愛知県碧南市 お地蔵さんが迎える小垣江にて 神明社と誓満寺を訪れる

第11回 小垣江のまちへ

小垣江はどこか「日なたの匂い」 懐かしき時間の中に潜む不安に記憶有り

古式な様式の屋根を見せる神明社

<大浜の民には馴染みのない拝殿の様式 西尾市の西尾城とも関連のある松にも注目> 小さな擬宝珠のある橋を渡り、北上する大浜街道は、二またに分かれた辻道に出合う。電柱の陰に隠れて小さなお地蔵さんがいた。 大浜街道は左。駆けあがる直線的な道。少し行けば、左手にアンバランスな重心の石灯籠が見えてくる。”神明神社”の文字。 木漏れ日の中を進めば、現れた馴染みのない様式の拝殿。碧南では、まず見る事の出来ないもの。 御先祖様たちはこの拝殿を見た時、どう思ったのだろう。自分たちの生活圏から離れたとしみじみと感じたかも。

格式を伝える誓満寺の山門

<不思議感覚 人の気配感じられず 気怠く乾燥した空気が幼少時代の記憶を呼び起こさせる> 神明社を後に、小垣江中心部へと進む大浜街道。出発地、大浜よりいくつかの集落を越えてきて、ここ小垣江の地で不思議に思う事がある。 人がいない。先へ先へ進むが一向に人に出会えない。白い壁が見えてきた。紫雲寺。その山門は、部外者を拒むように堅く堅く閉ざされていた。 警満寺、2階建ての山門が現れる。格式の高い寺院にのみ許される様式。 山門後ろを流れる雲、日なたの匂い、人は居ず…。”かくれんぼ”で誰も居なくなってしまったあの感覚に似ている。

ヘボト自画像ヘボトの”ここもぜひ見ておきましょう”コーナー

街道の辻 「宝探しのまち」 大浜街道からは、まるで毛細血管のように無数の小道がのびています。小道の風情に誘われて一度、道に入ってしまえば、もう戻ってこられません。 微妙に湾曲した道の角度が方向感覚を失わせ、続くお屋敷の壁、格子窓が距離感覚をあやふやにさせます。 焦りながらも先を進むと、ひょこりとお地蔵さんや寺院の山門などが現れ、得した気分に。自分だけの発見をしてみてはいかがですか。

二宮金次郎さんの陰知っていると便利、勉強しましょう!

誓満寺(けいまんじ) 山号は「海見山」といい、浄土宗の寺。應永年間(1394~1428)に念仏道場を創建したことに始まり、承応元年(1652)に浄土宗へと改宗し、「海見山・誓満寺」となる。 高い格式を伝える楼門様式の山門は、享保19年(1734)の建立。

次回予告です、お楽しみに!

第12回 「元刈谷・楞厳寺から」

真っ直ぐのびた大浜街道は、そのまま地下道へと入っていく。地下内部の壁には地元の子供たちの描いた壁画。頭上では「巡見橋」を往来する車の騒音が響く。 幕府から派遣される「巡見使」をここで出迎えた事から橋の名となった。昔は現在の橋の位置より、少し上流にあったという。さらに時代を遡れば、巡見橋の架かる猿渡川は、衣ヶ浦の海であって、現在の知立市まで海の入り江がきていた。巡見橋の南には渡し場がかつて存在し、今でも金比羅堂と石柱が残っている。 巡見橋を渡り、4車線の立派な道路を進むと「下り松橋」が見えてくる。ここから先は元刈谷である。 ■ 第12回 「元刈谷・楞厳寺から」 へ

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