら・・・ それを恐れた政府によってネオ・コウベ・シティは完全隔離されてしまい、 そこに住まう人々は隣人への猜疑心に苛まれながら暮らしていた。
ゲームは、スナッチャーが突如姿を現してから三年後の2042年、その退廃的なネオ・コウベ・シティにおいて 記憶喪失の男ギリアン・シードが対スナッチャー用特殊警察班「JUNKER」に配属されるところから始まる。
・・・ん?今放映中の仮面ライダーに擬態の設定が似てる?
ネタコラムにも使ったが、『アイデンティティーの拠り所』をテーマにする限りこの手の表現は多々見られるだろう。
特に近未来の、人々のコミュニケーションの崩壊後の世界を扱ったものにおいては。

さて、ゲームの内容に触れる前にそもそもこのゲーム、何故プレイすることになったかについて話そう。
私がプレイしたのはPCE版なのだが、兄いわくこの『スナッチャー』と『天外2』のためにPCE−DUOを買ったらしい。
今思うとどういう経緯でこのスナッチャーに興味を持ったのか、知りたい位である。兄が映画好きなのは関係あるだろうが。
ともかくこのゲームコンテンツで扱ってるRPGの多くがPCEの作品な時点で、このスナッチャーの恩恵は計り知れないといえるかもしれない。

(閑話休題)

 ゲーム自体は古きよき時代のコマンド選択型のAVG+ガンシューティングである。
ただお遊び選択肢の派生が当時にしてはハンパではなく、 寄り道プレイと一本道プレイでは6時間位プレイ時間に差が出るほどだ。
またメタルギア・ソリッドでテレビやコントローラーの機能を用いた仕掛けが印象的だった小島作品らしく、面白い演出がある。
冒頭、廃工場でスナッチャーに逃げられた後、入口付近に戻ってきた時に相棒であるメタルギアmk-2が
「何か音がしませんかぁ?」という。
「しないぞ?気のせいじゃないのか?」と返すギリアン。
「いえ、確かにします。テレビのボリュームを上げてください〜」

チ、 チ、 チ、 チッ、

「時限爆弾だッッ!!!」
どかぁーんっ!!


「いてて、まだ耳がキーンとする」「テレビの音量を上げたままにしておくからですよぉ」<お前のせいだ!
という小粋な演出がそこかしこに存在する。
だが、このゲーム、というか小島作品においてかかせない(かった)ものといえば『塩沢兼人さん声のライバル』。
その最初の栄誉を担ったのが、このランダム・ハジルである。
ランダムさん
このランダムさん、第一章の最後に主人公のピンチを颯爽と救うという美味しい登場の仕方をする。
流石、塩沢声ライバルキャラ!
さらに「針を隠すなら針山に。死体を隠すならモルグ(死体置き場)に」という名(迷)言も残している。
・・・まぁ、ネタバレできないのであまり語ることができないのだが;

 さて、このスナッチャー。
色々と細かい設定とサイバーな世界観が素敵なのだが、一つだけ解けない謎がある。
スナッチャーのアジトの一つから排気口を伝って脱出した時に、 一章の最後の舞台であるマンション二階の風呂から地上に出てくるのだが、 その場合、階下の間取りはどうなっているのだろうか?と。
バイオハザード2の警察署のように一階の壁の中に地下への通路が掘られているとかなのだろうか?
と最近、無理やり納得することにしたが、実際のところどうだったのだろう?
 まぁ、そんな些細な部分など問題にならないほど、濃縮されたサイバーパンクであったことは確かだ。
あ、バイオハザードで思い出したが、私がこの言葉を知ったのはこのスナッチャーが最初だった。
バイオより(MSX版なら)10年近く前にその言葉と、政治利用のためのソレという設定を構築していた時点で 凄まじいまでの先見の明に脱帽するしかないのである。
ちなみにスナッチャーの世界は、1991年に『ソ連』の研究所から細菌兵器が漏れるというバイオハザードでユーラシア大陸の大半が死滅後50年経ったものである。
ネタバレになるが、この細菌兵器とスナッチャーは相互関係があり、細菌兵器で街の人々を消し、スナッチャーと入れ替えるという二段構えの計画によるものだった。
まさに渋谷隕石みたいな話なのである(ヲイ)。



『ソ連』って何?
・・・今(2006年)から15年前の世界においては冷戦の象徴やったんやがな。
ゲーム開発者もまさか世界の大惨事の年に設定した1991年に
その大惨事を起こすべき国が崩壊するとは思わんかったみたいや。
まさに『事実はゲームより奇なり』ってところだね!
そういえば某サッカー漫画のリバイバル時には、
シュナイダーの所属する国はどこになってたんだろ?
・・・あんさん。
『ソ連』しらんいうといて、そいつはなんやない?
ジョ、ジョジョの影響でドイツに興味があっただけよ!

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