米国の法人税制の概要

 

【連邦税法の体系】

(1)    内国歳入法 Internal Revenue Code [ CCH Free Code & Regs ]

(2)    内国歳入法規則 Internal Revenue Regulation [ CCH Free Code & Regs ]
   Internal Revenue Regulation は、内国歳入法の適用と管理のために、内国歳入庁長官が起草し、財務長官が承認した財務省規則 Treasury Department Regulations 。
内国歳入法規則は官報 Federal Register により公布される。又、
内国歳入庁週報 Internal Revenue Bulletins [ by UncleFed's Tax Board ] にも掲載される( Internal Revenue Bulletins は、内国歳入庁の専門家向け公報で、毎週発行される。Internal Revenue Regulation だけではなく、Revenue Rulings、Revenue Procedures、Notices 等も掲載される)。
特定の事項に関しては、内国歳入法規則を制定することが内国歳入法により義務付けられることもあるが、その様な場合以外は、内国歳入法の条文の管理及び運用上の条文解釈に関する細則を内国歳入法規則として施行することが財務省に認められている。
内国歳入法規則には、草案 Proposed Regulation、暫定規則 Temporary Regulation 又は最終規則 Final Regulation と云う区分があるが、暫定規則と最終規則は財務長官の承認を得て施行される。
暫定規則には条文の番号の最後に”T”が付けられる。
最終規則は法と同等の効力が認められている。
草案は内国歳入庁の条文解釈に過ぎない。

(3)    納税申告書フォーム並びに記入要領 IRS Forms and Instructions [ by Internal Revenue Service ]

(4)    判例 Court Decisions [ by Tax Resources on the Web ]
   
租税裁判所 U.S. Tax Court だけでなく、地方裁判所 District Court、請求裁判所 Claims Court、巡回控訴裁判所 Court of Appeals、最高裁判所 Supreme Court 等も税法上の訴訟の管轄権を持っている。
内国歳入庁は、最高裁判所の判例でない限り、拘束されることはない。

(5)    財務省歳入通達 Revenue Rulings [ by TaxLinks ]
    Revenue Rulings は、内国歳入法、関連法、租税条約、内国歳入法規則に関する内国歳入庁の公式の解釈であり、特定の事実関係に対してどの様に法を適用すべきかに付いて内国歳入庁が出した結論。
Revenue Rulings は、内国歳入庁週報 Internal Revenue Bulletin に掲載されるが、財務省規則としての効力は有していない。
とはいえ、Revenue Rulings は前例 Precedent として使用される。

(6)    財務省歳入手続 Revenue Procedures [ by TaxLinks ]
   
Revenue Procedures は、内国歳入法、関連法、租税条約、内国歳入法規則の下における納税者その他の権利・義務に関する手続きを周知させるために公表された公式文書。
Revenue Procedures は、内国歳入庁週報 Internal Revenue Bulletin に掲載されるが、財務省規則としての効力は有していない。
とはいえ、
Revenue Procedures は前例 Precedent として使用される。

(7)    内国歳入庁公刊物 IRS Tax Publications and Notices  [ by Internal Revenue Service ]
    IRS Tax Publication は、特定のトピックスに関する内国歳入庁の公式解説書。また、Notice は、内国歳入法又は関連法に関する解釈指針を含んだ公式文書。Notice は、内国歳入法規則が直ぐには施行できないような場合に、内国歳入法規則の代用として発せられることがある。
Notice は、内国歳入庁週報 Internal Revenue Bulletin に掲載される。

(8)    内国歳入庁ニュース IRS Tax News Release  [ by UncleFed's Tax Board ]
    IRS Tax News Release は、マスコミを通じて一般納税者の注意を喚起する必要がある様な場合に公表される。税務の専門家を対象としたものではないので、技術的なことは最小限に留めてある。内国歳入庁週報 Internal Revenue Bulletin には掲載されない。

(9)    事前通達 Advance Tax Ruling [ by Internal Revenue Service ]
   
内国歳入庁は、納税者(個人/法人)に個別通達 Private Letter Ruling を発行することがある。内国歳入庁は個別通達に拘束されるが、個別通達は、発行を受けた納税者以外には効力をもたない。提案された取引の実施以前に、その税務上の取扱いについて個別通達を発行して貰うことも可能で、これは事前通達 Advance Tax Ruling と呼ばれる。

(10)    会計原則Generally Accepted Accounting Principles

(11)   租税条約 International Tax Treaties [ by Internal Revenue Service ]
   
通常の国は、条約が国内法に優先して適用されるが、米国は条約と国内法とを同格として取扱っており、後法優先と云うことで、条約締結の後に制定された国内法が条約に優先されてしまう。

 

【外国為替管理】

米国では外国為替管理は行われていない。米国に会社設立のための資金を国外から送金するのに制限はない。国外に利益を送金するのも、又、撤退するのも自由。

但し、マネーロンダリングを防止するために下記の制約がある。

(1) $10,000超の通貨或いはその他の金融手段を米国から物理的に輸送、郵送又は搬送により出し入れする場合には、税関所長に報告書を提出しなければならない。

(2) 米国通貨で、一回につき$10,000超の投資証券又はその他の金融手段を米国外から受領した者は、報告書を提出しなければならない。

(3) 内国歳入庁への報告義務
この規則の下で、$10,000超の現金を事業に関連して受領した者は取引から15日以内に報告書を提出しなければならない。この条項は現金収入を報告しない納税者を特定し、違法活動からの収入に絡んだマネーロンダリングを禁止する目的で1984年に施行されたもの。

 

【会社設立】

(1) 創業費 Organizational Expenditures
会社設立費用は60ヶ月以上の期間で償却する。発生主義で計上し、初年度に関しては、事業を開始した月から月割りで償却を開始する。初年度に償却を行わないと、会社を清算するまで損金算入できなくなってしまう。

(2) 株式の発行、上場に関わる費用等は創業費とはならず、損金算入できない。
これらは資本準備金から控除する。

 

【現物出資】

(1) 含み益のある資産を対象として現物出資を行った場合は、資産と株式との交換と看做され、資産の市場価格と税務簿価との差額が出資者の売却益として課税所得になる。
但し、
下記の3つの条件を全て満たせば、出資者も会社も含み益に対する課税の繰延べ Rollover が可能。設立時だけではなく、設立後の増資でも非課税の現物出資が可能。
役務の提供による出資は、ここで云う資産の現物出資には該当せず、
出資者の所得を構成する。
出資者と会社の双方がその納税申告書に計算書を添付する義務がある。

@ 出資者(単数又は複数)がその所有する資産と交換に、会社が発行する株式 stock のみを受領すること
1989年までは、「会社が発行する株式 stock 又は社債 securities のみを受領すること」と云う規定であったが、1989年の税法改正以後、社債 securities は除外されることになっている。

A 交換の直後に、当該出資者が会社を支配していること(この場合、支配とは議決権株式の80%以上及びそれ以外の株式の80%以上を所有することを云う)
現物出資を行った者が、現金又は役務提供による出資も行っている場合には、現物出資だけではなく、この現金又は役務提供により取得した株式も勘定に入れて、80%以上所有しているか否かを判定する。

B 出資者も会社も、交換による利益を認識しないこと(出資者が現物出資した資産の簿価を会社が引継ぐこと)

設例 1
Cは市場価額が
$25,000の特許権を所有し、Dは市場価額が$75,000の製造工場を所有している。CとDは資本金が$100,000のR社を設立した。Cは自己の特許権をR社に現物出資し$25,000のR社株式を、Dは自己の製造工場をR社に現物出資し$75,000のR社株式を取得した。CもDも譲渡益を認識しない。 

設例 2
Bは
1930年にある土地を$50,000で取得したが、1955年にその土地の市場価格は$200,000となっていた。1950年にBはこの土地をN社に現物出資し、N社の株式の78%(市場価格$200,000)を取得した。N社の株式の残りの22%は、1940年に別の人々に対して現金出資の対価として発行されたものである。Bにはこの取引で$150,000の課税所得が生じる。 
この例で、BがN社の株式の80%を取得したのであれば、Bは譲渡益を認識しない。

設例 3
Eは個人であるが、税務簿価が
$10,000で、市場価格が$18,000の資産を所有している。Eは又市場価格が$2,000の役務をF社に提供した。F社は普通株式100株を発行しているが、その全てがGによって所有されている。F社は400株の普通株式(市場価額$20,000)をEに発行し、E所有の資産並びにE提供の役務の対価として譲渡した。取引の直後に於いてEはF社の発行済株式の80%を所有しているので、資産と株式との交換による利益が認識されることはない。しかしながら、Eは役務提供の対価の$2,000に付いては、通常利益を認識しなければならない。

出資者が株式以外にその他の資産 other property 又は現金 money (other property と money を boot と呼ぶ)を受領した場合には、boot の市場価格を限度として、出資者は資産の売却益を認識しなければならない。
その他の資産 other property とは、譲渡した資産と
同一種類の資産 same class of property 以外の資産の意。
現物出資に際し会社が出資者の債務を引受けたとしても、出資者の資産の売却益の算定上、債務引受は boot とは看做されない。
但し、債務額が譲渡資産の税務簿価を上回っている場合には、当該超過部分は boot と看做される。

譲渡資産の税務簿価

Adjusted Basis

実現利益

Gain Realized

株式の市場価格
Boot (other property or money) の市場価格

 

資産の売却による実現利益
  = 株式の市場価格
  + Boot の市場価格
  − 譲渡資産の税務簿価

税務上認識される売却益、即ち
認識利益 Gain Recognized は、
  実現利益、又は
  Boot の市場価格
の孰れか少ない方の金額

出資者にとっては、
    株式の税務簿価 = 譲渡資産の税務簿価+認識利益−Boot の市場価格
となる。

現物出資に際し会社が出資者の債務を引受けた場合、出資者にとっての株式の税務簿価の算定上、債務引受は boot と看做される。

譲渡資産の税務簿価

Adjusted Basis

認識利益

Gain Recognized

Boot (other property or money)の市場価格

 

株式の税務簿価
認識利益 Gain Recognized は、
  実現利益、又は
  Boot の市場価格
の孰れか少ない方の金額
なので、
  実現利益≧Boot の市場価格
の場合、株式の税務簿価は譲渡資産の税務簿価をそのまま引継ぐことになる。

又、会社にとっては、
    資産の税務簿価 = 出資者の譲渡資産の税務簿価+出資者の認識利益
となる。

(2) 含み損のある資産を対象として現物出資を行うと、出資者はいかなる場合も売却損を認識することはできない。又、会社も交換による損失を認識することはできない。

 

【米国居住会社】

(1) 米国内国法人はその全世界所得並びにキャピタル・ゲインに対して連邦法人税を課される。

(2) 設立国主義を採用している。 
米国の孰れかの州(属領は含まれない)の法律に基づいて設立された会社は自動的に米国内国法人となる。
その他の会社は全て外国法人として扱われる。経営と支配の中心が何処にあるかは関係ない。この点では、日本と同様であるが、多くの英連邦系諸国が「支配管理主義」をとっているのからすると異端。

(3) Check-the-Box Rule 
1997年以降、州法上のパートナーシップも、内国法人(会社又はSコーポレーション)として課税されることを Form 8832 の上で自ら選択できるようになった。

(4) 外国法人は、米国で事業を行っている場合、支店或いは工場等の恒久的施設を通じて事業を行っているか否かに関わらず、米国での事業に「実質的に関連する所得 effectively connected income 」が米国法人税の対象となり、納税申告が必要となる。米国で事業を行っているか否かは、事実判断の問題となる。米国で事業を行っていても、米国での事業に実質的に関連しない所得は納税申告の必要はない(源泉税の対象とはなりえる)。

米国が締結している多くの租税条約では、「恒久的施設なければ課税なし」と云う原則を採用しているが、米国国内税法では、実質関連主義を採用している。このため、米国との租税条約に規定のない所得については、所謂「その他所得条項」(もしあれば)で孰れの国の国内法が適用されることになっているのかを検討しなければならない。又、「その他所得条項」が存在しない場合は、当然、米国国内税法が適用される。

(5) 属領法人 Possession Corporation には、看做外国税額控除の適用がある。
属領法人とは、内国法人の内、アメリカの属領(プエルト・リコ、ヴァージン諸島、グアム、サモア、ウェーキ、ミッドウェー)を源泉とする所得がその法人の所得の80%以上を占める法人のこと。

属領の法律に基づいて設立された会社は、そもそも内国法人ではないので、属領法人ではない。

属領源泉の所得に関しては、課税の有無に拘らず、連邦法人税率での課税があったものと看做して、属領税額控除が適用される(Sec.936)

 

【税率】

(1) 法人に適用される税率は、通常、1月1日から1231日までの暦年に対して定められている。会社の事業年度が暦年以外である場合、適用すべき税率を決定するに当り、利益は日割計算で各暦年に割当てられる。しかしながら、税率の改正法により、適用すべき税率の算定に特別な方法が規定されることもある。

(2) 87/7/1以降、事業所得並びにその他の所得は、社内留保されようが配当されようが、下記の税率で連邦法人所得税の対象となる。

課税所得額 法人税率
US$50,000以下 15%
US$50,000 US$75,000以下 25%
US$75,000 US$100,000以下 34%
US$100,000 US$335,000以下 39%
US$335,000 34%

課税所得がUS$335,000を越える場合は、一律34%の税率で課税されることになる。

93/1/1以降は、上記に追加して、

US$10,000,000 US$15,000,000以下 35%
US$15,000,000 US$18,333,333以下 38%
US$18,333,333  35%

従って、課税所得がUS$18,333,333を越えると、全課税所得が一律35%の税率で課税されることになる。

(3) 人的役務提供会社(従業員株主の持株比率が10%以下のものは除く)は、課税所得額の多寡に関係なく、一律35%で課税される。

(4) キャピタル・ゲイン

長期の純キャピタル・ゲインは、かつては28%の軽減税率で課税されていた(通常税率の方が低くなる場合は、通常税率を適用)。

87/07/01以降開始される事業年度から、通常の法人税率で課税されることになったが、キャピタル・ロスの相殺並びに繰戻し/繰越しに当って、軽減税率の適用された長期の純キャピタル・ゲインの税率の差額分の取戻しに関する税法上の枠組みは維持されている。即ち、

@ 課税対象利益を事業所得とキャピタル・ゲイン/ロスとに区分する。

キャピタル・ロスは事業所得と相殺できず、キャピタル・ゲインと相殺できるのみ。

A キャピタル・ゲインとロスは長期/短期同士でそれぞれネットし、長期の純キャピタル・ゲイン(又は、ロス)、短期の純キャピタル・ゲイン(又は、ロス)を計算する。

長期/短期ともに純キャピタル・ゲイン、或いは長期/短期ともに純キャピタル・ロスの場合は、そのまま長期と短期の区分で計上する。

そうでない場合は、長期/短期の純キャピタル・ゲイン/キャピタル・ロスとを相殺し、絶対値の大きい方の区分で純キャピタル・ゲイン(又は、ロス)を計上する。

従って、長期の純キャピタル・ゲインが計上されるのは、長短ともに純キャピタル・ゲイン、或いは、

長期の純キャピタル・ゲイン 短期の純キャピタル・ロス

となる場合のみ。

B 純キャピタル・ロスの繰戻しは3年、繰越しは5年可能。

C 純キャピタル・ロスの繰戻し/繰越しは、短期の純キャピタル・ロスとして行う。

例えば、当期の長期キャピタル・ロス$2,000を3年前に繰戻す場合、3年前の課税所得が下記の様な構成であったとすると、

事業所得 $8,000 35%
短期の純キャピタル・ゲイン $1,500 35%
長期の純キャピタル・ゲイン $1,000 28%

当期の長期キャピタル・ロスの$2,000は、短期キャピタル・ロスとして繰戻され、短期キャピタル・ゲインの$1,500、次に、長期キャピタル・ゲインの$500と相殺される。

 

【代替ミニマム税 Form 4626 Alternative Minimum Tax

会社は特定の費用を損金算入する方法を選択することが認められているが、このことにより当期の税金の支払いを節減し、税金の将来への繰延べが可能になっている。経済的に相当な所得のある納税者が、免税、所得控除並びに税額控除を利用することにより、租税債務の大部分を回避することがないように、代替ミニマム税が課される。

1986年のレーガン税制改革で導入されたもので、元々はカナダの個人所得税法から採用したもの。

代替ミニマム税とは、繰越損失控除前の課税所得に下記の修正を施したものに20%を乗じた上、AMT上の外国税額控除を差引いたものが、通常の法人税額から通常の法人税上の外国税額控除属領税額控除とを差引いたものを上回る部分の金額を云う。

 

 

繰越損失控除前の課税所得 Regular taxable income before NOL deduction

)

税優遇項目 Tax preference items

±)

修正項目 Adjustments

=

Pre-ACE AMTI

±)

ACE Adjustment = 75% × ( ACEPre-ACE AMTI )  

)

代替ミニマム税の繰越損失控除額 AMT NOL deduction
AMT NOL 控除前の AMTIの90%を上限)

=

代替ミニマム税課税所得 AMTI

)

基礎控除額 Exemption $40,000(AMTI$150,000) × 25%

=

代替ミニマム税課税基礎額 Alternative minimum tax base

×)

20%

=

外国税額控除前暫定ミニマム税額 Tentative AMT before foreign tax credit

)

外国税額控除 AMT foreign tax credit
Tentative AMT before foreign tax credit の90%を上限)

=

暫定ミニマム税額Tentative minimum tax

)

外国税額控除・属領税額控除の通常法人税額
Regular tax liability before all credits except the foreign tax credit and possessions tax credit

=

代替ミニマム税額 Alternative minimum tax

 

税優遇項目 Tax preference items (常に加算)

(1) 地方債 Municipal bonds のうち Private activity bonds の非課税受取利息(関連支払利息を控除後)

(2) 1986年以前に使用開始した不動産並びにリース動産の加速減価償却額が、定額法による償却額を超過する部分

(3) Percentage depletion method を使用した減耗償却費のうち、税務上の簿価 Adjusted Basis を超えて損金算入した部分

(4) 無形資産である資源探掘費用 Intangible Drilling Costs が資源探掘事業の利益の特定割合を超過する部分

 

修正項目 Adjustments (加算又は減算)

(1) 1987年以後1998年までに使用開始した不動産の減価償却費を、40年の定額法で計算し直した場合の差額

(2) 1987年以後に使用開始した動産の減価償却費を、150%定率法で計算し直した場合の差額

(3) 棚卸資産の販売に割賦基準 Installment Method を適用しているのであれば、出荷基準に修正した場合の差額

(4) 工事完成基準 Completed contract method を適用しているのであれば、工事進行基準 Percentage of completion method に修正した場合の差額

 

調整後当期所得に基づく修正 Adjusted Current Earnings Adjustment (加算又は減算)

ACE Adjustment は、1990年以降開始に事業年度から適用されている。会社にのみ適用されるが、Sコーポレイションには適用されない。
ACE Adjustment とは、(ACE − Pre-ACE AMTI )×75% であるが、ACE とは、Pre-ACE AMTI に下記の (1)〜(3) の修正を加えたものであるので、(1)〜(3) の75% と云うことになる。

(1) 加算項目

地方債 Municipal bonds の非課税利息 Tax-exempt income(関連経費控除後)

非課税の生命保険死亡給付金 Tax-exempt life insurance death benefits(関連支払保険料控除後)

70%受取配当金控除 70% dividends-received deduction

(2) 減算項目

減耗資産の減耗償却 depletion に Percentage depletion method を適用しているのであれば、Cost depletion method に修正

償却資産の減価償却費 Depreciation ADSの定額法を使用した場合の減価償却費に修正 (1994年以後使用開始のものは除外)

(3) その他の項目

配送網確立費用 Circulation Expenditures を資産計上

創業費 Organizational Expenditures を資産計上

LIFO Reserve (FIFOLIFOの在庫金額の差額)の期首期末の増減額を戻す (LIFO Recapture)

