預言者 :字幕作成者のノート・・・着手時点から

伊英だろうと伊日だろうと、イタリア語台本を現在のネット上の自動翻訳に通しただけでは、字幕を作るのは不可能なのですが、

この作品はフランス語台本です(以上、悪魔のロベールの時と同文)。

以前から見つけていた、スペイン語対訳付き台本は→こちら
自動翻訳は、この台本をワードパッドにコピーして、余分な改行を除いたものを、1幕分まとめてそのままグーグルのテキスト翻訳(仏→英)に突っ込んでしまっています。「悪魔のロベール」以上に読める英語になるようなので、日本語訳を作るだけなら、なんとかなりそうですが、英語字幕まで欲を出すと所々厳しそうです。対訳付きCDも現役では無さそうなので、

米アマゾンにこんなのを発注しました。6月中には届くはずです。(ついでに「悪魔のロベール」も注文しました。)

ボーカルスコアは、pdfがかすれ気味なのがちょっと残念ですが、
http://imslp.org/wiki/Le_Proph%C3%A8te_(Meyerbeer,_Giacomo)
ここ↑にありました(このurlをそのままコピペしてください)。
合唱部分は冒頭からして混濁して聞き取りが殆ど出来ないので、タイミング合わせの大部分をこの楽譜から読むことになりそうです。まずは、アクセント符号抜きのフランス語字幕をボチボチ作っていこうと思っています。(以上11.06.11)

 

着手から2週間経って、アクセント符号抜きのフランス語字幕は第4幕に入っています。聞き取りでは伊語よりも独語よりも難物の仏語ですが、ボーカルスコア全面依存とまでは行かずに済んでいます。ただ、大きく省略されている箇所では、歌われているメロディをボーカルスコアで探し当てる、という作業が必要になります。まだ全体の2/3ですが、省略箇所は個数でも量でもパリの「悪魔のロベール」並みに多いようです。

なお、第2幕のパストラーレの第1クープレ(と日本語で書いても、分かる人が果たして居るのだろうか?)で、ドミンゴが歌っている仏語が台本(ネット上の台本とボーカルスコアとは一致しています)と違っていると思うのですが、何と歌っているかは勿論分かりません。
というところで米アマゾンからの対訳が予定より早く着きました。解説によると、マイヤベーアのグランドオペラは第1次世界大戦勃発までは世界的な人気作品だったこともあり、その間に作曲者の与り知らない改竄が無数になされているが、この対訳シリーズではできるだけ原典に近いと思われる台本を採用している、ということです。第2幕の問題箇所でいうと、ネット上台本と対訳本とは一致しており、ドミンゴが歌っている歌詞は結局分かりませんでした。これ以外でもネット上台本と対訳本とは概ね一致するのですが、微妙な違いがあって、しかも聞き取りは対訳本と同じ、と思われる箇所が何箇所かあり、仏語字幕作成の時点でも既に対訳本が役立っています。このままペースを上げれば、今月中に仏語字幕の完成にこぎつけられる、かな?(以上11.06.26)

 

さらに2週間経過、仏語字幕は一応完成しました。上記の「ドミンゴが歌っている歌詞が違う」以上の問題箇所が、ベルテの自殺の場面です。ネット上の台本、対訳本の台本、仏語のボーカルスコア、に加え、伊語翻訳版のボーカルスコアもチェックしましたが、いずれでもベルテが自分の胸に短刀を突き刺したらそのまま一言も発さずに死ぬことになっています。ところが、このウィーンの舞台ではベルテが虫の息で結構長いこと喋っています。その内容は勿論分かりません。途中で Adieu と言っているように聞こえる気はしますが。この部分の、ボーカルスコアには載っていない音楽もかなり美しく、無視したくないので、Operashareのメンバーに問い合わせてみようかな、と考えています。
仏語字幕の完成後は英語字幕に取り掛かっています。Googleの自動翻訳と対訳本とを見比べて、どちらかをそのまま採用することもあれば、中間的なところで手を打つのもあり、という感じで、現時点で7割がた出来ています。さらに日本語字幕もスタートしていて、こちらは現時点で2割というところでしょうか。来週には、英語字幕完成、youtubeに問題の2箇所をアップ、問い合わせを発信、までが目標になります。(以上11.07.10)

