不 退 寺(ふたいじ)

場 所  奈良市蓬連東垣内町517
本 尊  聖 観 世 音 菩 薩    
 


不退寺本堂

多宝塔1層(重文)のみの映る池

 仁明(にんみょう)天皇(833〜850)の勅願を受け、在原業平が開基したとの由緒がある。

 寺伝によれば、大同4年(809)、平城天皇が譲位してのち隠棲し「萱の御所」と称したのが始まりとされ、その後平城天皇の皇子である阿保親王、さらに阿保親王の五男である在原業平が暮らしたと言う。伊勢神宮参詣時に受けた神勅を機に、業平が自ら聖世観音像を刻み「不退転法輪寺」と号して阿保親王の菩提を弔ったのが寺院としての始まりと伝えられている。

 本堂と観世音菩薩は、重要文化財となっている。本堂にある本尊の左隣の室に阿保親王坐像(1m)がある。在原業平が自ら彫った仏像は、ここ不退寺の聖観世音菩薩と八橋無量寿寺の聖観世音菩薩の2体とされている。残念なことに八橋無量寿寺の観世音菩薩は大正2年9月の本堂の火災の時焼失されたと言われている。