棚卸資産以外の資産売却に割賦基準 Installment Method を適用しているのであれば、出荷基準に修正

無形資産である資源探掘費用 Intangible Drilling Costs を資産計上し、60ヶ月で償却

ACE Adjustment は、プラスにもマイナスにもなりえるが、マイナスとなる場合は、過年度の累積 ACE Adjustment の純プラス額を上限とする。
ACE の計算はE&Pの計算をベースにしているが、E&Pと同一と云う訳ではない。
例えば、慈善寄附金で損金算入出来ない部分、連邦法人税、純キャピタル・ロス、罰科金は、E&Pの計算では減算されるが、ACEの計算では減算されない。

基礎控除額 Exemption は、マイナス額にはならないので、AMTI $310,000 を超えるとゼロ。

代替ミニマム税で唯一認められている税額控除は外国税額控除だが、通常の法人税上の外国税額控除とは別に計算するので注意。

                                                             代替ミニマム税上の国外源泉所得
        控除限度額 = 代替ミニマム税債務 ×     ────────                   
                                                                     代替ミニマム税上の全

(此処で云う代替ミニマム税債務とは、代替ミニマム税上の全世界所得に対して計算された通常の代替ミニマム税額)
この控除限度額を超える部分は損金となるのみ。

又、代替ミニマム税の外国税額控除には、外国税額控除前暫定ミニマム税額 Tentative AMT before foreign tax credit の90%を上限とするが、この制限のために控除できない部分については、2年の繰戻しと5年の繰越しが可能。

特定の税優遇項目は単に税金の支払を遅らせるだけであるということを認めた上で、1986年税制改革法は、ミニマム税税額控除を導入し、納税者がミニマム税債務を負った年度の翌年度以降、納税者の通常法人税(もしあれば)から税額控除することが出来るようにしている。
代替ミニマム税税額控除は、無期限に繰越すことが出来るが、繰戻しは出来ない。
代替ミニマム税税額控除は、将来の通常法人税債務を減額するのに利用できるが、将来の代替ミニマム税債務を減額するのには利用できない。

 

【環境税 Environmental Tax】

1987/01/01から1995/12/31の間に開始した事業年度に適用。時限立法で、現在は存在しない。

(1) 会社は、修正AMTI$2Mを超過する部分に対して0.12%の税率で課される。 

(2) 修正AMTIとは、AMTI から

@ Alternative tax NOL

A Alternative tax energy preference deduction

B Environmental tax deduction

を控除したもの。

(3) 会社が代替ミニマム税を支払うことになるか否かに関わらず、又、有害物質を排出しているか否かに関わらず、環境税上の課税所得があれば、環境税の対象となる。

(4) 環境税は、通常の法人税上、損金算入出来る。

 

【留保利益課税】

(1) 非公開持株会社留保所得税 Personal Holding Company Tax
非公開持株会社(同族会社)とは、課税年度の下半期の如何なる時点に於いても、
   
@ 発行済株式の価格の50%超が5人以下の個人により直接又は間接に所有されており、且つ、
   
A その調整後粗所得 Adjusted ordinary gross income の60%以上が配当金、利息、家賃又はロイヤルティと云った非積極的所得 Passive income から構成されているもの。
会社の所得に対する通常の法人税に加えて、非公開持株会社の所得で留保されている部分に対し
39.6%(個人所得税の最高税率)の税が課される。
非公開持株会社の課税標準を計算するに当り、純長期キャピタルゲインは課税所得から除外される。この税は、会社が適切な配当金を支払うことにより回避可能。
Form 1120 (Schedule PH) により申告納付する。

 

課税所得 Taxable income

)

受取配当控除 Dividends-received deduction

)

繰越事業損失 NOL deduction 
(但し、前年度の事業損失を除く。前年度の受取配当控除は含めてよい)

)

連邦法人税 Federal income taxes

)

外国所得税 Foreign income taxes

)

限度超過慈善寄付金 Excess charitable contributions

)

純キャピタル・ロス Net capital loss

)

純長期キャピタル・ゲインが純短期キャピタル・ロスを超過する部分(法人税控除後)Net long-term capital gain over net short-term capital loss (net of tax)

=

修正後課税所得 Adjusted taxable income

)

支払配当控除 Dividends-paid deduction

)

同意配当 Consent dividends

)

繰越配当金 Dividend carryover

=

非公開持株会社留保所得 Undistributed Personal Holding Company Income

×) 39.6%
= 非公開持株会社留保所得税 Personal Holding Company Tax

純キャピタル・ロスを控除するのは、純キャピタル・ロスは課税所得から控除できないが、担税力がないことを考慮したもの。
又、純長期キャピタル・ゲイン
が純短期キャピタル・ロスを超過する部分(法人税控除後)を控除するのは、純長期キャピタル・ゲインに対する優遇措置。
支払配当控除 Dividends-paid deduction には、期末日の翌日から納税申告書提出期限日(3ヶ月目の15日)までに支払われた配当金も含まれる。
同意配当 Consent dividends とは、課税年度の末日に配当金が支払われ、株主が直ちに同額を会社に出資したものと看做すもの。株主は配当金を所得に加算すると共に会社に対する持分の取得価額を同額増加させる。

(2) 留保利益税 Accumulated Earnings Tax
留保利益税は、留保課税所得に課される追加のペナルティ課税。非公開持株会社留保所得税とは異なり、申告納付するものではない(つまり、特別な納税申告書は用意されていない)。
留保課税所得とは、課税所得に、受取配当控除、繰越事業損失を加算し、連邦法人税、外国所得税、限度超過慈善寄付金、純キャピタル
ロス、純長期キャピタル・ゲイン(法人税控除後)を減算した上、支払配当控除 Dividends-paid deduction、同意配当額 Consent dividends、留保利益控除 Accumulated earnings credit を差引いたもの。
留保利益控除とは、
   
@ $250,000(人的役務提供会社の場合は、$150,000)、又は
    A 事業上必要となる合理的な金額 Reasonable needs of the business
の孰れか大きい方の金額。
留保課税所得には
39.6%の税率(個人所得税の最高税率)が適用される。留保利益税は、繰越利益を配当として分配せずに、事業上必要とされる合理的な範囲を超えて利益を蓄積し、(そうでなければ、株主に課されるであろう)米国所得税を回避するのに利用される会社に課される。この税は、会社が適切な配当金を支払うことにより回避可能。

留保利益税は、非公開持株会社には適用されない。

米国租税条約の特定のもの(例えば、日米租税条約)には、租税条約の相手国の居住者が株式を所有する米国会社に留保利益課税を行うのに制限を設けているものがある。

 

課税所得 Taxable income

)

受取配当控除 Dividends-received deduction

)

繰越事業損失 NOL deduction

)

連邦法人税 Federal income taxes

)

外国所得税 Foreign income taxes

)

限度超過慈善寄付金 Excess charitable contributions

)

純キャピタル・ロス Net capital loss

)

純長期キャピタル・ゲインが純短期キャピタル・ロスを超過する部分(法人税控除後)Net long-term capital gain over net short-term capital loss (net of tax)

=

修正後課税所得 Adjusted taxable income

)

支払配当控除 Dividends-paid deduction

)

同意配当 Consent dividends

)

留保利益控除 Accumulated earnings credit

=

留保課税所得 Accumulated taxable income

×) 39.6%
= 留保利益税 Accumulated Earnings Tax

内国歳入法には、事業上必要となる合理的な金額 Reasonable needs of the business の定義は含まれていない(内国歳入法規則 §1.537-2 には、合理的な理由に該当するものと該当しないものの例示がある)が、事業上必要となる合理的な金額であることの証明責任 Burden of Proof は納税者の側にある。
判例では、納税者が内国歳入庁から Notice of Deficiency (90-day Letter) を受領してから60日以内に書面により「事業上必要となる合理的な金額」の算定根拠を回答すれば、証明責任は内国歳入庁に移ることになっている。

 

【連邦法人税の全体構造 Form 1120 U.S. Corporation Income Tax Return

 

総益金Gross Income

)

損金Deductions

=

繰越損失及び特別控除前課税所得 Taxable income before NOL & special deduction

)

繰越損失控除 Net Operating Loss Deduction

)

特別控除 Special Deductions

=

課税所得 Taxable Income

×)

税率

=

税額控除前法人税額 Income Tax

) 代替ミニマム税額 Alternative minimum tax
) 外国税額控除 Foreign Tax Credits
) 属領税額控除 Possessions Tax Credits

)

その他の税額控除 Tax Credits

)

代替ミニマム税額控除 Credit for Prior Year Minimum Tax

=

差引

)

非公開持株会社留保所得税 Personal Holding Company Tax

)

投資税額控除対象資産の早期処分による取戻し税等 Recapture Taxes

=

法人税額合計 Total Tax

)

見積納付額 Estimated Tax Payments

=

要納付税額 Tax Due

 

【資本金課税】

連邦レベルでは資本金課税はないが、いくつかの州では資本金課税が行われている。

 

【地方法人税 State Corporate Income Tax

殆どの州、ワシントン特別区並びに特定の地方自治体(例えば、ニューヨーク市)はその行政管轄域内で事業を営む居住者並びに非居住者に法人所得税を課している。地方法人税は、連邦法人税上、発生主義で損金となるので、実効税率は連邦税率+地方税率と云う見掛けの税率よりも低くなる。

州の税法へのアクセスには The State Tax Research Page が便利。

課税対象額の各州への配分

(1) グループの全体所得のうち、事業所得は

                有形資産要素

                売上高要素

                給与要素

の3要素の平均値で当該州に配分。各要素に何が含まれるかは州によって異なる。

売上高要素の比重を他の要素の2倍にしている州も多い State Apportionment of Corporate Income

(2) 非事業所得

                不動産からの所得                当該不動産所在州

                動産からの所得                    当該動産所在州、又は当該法人の主たる事業所所在州

                無形資産からの所得            当該無形資産使用州、又は当該法人の主たる事業所所在州

                利子・配当所得                   当該法人の主たる事業所所在州

「事業所得」と「非事業所得」の区分は、所得の種類ではなく、事業活動から直接又は付随的に発生したか否かという発生原因により区分されることに注意。

一般的に事業活動から生じた所得の全てが事業所得であり、金融事業を営んでいるのであれば金融事業よりの投資収益、又、子会社からの配当金も含まれる。

但し、ニューヨーク州・市は上記とは相違するので注意。

 

【ユニタリー・タックス】

アラスカ州、カリフォルニア州、アイダホ州、イリノイ州、モンタナ州、ノース・ダコタ州並びにユタ州を含む約18の州が会社の課税所得をユニタリー方式で決定している。会社の関連グループの全世界所得を、その州に於ける売上高、給与、資産の全世界ベースの売上高、給与並びに資産に対する比率に基づいて、その州に割当てる。カリフォルニア州では、多国籍企業は、全世界所得ベースでの課税或いは水際方式(米国内の所得に限る)での課税の孰れかを選択することが可能。

水際方式を選択した会社は5年間は変更出来ず、又、カリフォルニア州に於ける資産、給与並びに売上高の0.03%を手数料として支払わなければならない。

米国最高裁判所はこの制度の合憲性を支持したが、多国籍企業並びに諸外国政府による攻撃の協奏曲に曝されている。

 

ユニタリー方式とは、同一企業グループに属する複数の法人が「ユニタリー事業」を営んでいる場合、そのグループを1単位 Unitary として州法人税を課税する制度。

 

連結納税との相違点

(1) 米国法人を共通の親会社とする企業グループのみが連結納税可能であるが、ユニタリー課税は、親会社が外国法人であっても対象となりえる。

(2) 連結納税は、直接間接に80%以上の持分関係がなければ行えないが、カリフォルニア州のユニタリー課税制度では、50%超の持分関係があれば企業グループに属することになる。

(3) 連結納税はユニタリー事業でなくとも連結納税しなければならない(生命保険会社、非課税法人、外国法人は原則として除外する)が、ユニタリー課税では、「ユニタリー事業」を営む場合のみが対象となる。

 

ユニタリー事業の定義

1社がメーカーで他社がその製品の販売会社である等の場合だけでなく、カリフォルニア州の場合には経営管理の統一性、名称の類似性等も問題となる。同州の場合、実際的には50%超の持分関係があればユニタリー課税の対象となる。

 

ユニタリー課税制度の種類

(1) ワールド・ワイド・ユニタリー課税制度

法人格の国籍、所得の源泉地を問わずその企業グループ全体の所得を課税対象とするもの。

ノース・ダコタ、アラスカ(4/29/91州議会が水際方式から変更を可決)が採用。

(2) 水際方式(Waters' edge method

ユニタリー・グループ企業各社の米国国内での活動による所得のみを課税対象とする制度。

ハワイ、コロラド、フロリダ、アイダホ、ニューハンプシャー、オレゴンの6州が採用。

(3) 選択方式

納税者が上記の孰れかの方法を選択する制度。

カリフォルニア、インディアナ、ユタ、モンタナの4州が採用。

但し、カリフォルニア州の場合、水際方式を選択した場合は、通常のカリフォルニア州税額(税率9.3%)に加えて選択料(原則として、カリフォルニア州内の有形資産、売上高、給与の合計額の0.03%)を支払う必要がある。

又、当該企業グループに属する外国法人が米国支店を有している場合には、米国支店所得も配分の対象となる。

但し、外国法人が米国支店しか有せずしかもカリフォルニア州税の課税対象となる場合は、水際方式は選択できず、当該外国法人全体の所得が配分対象となる。

 

【納付期日】

(1)    見積納付 Estimated Tax

会社は、年間の連邦法人税額(税額控除後。但し、代替ミニマム税は含める)が$500以上になると予想される場合、四半期毎に見積り納付を行わねばならない。暦年決算の会社の場合、4/15、6/15、9/15、12/15が四半期毎の期日。
原則として、毎回25%ずつを納付する。
見積納付額が$200,000を超える場合には、銀行振込で支払わなければならない。

見積納付額が実際の法人税額を下回った場合には延滞利息が課される。この延滞利息を回避するためには、四半期毎に
   
@ 当年度の連邦法人税の実際額の25%、又は
   
A 前年度の連邦法人税の実際額の25%
孰れか少ない方の金額を納付しておかなければならない。前年度の連邦法人税額がゼロの場合、或いは前年度が1年未満であった場合には、Aは使えない。
又、大会社 Large Corporation(前期末迄の過去3年間に、課税所得が$1Mを越える年度があったもの)についても、第1回の見積納付を除き、
Aは使えない。

9412月にガット実施法が施行されたが、これにより第936(h)条並びにサブパートF(第951(a)条)に関わる見積納付の規則が新規に定められた。
94/12/31以降に開始される税務年度からは、サブパートFによる看做所得並びに第936(h)条の無形資産からの年間所得も計算に入れた上で、見積税の納付を行わねばならない。

(2)    申告期限

会社は課税所得があろうがなかろうが、納税申告書を提出する義務がある。

会社は、決算日から3ヶ月目の15日(暦年決算の会社の場合は、3/15)迄に、納税申告書 Form 1120 を提出し、法人税の残りの全額を納付せねばならない。消印有効。

Form 1120 の提出に関しては、Form 7004 を提出すれば、自動的に6ヶ月間の延長が可能。この場合でも、支払期日は延長出来ない。

法人税の納付が遅くなった場合、延滞利息が課される。この利率は暦年中四半期毎に改定が行われるが、特定の米国国債の市中利回りに連動している。

(3) 人的役務提供会社  Personal Service Corporation

役務提供会社(従業員株主の持株比率が10%以下のものは除く)、Sコーポレイション及びパートナーシップに付いては、課税年度の選択に関して特別な規則がある。

人的役務提供会社とは、その主たる事業活動が人的役務の提供であり、実質的には従業員株主 employee-owners が役務の提供を行うもの。

役務提供会社とSコーポレーションは、原則として課税年度として暦年を採用しなければならない。暦年が法定課税年度 required tax year となる。

又、パートナーシップはそのパートナーの課税年度と同一の課税年度を採用しなければならない。
各パートナーの課税年度が異なる場合には、下記の順番で
required tax year を決定する。
(1) まず、課税年度別にパートナーのグループを作り、その中に持分の過半数を所有するグループがあればその課税年度を採用する。

(2) その様なグループが存在していない場合には、主要パートナー(持分の5%以上を所有するパートナー)を抽出し、それらの課税年度が全て同一であれば、当該課税年度を採用する。

(3) 全てが同一でなければ、暦年を課税年度としなければならない。

上記に拘らず、役務提供会社、Sコーポレイション及びパートナーシップは、事業目的上合理的な理由 Business Purpose があれば、会計上の事業年度をそのまま課税年度として採用することが出来る。
事業年度最後の2ヶ月間の収益が事業年度全体の25%を超える場合には、合理的な理由があるものと看做される。
合理的な理由があって、required tax year を採用しなかった場合には、後述の Sec 280H 或いは Sec.7519 のペナルティは適用されない。

役務提供会社、Sコーポレイション及びパートナーシップは、課税年度として事業年度を採用しても、required tax year を採用した場合と比較して、課税の繰延期間が3ヶ月を超えない場合(役務提供会社又はSコーポレイションであれば、事業年度が9月30日から1231日までの間に終了する場合)、その事業年度を課税年度として選択することが可能(Section 444 Election)。

但し、この Section 444 Election を行った場合、役務提供会社には、Sec.280H が適用され、使用人を兼ねる株主に対する配当支払は、年間を通じて月割で為すか、或いは、当該支払金額の一部の損金算入を、翌課税年度に繰延べねばならない。
又、Sコーポレイションとパートナーシップには、Sec.7519 が適用され、規定通りに法定課税年度を採用していたならば支払われたであろう税金を見積る公式により計算された追加税を支払わねばならない。

  Personal Service Corporation S Corporation Partnership
Required Tax Year 暦年 暦年 @ 過半数パートナーの課税年度
A 主要パートナーの課税年度
B 暦年
Business Purpose
Section 444 Election
   Penalty
   Form
Sec.280H 配当支払の義務/損金算入に制約 Sec.7519 追加税 Sec.7519 追加税
Form 1120 Schedule H Form 8752 Form 8752

 

【事業所得の計算】

課税所得は、会社の帳簿記録を付ける際に通常適用される会計基準に基づいて計算せねばならない。孰れの場合も、当該会計基準は所得を正しく反映するものでなければならない。特定の損金については、下記の修正を施すことが義務付けられている。

(1) 慈善寄付金及びその他寄付金の繰越額は課税所得に下記の修正を加えた金額(調整後課税所得)10%を限度として損金算入できる。超過分は5年の繰越しが認められている。損金算入の順序は、当期の寄付金が過年度からの繰越しに優先。

                課税所得

                +)慈善寄付金損金算入額(CC)

                +)受取配当金の益金不算入額(RDR)

                +)事業欠損金額(NOL)      

                = 調整後課税所得

§1.1502-24 には、連結納税の場合には、連結ベースの調整後課税所得の5%を限度として損金算入できるのみと規定されているが、これは財務省の事務的なミスにより生じた間違いで、連結納税の場合も10%が限度となるとのこと。

 

(2) 旅費並びに接待交際費は、常識的範囲内の且つ必要なものであり、所得を稼得するために負担され、適切な証拠が保存されている場合に限り、その80%が損金に算入できる。

94/1/1以降開始する課税年度からは、この控除限度割合が50%に引下げられ、又、従業員が家族を出張に同伴する場合の同伴旅費も損金に算入できなくなった。

クラブ会費は94/1/1以降支払った又は発生したものは、損金算入できなくなった。

 

(3) 有形資産或いは無形資産に関わる資本的支出で、耐用年数が決定できるものは、修正加速原価回収法MACRSで償却する。少額資産の損金算入の規定はない。

 

(4) 納税者が新規の事業の調査で支払った或いは負担した費用は、その後事業化される場合、60ヶ月以上の期間で償却せねばならない。

 

