序その2:Leslie Howard によるリストピアノ音楽全集について

この全集がどの程度破天荒かというと、勿論一人のピアニストによるプロジェクトとしては空前のものになります。スコット・ロスのD.スカルラッティのソナタ全集(チェンバロ)をも大きく上回ります。最終57巻(ハンガリー狂詩曲集)に全巻索引が入れてあって、その最後に some statistics of the series があります。幾つか紹介しますと、

最初の録音が1985年10月24日、最後が1998年12月18日の14年を要した。
全57巻CD95枚、CD一枚あたり平均75分録音、延べ117時間、1377tracks
楽譜16000ページ=12マイル?(紙の幅だと計算が合わないので、2段楽譜の総延長と思われる)で、9百万か1千万の音符を叩いた?

大体30枚くらい出た時点で、全部で70枚くらいの全集になる、というアナウンスがあったはずで、それが85枚に上方修正され、最後に95枚にまで増えたのですが、その間何がどうなったのやら。

このstatisticsにはあがってませんが、世界初録音というのがまたかなりあって、全体の2割は越えているような気がします。

この再生芸術史上の貴重な財産を買い求めている人は少なくないと思い込んでいたのですが、というのも知り合い中少なくとも二人は全巻買いあさっていたのですが、

大阪のCD屋に聞いたら、”それはお客さんの周りが特殊な集団です。全国で多分200人以下ですよ”とのこと。ならば、お勧めを紹介するのが全部聴いてしかもそのうち少なからぬ枚数を繰り返し愛聴しているものの責務ではないか、と思い立ったわけです。

演奏については個別に紹介しますが、このシリーズの録音、広すぎないスタジオでいかにもスタインウェイという感じがして私の好みです。同じハイぺリオンでも、マルク=アンドレ アムランの録音がどうにも好きでないのと対照的です。

アムランのような決定的超絶技巧ではありませんが、安定した技術の持ち主です。

この1377トラックを逐一紹介しようなどという気はありません! 横文字索引なら57巻についていますし(このハンガリー狂詩曲集がおまりお勧めとは言いにくいのが心残りですが)、これを全部日本語にしようにも到底訳せるものではありません!

そのかわりに、アルバム単位でお勧め度を

S:大々お勧め
A:大お勧め
B:お勧め : ここまでプラス評価
C:悪くはない
D:全部集める気になるまで避けておこう

とした上で、有名曲、気に入った曲を個別に取り上げていこう、と前から考えていたのですが・・・・

連載に備えて前半20巻からいくつか聴きなおしてみると、私のお気に入りアルバムは個性が強すぎて受け入れられにくいかもしれない、と思い始めてしまいました。序その1につながる話です。というわけで、看板にいつわりあり、お勧めは無視して、単に好き嫌いで点数をつけることにしました。それも曲の評価と演奏の評価がまぜこぜです。あと、知名度との兼ね合いもあります。例えば個人的にはハワードの弾くソナタが割と好きで、ホロヴィッツよりもさらに頻度高く聞いているのですが、さすがにこのド有名曲でSをつけるのは気が引ける(昔の仲間うちでも余り賛同を得られなかった、というのもある)、なんていうのもあります。

というわけで、お勧め度(?)はつけますが、その意味をくみとっていただくべく駄文を延々と書き連ねよう、というわけで、素人愛好家のプロジェクトとしてはハワード自身の挑戦にもなぞらえるべき(?)暴挙・・・とも思っていたのですが、約半年で完成しました。ご笑覧下さい。今後も気になるところは直していきます。

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