恋・ウラキ

「この2号機には、核弾頭は搭載済みなのかな?」
長い銀髪をなびかせながらそう訊く、見慣れない上官に、恋・ウラキは見とれてしまった。
そんな恋を、キースは横目で身ながら舌打ちした。
いつか抱きたいと思っている少女が自分以外の「大人の男」に憧れるのを見て、愉快な少年など、いるはずもない。
そんな、まだまだ色恋沙汰と任務が心の中で混在している若い二人だからこそ、油断があった。
結果、2号機は銀髪のスパイ、アナベル・ガトーに奪われてしまう。

「ガトー!」
1号機の恋のビームサーベルを、、2号機のガトーが盾でかわす。
「なぜ2号機を盗んだんですか!」
「その声、あの、恋・ウラキとかいう新米か・・・女は、知らなくていいことだ!」
「女だからって、バカにしないでよ!ボクだって、連邦の士官よ!」
「そういうことは、一人前のパイロットになってから言うことだ!」
その時、2号機の盾から異様な水蒸気がたちのぼった。
「何?この盾は冷却器なのか・・・女!貴様の名前、何と言ったか?」
「恋・ウラキ!ボクの名前は、恋・ウラキ!」
「恋・ウラキ・・・憶えておくぞ!貴様にもいっぱしの男気というものがあるなら、いつか私から、2号機を奪ってみせろ!
 いや・・・女である貴様に、男気などあるわけはないだろうがな!」
水蒸気の渦で身を隠し、2号機は戦場から離脱した。
悔しさに沈む恋は、おもわずコンソールパネルを叩いた。
「ボクが女だからって・・・・男気なんて言葉を持ち出して、バカにして!」

作:プロト ◆xjbrDCzRNwさん


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