(5) 為替差損益は、取引が完了するまで、課税所得計算から除外される。

 

(6) 発生主義の会計基準に従い、損金に計上できるのは、他の年度に期間配分することが適切でない場合、債務が発生した年度である。

1984年施行の税法では、

@ 無利息或いは低利の割賦販売の利息計算を市場金利で行うこと

A 支払繰延べ或いはステップ方式の賃借料の受取り/支払を期間平均

B 現金主義の納税者であっても、前払費用は発生主義で費用化すること

C 低利のローンに対する帰属利子の計算

D 海外の関係者を含めた関係会社に対する現金主義による経費の計上

が義務付けられている。

会社は、原則として発生主義を適用することが義務付けられているが、下記に付いては例外が認められている。つまり、現金主義でよいと云うこと。

@ 農業会社

A 人的役務提供会社(従業員株主の持株比率が10%以下のものは除く)

B 前期までの過去3年間の平均総収入が$5,000,000以下で、在庫を持たない会社

C Sコーポレーション

 

(7) インフレ指数を考慮した在庫金額の修正は認められていないが、陳腐化、販売可能性、棚卸品の状態を考慮して在庫金額の修正を行わねばならない。

 

(8) 賃借料、利息、ロイヤルティの様な所得項目は、納税者が発生主義を採用している場合、所得が何時受領されたかには関わりなく、稼得された年度の所得に含める。もし納税者が現金主義を採用している場合、受領した年度にのみ所得に含める。

費用としての賃借料、利息、ロイヤルティは、(6)(7)のルールに従い、所得としてのそれらに適用されるルールに準じて損金に計上される。

 

(9) 受取配当金控除 Dividend Received Deduction (Form 1120 では、Special Deductions と表示されている)

他の課税対象米国法人から受取った配当金は、その会社に対する持分比率により、益金不算入となる割合が異なる。
持分保有が
80%以上の会社からの受取配当金は、連結納税しているいないには関係なく、その全額が益金不算入。
小規模事業投資会社 Small Business Investment Company が受取る配当金も、その全額が益金不算入。

借入金によりポートフォリオベースの株式を所有している場合、株式取得資金における借入金に対する依存率に比例して、受取配当金の益金不算入に制限が加えられる。吾国の控除負債利子の規定とは異なり、支払利子を株式に割振ることは要求されていない。株式を購入する目的で借入れを行ったことが明白な場合にのみ適用される。
この制限は、
持分保有が80%以上の子会社からの受取配当金には適用されない。
又、小規模事業投資会社
が受取る配当金にも適用がない。

原則 借入金により株式を取得している場合
@ 持分保有20%未満の会社からの受取配当金  70%  70% ×(1−借入金/株式取得価額)
A 持分保有が20%以上80%未満の会社からの受取配当金  80%  80% ×(1−借入金/株式取得価額)
B 持分保有が80%以上の会社からの受取配当金 100% 100%
C 小規模事業投資会社が受取る配当金 100% 100%

更に、@に付いては課税所得の70%、Aに付いては課税所得の80%を越えることはできないと云う制限がある。
この場合、Aを優先して課税所得を割当てる。
但し、
@Aの受取配当金控除を全額 Full DRD(即ち、受取配当金の70%又は80%)請求すると事業損失が生じると云う場合には、課税所得の70%又は80%を越えることはできないと云う制限は適用されなくなる(下記のケース3)。

持分保有が20%以上80%未満の会社からの受取配当金が$2,500、持分保有20%未満の会社からの受取配当金が$500と云う想定で、受取配当金以外の所得が、ケース1:マイナス$450、ケース2:マイナス$650、ケース3:マイナス$850 の各ケースの受取配当控除を計算すると、下記のようになる。

ケース1   控除率 Full DRD 上限金額
配当金以外の所得 -450      
持分保有が20%以上80%未満の会社からの受取配当金 2,500 80% 2,000 2,500×80%=
2,000
持分保有20%未満の会社からの受取配当金 500 70% 350 (2,550-2,500)×70%=
35
合計 2,550 2,350 2,035

 

ケース2   控除率 Full DRD 上限金額
配当金以外の所得 -650      
持分保有が20%以上80%未満の会社からの受取配当金 2,500 80% 2,000 2,350×80%=
1,880
持分保有20%未満の会社からの受取配当金 500 70% 350 0
合計 2,350 2,350 1,880

 

ケース3   控除率 Full DRD 上限金額
配当金以外の所得 -850      
持分保有が20%以上80%未満の会社からの受取配当金 2,500 80% 2,000 2,000
持分保有20%未満の会社からの受取配当金 500 70% 350 350
合計 2,150 2,350 2,350

                     

又、所有期間が45日以下の普通株式に関しては、受取配当金控除は適用されない。

 

(10) 研究開発費 Research and Experimental Expenditures の内、資本的支出のものについては、有形固定資産であれば減価償却、減耗償却資産であれば減耗償却の規定に従い償却を行う。

それ以外の性格のものは、支出又は発生の年度に全額を一括して損金算入することが可能。
又、一括損金算入に代え、繰延資産 Deferred Expenses に計上した上、60ヶ月で償却することも可能。

 

(11) 高額の役員報酬の一部は損金不算入。

上場会社の高額報酬役員の上位5人に付いては、一人当り年間$1,000,000を越える部分に付いては、94/1/1以降開始する課税年度から、損金算入できないことになった。但し、下記については、上記の制限を受けない。

業績に直接連動したコミッション

特定のストックオプション並びにストック・アプリシエイション・ライト

1993/2/17現在有効な書面での契約に基づくフリンジベネフィット及び報酬

 

(12) 適格退職年金の対象とされる従業員の給与の年間報酬限度額は、1994/1/1以降発生するものが$200,000から$150,000に引下げられた。

 

(13) 割賦販売業者(売上の50%以上が割賦)による割賦販売は、割賦基準(回収基準)ではなく、出荷基準或いは検収基準で利益を認識せねばならない。

割賦基準が適用できるのは、割賦販売業者以外の者が、棚卸資産以外を割賦販売するという極めて限定された場合のみ。

例えば、割賦販売業者以外の者が、事業用の固定資産或は動産を割賦販売するというような場合、或いは、レンタル業者がレンタル資産を割賦販売するような場合に、割賦基準が適用できる。

 

(14) 工事完成基準が適用できるのは

@ 居住用住宅建築契約

A 過去3年間の年間平均総収入が$10M以下の納税者による工期が2年以下と見込まれる不動産の長期請負工事

に限定される。つまり、少額の建設契約にしか工事完成基準は適用できない。

 

(15) ロビー活動費用は、1994/4/1以降に支払った又は発生したものは損金算入出来ないことになった。

 

(16) 従業員に対する教育費は、

@ 従業員が現在従事する業務遂行上の能力の維持・向上

A 雇用主の要求、法律上の必要性等による当該従業員の雇用・身分・給与の維持

を目的とするものは、損金算入できる。

但し、

@ 一般的知識、現職業のために必要とされる最低の知識・技術のためのもの

A 現職業以外の職業に役立つためのもの

は損金算入できない。これらは、従業員個人が負担した場合でも、個人の所得税納税申告書で所得から控除することは出来ない。

 

(17) 従業員の転勤引越費用を会社が負担した場合、原則として損金に算入できる。

但し、引越し費用の内、旅費・運送費を除く全ての食費、新任地到着後の仮住居費、旧住居の売却費用又は期限未到来の賃貸契約解除費、新住居の購入又は賃貸にかかった費用等の付随費用は、1994/1/1以降発生するものから損金に算入できなくなった。これらは、従業員個人が負担した場合でも、個人の所得税納税申告書で所得から控除することは出来ない。

 

【有価証券】

株式並びに社債の売却/交換には、Like-kind exchange の規定は適用されない。売却益の課税の繰延べはできない。
但し、上場株式の売却により利益が生じた場合には、取引日から60日以内に特別小規模事業投資会社 Specialized Small Business Investment Company の普通株式又はパートナーシップ持分を購入した場合に限り、課税の繰延べが可能。課税の繰延べは、年間$250,000、累積で$1,000,000を上限とする。

受渡日ではなく、取引日を基準として、売却益/売却損が計上される。

売却益/売却損は保有期間に応じて、短期又は長期のキャピタル・ゲイン/ロスとして扱われる。

同一の会社が発行した株式で、同種のものの交換(普通株式と普通株式、或いは優先株式と優先株式)であれば、非課税で交換可能。

Wash sales の規定があり、有価証券を取得価額以下の価格で売却した場合でも、売却の前後30日以内に、同一の会社が発行する他の有価証券で、実質的に同一のものの購入を行っているときは、売却損の計上は認められない。
この売却損は、代わりに購入した有価証券の取得価額から売却損を控除したものを税務上の簿価とすることで、繰延べられることになる。

転換株式或いは転換社債の転換権を行使しても、通常は課税されない。

有価証券の期末の評価方法は、先入先出法に基づく原価法。低価法は適用できない。全く無価値になるまでは、評価損を計上することはできない。全く無価値になった場合の評価損は、キャピタル・ロスとして扱われる。

 

有形固定資産の減価償却 Depreciation: Cost recovery】

有形固定資産は、事業の用に供された年度 placed in service により原価回収の方法 Cost Recovery Method が異なっている。

事業の用に供された年度 Recovery Method
(1) 1987/01/01〜 MACRS
(2) 1980/01/01〜1986/12/31 ACRS
(3) 1971/01/01〜1979/12/31 ADR 又は GDS
(4) 〜1970/12/31 CLS 又は GDS

有形固定資産の減価償却は、動産(Personal Property ≒ Section 1245 Property)又は不動産(Real Property ≒ Section 1250 Property) の区別、及びその法定耐用年数 Class Life により、
    償却年数 Recovery Period
    減価償却の方法 Depreciation Method
    初年度又は処分年度の取扱い Convention
が決まってくる。

(1) 1987/1/1以降に事業の用に供されたものにはMACRS (Modified Accelerated Cost Recovery System) が適用される。

1986/01/01 における Class Life に基づき、償却年数 Recovery Period、減価償却の方法 Depreciation Method初年度及び処分年度の取扱い Convention が決定される。 

MACRSにおいては、法定耐用年数 Class Life と 償却年数 Recovery Period とが一致しない。

減価償却の方法は、原則として、定率法 DB: Declining Balance Method と定額法 S/L: Straight Line Method のみ。

Convention とは、動産・不動産の取得の初年度及び処分の年度における特別な取扱い。
動産の取得/除却の年度に適用される特別なルール

    Half-year convention(以下、HY)

動産の取得又は除却の年度には、取得又は除却がどの月度に行われたかに関わりなく、納税者は、年間の減価償却費の半分相当額を所得控除できる。

    Mid-quarter convention(以下、MQ)

しかしながら、当年度に使用開始された動産のうち、取得価格総額で40%超のものが、当年度の最後の四半期に使用開始されている場合、上記の Half-year convention は適用されない。

この場合には、当年度に使用開始された或いは除却された動産の全てについて、使用開始或いは除却が行われた四半期の真ん中に使用開始或いは除却が行われたものとして償却が行われる。

不動産の取得/除却の年度にのみ適用される特別なルール

    Mid-month convention(以下、MM)

不動産の取得又は除却の年度には、取得又は除却が行われた月の月央に取得又は除却が行われたものと看做して、減価償却額を計算する。

 

MACRS には、
    @ 本則 Regular
    A 代替償却方法
ADS (Alternative Depreciation System)
    B 150%DB(動産にのみ適用)
とがある。孰れも残存価額はゼロ。

動産は資産の種類毎、事業年度毎に@ABの選択が可能。
不動産は、
不動産は個別の資産毎、事業年度毎に@Aの選択が可能。

@ 本則 Regular では、動産 Personal Property には定率法、不動産 Real Property には定額法が適用される。

(a) 動産は定率法で償却する(Recovery Period と Convention はそのままで、定額法で償却することも選択可能)。

動産のうち Recovery Period 10年以下のものは、当初は200%定率法で、途中から定額法に切替える。

  Recovery Period Method Convention Class Life
3-year Property 3年 200%DB HY, MQ 4年以下
5-year Property 5年 200%DB HY, MQ 4年超10年未満
7-year Property 7年 200%DB HY, MQ 10年以上16年未満
10-year Property 10年 200%DB HY, MQ 16年以上20年未満

        Class Life が規定されていないもので、他の区分に属さないものは全て 7-year Property となる。

動産のうち Recovery Period 15年及び20年のものは、当初150%定率法で、途中から定額法に切替える。

  Recovery Period Method Convention Class Life
15-year Property 15年 150%DB HY, MQ 20年以上25年未満
20-year Property 20年 150%DB HY, MQ 25年超

 

設例: 10-year Property の200%定率法(第7年度から定率法へ切替え)

期首簿価 償却費 備考
第1年度 100.00 10.00 初年度は、HYが適用されるので、償却費=期首簿価×20%×1/2=10
第2年度 90.00 18.00 第2年度は、償却費=期首簿価×20%=18
第3年度 72.00 14.40
第4年度 57.60 11.52
第5年度 46.08 9.22
第6年度 36.86 7.37
第7年度 29.49 6.55 第7年度の期首に於いて5.5年経過。

期首簿価の 29.94 を残りの耐用年数の 4.5 で定額法償却すると、償却費は6.55。これは、200%定率法で償却する場合の償却費 5.90 を上回るので、

以降、定額法に切替える。

第8年度 22.94 6.55
第9年度 16.39 6.56
第10年度 9.83 6.55
第11年度 3.28 3.28 最終年度に於いては、期首簿価を全て償却して、残存価額をゼロにする。

 

(b) 不動産は定額法で償却する。

  Recovery Period Method Convention Class Life
Residential Rental Property 27.5年 S/L MM 20年以上25年未満
Nonresidential Real Property 31.5年/39年 S/L MM 25年超

Nonresidential Real Property のうち1993/5/13以降に事業の用に供されたものは39年で定額法償却。
ホテル及びモーテルは、
Nonresidential Real Property に属する。

 

(c) 1996/06/13以降、Water Utility Property (25-year Property) が新たに設定された。

  Recovery Period Method Convention Class Life
Water Utility Property 25年 S/L HY, MQ 25年超

水道施設並びに自治体の汚水処理施設で、1996/06/13以降、20-year Property から分離して新たに敷設されたもの。
動産ではあるが定額法が強制される。Convention は HY/MQ。
25-year Property とも呼ばれる。

 

A 代替償却方法 ADS (Alternative Depreciation System)

動産・不動産ともに定額法で償却する。本則とは、Recovery Period も異なる。但し、 Convention は本則と同様。

  Recovery Period Method Convention
Class Life が規定されていない動産で、他の区分に属さないもの 12年 S/L HY, MQ
Water Utility Property 50年 S/L HY, MQ
その他の全ての動産 Class Life S/L HY, MQ
不動産 40年 S/L MM

(a) 納税者は、本則の償却方法に代えて、動産・不動産の償却方法として ADS を選択することが可能。 

(b) 下記の資産に付いては、ADS が強制される。

国外で使用されている資産
政府機関、非課税組織、外国
()人にリースされた資産
非課税債資金で調達された資産
貿易制限を加えていると大統領が認めた国より輸入された資産

(c) 下記の資産 (Listed Property) に付いては、もし事業目的の使用割合が50%未満の年度があると、その年度以降はADSが強制される。

乗用車
航空機、トラック、ボート等、その他の輸送用資産
主として接待、リクリエーション、娯楽の為に使用される資産
コンピューター又は端末機
乗用車用・携帯用電話機及び同様の通信機器
(1990/1/1以降使用開始のもの)
その他 Regulation で指定する資産

Earnings & Profits の計算には、この ADS が使用される。

B 150%DB(動産にのみ適用)

納税者は、動産の償却方法として、本則の償却方法並びにADSに代えて、150%DB を選択することが可能。
これは、本則の 15-year Property と20-year Property の150%DB を3、5、7、10-year Property にも適用するもの。
当初
150%定率法で、途中から定額法に切替える。

動産が事業の用に供された年度により、償却年数 Recovery Period が異なる。

事業の用に供された年度 償却年数 Recovery Period
1987〜1998 ADS Class Life
1999〜 MACRS の Recovery Period

MACRS と AMTI との減価償却の比較表 

  MACRS AMTI
  MACRS Recovery period Regular S/L 150%DB ADS=S/L S/L DB
        〜1998 1999〜   〜1998 1999〜 〜1998 1999〜
3-year property

5-year property

7-year property

10-year property

3 years

5 years

7 years

10 years

200%DB S/L 150%DB ADS
Recovery period
150%DB MACRS Recovery period ADS
Recovery period
ADS
Recovery period
MACRS Recovery period 150%DB ADS
Recovery period
150%DB MACRS Recovery period
15-year property

20-year property

15 years

20 years

150%DB S/L 150%DB ADS
Recovery period
150%DB MACRS Recovery period ADS
Recovery period
ADS
Recovery period
MACRS Recovery period 150%DB ADS
Recovery period
150%DB MACRS Recovery period
25-year property 25 years S/L   ADS
Recovery period
ADS
Recovery period
MACRS Recovery period  
Residential rental property

Non-residential real property

27.5 years

31.5/39 years

S/L ADS
Recovery period
ADS
Recovery period
MACRS Recovery period

 

(2) 1981/1/1以降1986/12/31迄に事業の用に供された固定資産には ACRS が適用される。

償却期間は原則としてADRに定められた耐用年数による。

@  国外で使用されている資産に付いては、ACRS は適用されない。

動産の場合、ADRによる耐用年数。200%定率法で、途中から定額法。

但し、定額法により下記期間で償却することも可能。

3年償却資産        ADR耐用年数、3年、5年、12

5年償却資産        ADR耐用年数、5年12年、25

10年償却資産        ADR耐用年数、1025年、35

不動産の場合、償却年数は35年。150%定率法で、途中から定額法。

 

A  不動産、動産ともに資産の種類毎、事業年度毎に本則と代替償却方法(ADS)の選択可。

但し、乗用車の減価償却は、1年目$3,200、2年目以降$4,800を限度とする。

<<本則=定率法>>

不動産は購入時期等により償却期間が異なる。

15年償却不動産        175%定率法、途中から定額法

18年償却不動産        175%定率法、途中から定額法

19年償却不動産        175%定率法、途中から定額法

動産は当初150%定率法、途中から定額法。

 

<<代替償却方法=定額法>>

不動産、動産ともに下記の償却期間を選択することも可能。

3年償却資産        3年、5年、12

5年償却資産        5年、12年、25

10年償却資産        10年、25年、35

15年償却資産        15年、35年、45

18年償却資産        18年、35年、45

19年償却資産        19年、35年、45

非課税債資金で調達された資産は代替償却方法が強制される。

又、下記の資産(Listed Property)に付いては、もし事業目的の使用割合が50%未満の年度があると、その年度以降は代替償却方法が強制される。

乗用車

航空機、トラック、ボート等、その他の運送用資産

主として接待、リクリエーション、娯楽の為に使用される資産

コンピューター又は端末機

その他 Regulation で指定する資産

償却期間も下記の年数に限定され、選択が出来ない

3年償却資産        3年、5年、12

5年償却資産        5年12年、25

10年償却資産        1025年、35

15年償却資産        1535年、45

18年償却資産        18年、35年、4540

19年償却資産        19年、35年、4540

   

(3) 1971/01/01以降1980/12/31迄に事業の用に供された固定資産及び下記の償却対象資産に付いては、ADR(Asset Depreciation Range) 又は General Depreciation System (GDS)孰れかを選択。

無形固定資産

生産高比例法等の期間をベースとしない償却方法を採用する資産

フィルム、ビデオテープ、音声レコード

標準会計処理基準を採用していない公共事業用資産

1986年以前に関連会社が所有していた資産

ADR では、

全ての有形資産を特定のクラスに分類し、クラス毎に標準耐用年数といわれるクラス耐用年数が定められる。土地改良・建築物を除く資産のクラス毎にそのクラス耐用年数に上下約20%の幅を設け、その中で任意に耐用年数を選択できる。この幅が ADR (Asset Depreciation Range)と呼ばれるもの。

