初期発電成績と年間予想

幾ら稼いでくれるのか、あるいは、幾ら投資額を回収してくれるのか、という観点で発電成績が気になるのは当然のことなのですが、その稼ぎなり回収なりの前提となるのが、故障・不良のないこと、もし故障があれば早期発見すること、になります。その観点から発電成績が妥当かどうか、見続ける必要があると考えています。この頁では稼動20日までの発電実績による検討結果をまとめました。

 

1.ピーク性能

条件の良い日時に公称出力が出るのであれば、初期不良やその時点までの故障は無いものと推定できると思います。
導入半月後の2012年7月8日は、雨のち曇り(名古屋・豊橋とも)という新聞朝刊の天気予報は大外れで、両都市の中間に位置する刈谷市は朝から快晴、午後からは曇りましたが、我が家の太陽光パネルのピーク性能に近いと思われるものを確認することが出来ました。


(クリックで拡大)
10:12 東面出力が4kWに達しました。

11:39 両面とも3.8W、
合計出力7.6Wに達しました。

12:55 西面出力が4kWに達しました。
合計も7.6kWです。

片面公称出力3.8kWのパネルと、容量4kWのパワコンの組み合わせで、瞬間とは言え、4kWの出力が記録されたからには、初期不良の心配はなさそうです。それにしてもよく出ますね。両方のパネルが同出力の瞬間も、パネル同士の角度が50°近くあるのですから、それぞれ太陽正面からは大分ずれた角度になっているのです。
ソーラーフロンティアのこの頁に書いてあるとおりの効率上昇が起こっているかもしれません。

 

2.年間予想・・ネット上のシミュレーション

ネット上には各種ありますが、ここでやってみますと・・・実際は東西2面ですが、東1面であることにして・・・
年間 7444kWh となります。それなりに大きな数字ですが、これでは私の試算では投資額を10年で償却できないのです。

ここのシミュレーションはやや厳し目で見積もっているらしいですが、その匙加減がすぐには分かりません。6月末導入だと、シミュレーションと実績の直接比較が可能になるのは、ようやく8月に入ってからになります。そこで、もう少し色々できないか、検討しました。

 

3.年間予想・・名古屋気象台での日射量との相関

太陽光発電が始まってから、一日の発電量を記録すると共に、その日の天候を自分なりにメモっていますが、季節柄「晴れ」があまりないのはともかく、曇りにも色々程度があることが良く分かりました。「薄い雲」「白い雲」「灰色の雲」「黒い雲」とランク分けするとしても、一日中空を見ているわけでなし、さすがに客観性に乏しすぎるように思えます。それなら、というわけで、気象庁のホームページにいって、最寄のアメダスの記録を調べてみると、日照時間というのがありました。ところが、これが照っているかいないか、の2分法の世界で、太陽光発電量と比較しようとするなら、私の主観による雲の色の分類にも及びません。

これじゃだめだな、と思っていたのですが、アメダスではなくて、名古屋地方気象台の頁を見てみると、「全天日射量」が出ていることに気づきました。ウィキペディア(2012年7月時点)によると
全天空からの日射量を測定したものが、全天日射量である。直達日射量(水平面での値に換算したもの)と散乱日射量の和に等しい。 実際の測定においては、全天日射計を水平に設置して測定するのが普通である。
とあります。

我が家の太陽光パネルは、東西面に対称形状で載っているので、水平面が受ける日射量に近いものを受け取ると考えられます・・・細かい議論は別頁へ。
従って、全天日射量と発電量との間に(相関が弱いのならどうしようもありませんが)もし強い相関があるなら、その相関関係は一年を通して余り変化しないことが期待できます・・・細かい議論は別頁へ。

我が家から名古屋地方気象台までの距離が約20km、雲の状態が全く同じということはありません・・・2012年5月21日の金環食は、名古屋市全域で見えたようですが、刈谷の南半分では太陽がどちらにあるのかも分からないくらいの雲の中だったりしました・・・が、長い目で見れば強い相関があるのは十分期待できます。

早速、名古屋での日々の全天日射量と、我が家での日々の発電量と、をXYプロットしてみると、期待以上に見事な直線性が現れました。それ以降毎日データを追加していますが、データを増やしても相関は強いままです。6月中の7日間を紺色、7月に入ってからの13日間をピンクでプロットして、線形近似は全20日分データを用いて求めたのが下図になります。

これで、色々な考察が出来ます。
近似線より大きく下に外れた日が一日だけありますが、この6月25日は12時前後に「一天俄かに掻き曇り」の講談調が似合いそうな黒い雲と大雨だったので、発電量の低さは実感には合っています。名古屋地方気象台ではそこまで暗くなっていなかったのでしょう。この日を別にしても、7月に入ってからの効率が6月分を少し上回ります。これが前述のパネル効率向上分だと嬉しいな、です。
冬にパネル温度が下がることで効率が上がるのが反映されれば、冬の発電量が全天日射量の割には多くなる側になります。一方、切妻屋根上対称配置のパネルが水平配置と全く同一ではないことと太陽の位置との兼ね合いで、冬の発電量が少なくなる要素があるかもしれません。冬のデータが楽しみです。
もし本当に季節によらず、名古屋気象台での全天日射量と我が家での発電量との関係が維持されるなら、名古屋の全天日射量は、この10年間の平均値で一日あたり14.0(MJ/m^2)というのが、これも気象庁の頁から調べられますから、近似式の x に14.0を代入して得られた y に365を掛けると、年間発電量の予想値が、9720.5kWh といきなり求まります。ソーラークリニックのシミュレーションより30%以上良い数字になります。
9720.5kWhは単位換算すると、34994 MJになります。
(1h=3600sec、kW・sec=kJ、1000kJ=1MJ、なので、kWhでの数字を3.6倍すればいい)
全天日射量一日当たり 14.0MJ/m^2 は1年間積算では365を掛けて、5110MJ/m^2 となります。
太陽光パネル80枚の面積が 63.3m^2 で、傾斜の影響による受光効率95.6%(細かい議論は別頁)を考慮すると
全パネルが一年で受けた日射量は511×63.3×0.956 =309×10^3 MJ になります。
パワコン出力時点での総合効率が、34994/(309×10^3)×100=11.3%となります。総合効率で11%を超えているというのは、パネルモジュール効率が12.2%ということになっているソーラーフロンティアのパネルとしては十分高い数字であるように思われます。

発電量のうちの自家使用分など他にも色々仮定が入りますが、これらを厳し目に仮定しても、年間 9720.5kWh であれば、補助金まで考慮すれば、金利負担有りでも10年で償却できる計算です。もし 10400kWh まで行けば、補助金考慮なし金利負担有り、の一番厳しい条件でも償却できます。実は7月の13日間の実績だけで計算すれば9956kWh にまで推定値が上がります。更に冬場の効率向上次第では・・・です。

 

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