がんばれフォステクス!

大阪日本橋中全部探せばフォステクス以外のユニットが手に入ることも今は知っています。でも今まで作った6組のユニットもパーツも全てフォステクス製です。別に国粋主義者ではないつもりですが、自作用ユニットで国産のものが使えなくなったら寂しいと思っています。しかし、長岡先生の亡き後に、フォステクスは自作派人口の維持と、自作派からの支持の確保と、の両方をやっていけるのか、一抹の不安を感じます。ファステクス社の経営において、自作用ユニット販売がどれくらいの位置を占めているのかも知らない外野席からですが、勝手な提言を書き連ねています。
#最初は、まとめました、と書いていたけれど全然まとまってないものね。

その1:まず長岡先生に負っていた部分を謙虚に認めるべし

フォスター電機にしろフォステクスにしろ、広告でその名を知った人は殆どいないのではないでしょうか? かく言う私は勿論長岡先生の自作記事で目にしたのが最初です。1970年代にステレオ誌かFMfan誌かは分かりませんが、立ち読みで見かけて、「スピーカーを自作することが可能であること」にますびっくりしました。やがて、別冊FMfanだったと思うのですが、ムックを購入して、実行には移さなかったものの、妄想にふけったのでした。その本はもうどこかに行ってしまいましたが、内容は鮮明に記憶に残っています。型番まで覚えているのは、D-4, 9, DRW-1, MX-1, 2, 3, R-7, 8 といったところです。当時はフォステクスの売上ではなく長岡先生の印税のみに貢献していたのですが、長じてフォステクス製品を買うようになったのは100%長岡先生の記事と著書があったからです。

自作派が自作を始めるきっかけは人それぞれでしょうが、スピーカーとは音のでるサランネットのついた重い四角い箱だという認識しかない人がフォステクスの広告を見て、そこに描かれた物体がスピーカーユニットだということを理解した上で欲しくなる、なんてことがあるとは思えません。長岡先生の記事・著書はフォステクス自体の広告の効果の、100倍の効果があったと思うべきでしょう。勿論今までの100倍のお金をかけられるはずはありません。私個人としてはFE168ESがいつ出るかウォッチしているだけですから、これ以上広告に金かけて欲しくないくらい・・・でもそれ以前にフォステクス社が存続して、ユニットの供給を継続してくれなければ。

広告には費用面の限界があって、長岡先生の数ページに渡る自作記事とおなじにはできないとしても、ハンドブックや取扱説明書なら工夫の余地があるはず。これらの何が駄目か、というと、一言で言うと「つまらない」。いや、長岡先生のが「面白かった」というべきでしょう。失礼ながら例をあげれば井上良治氏の記事もつまらないし。なにがつまらないのか? 以下で分析してみましょう。瑣末な所ですが、千里の道も一歩から。

その2:設計例紹介では狙いを明らかにして理屈と筋のとおった説明をすべし

フォステクスのハンドブックで評価できるのは、例えば木材の選び方(第3巻)のところです。具体性があって、DIY店に出向いたその場でそのまま役に立ちます。余り評価できないのは、バスレフやバックロードホーンの設計法の所です。

バスレフの方は長岡先生の計算方法より具体的になっているのですが、しかし狙いが分からない。バスレフは主要パラメータに限っても、容積とダクト面積とダクト長をきめなければなりませんが、長岡先生の場合は(常にではないですが)ダクト面積を大きめ/小さめにする、というその狙いを明らかにした上で、ダクト長でFdを調整していたので、読むものは流れに乗れるのです。バックロードホーンの設計法もしかり、長岡先生のは、簡便式ではあっても、空気室サイズの定性的な意味等はそれなりに分かった気にさせてくれます。長岡先生が簡便式を発表されたのは随分昔のはず、であればフォステクスが自分の式を出す時には、長岡先生の設計とどれだけ違って、どういう長所短所がある、と書いてくれれば、参考になりますし、なによりただ読んでいても面白いはずです。

ネットワークについてはネットワークの常識非常識でも取り上げた所ですが、同じ間違いをしていても、フォステクスの間違いの方がずっと気になります。なんといっても、もっともらしい理論グラフまで書いて、これが間違っているわけですから。しかし、狙いを明らかに、という観点ではさらに問題を感じます。ネットワークの解説のところでは、その設計法どおりの設計例になっています。しかし、ちょっとページをめくると、どの設計も自分で示した設計法には全然準拠していません。ユニットに同梱の取説の設計例もしかり。