償却方法としては、定額法、200%定率法、又は級数法の選択が可能。

中古資産については、定額法又は150%定率法の選択が可能。

建物の耐用年数についてADRではなんら規定がない。

 

(4) 1970/12/31迄に事業の用に供された固定資産に付いては、Class Life System (CLS) 又は General Depreciation System (GDS) の孰れかを選択。

CLS では、1962年に当局が制定した法定耐用年数に基づいて償却を行う。

GDS では、

償却方法は、定額法、定率法、級数法及びその他の合理的な方法(生産高比例法等)の中から選択。

但し、定額法は全ての償却資産に使用できるが、他の方法は耐用年数が3年以上の有形資産についてのみ適用可能。

中古資産に定率法を適用する場合、その償却率は定額法適用の場合の償却率の150%を越えないものとされる。

 

【Sec.179 deduction】

納税者は、事業で使用する減価償却可能な動産に関して、毎年その選択により、$24,000を上限として、所得控除することが出来る。

但し、所得控除が認められる金額は当該年度の事業所得を上限とする。この事業所得を超過してしまった部分は、無期限に繰越すことが可能。

上記の$24,000と云う枠は、納税者が当該年度に使用開始した動産の取得価格が$200,000を上回る金額だけ減額される。従って、$224,000を超えるとゼロ。

2003年度からは、上記の$24,000は、$25,000に増額される。

Sec.179 deduction により所得控除を行った場合、適用した動産の減価償却のベースが同額減額されるので、減価償却の時期が速まるに過ぎない。

 

【無形資産の償却 Amortization】

(1) Sec.197 資産 Sec.197 property

無形資産 Intangibles のうち Sec.197 property に該当するものは、1993/8/11以降に購入されたものであれば、180ヶ月で償却 Amortization 可能。
定額法のみが認められている。

又、法人の選択により、1991/7/261993/8/10に取得したものにも遡及して適用することが認められている(§1.197-1T)。

Sec.197資産とは、内国歳入法 Sec.197(d)(1)に列挙されている無形資産 intangible を云う。

@ 営業権 Goodwill

A 継続企業価値 Going-Concern Value

B 下記の無形資産

    i) 労務に関する無形資産 Workforce in place

    ii) 商業帳簿記録、オペレーティング・システム、その他情報ベース

    iii) 特許権、著作権、方式、処理方法、設計、パターン、ノウハウ、フォーマット

    iv) 得意先に関連する無形資産

    v) 仕入先に関連する無形資産

    vi) その他の同様な無形資産

C ライセンス、許可証、或いはその他種々の政府認可証

D 非競争約款 Covenants not-to-compete

E フランチャイズ、商標、商号

但し、Sec.197 資産のうち@ABは、購入したもの以外は償却することが認められていない。これらは自己創出であれば、支出時に損金算入可能。

逆に、CDEは、購入時に一括して損金算入することができない。

営業権 Goodwill とは、内国歳入法規則 §1.197-2 によれば、value of a trade or business attributable to the expectancy of continued customer patronage と云うことなので、「お客のご贔屓」のこと。
又、継続企業価値 Going Concern Value とは、同じく内国歳入法規則 §1.1060-1 によれば、additional value that attaches to property because of the existence as an integral part of an ongoing business activity であり、それには functioning or generating income without interruption notwithstanding a change in ownership や immediate use or availability of an acquired trade or business が含まれていると云うことなので、「即戦力」のこと。

無形資産のうちSec.197資産に該当しないものが、Sec.197(e)に列挙されている。これらは営業とは切離して独立した資産として売買可能なもの。Sec.197以外の特定の条文に規定がなければ、償却することはできない。
(2) 法人、パートナーシップ、信託及び遺産財団に対する持分 Interest、及び
先物契約、外国為替契約、名目元本契約、又はその他ファイナンシャル契約に於ける権利

(3) 土地に係わる権利 Interest in Land

(4) ソフトウェア Computer Software
ソフトウェアは、定額法により36ヶ月で償却する(Sec.167(f)(1)(A))
ソフトウェアとは、コンピューターが所期の機能を果すように設計されたプログラムを云う
(Sec.197(e)(3)(B))
但し、
Sec.197資産に該当するものはここで云うソフトウェアからは除外される。つまり、180ヶ月で償却しなければならない。
下記のものは
Sec.197から明示的に除外されているので、36ヶ月の定額法で償却することが可能。
@
一般市場で容易に購入可能で、ライセンスが非独占的なものであり、重要な変更が加えられていないもの(パッケージソフト)、及び
A 営業譲渡の一部として購入したものでないコンピューター・ソフト

(5) 営業譲渡の一部として購入したものでないフィルム、音声レコード、ビデオテープ、書籍、その他これらに類似する資産に係わる権利。
売上高比例法 Income Forecast Method により償却する(Sec.167(g)(6)(A))

(6) @ 営業譲渡の一部として購入したものでない有形資産又はサービスを一定の契約の下で受取る権利
A
営業譲渡の一部として購入したものでない著作権、書籍又は特許権
売上高比例法により償却する(Sec.167(g)(6)(B),(C),(D))
B
現存の有形資産リースの権利、現存の債権(金融機関の預金者リストなどの品目は除く)
C
契約に基づく権利で15年未満のもの、又は生産高比例法と同様な方法で回収可能な権利

(7) 職業スポーツに関する開催権Franchise及びそれに伴うもの

(8) 営業譲渡の一部として購入したものでないモーゲージ・サービス権
この権利は108ヶ月で償却(Sec.167(f)(1)(A))

(9) 法人税上損益が認識されない取引に関する専門家のサービスに対する報酬及び関係者により費消されたその他の費用(例えば、弁護士に支払った会社設立費用が該当する。これは60ヶ月で償却可能。)

 

減耗資産の償却 Depletion

山林、鉱山、油田、ガス田、その他の減耗性の天然資源については、減耗償却 Depletion が認められる。減耗償却には2種類の方法が選択可能。

(1) Cost depletion method
費用配分すべき減耗資産の取得価額等を減耗資産の総埋蔵量の見積高で除し、埋蔵量1単位当たりの原価を求める。これに事業年度の採掘量を乗じて、事業年度の減耗償却費を算出する方法。生産高比例法と同様。
減耗資産の税務上の簿価は、取得価額から費用配分された減耗償却費の累積額を控除したもので、マイナス額にはならない。簿価がゼロとなれば、償却はできなくなる。

(2) Percentage depletion method
山林以外の減耗資産に適用される。
減耗資産から生じた粗収益に一定比率(5%〜20%)を乗じたものを減耗償却費と看做す方法。減耗資産の種類により、この一定比率は異なる。
但し、減耗償却費は、減耗償却費控除前の課税所得に一定比率(50%〜100%)を乗じたものを上限とする。減耗資産の種類により、この一定比率は異なる。
減耗資産の税務上の簿価は、取得価額から減耗償却費の累積額を控除したもので、マイナス額にはならないのは Cost depletion method と同様。しかしながら、簿価がゼロとなっても、簿価はゼロとしたまま、償却を続けることが認められている。

棚卸資産】

(1) 棚卸資産とは、販売するために購入した物品、又は、最終的に、利益を得て販売される物品の一部となるもの。

棚卸資産には、原材料、仕掛品、完成品が含まれるが、原価又は時価の孰れか低い方で評価する(低価法)のが通常である。販売された或いは在庫に残った物品を個別に特定できない場合は、FIFOLIFO、平均法で原価を計算する。

FIFO又は平均法で原価を計算した場合、原価と時価とを比較して、低い方の金額で評価する。LIFOで原価を計算した場合、低価法は認められない。

インフレ下でLIFOを使用すると、在庫金額が少な目に評価される。LIFOを採用する場合、税務上だけでなく会計上もLIFOを採用しなければならない。

棚卸資産の種類毎に評価方法が異なってよい。

 

(2) 通関上の評価価格が、税務上の取得価格の上限となる。

製品の輸入価格と関税上の評価額の統一化(Sec.1059A)

 

(3) UNICAP

1986年改正税法で、経費の内、棚卸資産(及び自家製造機械)の取得費として計上すべきものが画一的に定められた Uniform Capitalization Rule

1986/12/31以降に開始される事業年度から適用。改正税法適用の初年度には、期首の在庫金額の修正も行うが、この修正額は数年度で償却する(Sec.481(a))

又、在庫金額の内、連結会社間の内部利益に係わる上記の修正分は、連結納税申告書の上で、在庫金額から控除してやらねばならない。この期首、期末の調整が

Section 263A 481(a) Adjustment Deferred Intercompany Profit

Section 263A Current Year Deferred Intercompany Profit

UNICAP は、小規模の小売業者/卸売業者には適用されない。即ち、過去3年間の平均の粗収益 gross receipts $10M以下の小売業者/卸売業者は適用を免除される。

 

(4) 棚卸評価損失は、インフレ指数に基づいて政府が自動的に認めるというようなものではなく、時価、陳腐化、商品の状態或いは販売可能性と云うような要素に基づいて決定される。孰れの場合も、在庫金額修正の正当性の立証責任は納税者の側にある。

 

(5) LIFOで棚卸資産を評価している会社が特定の会社清算を行うと(Sコーポレーションの選択)、特別な取戻しルールが適用される。即ち、FIFOLIFOの評価金額の差額が会社の通常所得に戻される。

 

【支払利息】

(1) 支払利息は現金主義又は発生主義で計上する。

但し、1983年以降建設される非居住用不動産の建設期間中の支払利息は、当該期間の不動産税と共に当該不動産の取得原価に算入せねばならない。

未使用Unimprovedの不動産に関わる支払利息、不動産税及び維持費は、発生時の損金とするか、不動産の取得価格に加算するかは、納税者の選択。

動産の購入、運搬、据付けまでに要する資金の借入金の利子も、発生時に損金計上するか、資産の取得価格に加算するか、納税者の選択。

 

(2) 非課税所得を稼得するために支払われた利息は損金算入不可。

 

(3) 前払利息は、現金主義の納税者も発生主義の納税者も、関連する期間に亘って償却せねばならない。

 

(4) 外国法人或いは非居住外国人に支払われる利息が当該外国()人が米国で行う事業と実質的に関連している場合は、源泉税を徴収する必要はない。この場合は、当該外国()人が納税申告書を提出するときに総合課税されることになる。

米国の租税条約では、非居住者は、米国に於ける恒久的施設を通じて事業を行っている場合にのみ、その事業所得に付いてのみ米国で課税されると云う規定になっているが、米国の連邦所得税法の規定では、恒久的施設を通じて事業を行っているか否かに関わりなく、米国で事業を行っていれば、当該事業所得に対して米国で課税すると云う立場をとっている。

外国法人或いは非居住外国人の米国源泉の利子所得が当該外国()人が米国で行う事業と実質的に関連していない場合は、一律30%の源泉税を徴収して米国での課税関係は終了する。この源泉税率は租税条約により減免がある。

この源泉課税ルールには特定の例外が設けられている。即ち、銀行預金口座の利子には源泉税が課されないが、これは非居住者の口座であっても同様。

例えば、日本の居住者が米国で非居住者預金口座を開設した場合、当該預金口座に生じた利子は、米国では源泉課税されない!

 

(5) 又、居住者が有する外国()人に対する債務が下記の条件を満たす場合、ポートフォリオ・デットに該当し、支払利息は米国で源泉課税されない。

@ 当該債権は、他の米国居住者によって取得できないこと

A 米国の債務者が外国債権者によって発行済株式の10%以上を直接又は間接に所有されていないこと

B 外国債権者が銀行でないこと

例えば、米国の子会社が日本の親会社から借入れを行った場合は、ポートフォリオ・デットにはならないが、資本関係のない生保から借入れる場合は、ポートフォリオ・デットに該当し、源泉税が課されない。

 

(6) IRS NOTICE 89-84 により、海外関係会社に

@ 利息

A ローヤルティー

B マネジメント・フィー

を支払う場合、未払のうちは損金に算入できないことになっている。

このNOTICE は§267(a)(3)に関するNOTICE

 

【アーニングス・ストリッピング・ルール】

居住会社による不適格支払利息の損金算入には制限がある。即ち、純支払利息が調整後課税所得の50%を上回る金額が上限となる。

(1) キー・ワードは4つ

「調整後課税所得」

=課税所得+純支払利息+繰越欠損金+減価償却費等

キャッシュ・フロー・ベースの課税所得

「純支払利息」

=支払利息−受取利息(マイナスの場合はゼロ)

「超過支払利息」

=純支払利息−調整後課税所得の50%−繰越控除余裕額(もしあれば)

これがマイナスとなる場合は、「控除余裕額」として3年間繰越し可能

「不適格支払利息」

=対象法人の関連者(直接間接に50%超の資本関係)に支払われた利息で、米国の税が免除・軽減されている部分

米国子会社から日本の親会社に利息を150支払うと、その内の100

        150×(30%10%)÷30%100

        日米租税条約により、源泉税率が30%から10%に軽減

が不適格支払利息とされる

(2) 2つのスクリーンの両方を満たす場合に適用される。

                超過支払利息があること

                負債・資本比率が1.51を超えていること

(3) 不適格支払利息の内、超過支払利息相当額が損金不算入となる

(4) 繰越期間

損金不算入利息は翌期以降無期限に

控除余裕額は3年間

繰越すことが出来る

 

1989/7/10現在有効な拘束力のある契約に従って支払われる利息に関しては、1993/12/31以降に開始する会計期間に支払又は発生するのでない限り、アーニングス・ストリッピング・ルールは適用されない。

1993/12/31以降に開始する会計期間からは、非関連者に支払われる或いは未払計上される利息といえどもアーニングス・ストリッピング・ルールの対象となる。

この制限は、下記の場合、保証債務に関わる利息にも適用される。

@ 借入金に関し源泉税が課されていない

A 借入金が関連者により保証されている

B 関連者が外国()人又は非課税米国組織である

 

【割引債】

米国会社には借入れの方法としては、他に、割引債の発行がある。満期に償還される金額が当初の払込み金額を上回る部分は、貸付側にとっては受取利息となる。

一方、借入側は当該年度分として計算された額を支払い利息として損金算入するのが原則となる。関連者間の取引並びに租税回避目的の取引には特殊な制限が適用される。

貸付側は、割引額のうち当該年度に稼得された金額を所得に含めねばならない。

 

【純事業損失】

(1) 事業上の損失は、税務上は、純事業損失(NOL)と呼ばれる。当年度に生じた純事業損失は、納税者の選択により、2年間繰戻すか或いは20年間繰越して、それらの年度の課税所得又は長短のキャピタル・ゲインと相殺することが出来る。

 

(2) 1987/1/1以降、株主の持分の50%以上が異動した場合、純事業損失の繰越しには複雑な制限規定がある。即ち、持分異動直前における法人の株式の市場価額に長期免税債利率を乗じた金額が毎年の利用可能限度額となる。

純事業損失の繰越しは、租税回避を目的として米国会社を買収した場合には、認められない。

 

資産の売却

資産の売却 Sale とは、交換 Exchange Like-kind Exchange も含む)、非自発的交換 Involuntary Conversion をも含んだ広い概念。

資産の売却益 gain from the sale (実現利益 gain realize)とは、資産の売却実現額 amount realized from sale が資産の修正税務簿価 adjusted basis を上回る部分の金額を云う。反対に、資産の売却損 loss from the sale (実現損失 loss realized)とは、資産の売却実現額が資産の修正簿価を下回る部分の金額を云う。

資産の売却実現額amount realized from sale とは、対価として受領した現金 money と現金以外の資産 property other than money の市場価額 fair market value との合計金額を云う。

資産の税務簿価 basis とは、資産の取得価額 cost を云う。

資産の修正税務簿価 adjusted basis とは、資産の取得価額 cost から、減価償却等により税務上の損金として所得から控除してきた金額を差引いたものを云う。

資産の売却益(実現利益 gain realized)並びに売却損(実現損失 loss realized)は、後述の Like-kind Exchange 或いは Involuntary Conversion 等の規定が適用される場合を除き、税務上もその全額が認識利益 gain recognized 並びに認識損失 loss recognized となる。

 

非課税の交換 Nontaxable exchange

(1) 同種資産との交換 Like-kind exchange

事業用資産 property held for trade or business 又は投資用資産 property held for investment を、同種資産 property of a like kind で事業用又は投資用として所有することが予定されているもののみと交換する場合には、資産の譲渡益又は譲渡損は認識しない。

譲渡益は免税となるのではなく、課税の繰延 roll-over が行われるだけ。

棚卸資産、有価証券をその同種資産と交換する場合には、この Like-kind exchange の規定は適用されない。

    事業用資産と、事業用資産又は投資用資産、或いは
    投資用資産と、事業用資産又は投資用資産
との交換が可能。

同種資産 property of a like kind とは same class of property の意。但し、
    国内の不動産と海外の不動産は同種資産とは認められない。
   
国内の動産と海外の動産も同種資産とは認められない。

交換に出される資産を譲渡してから45日以内に、代りの資産が特定されない場合、又は、
交換に出される資産を譲渡してから180日若しくは納税申告書の提出期限の孰れか早い日までに代りの資産が受領されない場合
には、この Like-kind exchange の規定は適用されない。

(a) boot を貰う場合
代わりに取得する資産の中に Boot (同種資産以外のもの又は現金 money) が含まれている場合には、当該 Boot の市場価格合計額の範囲内で、資産の譲渡益(資産の種類により、キャピタル・ゲイン、又は事業所得となる)を認識しなければならない。

旧資産の税務簿価

Adjusted Basis

実現利益

Gain Realized

新資産の市場価格
Boot (other property or money) の市場価格

 

旧資産の交換による実現利益
  = 新資産の市場価格
  + Boot の市場価格
  − 旧資産の税務簿価

税務上認識される譲渡益、即ち
認識利益 Gain Recognized は、
  実現利益 Gain Realized、又は
  Boot の市場価格
の孰れか少ない方の金額

新資産の税務上の簿価は、
   
旧資産の税務簿価 + 認識利益 Gain Recognized − Boot の市場価格
となる。

Boot を貰う場合、譲渡益が認識されることはあっても、譲渡損は認識できない。

(b) boot を与える場合
逆に、boot を付けて出す場合には、boot の税務上の簿価と市場価格との差額を boot の譲渡益又は譲渡損(資産の種類により、キャピタル・ゲイン/ロス、又は事業所得/損失となる)として認識しなければならない。
旧資産に付いては、Boot を受取っていない以上、譲渡益も譲渡損も認識されない。

旧資産の税務簿価

Adjusted Basis

 

旧資産の実現利益
Gain Realized
Boot (other property or money) の税務簿価 Adjusted Basis
新資産の市場価格
Boot の実現損失 Loss Realized
旧資産については、実現利益 Gain Realized 又は実現損失 Loss Realized は、税務上認識されない。認識利益 Gain Recognized 又は認識損失 Loss Recognized は生じない。

Boot については、実現利益又は実現損失がそのまま認識利益又は認識損失となる。

代わりに取得する資産=新資産の税務上の簿価は、
    旧資産の税務簿価 + Boot の市場価格
となる。

(c) 交換に伴い、相手が負債を引受けてくれた場合は、boot を貰ったことになる。逆に、相手の負債を此方が引受けてやる場合は、boot を与えたことになる。お互いに相手の負債を引き受けた場合には、相殺して、その純額を与えた boot 又は貰った boot として取扱う。

 

(2) 非自発的交換 Involuntary conversions

資産に関し、その一部又は全体の破壊 destruction 、盗難 theft、接収 requisition、収用 condemnation があった場合、又はそれらの虞がある場合に、類似資産 property similar or related in service or use と交換されたときは、譲渡益/損は認識しない。

