いつもぽーっとしてて、

ほんのり頬が赤くて、

喋る時には必ず文頭に俺の名前が入ってるってくらい、俺のことばかりで。



特にこれといった取り柄もなく、そこら辺にごろごろいるような奴で。

 






   淡雪



 



俺は二年程前の事を思い出しながら、またベッドから転がり落ちていったを引きずり上げた。

これで本日4度目。


布団をけっ飛ばした回数、6回。

 





毎日の様に一緒の布団で寝る俺ら。

でもやましいことは何一つなくて。

 

 





がいつもどこか上の空なのは、


暖かくて良い天気だからとか、

雲がお菓子の形だからとか、


そんなんじゃないのかもしれない。





心の奥では、過去の辛い想いを抱えてて、


俺には切り出せなくて、


こんな小さな身体で1人、




抱え込んでるのかもしれないと、



そう思ったら苦しくて、


苦しくて、




またずり落ちそうになったを、背後からきつく、きつく抱き締めた。

 



の身体は、冷え切っていて、




細かく震えるを、もっと抱き締めた。


 

 




俺だっての全てを知ってるわけじゃなくて、


何でも分かり合えてるわけじゃない。




全て知りたいわけじゃない、

…唯…が苦しんでいるのを放っておけなくて、



見てられなくて。

 





「‥なんで…」

「…けい‥ご…?」

「俺は…」

 





心配そうな顔で、優しく頬を撫でるの額に、



そっと唇を押し当てた。

 

 

 

 

 

 

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