 

1ヶ月経ちましたが、その間に皮膚科疾患が2週間(うち11日間入院、丸9日間の持続点滴つき)、退院後の服薬中にハワイにて1週間の旅行というより静養、と時間を割けない状況が続いたので、前回立てた目標には及びませんが、ようやくyoutubeへのアップが完了しました。もしもフランス語のヒアリングに長けた方がいらっしゃいましたら、
2幕のパストラーレ:
http://www.youtube.com/watch?v=AmRMnHPrpuo
5幕のベルテ自殺シーン:
http://www.youtube.com/watch?v=NJkw8B1XQUA
を御覧の上で、何を言っているのかをyoutubeのコメントとして書き込んでいただけませんでしょうか。(以上11.08.07)

 

youtubeでの問い合わせに、多分外国の方から回答をいただきました。第2幕のパストラーレはドミンゴがはっきり発音しているのを聞き取っていただいたようです。他方、自殺シーンは虫の息の切れ切れの言葉なので聞き取りは困難とのことで、別途調査いただいて冒頭部分だけは判明した、とのことでした。なので、判明部分のみ字幕にして、まずはDVDフォーマット版で公開しました。(以上11.08.28)

 

avi版もアップロードしました。DVDフォーマット版をそのまま再エンコードしたものです。画面サイズが小さい分ファイルサイズも約半分で済んでいますが、多少は画質が落ちているはずなのと、字幕の字が少しにじみ気味になってしまいました。大抵の文字は迷わず読めると思いますが・・。
これで一区切りつきましたので、もう少し「字幕作成者のノート」らしいところを追記します。
上に書いた、第2幕のパストラーレの第1クープレは38分20秒から50秒にかけて(DVD版でチャプタ14)になります。仏語は完全に分かったのですが、英語訳を教えてもらわなかったので、グーグルの仏英自動翻訳ベースで作っています、が、今ひとつ自信はありません。自殺シーンの判明部分は2時間45分45秒から46分15秒(DVD版でチャプタ47)にかけてになります。実は仏語字幕はもう一枚あるのですが、その仏語をどう解釈すべきか、前に繋がるのか後に繋がるのかも分からなかったので、英語と日本語の字幕では入れていません。訳に自信がないのは第2幕のパストラーレ同様ですが、どちらも意味が完全に違ってしまう心配は無さそうな場面です。
DVDフォーマット版にはチャプタもつけています。全5幕のチャプタ割と開始からの時間は以下のようになります。

  チャプタ  開始時間 
第1幕 1-10 0:00:00
第2幕 11-19 0:30:05
第3幕 20-29 0:58:54
戴冠行進曲 30 1:42:10
第4幕 31-39 1:46:00
第5幕 40-49 2:18:48
ボーカルスコアでは第4幕の第1場と第2場の間となっている。
(以上11.09.09)

 

さて、残念ながら最大限に醜悪な演出だったウィーンの公演で、その中でも一番の問題と感じているのが幕切れの大幅なカットです。
ウィーンの舞台で演じられていたのは、

  ベルテがジャンとフィデスの目の前で自殺する
  ⇒ジャンがその場で復讐を決意する
  ⇒そこに酒宴の音楽が聞こえてくる(フィデスがどうなったのか良く分からない)
  ⇒その場で(としか見えない)酒宴の歌を歌う
  ⇒歓声が罵声に変わるところで、フィデスが現れる
  ⇒二重唱を歌い終わったところで、ジャンが爆破スイッチを入れて幕

・・・英語頁では「この映像だけでは殆ど理解不能なので、ネット上の台本の仏英Google自動翻訳で確認することをお勧めする」と書いたところですが、残念ながら仏日自動翻訳はそのままでは全く使い物になりませんので、以前こちらに書いたあらすじに言葉を補って紹介します。
この字で書いているのはウィーンの公演で省略/無視された箇所、この字はその中でも特に問題と思っている箇所です。