類似資産以外の資産又は現金 money と交換されたときは、譲渡益又は譲渡損(資産の種類により、キャピタル・ゲイン/ロス、又は事業所得/損失となる)を認識する。
即ち、一定の期限内に、当該現金で新資産=類似資産を購入した場合、旧資産の売却価額が新資産の購入価額を超過する部分の金額だけが、譲渡益として認識される。
つまり、旧資産の売却価額よりも高い買物をすれば、譲渡益は全く認識しなくて良い。
この場合の一定の期限内とは、旧資産の処分時から、旧資産の譲渡益が実現した事業年度の終了後2年経過時(但し、事業用不動産又は投資用不動産の場合には、3年経過時)までを云う。
この期限までに、新資産を購入しなかった場合には、譲渡益が実現した事業年度に遡って、修正申告を行う必要がある。

 

実現利益

Gain Realized

旧資産の税務簿価

Adjusted Basis

超過部分の金額
新資産の購入価額

 

旧資産の売却価額

 

旧資産の売却価額新資産の購入価額を超過する部分の金額、又は
実現利益 Gain Realized
の孰れか少ない方が認識利益 Gain Recognized となる。

新資産の購入価額
旧資産の売却価額

の場合には、認識利益 Gain Recognized はゼロとなる。

新資産の税務上の簿価は、新資産の購入価額−認識されなかった譲渡益となる。

旧資産が新資産と直接交換されたのであれば、譲渡益の認識は全く行わない。この場合、新資産の税務上の簿価は、旧資産の税務上の簿価を引継ぐことになる。

involuntary conversions は、like-kind exchange よりも納税者に有利であるため、類似資産 property similar or related in service or use の条件は 同種資産 property of a like-kind の条件よりも厳しい。
自己が所有し、自己が使用している資産の場合は、機能的に同一であり、且つ用途が同一であることが必要。
自己が所有している資産を他にリースしている場合は、リース業で使用するのであれば、借手にとっての機能や用途はどうでもよい。

事業用不動産又は投資用不動産の場合には、ここでも、条件が緩和されていて、新しく同種資産を購入したのであれば、involuntary conversion として取扱われる。

非自発的譲渡の場合、譲渡損が生じるのであれば、新しく資産を購入しようとしまいと譲渡損を認識できる。

【資本資産の売却】

資産の売却による認識利益又は認識損失のうち、資本資産 Capital Asset の売却によるものが、キャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスとなる。

売却した資本資産の所有期間が1年以下又は1年超と云う区分により、短期又は長期のキャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスとなる。

取得日の翌年の応答日に売却したのであれば、恰度1年所有したことになる。例えば、2000年2月29日に取得した資産を2001年2月28日(応答日)に売却すれば、所有期間が1年以下と云うことで、売却の損益が認識されるのであれば、短期のキャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスとなる。

資本資産とは、内国歳入法 Section 1221 によれば、下記の資産(非資本資産)以外のものと定義されているだけ。

@ 在庫品 Stock in Trade、棚卸資産 Inventory

A 事業に供されている減価償却資産 Depreciable Property used in Trade or Business、又は
 事業に供されている不動産 Real Property used in Trade or Business

B 著作権 Copyright、その他芸術的作品 Artistic Composition で自己創作のもの

C 売掛金、受取手形 Accounts or Notes Receivable

D 米国政府が発行した非売品の文書

又、1999年以降、内国歳入法 Section 1221 に非資本資産として次の3項目が追加された。

E コモディティ・デリバティブのディーラーが所有するコモディティ・デリバティブ

F 取得の当初からヘッジ目的であることが明らかなヘッジ取引

G 経常的に自身で使用又は消費するために購入される物品

投資用資産 Property held for investment 或いは私的目的使用資産 Property held for personal use が資本資産の代表的なもの。

営業権 Goodwill 或いは継続企業価値 Going Concern Value は、事業に供されている資産ではあるが、depreciable property にも real property 該当しないので、資本資産となる。非競争約款 Agreement not-to-compete は非資本資産とされる。

資本資産 Capital Assets 非資本資産 Non-capital Assets
投資用資産

私的目的使用資産(法人の場合、建前としては存在しない筈)

著作権、その他芸術的作品のうち購入したもの

特許権のうち自己創出したもの

株式、社債

パートナーシップ持分

ディーラー以外が所有するコモディティ・デリバティブ

ヘッジ目的であるかどうかが明らかでないヘッジ取引

投機目的で購入した消費物品

営業権、継続企業価値

在庫品、棚卸資産

事業に供されている減価償却資産

事業に供されている不動産

著作権、その他芸術的作品のうち自己創作したもの

特許権のうち購入したもの

売掛金、受取手形

ディーラーが所有するコモディティ・デリバティブ

ヘッジ目的であることが明らかなヘッジ取引

消費物品

非競争約款

インフレを考慮した原始取得価格の増額修正と云う様な措置は存在しない。
(アメリカ税法には、英国税法風の固定資産/棚卸資産のインフレ調整という考え方はない。棚卸資産のストック・リリーフもアメリカにはなかった
。)

資本資産の売却 sale が、収用 Condemnation、災害又は盗難 Casualty or Theft により生じた場合に限っては、次項の「事業用資産の売却」の規定に従って計算が行われるので注意を要する。この場合、キャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスが事業利益又は事業損失に転換されることがある。

下記のような場合、キャピタル・ゲインに対する課税を繰延べることが可能。

(1) 株式交換による企業買収

親会社(買収会社)の株式或いは証券と交換に、米国子会社(被買収会社)の株式の譲渡を受けることがあるが、この場合、交換の直後に、買収会社が被買収会社の議決権株式の80%以上且つ全株式の80%以上を所有するに至るのであれば、親会社にとって当該株式交換は非課税で行える。

(2) 外国会社への海外支店の譲渡

米国会社の海外支店が、(1)の株式持分要件のもとに、外国会社に譲渡された場合で、当該外国会社が当該海外支店の資産を米国外に於いて実質的事業活動 active conduct でのみ使用し、且つ、海外支店の損失の戻しが行われる場合。

(3) 外国に於ける為替管理その他の制限によりキャピタル・ゲインが直ぐにはUS$に交換できず、所得が封鎖 block されている場合

 

【事業資産の売却】

事業資産は、本来、資本資産ではないので、その売却からキャピタル・ゲイン/ロスは本来発生しないはずだが、税務上の優遇措置として、事業で使用している資産(償却対象動産 Depreciable Personal Property 及び不動産 Real Property)で、1年超所有したもの(これを Section 1231 Property と云う)の売却に限り、その認識利益をキャピタル・ゲイン、認識損失をキャピタル・ロスとして取扱う規定が内国歳入法 Section 1231 に用意されている。
所有期間が1年以下の事業用資産を売却した場合には、その認識利益又は認識損失は全て通常利益/通常損失とされるので、キャピタル・ゲイン/キャピタル・ロスは全く生じない。

内国歳入法 Section 1231

(a) 原則

(1) Section 1231 Gains Section 1231 Losses を上回った場合は、Section 1231 Gains の総額を長期のキャピタル・ゲイン、Section 1231 Losses の総額をキャピタル・ロスとして、両建てで計上する。
Section 1231 Gains Section 1231 Losses を相殺してその純額をキャピタル・ゲイン又はキャピタル・ロスとするのではないことに注意。)

(2) Section 1231 Gains Section 1231 Losses を下回った場合は、Section 1231 Gains の総額も Section 1231 Losses の総額も、キャピタル・ゲイン或いはキャピタル・ロスとしては取扱われない。即ち、通常利益 Ordinary Income と通常損失 Ordinary Loss として取扱われる。
(但し、この認識利益と認識損失が
Section 1231 Gains Section 1231 Losses であることには変わりない。
この場合、
Net Section 1231 Loss (= Section 1231 Loss - Section 1231 Gain) は、後述の Non-recaptured Net Section 1231 Loss として特別勘定で5年間繰越し、Net Section 1231 Gains が生じた年度に、Net Section 1231 Gains と相殺することになる。)

(3) Section 1231 Gain とは、

事業で使用している資産の売却又は交換により認識された売却益、及び
事業で使用している資産、又は資本資産で事業に関連して1年超所有しているものが強制的又は非自発的転換
compulsory or involuntary conversion により、他の資産又は現金に転換させられたために認識された売却益
を云う。
又、
Section 1231 Loss とは、逆に、上記で損失が生じた場合の認識された売却損を云う。

(4) 特則
Section 1231 Gain は総所得 Gross Income に含まれる範囲内で、Section 1231 Loss は課税所得の計算に入る(所得控除項目に含まれる)範囲内で、計上される。
総所得又は所得控除項目に入らないものの例示
   
     割賦販売において、割賦基準を適用したために、課税を繰延べられた売却益
   
     Like-kind Exchange或いはInvoluntary Conversion の規定により、課税を繰延べられた売却益
   
     関連者間の資産売買において生じた売却損
   
     個人の場合、Property Held for Personal Useの売却損

資本資産 Capital Asset の非自発的交換 Involuntary Conversion により生じた認識損失は、通常損失 Ordinary Loss として取扱われるので、Section 1231 の制限を受けないで済む。つまり、個人なら Capital Loss は、通常利益との相殺に年間$3,000の上限があるが、この制限が適用されない。又、法人なら Capital Loss Capital Gain と相殺できるのみで、通常利益とは相殺できないと云う制限が適用されない。

事業で使用している資産、又はキャピタル資産で事業に関連して1年超所有しているものの収用 Condemnation 、災害又は盗難 Casualty & Theft により生じた認識損失は、強制的又は非自発的交換 compulsory or involuntary conversion に基づく認識損失として取扱う。

事業で使用している資産、又はキャピタル資産で事業に関連して1年超所有しているものの強制的又は非自発的交換が、災害又は盗難 Casualty & Theft によって生じた場合、課税事業年度に当該交換により生じた認識損失が当該交換により生じた認識利益を上回るのであれば、当該認識利益も認識損失も Section 1231 Gain 又は Section 1231 Loss とはならず、通常利益 Ordinary Income 又は通常損失 Ordinary Loss となる。つまり、(1)の計算から除外する。

逆に、損失が利益を下回る場合、利益額は Section 1231 Gains、損失額は Section 1231 Losses となる。損失と利益とは相殺し、Net Gain Section 1231 Gain とし、(1)の計算に含める。

従って、資産の売却により生ずる認識利益又は認識損失の所得上の区分は下記の表のようになる。

Held for  Class

Sale or Exchange

Involuntary Conversion

Condemnation

Casualty & Theft

One Year or Less 

Business Property

Ordinary Income or Loss

Ordinary Income or Loss

Ordinary Income or Loss

Capital Asset

Capital Gain or Loss

Capital Gain or Loss

Capital Gain or Loss

More than One Year

Business Property

Section 1231 Gain or Loss

Section 1231 Gain or Loss

Net Section 1231 Gain
or
Ordinary Income or Loss

Capital Asset

Capital Gain or Loss

Section 1231 Gain or Loss

Net Section 1231 Gain
or
Ordinary Income or Loss

 

(b) 用語の定義

(1) 事業で使用している資産とは、

Section 167 により減価償却が認められている資産で、1年超の期間所有されているもの、及び
不動産で、1年超の期間所有されているもの
を云うが、以下のものは除く
    棚卸資産
   
著作権、芸術的作品、手紙
/覚書き、その他同様なもので納税者が所有するもの
   
米国政府の出版物で米国政府から贈呈されたもの

 

(c) 通常の純通常損失の取戻し Recapture of net ordinary losses

(1) 原則

Net Section 1231 Gains のうち、Non-recaptured Net Section 1231 Losses を上回らない部分は、通常の純通常損失として取扱われる。

(2) Non-recaptured Net Section 1231 Losses とは、

直前5課税年度の Net Section 1231 Losses が、当該5課税年度の期間中に Non-recaptured Net Section 1231 Losses として取戻された金額を超過する部分の金額を云う。

(3) Net Section 1231 Gains とは、Section 1231 Gains Section 1231 Losses を超過する部分の金額を云う。

(4) Net Section 1231 Losses とは、Section 1231 Losses Section 1231 Gains を超過する部分の金額を云う。

(5) 特則

Net Section 1231 Gains 又は Net Section 1231 Losses の金額を決定する上では、(a)(4)の規定が適用される。

つまり、Casualties and Thefts Gain Loss は、その大小を比較して、

Gain Loss なら、Net Gain Section 1231 Gain とする。

Gain Loss なら、Gain Loss とを相殺し、純額を通常損失とする。
つまり、
Net Section 1231 GainsNet Section 1231 Losses の計算から除外するNon-recaptured Net Section 1231 Losses の計算にも影響させない)

 

事業資産のうち、Section 1245 Property 及び Section 1250 Property に該当するものについては、その売却による認識利益の全額が Section 1231 Gain となるのではなく、特定の部分を通常利益(減価償却費の取戻しと云う意味で、Recapture と呼ぶ)として取扱い、その残りだけを Section 1231 Gain とすると云う制限がある。

Section 1245 Property とは、内国歳入法 Section 167 の減価償却の対象となる資産(従って、事業で使用されている減価償却資産)で、

@ 動産 Personal Property

A その他の資産 Other Property

その他の資産とは、建物以外の下記の有形資産で、減価償却だけでなくアモティゼーションの対象となるものも含まれる。

製造設備の構成部分

製造業の試験研究施設

製造業の貯蔵施設

B アモティゼーションの対象となる不動産で、A以外のもの

C 農業園芸専用構築物 Single purpose agricultural or horticultural structure

D 石油貯蔵設備(建物は除く)

E 鉄道線路又はトンネル

を云う。つまり、減価償却対象の動産の全て、並びに償却対象の不動産の一部が含まれる。

Section 1245 Property が売却された場合、

取得価額、又は

売却実現額

の孰れか少ない方の金額が、その税務簿価 Adjusted Basis を上回る部分 Section 1245 Recapture の金額は、通常所得 Ordinary Income として取扱われる。

従って、Section 1245 Property の場合、売却実現額が取得価額を上回った場合の当該超過額のみが Section 1231 Gain となる。売却実現額が税務簿価を下回った場合の当該不足額は、Section 1231 Loss となる。

Section 1245 Recapture, Section 1231 Gain and Section 1231 Loss の関係

Case 1: Cost < Amount Realized の場合

Adjusted Basis Depreciation
Adjusted Basis Sec. 1245 Recapture Sec. 1231 Gain
Amount Realized

Case 2: Adjusted Basis ≦ Amount Realized ≦ Cost の場合

Adjusted Basis Depreciation
Adjusted Basis Sec. 1245 Recapture
Amount Realized

Case 3: Amount Realized < Adjusted Basis の場合

Adjusted Basis Depreciation
Adjusted Basis
Amount Realized Sec. 1231 Loss

 

Section 1250 Property とは、内国歳入法 Section 167 の減価償却の対象となる不動産(従って、事業で使用されている減価償却資産)のうち Section 1245 Property に該当しないものを云う。

事業で使用されていても減価償却の対象とならない不動産、例えば土地等は Section 1250 Property には該当しない。

Section 1250 Property が売却された場合、

追加減価償却額 Additional Depreciation、又は

認識利益(売却実現額から税務簿価を控除した部分の金額)

の孰れか少ない方の金額 Section 1250 Recapture が、通常所得 Ordinary Income として取扱われる。

ここで云う Additional Depreciation とは、税務上申告した減価償却額が定額法による減価償却額を上回る部分の金額。

MACRS により減価償却をしている場合、不動産は定額法のみであり、Additional Depreciation は発生しないので、Section 1250 Recapture は生じない。

従って、Section 1250 Property の場合、売却実現額が取得価額を上回った場合に、当該超過額が Section 1231 Gain となるのみならず、売却実現額が取得価額を下回った場合でも、売却実現額が定額法により減価償却した場合の簿価を上回る部分の金額も Section 1231 Gain となる。売却実現額が税務簿価を下回った場合の当該不足額は、Section 1231 Loss となる。

会社が Section 1250 Property を売却した場合には、Section 1245 Property を売却した場合とは異なり、更に Section 291 の規定が適用される。

Section 1250 Property を売却した場合に生じる通常所得 Ordinary Income を、Section 1245 Property であったと仮定した場合に生じる通常利益 Ordinary Income が超過する部分の金額の20%Section 291 Recapture)は通常所得に組入れ、その分 Section 1231 Gain の金額を減じなければならない。

Section 1250 Recapture, Section 1231 Gain and Section 1231 Loss の関係

Case 1: Adjusted Basis + Additional Depreciation < Amount Realized の場合

Adjusted Basis Additional Depreciation Straight Line Depreciation
Adjusted Basis Sec. 1250 Recapture Sec. 1231 Gain
Amount Realized

会社の場合には、この Case 1 の場合に限り、
    Straight Line Depreciation、又は
    Sec. 1231 Gain
の孰れか少ない方の金額の20%が Section 291 Recapture として 事業所得 Ordinary Income になり、その分だけ Section 1231 Gain が減じられることになっている。

Case 2: Adjusted Basis ≦ Amount Realized ≦ Adjusted Basis + Additional Depreciation の場合

Adjusted Basis Additional Depreciation Straight Line Depreciation
Adjusted Basis Sec. 1250 Recapture
Amount Realized

Case 3: Amount Realized < Adjusted Basis の場合

Adjusted Basis Additional Depreciation Straight Line Depreciation
Adjusted Basis
Amount Realized Sec. 1231 Loss

 

【支払配当】

米国会社は、配当金を現金、資産、当該米国会社の発行する社債で支払うことができる。
米国会社が株主に配当金を支払う場合、支払う側では原則として課税関係は生じない。
但し、含み益のある資産(時価が税務上の簿価を上回っているもの)を配当金として支払うと、当該含み益相当額が支払う側の課税所得となる。

配当金を受取る側の課税関係は、米国会社から分配されたものを、配当金、資本の払戻し、キャピタル・ゲインに構成し直した上で決定される。
    
配当金とは、米国会社が株主に分配したもののうち、
    当該事業年度の所得利益 Earnings & Profits を事業年度末日の時点で計算したもの CEP: Current Earnings & Profits、又は
    1913/3/1以降に累積された所得利益 AEP: Accumulated Earnings & Profits
の孰れか大きい方の金額を越えない部分を云う。含み益のある資産で分配を行った場合には、当該含み益は Earnings & Profits に加算される。
配当金は、株主の粗所得に加算する。

CEP 又は AEP の孰れか大きい方の金額を越えて分配が行われた場合には、この超過部分は資本の払戻しとして扱われる。
資本の払戻しは、株式の税務上の簿価から控除するだけで、株主の所得には関係させない。

更に、資本の払戻しが株式の税務上の簿価を超過する場合には、株式の簿価をゼロとし、当該超過部分はキャピタル・ゲインとして扱われる。
キャピタル・ゲインは、株主の粗所得に加算する。

この Earnings & Profits は、通常の課税所得に下記の修正を施して計算する。

地方債 Municipal bonds の非課税利息 Tax-exempt income(関連経費控除後)を加算

非課税の生命保険死亡給付金 Tax-exempt life insurance death benefits(関連支払保険料控除後)を加算

70%受取配当金控除 70% dividends-received deduction を加算

配送網確立費用 Circulation Expenditures を資産計上

創業費 Organizational Expenditures を資産計上

LIFO Reserve (FIFOLIFOの在庫金額の差額)の期首期末の増減額を戻す (LIFO Recapture)

棚卸資産以外の資産売却に割賦基準 Installment Method を適用しているのであれば、出荷基準に修正

無形資産である資源探掘費用 Intangible Drilling Costs を資産計上し、60ヶ月で償却

(以上は、ACE と共通)

工事完成基準を適用しているのであれば、工事進行基準に修正

(これは、AMTI の修正項目 Adjustments と共通)