自分が最初の2wayをFW168で作る気になったのはやはり長岡先生の影響だと思っています。先生がいくつも製作例を残されていますが、その数以上に「質の良い低音が得られるが、高音のピークが大きい、これをどう料理するか」という観点で取り組まれている考え方そのものに引きつけられました。このあたり非常に一貫していたと思うのです。サブウーファーなど、大きなコイルやアコースティックフィルタが入る使い方では、手ごろなウーファーとして、2wayの場合にはやりがいのある対象として、取り組まれていたという印象を持っています。

翻ってフォステクスの製作例を見ると、狙いが分からないのです。当然自分の所の設計法からスタートして、「このユニットのくせからして、こういうことになるから、こんな狙いで、こういう風にチューニングしたのがこの設計例です」、と書くには余白が足りないというなら、取説にあんなごわごわの厚い紙を入れる必要はありません!。

取り説には設計例のF特も出ていますが、小さくてなんだか適当に鉛筆で書いたみたいで、信頼感がありません。私が作ったのとネットワークが違いますが、FW168に対してFD48Dが−4dBでバランスする?嘘でしょう?と言ってみたくなります(私のは最終的に−13か14、これも極端?)。どうせ載せるなら、いかにもちゃんと測りました、と見えるような大きな図を出してください。

スピーカー計測の紹介にしても、全般にほとほと詰まらなかった「オーディオクラフトマガジン2」にすら遅れを取ったままですか?。長岡先生が支持を集めたのは、物書きとしての素晴らしさもありますが、一つにはスペアナを駆使して狙いと成果を紙の上に残していったことにあります。我々はそれを見ながらスピーカー工作に足を踏み入れたのです。「きれの良い音」「しまりのいい低音」といった言葉だけで満足することはありえません。私が載せたみたいなヤクザな計測方法がフォステクスから紹介・提案されてもいいと思うし、自社ユニットの優秀さを紹介するのにはウォーターフォールとか、もう一歩上を行く(ウォーターフォールくらいなら素人にも手が届く範囲だから、もっと上なのかな)計測方法でアピールしてもらいたいものです。

その3:ホームページを整備して下さい!

ステレオ誌やFMfan誌とどうつきあっていくべきか、追々考えていきますが(おいおい、外野だろうが!)、すぐにでも出来そうなのが会社ホームページの整備ですね。なんせフォステクスの名前は一般人にはパイオニアやケンウッドはおろか、アキュフェーズよりも無名なのです。なのに開けてみて何を売りたいのかすぐ伝わってこないトップページ、というのが、まずいけません。これは認知の問題。

認知したユーザーが信用するか、というと、まずFAQのページ。あれは一体いつから「フォステクス製品に関するFAQを順次アップしていく予定です。」になっているんでしょうか?1年どころではないはず。大体質問出そうにも、手紙しか受け付けない(と見える)のが既に遅れきっています。Eメール受け付けると殺到した時に困ると言うなら、例えば掲示板を開いたらどうですか。適当にサクラ質問の10もやっていれば、そのうちきっと好きものが寄ってくるはずです。

こういう姿勢が最初からあるなら言われる前に実行しているはずですが、多分実行していないと思われるのが、自作マニアのサイトの確認です。自作&インターネットの層に影響力の強いサイトで、ファステクスに辛口な見解を載せているところがある、というのは、スピーカー工作をキーにこのマイナーサイトまでたどり着いた方の大多数は先刻ご承知でしょう。疑問・不満というものが、インターネットという超高速口コミで伝わる時代です。知らぬはメーカーばかり、ではつぶれます。

・・・久しぶりにこのページを見直してみました(01.04.21)。。。

ネットを通じてフェイさんやイーディオさんとやりとりをしているうちに、がんばれフォステクス!と言い続ける気が薄くなってきたのは否めません。私自身限定販売のFE−108ESUを買っていない一方、イーディオさんから通信販売でSEASのユニットを入手しています。フェイズブランドのスピーカ工房の「次世代のスピーカーのために」に私が付け加えられることは何も無いので、このページはこれにて打ち切りとしますが、

まず、ホームページに対する苦情には部分的に応えていただいていますね。トップページデザインとFAQページは直ってます。まさかこの超マイナーページをフォステクスの人が見て直したとは思えませんが。掲示板と現代的測定が無い分「イーディオ」さんのページにも大きく遅れをとっています。長岡先生の神通力が無くなる前に一般ユーザとの向かい合い方を見直すことを祈っております。

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