第5幕:第1場
場所:ミュンスターの宮殿のアーチ形セラーの地下牢(それはまた火薬庫としても使われている)
3人のアナバプティストは、ジャンを裏切って、ミュンスターに行軍中のドイツ皇帝に売り渡すことを決める。
彼らが去ったところに、囚人となったフィデスが連れてこられる。
ジャンが入って来て、許しを乞う。フィデスは、預言者としてのあらゆる力を放棄するなら、とジャンを許す。
ベルテはトーチを持って現われる。彼女は預言者とその仲間達が真上の大ホールでの宴会に出席している時に地下室を爆破しようとしていた。
彼女はジャンに気がついて喜び、3人で逃げるのに同意するが、彼が預言者であることが分かって、彼女自身を刺して死ぬ。
ジャンは絶望し、アナバプティスト達と彼自身を殺すことを決意し、部下にベルテの遺体を運び、フィデスを連れて行くよう指示し、ベルテが指摘していた火薬庫を一瞥してから階段を駆け上がる。

第2場
場所:宴会ホール。
ジャンは宴会に列席している。アナバプティスト達はジャンを酔いつぶして捕縛してしまおうと画策している。ジャンは信頼できる部下に、敵(皇帝軍)が侵入したら、扉を閉めて逃げるよう密かに指示する。扉をしめることで点火線に火がつくよう細工してあったのである。
酒宴を喜んでいるフリをして、
「預言者万歳!」の歓声の中でジャンは酒宴の歌を歌う。
アナバプティスト達の手引きで、オーベルタールによって導かれて皇帝の軍隊が入り、
歓声が「偽預言者に死を!」の罵声に変わる。
敵全員が揃った時、炎は床から上がり始める。
火薬が爆発し、宮殿が倒れるまさにその時に
、フィデスはジャンと一緒になる。

・・書き出してみて、改めてあきれてしまいました。第2場のストーリー展開が舞台に殆ど反映されていません。(以上11.09.23)

 

 

 
2017年2月のトゥールーズの公演動画を入手したので、こちらにも字幕を付け始めました。ウィーンの舞台に添えた字幕データ、その作成のために準備した諸々、が揃っているので、かなり速く進んでいます。月曜日から始めて、睡眠時間を圧迫しない範囲での作業に留めて・・何せ前回の字幕付けの途中に大病しましたので・・それでも日曜日の午前中には、もう第4幕に入りました。

こちらの方がウィーンの公演よりはカットが少ないのですが、それでも色々カットされています。

字幕作成者としては、カットが増える方はすぐ対応できますが、ウィーンではカットされていたのが採用されている場面だと、新規作成の手間が発生します。オリジナル動画が仏語字幕付きなので、次ぎの台詞が分かるのは助かります。そうでなければ、ヒアリングなど殆どできない仏語ですから、ボーカルスコアから場面探しをする羽目になっていたところでした。

ウィーンでの公演には有ったところでは、第2幕のジャンのパストラーレ、第3幕の Zacharie のクープレ、の各「2番」がカットされているのが目立ちます。

第2幕のジャンのパストラーレは、これは「2番」が有った方が良かったでしょう。1番、2番の後でそれぞれ、アナバプティストの勧誘とジャンの拒絶とが繰り返される場面です。「2番」をカットして勧誘も1回だけになると、アナバプティストのしつこさが足りない、というか、諦めが良すぎるように見える、気がします。第3幕の Zacharie のクープレも2番まであって良いところなのですが、こちらの Zacharie の声の通りが今一つなので、この位でいいことにした、のかもしれません。ウィーンのように悪魔的な迫力のある Zacharie であれば、2番までしっかりやって欲しいと思う気がします。(以上18.09.16)

 

 
ウィーンvsトゥールーズ カット比較

自作の字幕データ同士で、見比べて見ました。()内は私の見解です。

 

  第1幕:

・アナバプティストによる扇動の場面がウィーンでは一部カット(さして重要でなくカットも可)

  第2幕:

・アナバプティストが酒場の客にジャンの人物を問う場面がウィーンでは一部カット(カットも可)
・ジャンのクープレの「2番」がトゥールーズではカット(これはあったほうがいい・・少し上参照)
・ジャンが説得されかかる"SCENE ET QUATUOR"の四重唱の冒頭が、ウィーンではカット(カットも可)
・母に会えなくなると言われてジャンが躊躇する場面でウィーンは若干のカット(カットも可)

  第3幕:

・Zacharie が身代金を払う貴族なら命を助ける、と話す場面が、トゥールーズではカット(カットも可)
・Zacharie のクープレの2番がトゥールーズではカット(ここはカットも可・・少し上参照)
・オーベルタール父とのミュンスター開城交渉結果報告が、トゥールーズではカット
 (ここはカットしない方が良かった。カットの結果、会話の繋がりが変になった。)
・見つかったオーベルタールが何とか誤魔化そうとしている場面が、ウィーンでは大幅カット
 (ここはいささか長いので幾らかのカットは可)
 (但し両舞台とも正体露見の場面で照明が暗いままなのは歌詞にも合わず意図不明)
・ジャンがオーベルタールに気づいて以降の会話がトゥールーズでは少しずつカット(カットも可)
・ミュンスターへの行軍を命ずる場面でウィーンではいくつかカット
 (どちらかというとカットしない方が良かった)

  第4幕:

・戴冠行進曲がウィーンでは第4幕冒頭に移動
 (戴冠行進曲の音楽を、幕間の間奏曲として使った、ということだろうが、賛成できない)
・フィデスのアリア(と名付けられていないが)の前の会話がウィーンではカット
 (カットしない方が繋がり良いが、カットも可)
・ベルテの復讐の決意(A)、フィデスの嘆き(B)、両者の重唱(A’)の三部形式が、ウィーンではA’のみ
 (ここはカットしない方がいい)
・フィデスがジャンに気づいてからの混乱の大合唱がウィーンでは大幅カット
 (音楽的には、ここが一番残念なカット。ヴェルディ「オテロ」第3幕大詰めの大合唱にも匹敵する!)
 (声部が多くて、ピアノ伴奏譜でも1頁1段が続きます・・・1頁分だけですが譜例はこちら

  第5幕:

・フィデスの"CAVATINE RT AIR"がウィーンではちょこちょこカット
 (カットしても繋がるが、カットしない方がいい)
・ベルテが地下牢に現れてからジャンに気づくまでの間のフィデスのと会話がウィーンではカット
 (この幕の本来の展開を説明するには、カットしてはならない箇所)
・ジャンの正体が露見してからベルテが自刃するまでの、ベルテの「第2番」が、トゥールーズではカット
 (ウィーンの舞台しか知らなかった頃から、ややくどいと思っていた箇所なので、カット可)
・楽譜の出所不明の、ベルテの自刃後の虫の息での独白がウィーンにはあるが、トゥールーズには無し
 (結構奇麗な音楽で、マイヤベーアが何らかの機会に追加作曲したのだろうと想像)
 (勿論、無しで構わないのだが、一度は聞いてみたくなるかも)
・ジャンが部下に母の世話を指示するところがウィーンではカット
 (ここも含め、ウィーンの珍演出の妨げになる台詞は全部カットだが、全て論外)
・宴会場に上がってからのジャンから部下への指示もカット
 (上述のように、そもそも宴会場に来たのかどうか、さえ、ウィーンの舞台では分からない)
・ジャンと、ジャンの敵との会話がウィーンでは全部カット
 (そもそも、バッカナールの最初からフィデスの姿が見えているのが変)
 (ちゃんと演出すれば、地下牢のラダメスの前に現れたアイーダと同じような効果がある)

 

トゥールーズの舞台にも、第3幕で妙なところが多少ありますが、最早ウィーンの舞台記録で我慢する必要は無くなった、と言い切って良さそうです。(以上18.10.08)

 

 

 

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