償却資産の減価償却を 代替償却方法 ADS (Alternative Depreciation System) に修正

連邦法人税 Federal income taxes を控除

純キャピタル・ロスを控除

罰科金 Penalties を控除

慈善寄附金で損金算入出来ない部分を控除

Sec.179 property は、5年で償却(してもよい)

固定資産の建設期間中に発生した費用 Construction period carrying charges を資産計上

鉱物資源探掘開発費用 Mineral exploration and development costs を資産計上し、120ヶ月で償却

 

米国会社から外国()人に支払われる配当金には源泉税が課される。更に、外国会社がその米国支店の利益から配当金を支払う場合にも、米国の源泉税が課される(支店利益税)。内国歳入庁は、1987/8/18 Noticeを公表し、日本企業の在米支店に対しては、当分の間支店利益税を適用しないことを明らかにした。

ロングアーム条項により、当該外国法人が米国での税務上の代理人と位置づけられる。

非居住者には、原則として、30%の源泉税率が適用される。この税率は租税条約により減免される。
米国市民並びに米国居住者は原則として源泉税の対象とならないが、特定の場合、例えば、納税者が自己の社会保険番号を配当を支払う会社に通知しなかった場合には、20%の源泉税が課される。これは個人の納税申告書で税額控除可能。

米国は、配当金に関しては古典的な二重課税制度を採用しているので、会社が配当を行った場合に、会社が支払った法人税を、株主による所得税の前払と看做すような制度はない。

米国会社には、(ドイツのような)配当金の支払による税率軽減も、(イギリスのACTのように)株主に対する配当金源泉控除を自己の法人税の前払いとすることも認められていない。

 

【減資】

会社による分配は、1913年以降当年度迄の孰れかの年度に "Earnigs & Profits" があれば、配当金と看做されて、通常の所得として課税される。そうでなければ、分配は資本金の払戻しと看做されて、米国では非課税となる。

とはいえ、株主の株式取得価格を上回る分配が行われた場合は、当該超過部分がキャピタル・ゲインと看做されて課税される。

 

【株式の消却】

株式の消却は、取引の実態に応じて購入或いは配当として扱われる。株式の一部を、全株主の持株数に比例して買取った場合は、原則的に配当として扱われる。

 

【会社清算】

清算は原則として資本資産の株主への分配として扱われ、株主にキャピタル・ゲイン/ロスをもたらす。

清算する()会社の株主が外国の()会社である場合、当該子会社が米国不動産所有会社、即ち、その資産の大部分が米国不動産から構成されている会社である場合を除いて、当該親会社に対してキャピタル・ゲイン税は課されない。

但し、当該子会社が清算所得に対して課税される(この場合でも、源泉税は課されない)。

更に、米国からの資産移転に関する財務省規則案では、子会社が課税されることになる。

 

【連結納税】

(1) 連結の対象となる子会社は、議決権株式の80%以上並びに全株式の80%以上を所有する米国子会社のみ。例外として、法人の選択により、米国の隣接国であるカナダ、メキシコ法人のうち、米国法人が株式を100%所有する法人のみ連結グループに入ることが認められている。但し、支店形態で事業を行うことがカナダ、メキシコの法律上許されていないため子会社として登録せざるをえないという場合に限られる。

連結納税を行う場合は、上記の条件に該当する米国子会社は全て連結せねばならない。

 

(2) 連結納税の取りやめには内国歳入庁の承認を要する。

従って、どうしても連結納税から外したい場合は、持株比率を80%未満に下げるしかない。

 

(3) 連結納税申告に於ける利益剰余金の計算上、連結租税債務の関係会社間への配賦には、4つの方法が規定されている。最初に提出された連結納税申告書に於いて方法の選択を怠った場合には、@の個別所得法を選択したものと看做される。

@ 個別所得法

 

A 個別税額申告法

 

B 増加税額配分法

 

C その他の承認された方法

 

(4) 連結課税所得に対する連結税額は、当事者の定めるところによって、個別法人に配分されるが、上記の方法による配賦額との差額は、子会社からの配当叉は子会社への出資と看做される。

 

(5) 関連会社間取引の譲渡損益で連結グループ外に譲渡等をしていない部分は売手側において繰延べるのが原則だが、IRSの同意があれば、繰延べないことも選択可能。

 

(6) 連結純営業欠損金は、連結ベースで2年間の繰戻し、20年間の繰越しが可能。連結純キャピタル・ロスは、連結ベースで3年間の繰戻し、5年間の繰越しにより、キャピタル・ゲインとのみ相殺可能。

 

連結納税に参加する以前に生じた個別法人(親会社を除く)の欠損金は、連結納税開始後は当該個別法人の課税所得とのみ相殺できる(SRLY RULE)

連結納税開始以前の親会社の欠損金にはこのような制限がない。これを利用して、欠損会社の小会社を形式上の親会社として大会社を買収し、大会社の株主が小会社を支配する手法(逆さ買収)が考えられるが、このような「逆さ買収」の場合には、SRLY RULE が適用されることになっている。

 

連結納税開始以後の個別法人の欠損金は、他の連結納税会社の利益との相殺に先立って、当該個別法人の連結納税開始以前の年度への繰戻しが行われる。

 

(7) 連結納税親会社が所有する連結納税子会社の株式の税務簿価は毎期評価替え(投資価額修正)を行い、当該子会社株式売却時のキャピタル・ゲイン計算のベースとする。

子会社株式に対する投資価額を増減させる項目

加算項目

@ 当年度の当該子会社の未分配利益

A 当年度に連結グループ全体として欠損金を生じた場合の連結欠損金、叉は、連結純キャピタル・ロスの当該子会社への割当額のうち、前年度以前に繰戻し控除されない金額

減算項目

B 当年度の当該子会社の欠損金

C 上記Bの子会社への割当欠損金で、前期以前に発生していたもののうち、当年度に於いて繰越し控除された金額

D 当該子会社が連結グループに入る前に個別申告年度に於いて生じた税務上の欠損金叉は純キャピタル・ロスのうち、当年度に於いて繰越し控除された金額

E 当該子会社の前年度以前の未分配利益からの当年度中の配当

 

【その他の米国の租税】

(1) 売上税/使用税 Sales Tax/Use Tax

地方自治体が、売上税又は使用税を課している。

米国では、付加価値税は法案が何度も審議されたが、今のところ課されていない。

 

(2) 資産税 Property Tax

地方自治体が、不動産の所有者に対して、不動産の価値に基づいて固定資産税 Rates を課している。

 

(3) 事業免許税 License Tax

地方自治体が、営業許可の対価として事業者に課してくる。

 

(4)社会保険税 Social Security Tax

@ FICA Tax (Federal Insurance Contribution Act)  が雇用主と従業員の双方に課される。

FICA Tax は、連邦税であり、吾国の厚生年金に相当する部分 OASDI (Old-Age, Survivor and Disability Insurance)と老齢者医療費補助 Medicare とから成っている。各従業員の年間給与に対して、下記の税率で課税される。

  年度 課税標準上限 雇用主負担分 従業員負担分
OASDI 2000 $76,200 6.2% 6.2%
2001 $80,400 6.2% 6.2%
Medicare 2000 上限なし 1.45% 1.45%
2001 上限なし 1.45% 1.45%

 

A 失業保険税 FUTA (Federal Unemployment Tax Act ) が雇用主に課される。

FUTA は連邦税であり、各従業員の年間給与($7,000を上限とする)に対して、6.2%の税率で課税される。

連邦とは別に、州もまた失業保険税 State Unemployment Tax を雇用主に課している(従業員にも課する州もある)。

FUTAは、州の失業保険税から5.4%を上限として税額控除できる。多くの州は5.4%の税率を適用している。

 

【優遇税制等】

(1) 投資税額控除は1986年改正税法で廃止されたが、投資税額控除余裕額は3年の繰戻し又は15年の繰越しが認められている。但し、1986年以前購入の資産に関わる投資税額控除の繰越額は35%の減額がなされ、65%のみが利用可能。

 

(2) 研究開発税額控除があり、

@ 適格研究開発費が直近の3年間の平均額を超過する部分

A 基礎研究費

20%が連邦法人税から税額控除できる。

研究開発税額控除は1992/6/30を以って廃止となっていたが、遡及的に復活され、1995/6/30迄に支払った或いは発生した費用にまで適用される。

 

(3) 低所得者用住宅建設税額控除が、10年間に亘って毎年請求できる。

@ 連邦政府の補助金なしに建設された新規建物のbasis 70%

A 中古の建物のbasis 30%

B 連邦政府の補助金を受けて建設された新規建物のbasis 30%

を上記の期間で割引いた場合の現在価値と税額控除額とが等しくなるように税額控除の率が設定される。

 

(4) 修復・保存投資税額控除により、歴史的建造物と認定されたものの修復保存に対して20%1935年以前に使用開始された建物で適格と認定されたものの修復保存に対して10%の税額控除が認められる。

 

(5) 雇用促進税額控除がある。

障害者等一定の経済的弱者に属する従業員に対して支払う初年度の給与額の40%が税額控除できる。損金となるのは、給与額−税額控除額

この税額控除は、期限を延長して、1992/6/30以降1994/12/31以前に職に就いた従業員に遡及的に適用される。

 

(6) 事業エネルギー投資税額控除が、太陽熱発電、地熱発電、海温差発電、バイオマスの設備に適用される。

 

(7) 州政府並びに市町村等の当局が各種の優遇措置を提供している。

 

(8) 産業区域制度 Enterprise Zones

1994年、1995年度中に、9つの Empowerment Zone 95 Enterprise Communities が指定された。

これらの区域では、一定の条件の下で、優遇措置を受けることが出来る。

@ 支払給与の20%を税額控除

A 加速度減価償却

B 免税債の発行

 

(9) 産業振興債 Industrial Revenue Bond は、1992/6/30で有効期限が切れていたが、1993/8/10に復活した。

IRBの発行は当初、1986/12/31までの時限立法であったが、1992/6/30まで数回に亙って更新されていた。

日系企業がよく利用するのは、Sec.144(a)(4) Qualified Small Issue Bond の特例に基づくもの。

1プロジェクトで$10,000,000、1起債者当たり総額$40,000,000迄の起債が可能。

 

【税務調査】

内国歳入庁は詐欺的行為或いは過少申告の疑いがあると考えた場合、納税者の帳簿並びに記録を調査する。更に、内国歳入庁は、犯罪又は間違いの証拠がなくても、税法に準拠しているかを検証する目的で納税者を調査することができる。

税務調査の結果、管轄する税務署長が納税申告書の修正が必要と認めた場合には、課税所得の修正提案書 30-day Letter を納税者に送付してくる。これに対して納税者は、修正提案書を受領してから30日の間に
    @ 課税所得の修正に応じる
    A 内国歳入庁の不服審判所 Appeals Office に異議を述べる
    B 無視して、更正通知 90-day Letter が来るのを待つ
と云う選択がある。
納税者が不服審判所に異議を申立て、そこでも合意が得られない場合にも、税務署長は納税者に更正通知を送付してくる。
納税者は、更正通知を受領してから90日の間に
    @ 租税裁判所 U.S. Tax Court に提訴する(この場合には、納税不足額を納付しておかなくてよい)
    A 地方裁判所 District Court に提訴する(この場合には、納税不足額を納付しなければならない)
    B 納税不足額の徴収に応じる
と云う選択がある。

 

【海外源泉所得】

(1) 外国所得免税という考え方は存在しない。全世界所得が米国法人税の対象となる。

 

(2) 米国企業の海外支店の利益も同様に取扱われる。

 

(3) 粗所得が課税対象となる。此処で云う「粗」とは、外国税額控除前の意。

 

(4) 外国販売会社Foreign Sales Corporations

米国の外国販売会社FSCOECD加盟国有害税制リスト(1998年「有害な税の競争」報告書)にも掲載されているもの。

米国税法は米国企業に輸出優遇措置を提供している。複数の適格米国企業は外国販売会社を設立することが出来る。特別な譲渡価格ルールに基づき、FSCに配賦された所得の一部に対して免税の措置がある。FSCとして適格とされるためには、指定された外国又は属領の法律に基づいて設立される必要がある。各取引に関わる当該企業の経営と経済的処理過程が米国外で行われさえすれば、FSCは恩恵を受けることが出来る。

 

【海外源泉キャピタル・ゲイン】

(1) 海外源泉キャピタル・ゲインは全額が米国キャピタル・ゲイン税の対象となるが、当該キャピタル・ゲインに海外で課された税金は、外国税額控除が可能。

 

(2) 海外支店を外国会社に譲渡し、代りに当該外国会社の株式を受取るというような特定の場合に限り、キャピタル・ゲインに対する課税の繰延べが可能。

 

(3) 外国に於ける為替管理その他の制限によりキャピタル・ゲインが直ぐにはUS$に交換できず、所得が「封鎖」されている場合にもキャピタル・ゲインの課税の繰延べが可能。

 

【外国税額控除/二重課税の排除】

(1) 海外源泉所得並びに海外源泉キャピタル・ゲインに対して海外で課された税金は、税額控除或いは損金算入が認められる。

 

(2) 上記の税額控除或いは損金算入は、当該税金を課した外国が米国と租税条約を締結しているか否かには関わりなく、認められる。租税条約が締結されている場合は、租税条約で税額控除或いは損金算入の方法が規定されているのが通常。しかし条約が締結されていない場合でも、米国税法により、同様な方法が適用される(片務的救済)

以下は、租税条約の有無に関わらず、適用される規定である。

 

(3) 外国税額控除を適用するには、当該外国税は純所得或いはキャピタル・ゲインに課税されたものでなければならない。売上高に課された税は、損金とはなるが、税額控除の対象とはならない。

 

(4) 米国税法は、外国税額控除制度に関して、一括控除方式を採用している。

会社は外国並びに属領で支払った所得税の全てを合計する。この合計額は、米国税債務に国外源泉所得を分子、全世界所得を分母とした分数を乗じた金額が上限となる。

                                                     国外源泉所得
        控除限度額 = 法人税債務 × ────────                   
                                                        全

(此処で云う法人税債務とは、全世界所得に対して計算された通常の米国税額)
この控除限度額を超える部分は損金となるのみ。

 

(5) 特定の国外源泉所得に対する外国税額がそれに対応する米国法人税額或いはキャピタル・ゲイン税額を上回っても、他の国外源泉所得或いはキャピタル・ゲインに対応する米国法人税額から控除できる(つまり、上記の控除限度額の範囲内であれば、彼此流用できるということ)。

 

(6) 1986/12/31以降に開始される税務年度には、特定の種類の所得に関して特別の限度枠が設定されている。この特別限度額の対象となるのは、非積極的所得 Passive income、高率の源泉税が課された利子所得、金融サービス所得、海運所得、特定の非支配会社からの配当金、米国国際販売会社(DISC)からの配当金、FSCの海外貿易所得並びにFSCからの配当金である。1986年改正税法では、特定の場合、配当金、利子、家賃並びにロイヤルティーで被支配会社から受領したものは、サブパートF所得と同様に、look-through ルール(その実態を個別的に判断すること)に従い、所得及び利得に比例的な割合で所得を特別の限度枠に組替える。

 

(7) 控除限度額を越えた外国税額は、2年の繰戻し並びに5年の繰越しが認められ、一括控除限度額方式で取扱われる(つまり、国別或いは源泉別の繰戻し/繰越しは行わないということ)。

 

(8) 外国税額控除に適格の所得を算出するに当って、国外源泉所得から関連する費用を差引かなければならない。外国税額控除限度額に於ける費用の賦課並びに配賦に関する規則にこれらのルール適用上の指針が示されている。

 

(9) 1986/12/31以降に開始される税務年度からは、(6)の特別の限度枠での損失は、同じ(6)の特別の限度枠での所得と相殺してから、国内所得と相殺する。

 

(10) 国外から配当金を受領した場合、外国税額控除は、配当金に課された源泉税に、配当金の原資とした所得に関連して外国会社が支払った税金を加算する。

(つまり、間接税額控除の制度を採っている。)

 

(11) 米国会社が外国会社から配当金を受領すると、外国会社が支払った税金に対して「看做外国税額控除」を適用することが出来る。この間接税額控除を適用する為の持分上の要件は、

@ 米国会社は外国子会社の議決権株式の10%以上を所有すること

A 外国子会社は外国孫会社の議決権株式の10%以上を所有すること

B 外国孫会社は外国曾孫会社の議決権株式の10%以上を所有すること

米国会社が外国孫会社或いは外国曾孫会社から配当金を受取る場合には、上記に加え、孫会社並びに曾孫会社の議決権株式の5%以上を間接的に所有していなければならない。

米国会社が外国孫会社或いは外国曾孫会社の株式を直接所有する分は、上記の間接所有分には加算出来ない。

この間接税額控除は、曾孫会社より下の会社から受取った配当金には適用できない。グロスアップ方式の考え方では、配当金を受領する株主である米国会社は、配当金所得を、看做し外国税額の分だけ増額せねばならない。

 

(12) 配当金が支払われる原資となった外国所得を算定するのには詳細な規則がある。1986年以前の年度では、直近の年度の所得から後入先出法で過去の年度の所得に遡るという方法を採ったが、1987年以降の年度からは1987年及びそれ以後の年度の所得から先入先出法で配当が支払われたものと看做すことになっている。

 

(13) 外国税額控除の代りとして、米国法人税の対象となる国外所得或いはキャピタル・ゲインを算出するに当り、外国税額を損金に計上することも可能。これは米国で支払うべき税額が僅少の場合、例えば、税務損失の場合には利点がある。

 

(14) 米国はその租税条約で、タックス・スペアリングは一切認めていない。

米国はブラジルと租税条約を締結していないが、ブラジルがタックス・スペアリングを強硬に要求しているからという。

 

【移転価格】

(1) 移転価格税制は内国歳入法第482条が根拠条文となっている。

内国歳入法第482 納税者間に於ける所得及び控除の配分

 「二以上の組織、営業若しくは事業(法人格を有するか否か、合衆国において設立されたものであるか否か、及び連結申告をする要件を満たしているか否かを問わない)が、同一の利害関係者によって直接又は間接に所有され又は支配されている場合には、財務長官又はその代理人は、脱税を防止するため、又は当該組織、営業若しくは事業の所得を正確に算定するために必要と認めるときは、当該組織、営業若しくは事業の間において、総所得、所得控除、税額控除又はその他の控除を配分し、割当て又は振替えることができる。

 無形資産(第936(h)(3)(B)に規定するものに限る)の譲渡又は実施権の供与の場合には、当該譲渡又は実施権の供与に係わる所得は、その無形資産に帰すべき所得の金額と釣合いのとれたものでなければならない。」

この第482条の前段部分は、1928 内国歳入法第45条の「内国歳入庁長官は関連者間の所得額を配分し得る」という条文がその前身。1935年には、内国歳入法第45条の規則も制定されていた。

又、後段部分は、1986年のレーガン税制改革により挿入されたもので、スーパー・ロイヤルティ条項と呼ばれる。

1968年には、第482条に関する財務省規則改定が行われ、これが1993年の暫定規則、1994年の最終規則制定まで、移転価格税制の実務指針とされたが、

(1) 役務提供については、独立企業間価格を用いると規定するだけで、比較対象取引が存在しない場合についての指針は示されていない。

(2) 無形資産の使用・移転については、独立企業間価格を基に算定する。適切な比較対象取引が存在しない場合に考慮すべき12の要素を掲げているが、各要素の相対的な重要度については触れていない。

(3) 有形資産の移転について独立企業間価格を算定する方法としては、

比較対象取引が存在する場合、

 @ 独立価格比準法

 A 再販売価格基準法

 B 原価基準法

を、この優先順位で適用する。

以上の3つの方法が適用できない場合にのみ、その他の方法を適用する。

 C その他の方法

しかし、比較対象取引が存在しない場合については、現行の規則が全く指針を与えていない。

という多くの問題点があった。

更に、1986年のレーガン税制改革により、所得相応性基準 Commensulate with income を導入。第482条の後段、「無形資産の譲渡又は実施権の供与の場合には、当該譲渡又は実施権の供与に係わる所得金額は、その無形固定資産に帰すべき所得の金額に相応するものでなければならない」といういわゆるスーパーロイヤルティー条項が追加されたことで、その具体的な施行規則としての財務省規則の改定が急がれることになった。

