十 輪 寺(じゅうりんじ)

場 所  京都市西京区大野原小塩町481


 この十輪寺は、在原業平の晩年の閑居跡と言われている。写真は入り口の門

 創建当時の伽藍は応仁の乱で焼失した。現在の本堂は寛延3年(1750)に再建されたものです。屋根は鳳輦形(ほうれんがた)と呼ばれ御輿を形取った非常に珍しいものです。

 三方普感の庭。高廊下、茶室、御殿の三方から、場所を変えてみる人に様々な想いを感じさせる、いわば『心の庭』である。写真は御殿から見た庭です。また、しだれ桜の咲く季節には寝転んで見上げるように見るとまた格別です。

 


 本堂の横の狭い道を登ると左手に見逃しそうな小さな石塔に出会います。それが業平の墓です。(八橋の業平塚と比べると本当に小さい。事実私も気づかずに通り過ぎてしまった。)

 業平は小高い丘に塩竃(しおがま)を設けて煙をたなびかせました。業平の母がこの寺から北へ1キロ余り離れた大原野の上羽村に暮らしており、その母を慰めるためとも、また、忘れられない恋人、二条后(藤原高子)への想いを煙にたくしたとも伝えられている。

 ※十輪寺は天台宗の古刹で、嘉祥3年(850)文徳天皇のお后、染殿(そめどの)皇后(藤原明子)の世継ぎ誕生祈願のため、伝教大師作、延命地蔵菩薩を安置したのが始まりである。めでたく世継ぎが誕生した事から文徳天皇勅願所となり、その後(江戸時代)、藤原北家が帰依され、一統の菩提寺とされた。本尊の延命地蔵菩薩は秘仏で年に一回8月23日にご開帳される。