 

88/10/18 財務省が中間報告という形で移転価格白書を発表。ここで提示された考え方の多くが、1993年の暫定規則及び1994年の最終規則に取入れられている。

 

482条スーパーロイヤルティー条項の所得相応性基準の具体化並びに基本的独立企業利益率法 Basic Arms Length Return MethodBALRM ボールルーム)を提唱。

第一部     482条の歴史

「独立価格比準法の第一位優先順位を残すことは理論的に正当な理由があるが、再販売価格基準法を原価基準法に、又は再販売価格基準法、原価基準法をその他の方法に優先適用する理由はないように思われる。むしろ、最善の資料が入手でき、かつ調整項目が最も少ない方法が適用されるべきであろう」

⇒暫定規則、最終規則の BEST METHOD RULE につながる。

 

比較対象取引が存在しない場合には、「その他の方法」が適用されることになるが、これまで判例等で採用されてきた方法は下記の2つがある。

@ プロフィット・スプリット法

比較対象取引が存在しない場合に裁判所が最も多く用いる方法。

問題とされている取引に配分すべき総利益を決定し、次に、合理的と看做される何らかの比率(5050とは限らない)に基づき、この総利益を関連者間で分割する。この比率を決めるに当たっては、各当事者の果たした機能、使用資産、リスク負担を勘案することとされるが、明確な基準があるわけではない。PPGインダストリーズ事件、リリー事件では5545が用いられたが、何故この比率になったかについて裁判所は何も説明していない。

A 利益率による方法及び所得と経費の比率による方法

   Berry's Ratio(粗利益/総営業費用)

   資本利益率法(利益/資本)

Berry's Ratioも資本利益率も、直接これらを用いて第482条に基づく配分を行ったわけではなく、むしろ内国歳入庁が行った所得配分の結果の合理性を弁護するために用いられたにすぎない(デュポン事件参照)。

しかし、内国歳入庁としては、比較対象取引が存在しない場合には、これらの方法を移転価格決定に直接適用したいという意向がある。

931月の第482条暫定規則で、この Berry's Ratio と資本利益率法(営業利益/営業資産)とが売上高営業利益率法とともに比較対象利益比準法の利益水準指標として正式採用されることになった。

B 関税評価による方法

米国の関税当局が決定した価格を使用するものだが、必ずしも納税者を拘束するものではないとされる。

 

第二部     1986年税制改正後の第482

「相応性基準」の下では、無形資産に帰属する所得に大幅な変化があった場合に、それを反映させるべく、移転価格に対し定期的な調整を行わなければならないとした。

無形資産から発生する所得に応じて、無形資産供与の対価(ロイヤルティー)を決定することは、租税条約で規定されているアームズ・レングス基準から乖離し、二重課税を引起すという批判があった。しかし、適正な比較対象取引がない場合に限り関連者が無形資産から得る所得に重点を置くのであれば、アームズ・レングス基準に違反することにはならないと考える。

又、定期的調整についても、「納税者は、アームズ・レングスで行われた取引に関する資料により、非関連者の取引においてもそのような調整が行われなかったであろうことを立証できる場合には、当該調整は行う必要がない」とすれば、租税条約に規定されているアームズ・レングス基準とも斉合的であると考える。

 

第三部     無形資産移転の評価方法

まず、機能分析を行い、

@ 比較対象取引が存在する場合には当該比較対象取引を用いる。

    正確な比較対象取引 Exact Comparables

同一の無形資産を含んでおり、十分に類似した環境下の移転であることが要求される。より具体的には、外部基準として、市場規模・経済発展のレベルが十分類似していること、負担した経済リスクの程度・果した機能が類似していること、内部基準として対価の金額・支払形態が十分類似していること、技術サービスの提供・研修の取扱いが同等であること。

    正確でない比較対象取引 Inexact Comparables

上記の外部基準・内部基準ができる限り類似しているもので、合理的な数の調整を行うことにより契約条件に明確かつ確認可能な影響を与える差異を調整することができる場合に、使用することが出来る。

931月の第482条暫定規則で、 と とを纏めて、無形資産の譲渡に於けるCUT法として取入れられることになった。

A 比較対象取引が存在せず、関連者の一方が重要な無形資産を使用していない場合、当該関連者に対し、基本的独立企業間利益率 Basic Arm's Length Return Method (BALRM)を用いる。

   流動資産以外の資産(生産用資産のこと)に係わる利益率

   営業コストに対する所得の比率(所謂 Berry's Ratio

931月の第482条暫定規則で、資本利益率法(営業利益/営業資産)と Berry's Ratio とが売上高営業利益率法とともに比較対象利益比準法の利益水準指標として正式採用されることになった。

B 関連者の双方が自分で開発した重要な無形資産を使用している場合は、BALRM のプロフィット・スプリット版を用いるしかない。

関連者双方の機能分析を行い、それぞれの機能に帰属する利益をBALRM の資本利益率法を用いて算定する。残りの利益が重要な無形資産に帰属する利益ということで、関連者が所有する無形資産の相対的価値に基づいて分配する。とはいえ、どのような比率で分配するかは、判断の問題となる。

 

一つの経済取引に有形資産や無形資産の移転並びに役務提供が含まれている場合、基本的な所得の配分は、無形資産のルールが適用されるべきだとしている。

 

第四部     コスト・シェアリング

「コスト・シェアリング契約とは、開発に成功した無形資産に対し特定の権利を得る代りに、研究開発の費用及びリスクを各参加者が分担するという二以上の者の間の契約のことである」が、これにも「所得相応性基準」を導入する。即ち、「参加者が負担するコストは、コスト・シェアリング契約に基づいて開発された無形資産の利用によりその者が得ると合理的に予測される利益に比例していなければならない。」

「予想利益を見積るに当っては、多くの場合、生産量や売上高が測定基準として認められ得るがそれぞれの参加者の権利の収益性に大幅な差異があることが明かである場合には、・・・予想利益率又は予想純利益が用いられるか、或は生産数量又は売上高に基づいて決定された分担コストに何らかの調整が行われることになろう。」

 

92/01/24 米国内国歳入庁が第482条の財務省規則改正案を公表

(1) 比較対象利益幅 Comparable Profit Interval 概念の導入

「比較対象利益幅」CPI を無形資産の調整可能取引比準法、有形資産のRP法、CP法、その他の方法によって得られた価格の有効性を検証するために使用する。

又、無形資産の比較対象利益比準法において無形資産の価格を算定するのに使用する。

情報収集年度は課税年度を含む前後3年。

利益水準指標としては、資産収益率(営業利益/期首・期末の総資産の平均)、営業利益率(営業利益/売上高)、BERRY'S RATIO(粗利益/販管費)、その他の利益率(営業利益/労働コスト等)、比較対象プロフィット・スプリットが信頼できるものとされる。

例えば、営業利益率であれば、前後3年間の平均の営業利益を同期間の平均の売上高で割って、平均の営業利益率を算出する。

比較対象会社の前後3年間の平均の資産収益率、営業利益率、BERRY'S RATIO 等を求め、これを検証対象者の総資産、売上高、販管費に乗じて検証対象者の看做し営業利益(COI)を算出し、これをマトリックスにする(BERRY'S RATIO の場合には、販管費にBERRY'S RATIO を乗じた上で、販管費を差引いて看做し営業利益を求める)。

ある比較対象会社の利益水準指標(複数)を用いて得られた看做し営業利益がお互いに近い数字にならない場合(HORIZONTALLY DIVERGENT)は、その比較対象会社が比較対象会社として適当でないということを示している。又、ある利益水準指標を適用して得られた看做し営業利益の中に飛び離れたものがある場合(VERTICALLY DIVERGENT)も、そのような看做し営業利益をもたらした比較対象会社が比較対象会社として適当でないということを示している。

これらの比較対象会社として不適当とされたものの利益水準指標を適用して得られた看做し営業利益は比較対象利益幅から除外される。

検証対象者の前後3年の平均営業利益が上で求められた比較対象利益幅に収っていればシロとなる。

 

(2) 無形資産取引に係わる独立企業間価格の算定方法

IRSは低い順位のものを採用するに当たり、高い順位のものが適用できないことを立証する必要はない。但し、納税者が優先順位の高いものが適用できることを立証すれば、当該優先順位の高いものが採用される。

【第1順位】マッチング取引比準法 Matching Transaction Method

同一の無形資産で、同一若しくは本質的に類似している経済状況及び契約条件でなされている第三者間取引があることが必要。経済状況及び契約条件が同一でないものについては調整が必要。差異がマイナーなものではない場合、或いは調整金額が合理的正確性をもって算定できないような場合にはこの方法は採用できない。

白書で言う「Exact Comparable がある場合」がこれに相当する。

この方法で、関連者間の取引価格が独立企業間価格にかなっていると証明できれば、比較対象利益幅 CPI による検証は不必要となる。

【第2順位】調整可能取引比準法 Comparable Adjustable Transaction Method

同一又は類似の無形資産で、調整可能な経済状況、契約条件の下でなされた第三者取引が存在することが必要。マッチング取引比準法のように経済条件等が本質的に類似している必要はなく、経済条件等の差異がマイナーなものに留まることも要求されてはいない。

但し、納税者の営業利益水準が比較対象利益幅の外になった場合にはこの方法は採用できない。

白書でいう「Inexact Comparable が存在する場合」に相当するとされる。

【第3順位】比較対象利益比準法 Comparable Profit Interval Method

この方法は白書でいう「比較対象がない場合」に相当し、上記の2つの方法が適用できない場合に適用される。

関連者間での無形資産に係わる取引価格の結果、調査対象者の営業利益が比較対象利益幅に収まっていればその価格は独立企業間価格とされる。(譲受人が対価を支払っていない、或いは著しく低い対価しか支払っていないような場合には、比較対象利益幅に収まっていようがいまいが、調整が行われる。この場合、下記の配慮も適用されない。)

幅の外にはみ出してしまった場合は、比較対象利益幅の中の最も適切な利益(平均値?)となるように調整する。但し、はみ出し方が著しくない場合は、幅の内に入るように調整するだけで許して貰える。

 

(3) Comparable Profit Interval 概念の有形資産取引への適用

有形資産の場合、独立企業間価格の計算方法の順位は、CUP法を第1位とすることは従来と同様だが、RP法、CP法、その他の方法は同順位とされることになった。

CUP法を除くいずれの場合にあっても、その計算方法が適正であるか否かは、その結果得られる営業利益が比較対象利益幅に収まっているかどうかによってチェックされる。

その他の方法としては、利益水準指標 Profit Level Indicator が利用される。この場合、最適な方法とは、その方法を適用した結果として営業利益が比較対象利益幅の中の最も適切な利益となる方法とされる。

 

(4) Profit Level Indicator の設定

利益水準指標は6つの段階を経て検出される。

Step 1 検証対象者の選定

(海外子会社への無形資産の譲渡に帰属すべき米国の親会社の所得に調査の関心がある場合には、比較対象利益幅はその子会社について計算される。検証対象者は税務調査の対象者とは限らない。)

Step 2 検証対象者の適用対象産業分類の決定

Step 3 看做し営業利益の決定

Step 4 Comparable Profit Interval の決定

Step 5 Comparable Profit Interval における最適ポイントの決定

Step 6 関連取引における移転価格の決定

Comparable Profit Interval 概念は、納税者が自ら比較対象取引を見つけなくても独立企業間価格で取引を行っている同業他社の公表営業利益等を参考にして価格を設定すれば良いので負担も少なく、且つ、独立企業間価格の理論とも整合がとれたものだ」とされる。

 

(5) 適格 Cost Sharing 契約

関連者が事前に研究の費用を分担し、その結果としての無形資産から生じる利益を、開発者に対する追加的な費用を支払うことなしに、関連者間で配分する。

 

93/01/13 米国内国歳入庁が第482条の財務省暫定規則等を公表

(1) 内国歳入法第482条に基づく暫定規則

(2) 外国法規制及び利益分割法に関する規則案

(3) 移転価格ペナルティーに関する規則案

 

91/03/19IRSが相互協議に関する新しい手続きを制定(歳入手続91-23

(1) 米国側の権限ある当局とは、内国歳入庁国際部長(Assistant Commissioner International)であると明確化。(日本は国税審議官が該当する)。

(2) 相互協議の申し立てを行わなかった場合、外国税額控除の全部又は一部を否認される場合がある。租税条約を締結していないような国との関係で二重課税が発生した場合は相互協議は開始しない。(日本も同じで、相互協議が行われない限り、納税者が勝手に直したものについては外税控除は認めて貰えない。)

(3) 米国の居住者以外は、相手国の権限ある当局に対し相互協議の申し立てをしなければならない。本邦企業の米国支店はIRSに対して相互協議の申し立てはできない。

(4) 外国で課税が行われた場合には、調整に対する相手国の立場が権限ある当局による協議が可能な程度十分明らかになった段階で、その調整が正式に提案されたか否かにかかわらず、できるだけ早期に、米国の権限ある当局に対して相互協議の申し立てを書面で提出しなければならない。

逆に、IRSが移転価格課税を行った場合、相互協議の申立書は調整提案額が決定し、納税者に文書で伝達された後、出来るだけ早く提出すべきである。

(5) 米国で課税を受けた事案については、原則として、Appeals Office での審理を経た後でなければ、相互協議は行わない。

(6) 但し、米国の権限ある当局が、当事者の最良の利益になると判断した場合には、相互協議の申し立てを受け付ける。例えば、適用する方法で合意が成立しているが金額が折り合わないというような場合、或いは、適用する方法で合意が成立しないというような場合が含まれる。

(7) 裁判所で係争中の事案に関する納税者からの相互協議申し立てについては、次席法律顧問官(Associate Chief Counsel (International))の同意がなければ受理しない。

(8) 裁判所で判決(和解を含む)が確定すると、米国の権限ある当局は、条約相手国から対応的調整を得るよう努力するのみで、納税者の対象課税年度における連邦税額を減少させる措置は採らない。

(9) 納税者が対象課税年度の調査中、内国歳入庁に協力しなかったような場合は、相互協議を受け付けない。調査非協力の例としては帳簿の不提示や資料の不提出も含まれるとされるが、明確なガイドラインは公表されていない。

 

91/03/01IRSが事前確認制度(Advance Pricing Agreement)の手続きを公表(歳入手続91-22

( 1) 移転価格の算定方式 TPM の将来の年度への適用についての事前確認の合意の方法を定めたもの。

もし当事者が合意すれば、現在IRSの調査が行われている過去の課税年度、或は過去の未調査年度をAPAの対象として含めることも可能とのこと(実際、松下のケースで適用された)。

( 2) TPMが適切なものであると判断されれば、IRSは条約相手国の権限ある当局とAPAに関する合意を締結する。

( 3) APAは、§482条に則ったものであり、CUPRPCPの3つの方法が適用できないことを論証して初めて第4の方法を用いることができる。

( 4) TPMは最小限の調整をもって、所得を正確に反映するような独立企業間の結果 Arm's Length Results の予想される範囲 Range を示すものでなければならない。

( 5) 納税者は、関連価格データ(CUP法?)を確保しなければならない。

それができない場合は、比較対象と思われる取引、事業体 Comparable を特定しなければならない。更に、Comparable も存在しない場合、納税者は第4の方法が適切であることを証明しなければならない。

つまり、APAComparable が存在するか否かに拘らず適用できる。

( 6) 納税者はAPAを申請するに当たり、APAの適合性を非公式に調べるため、事前相談を要請することができる。

( 7) 外国語の資料に付いては、証明書付きの英訳を添付すること。

( 8) 原則として、納税者の過去3年間の財務・税務データに対して、一貫した方式でTPMを適用し、説明すること。

( 9) 提出書類の範囲を特定。事前相談で別途合意することも可能。

(10) Comparable との比較のベースとするための指標として、粗利率、ベリー比率、営業利益率、資産利益率等をサジェスト。これらの指標に必要な調整を施してから、指標の幅の検討を行う。

(11) 納税者はIRSへの年次報告書で何を報告するか、その項目を申告。

(12) 納税者がAPAの有効年数を提案する。

3年から5年というのが一般的とのこと。

(13) 納税者はAPAの申請書に、権限ある当局間の相互協議を希望するか否かを記述する。

(14) APA申請の手数料は、各申請、各更新毎に$5,000

(15) APA申請の審査をするのは首席法律顧問官。

(16) 権限ある当局間の合意を待ってからAPAを締結することもできる。

(17) APAと類似の申請が米国の条約相手国によって開始され、米国の権限ある当局に申し入れられた場合、本歳入手続に則って処理される。

(18) IRSが納税者から受理・作成した情報は、全て租税条約上の情報開示制限の下に服する。

(19) IRSは「独立専門家」の意見を求めることができるが、この意見はどの関係者をも拘束しない。

(20) APAで提出された資料で、事実関係以外のものは、APAが対象としない課税年度・取引・人に関連した司法・行政手続きの証拠とはされない。

(21) 納税者はAPAがカバーする各課税年度毎に、APAを遵守したことを裏付ける年次報告書を、納税申告書提出後90日以内に次席法律顧問官(国際担当)に提出しなければならない。

(22) 課税年度の実績に対してTPMを適用した結果がAPAで予定されていた幅 Range の外にあり、且つ、APAで特定された限度内 Specified Limitに入っている場合には、APAは納税者とその外国関連者がこの結果を規定の幅まで動かすような補償調整 Compensating Adjustment を行うことを認めている。

(23) APAがカバーする課税年度においては、補償調整を発生ベースで織込んで課税所得を計算する。

(24) 納税者又は外国関連者は、補償調整が発生した年度の申告書提出日より90日以内に、補償調整額を相手方に支払わねばならない。

(25) 税務署長はAPAがカバーする課税年度の調査を行うに当たり、APAの根幹をなす重要な前提が妥当であるか等についてのみチェックし、TPM自体の再評価は行わない。

(26) 納税者とIRSは、APA手続中の何時でも、記録保存についての合意を締結することができる。

(27) 納税者の申請に重要な事実が欠如していたり、或いはAPAの誠実な遵守が欠如していた場合で、納税者に詐欺又は不正行為、或いは無視行為があったと税務署長が首席法律顧問官の同意を得て判断した場合は、IRSAPAを無効にできる。

(28) APAが無効となった場合、IRSは法人税の不足額及び追加額を決定できる。又、相互協議による救済は拒否され得る。

(29) APAの重要な前提に変化が生じた時は、当該年度の年次報告書提出日以前に、首席法律顧問官に、裏付けデータと修正を行うことが適当かについての意思表示をしなければならない。

(30) APAの更新の申請は、有効期間終了の9ヶ月前から提出できる。

 

【外国投資会社】

(1) 投資会社には外国投資会社(FIC)と非積極的外国投資会社(PFIC)の2種類がある。

 

(2) 外国投資会社(FIC)とは、

@ 1940年投資会社法により登録されたもの、又は、

A 主として投資、又は有価証券、コモディティ、先物或いはオプションの売買の事業に従事する会社で、look through ルール(個別に実態を判断)に基づき、外国の事業主体を通じての株式所有も考慮した上で、その持分の50%以上がアメリカ()人により所有されているもの

の孰れかである。

原則として、FICの株式の売却益は、1963年以降の所得並びに利得(E&P)のうちの株主の持分比例部分の範囲内で、通常の所得として取扱われる(つまり、キャピタル・ゲインではなく配当金に準じて扱われるということ)。関連する条文は内国歳入法第1246条。

 

(3) 非積極的外国投資会社(PFIC)とは、

@ 当年度の粗所得の75%以上が非積極的所得であるもの、又は、

A 非積極的所得を産み出す資産又は非積極的所得の稼得のために所有されている資産が全資産に占める比率の平均値が50%以上となるもの

これらの基準を適用するに当り、外国会社は、自身がその持分の25%以上を所有する会社の所得と資産の持分比例部分を含めなければならないが、利息、配当金、家賃及びロイヤルティーで関連者から受領したものは、関連者の非積極的所得又は非積極的資産に配分される範囲内で、非積極的所得として扱えばよい。

従って、大まかに云えば、利息、配当金、家賃及びロイヤルティーが積極的事業に従事する関連者から受領されるのであれば、PFIC法制上、非積極的所得としては扱われない。

上記の資産基準を適用するに当って、外国会社は資産の value ではなく資産の relative bases を使用することを選択することが出来る。

外国会社がPFICである場合、看做し繰延べ税額には利息が請求され、株式の処分の年度或いは「過剰分配」(=株主にとっての簿価以上の分配)が行われた年度に支払われることになる。要支払税額は、

@ 過年度に帰属する所得にそれらの年度の税率のうち最高税率を適用したもの

A 上記の税金に対する利息

B 株式の処分に帰属するキャピタル・ゲインに対する税額

PFIC株式の処分益或いはPFICからの「過剰分配」は、投資を行ってきた期間に毎年均等に稼得されたものと看做される。

所得を直ちに分配する路を選ぶ外国投資会社はPFICではない。PFICが「適格選択基金」(qualified electing fund) に該当し、各株主がPFICの所得の持分比例部分を自己の粗所得に含めることを義務付けられているのであれば、PFICの所得税繰延べルールは適用されない。

 

【非公開外国持株会社】

(1) 外国会社で、議決権株式の50%超又は株式価額の50%超が5人以下の米国市民又は米国居住者により直接又は間接に所有されており、且つ、その粗所得の全源泉の60%以上が非積極的所得+キャピタルゲインから構成されているものが、非公開外国持株会社と定義される。関連する条文は内国歳入法第552条。

 

(2) 非公開外国持株会社条項により外国会社の米国株主は、非公開外国持株会社の所得並びにキャピタルゲインの留保額のうちの持分比例部分を自己の粗所得に配当金として含めることが義務付けられている。

 

(3) 看做し所有者ルールのもとでは、非居住者である配偶者が所有する株式は、居住者である配偶者に帰属するものと看做される。

 

(4) 米国株主は非公開外国持株会社に関する情報申告書を毎年提出せねばならない。

 

(5) 非公開外国持株会社の税務年度は原則として主要な米国株主の税務年度と一致させねばならない。

 

【被支配外国会社 サブパートF】

(1) 外国会社が、議決権株式の50%超又は株式価額の50%超を「米国株主」により直接又は間接に所有されている場合、被支配外国会社(CFC)となる。関連する条文は内国歳入法第957条。

 

(2) 此処で云う米国株主とは、米国市民又は米国居住者(自然人)、会社、信託又は遺産財団で、外国会社の議決権株式の10%以上を所有している者。

 

従って、被支配外国会社とは、議決権のある株式の10%以上を所有しているアメリカ株主の株式を合計すると当該外国会社の株式の50%超となるもの。

10%未満所有の米国株主の株式は、(1)50%の計算には含まれないことに注意。この点が吾国のタックスヘイブン税制と異なる。

 

(3) 看做し所有者ルールが適用されるが、非公開外国持株会社に適用される場合と異なり、非居住外国人(NRA)による株式所有は、(配偶者である)米国市民又は米国居住者には帰属させない。

 

(4) 当該外国会社の議決権株式の10%以上を所有している「米国株主」は、被支配外国会社が受領した特定の種類の「汚染所得」(tainted income)のうちの持分比例部分を自己の粗所得に「看做配当金」として含めることが義務付けられている。

(株式の所有割合が10%未満の株主は、此処で云う「米国株主」には該当しないので、実際に配当が行われるまで、課税を繰延べることが出来る。)

 

(5) サブパートF所得

サブパートF所得には、被支配外国会社が設立された国を除く全ての国の保険業所得並びに「外国拠点会社所得」が含まれる。

「外国拠点会社所得」は、サブパートF所得の追加的な範疇であり、下記の種類の所得を含めることになっている。

@ 非公開外国持株会社所得

通常これには、家賃、ロイヤルティー、配当、利息、利息等価物、特定の純外国為替利益、コモディティー取引による特定の利益、人的役務提供契約による所得、非積極的所得を生じる資産の売却又は交換による売却益、信託又はパートナーシップ又はREMICの持分の売却益、投資目的で所有している(家賃或いは利息等の)所得を生じない資産の売却益が含まれる。

 

A 外国拠点会社の販売業所得

通常これには、被支配外国会社の設立国外で動産を製造し、設立国外での使用のために動産を購入又は売却するのであれば、関連者が絡んだ取引での動産の購入と再販売による所得が含まれる。

典型的な仕組は、

(i) オフショア販売会社が、非関連者から仕入るか或いは非関連者へ販売するに当り、オフショア会社の外国事業所がオフショアでの売却並びに所有権移転に重大な関与をするもの

(ii) アイルランド製造支店(製造による利益は外国拠点会社の販売業所得ルールの適用を免れる故に)をもつオランダ持株会社が関連ヨーロッパ販売会社(それぞれが設立国の顧客に販売を行う)に販売するもの

これにはヨーロッパ共同市場への無関税でのアクセスという利点もある。

 

B 外国拠点会社の役務提供所得

通常これには、被支配外国会社の設立国外で関連者の為に役務を提供することによる所得が含まれる。

被支配外国会社は、ある関連者の実質的な援助を利用した場合には、他のある関連者のために役務の提供を行ったものと看做される。

例えば、被支配外国会社が非関連の第三者に技術サービスの提供を行うという契約をしたが、親会社から一時的に技術者を雇うというような場合である。

外国拠点会社の役務提供所得とされてしまう事態は、親会社から事業機会を被支配外国会社に移転(内国歳入法第367条による資産の移転ではなく)し、当該被支配外国会社が非関連者への役務提供と契約し、自前の技術者を雇うことで回避しうる。

 

C 外国拠点会社の国際運輸業所得

通常これには、船舶又は航空機を海外の事業で運用することによる所得並びに宇宙及び海洋での事業活動による所得の全てが含まれる。

 

D 外国拠点会社の石油関連所得

通常これには、石油或いはその第一次産品の加工、輸送、貯蔵又は販売から生じる非抽出所得のみが含まれる。外国の油田及びガス田から生じる所得や(自家)使用/消費に関する例外原則で適格とされる所得は含まれない。このルールは原則として主要な石油会社にのみ適用される。

デ・ミニミス・ルールは、税務年度の外国拠点会社の所得と粗保険所得との合計が粗所得の5%未満又は$1,000,000未満であれば、サブパートFの取扱いの例外とすると云うものである。

高税率課税の場合の例外原則が適用されるのは、当該所得又はキャピタル・ゲインに対して外国政府が課す所得税の実効税率が米国の法人税率の90%超となる場合である。

 

(6) 米国株主で被支配外国会社の議決権株式の10%以上を所有する者は、税務年度に於ける当該被支配外国会社の米国資産(有形資産、米国会社の株式、米国人の債務、又は米国に於ける特許若しくは著作権を使用する権利を含む)へ投資された所得の増加に占める持分比例部分を自己の所得に含めることが義務付けられている。許されている投資には、米国銀行口座並びに米国ポートフォリオ有価証券への制限付の投資が含まれる。関連する条文は内国歳入法第956条である。

 

(7) 米国株主で過大な非積極的資産を持つ被支配外国会社の議決権株式の10%以上を所有する者は、被支配外国会社の当年度の所得並びに累積利益の特定部分の持分比例部分を自己の所得に含めることが義務付けられている。

被支配外国会社が過大な非積極的資産を持つとされるのは、非積極的資産の四半期平均残高が総資産の四半期平均残高の25%を越える場合。当年度の所得並びに累積利益のうち米国株主の所得に含めるのは、

@ 93/9/30以降に開始された税務諸年度に累積された所得並びに利得

A 過大な非積極的資産

の内の少ない方の金額である。関連する条文は内国歳入法第956A条。

 

(8) 米国株主で議決権株式の10%以上を所有する者は年次情報申告書並びに被支配外国会社の計算書を提出しなければならない。

 

(9) 被支配外国会社の税務年度は原則として主要な米国株主の税務年度と一致させなければならない。

 

(10) 被支配外国会社からの所得を申告する株主は直接外国税額控除が認められる。法人株主には、被支配外国会社が支払った外国所得税並びに外国キャピタルゲイン税に対し、「看做し外国税額控除」が認められる。「看做し外国税額控除」が個人株主に認められるのは、米国会社であるかのようにして課税されることを選択した場合のみである。関連する条文は内国歳入法第960条並びに第962条。

 

【資産の米国外への譲渡】

内国歳入法第367条は米国の個人並びに事業体が、(キャピタルゲインを生じるような)含み益のある資産を海外に譲渡することに関わる各種の非課税譲渡の条項を利用して、所得税を繰延べること禁じている。

(1) 外国会社への譲渡

この規則は、原則として、譲渡する側に支配されている外国会社への譲渡、特定の事業再編成、並びに外国親会社による米国子会社の完全な清算に適用される。

 

(2) 資産の譲渡に関わる例外原則

例外原則が認められるのは、米国外での事業の積極的運営に使用される資産の譲渡の場合。

 

(3) 例外原則の例外

積極的事業には一般規則は適用しないという例外原則は、特定の「汚れた」流動資産("Tainted" liquid assets)、非積極的投資資産又は無形資産には適用されない。

 

(4) 例外原則の制限

海外支店の資産を外国会社に譲渡した時に実現した利益に付いては、当該海外支店が以前に欠損を生じていた場合には、積極的事業の例外原則には制限がある。

 

(5) 無形資産の譲渡があった場合、仮定的なロイヤルティーを負担させることには特別なルールがある。

所得は、譲渡された無形資産の耐用年数全体をもとに算定される。これは、譲渡益に対して直ちに課税する見返りである。

 

【米国からの資産譲渡にかかる内国消費税】

内国歳入法第1491条により、米国人(事業体、遺産財団並びに信託を含む)が、外国会社への資本金又は資本準備金の拠出、或いは、外国パートナーシップや遺産財団/信託への拠出として、(キャピタルゲインを生じるような)含み益がある資産を外国会社に譲渡する場合には、35%の内国消費税が課される。

(1) 譲渡する側が譲渡を販売又は交換として扱い、利益を計上し、通常の所得税を支払うのであれば、内国消費税は課されない。

 

(2) 1491条の例外原則は、第367条の例外原則と同様。

 

【非居住会社に生じたキャピタル・ゲイン】

特定の外国会社の留保所得並びに留保キャピタル・ゲインは、特定の場合には、課税される。

外国持株会社による株式売却益は、米国株主に課税される。

 

【被支配外国会社の留保所得】

特定の米国株主による被支配外国会社の株式の売却又は交換による利益(清算による利益並びに株式償却による利益を含む)の一部又は全部は、特定の場合には、配当として通常の課税所得という扱いになる。

関連する条文は内国歳入法第1248条である。

(1) 1248条の基本的な目的は、外国会社の留保利益(キャピタル・ゲインを含む)を、米国に間接的に帰属させる場合に、利益をキャピタル・ゲインとして扱うのではなく、通常税率で課税すると云うもの。

 

(2) 米国株主は、売却又は交換を行う以前5年間、被支配外国会社の議決権株式の10%以上を直接又は間接に所有していなければならない。

 

(3) 通常所得

株主は、取引により利益を実現させることが義務付けられる場合にのみ、又、利益を実現させる範囲内でのみ、売却又は交換した株式の対価として受領したものの一部を通常所得として扱うことが義務付けられている。

 

(4) 配当

米国株主は、売却又は交換により計上された利益、又は、特定の制限の下で計算された会社の「所得並びに利益」(米国株主の所得に既に含めていた所得並びに利益は除外する)の孰れか少ない方の金額の持分比例部分を配当金として取扱わなければならない。

 

(5) 個人に適用される税額の上限

個人株主の場合、第1248条により、下記の合計金額を越えて税金を納付する必要はない。

@ 当該外国会社がもし米国法人であったなら支払っていたであろう連邦所得税から外国税額を控除したもの

A キャピタルゲイン部分に対するキャピタル・ゲイン税

 

【非居住会社の米国内での事業】

(1) 非居住会社は、米国源泉の所得、並びに米国での事業に実質的に関連する所得について米国で課税される。代替ミニマム税の対象ともなる。

 

(2) 非居住会社は通常は米国で事業を行うことはないであろうが、米国内で売買契約の締結、賃借物件の購入、製造、又は役務提供を行うと事業を行っていると看做される。

 

(3) 所有権移転ルール Title passage rule

1986年税制改革法は旧い所有権移転ルールを破棄した。今では、非居住者が事務所又は事業の固定的施設を米国に保持している場合、当該事務所に帰属する動産の販売による所得は米国源泉となるが、非居住者が事務所又は事業の固定的施設を米国外に保持しており、当該国外事務所等が販売に重大な関与をしている場合、米国外での使用、処分又は消費のために販売される棚卸資産は除く。

 

(4) 租税条約

非居住会社が米国で事業を行っている場合でも、当該非居住者の居住地国と米国との間に租税条約があれば、当該会社が米国に支店、恒久的施設或いは当該会社の為に常習的に契約を締結する権限を持つ従属代理人を置いている場合にのみ米国で課税されると規定されているのが通常。

 

【米国支店】

(1) 事業所得並びにキャピタル・ゲイン

米国支店の実質的に関連する事業所得並びにキャピタル・ゲインは、米国会社と同様な課税基準で計算され、米国会社と同一の税率で課税される。

事業損失並びにキャピタル・ロスの繰戻/繰越の規則も米国会社の場合と同一。

 

(2) 米国支店の税債務

米国支店は、米国源泉の所得並びに米国での事業と実質的に関連する所得に対してのみ法人税を課される。

 

(3) 米国源泉所得で、米国支店の事業と実質的な関連がないものは、米国の源泉税30%の対象となるが、租税条約の規定によっては減免がある。

但し、後述のように、米国資産からの賃貸料で、事業のactive conduct で受領した場合には、純所得ベースで納税申告をしなければならない。

 

(4) 支店利益税

86/12/31以降に開始された年度に稼得された課税所得に関しては、外国会社の米国支店が本店に送金したと看做される金額(配当金相当額)に対して30%の支店利益税が課される。これは支店の米国所得に対する通常の法人税に付加して課されるものである。支店利益税は、米国会社として取扱われることを会社が選択した場合であっても、不動産からの家賃収入並びにキャピタルゲインを含めた米国支店の実質関連所得に対して課される。当年度の所得で当該支店の米国事業に再投資されなかったものは、当該支店が前年度に赤字であっても、支店利益税の対象となる。これは、支店から本店に送金された利益と、米国子会社が外国親会社に支払う配当とで、税務上の取扱いを同等にするという意図。

 

(5) 租税条約

支店利益税は、納税者に適用するに当り、米国の租税条約上の義務で納税者に適用されるものを正当に考慮しなければならない。しかしながら、当該外国会社が米国と租税条約(条約漁り防止条項)を締結している外国の適格な居住者でないならば、租税条約による租税の減免はなされない。

外国会社が、米国が租税条約を締結している外国の居住者であれば、税率は租税条約上の支店利益税率が適用される。

 

(6) 支店利子税

支店の米国事業から支払われた(或いは支払われたと看做される)利子は米国源泉であり、特定の免除措置又は租税条約により減免されていないのであれば、米国の源泉税(30%)の対象となる。支店が支店に割振った利子が支店が実際に支払った額を上回る部分に付いては、米国子会社が外国会社からの名目的な借入金に支払った利子として扱われる。この超過部分は30%の源泉税の対象となる。

 

(7) 追掛け税 Second-level withholding tax

外国会社が米国源泉所得から支払った利子並びに配当には追掛け税が課される。しかしながら、支店に支店利益税が適用される場合、現実には支店利益税が支払われていなくても、配当に対する追掛け税は課されない。追掛け税が適用される場合、外国会社の粗所得の25%以上が米国での事業と関連している場合、当該外国会社が支払った利息並びに配当の内の米国源泉所得比例部分が源泉税の対象となる。租税条約により通常は利子並びに配当に対する源泉税率は軽減される。

 

【米国アドミニストレイション・オフィス又はリエゾン・オフィス】

(1) 米国は国際事業の戦略的な場所であり、多くの外国事業者がアドミニストレイション・オフィス又はリエゾン・オフィスを米国に設立したいと望んでいる。

 

(2) リエゾン・オフィスの活動が原因で非米国会社が米国で課税されると云うことはない。

 

(3) 通常、米国が他の国と締結した租税条約の殆どでは、米国のオフィスが、購買、情報収集又は製品広告を行っているだけでは、当該外国事業体の米国での支店には該当しないとしている(単純購買非課税の原則)。

 

【非居住者のその他の米国源泉所得】

(1) 下記の粗所得には30%の源泉税が課される。

@ 利子

A 配当金

B 特許、著作権、商標、フランチャイズ、秘密工程並びに類似の項目からのロイヤルティー

C 米国資産からの賃貸料、但し、事業のactive conduct で受領した場合には、純所得ベースで納税申告をしなければならない

利子、配当金、ロイヤルティーの場合には、租税条約により30%の税率は軽減され、場合によるとゼロとなることもある。

 

(2) 特定の場合には、米国の銀行が外国会社に支払った利子は非課税となる。

 

(3) ポートフォリオ利子

米国会社が支払ったポートフォリオ利子は非課税となる。適格とされるためには幾つもの条件が満たされねばならない。

特定の未確定利子 contingent interest で、93/4/7以降に発行された負債証券 debt obligation に対して93/12/31以降に支払われたものは、租税条約で認められていない限り、非課税の恩典を受けることが出来ない。

 

(4) 不動産の持分

非居住者が米国の不動産の持分を処分する場合、原則として10%の源泉税が課される。これは税の前払で、納税者が取引を報告する納税申告書を提出するときに、納税者の確定税債務と相殺することが出来る。

 

(5) パートナーシップの実質的関連課税所得

実質的関連課税所得で外国()人パートナーに割当てられたものには、当該外国人パートナーが個人であれば31%、法人であれば34%の源泉税が課される。

この源泉税は、実際にパートナーに分配が行われなくても課される。

 

(6) 非公開持株会社税

税務年度の後半の6ヶ月の孰れの時点をとっても、発行済株式の50%超が5人以下の個人によって直接的間接的に所有されており、その調整後粗所得の60%以上が配当金、利息、家賃、ロイヤルティー又は人的役務提供契約と云った非積極的源泉から生じたものである場合、当該会社は非公開持株会社に該当する。

 

(7) 非公開持株会社の留保利益

非公開持株会社の留保利益にはペナルティー税が課される。当該非公開持株会社が外国会社である場合、米国源泉の所得のみが対象となる。この税は通常の法人税に付加して課されるものである。納税申告書に、独立した別表を添付して提出しなければならない。

 

(8) 非居住外国人による非公開持株会社の株式所有

株主の全てが非居住外国人であり、且つ、人的役務提供契約による所得が全くない場合、外国会社は非公開持株会社には区分されない。

 

【非居住者の米国源泉キャピタル・ゲイン】

非居住会社は、米国源泉のキャピタル・ゲインが、米国での事業に実質的に関連するものでない限り、或いは、米国の不動産持分の処分によるものでない限り、当該ゲインに課税されることはない。

但し、外国人不動産投資法 (Foreign Investment in Real Property Tax Act of 1980) の施行以来、非居住者は米国の不動産持分(大雑把に定義されており、又、その資産が主として米国不動産からなっている米国会社の株式も含む)の処分に対して課税されている。原則として、売却価格の10%の源泉税が課される。

 

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