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パワーアンプ編

 
2006. 7.11 パワーアンプを作ろう!
2006. 7.18 出力管候補
   
2006. 8. 8 省エネ設計?
2006. 8.10 EL32差動ppの回路図
2006. 8.18 実体配線図
 
 
2006. 8.25 製作開始
2006. 8.28 完成(仮)
 
 
2006. 9.19 測定
2006.10. 2 ゲインとダンピングファクタ
 
 
2006.10.25 ゲイン増加作戦
2007. 1.13 ゲイン増加後の再測定

2006.7.11 パワーアンプを作ろう!

 
習うより慣れよ,とは,良く言ったもの.
キットを製作したり,改造したりしているうちに,真空管を使ったアンプの動作について,少しづつ理解できる様になってきました.
そうすると,人間とは欲深いもの,次の煩悩が湧き上がってきます.
そう,自分で設計して回路定数などを決めたアンプを製作し,どれほどのものが出来るか,腕試ししようと思い立ったのです.
ちょうど,差動プリが完成を見る,1年半ほど前の話です.

ただ,アンプを作る上で,問題点が一つありました.
それは,

“なけなしの小遣い範囲で部品集めをしないといけないので,すぐに製作に取りかかる事は出来ないこと”

そのかわり,お金が貯まるまでの時間は十分にありましたので,色々な回路を検討することはできました。
なんといっても,アタマの中で計算するのに必要なのは,時間と知識(これが大変!)だけ。
格好の脳のトレーニングになります.

さて,自分でアンプを設計すると大きく出ましたが,もちろん,一から新しい回路を創造することなどできません。
いままでに発表されているアンプを下敷きに,真空管を選定したり,動作点を検討する事になります.
また,無条件で部品を選び放題,とはいきませんので,いくつかの制約事項も生じます.
まずは,スタート地点から分かっている制約事項をまとめてみます.

1.アンプのシャーシは,既成のものを使用します.
2.1本数万円もするような真空管を使用する事はしません.
3.自宅での使用が前提ですから,2CH.のステレオ構成のパワーアンプとします.

1.の条件は,シャーシ用の加工工具を購入する出費を控えるためです.
そこで,加工済みシャーシを検討する事にしたのですが,見た目が豪華だと値段もそれに比例するようです.
ちょうど,差動プリでお世話になったぺるけさんのHPで不定期に販売されている標準シャーシが,比較的安く,鉄製で頑丈そうですので,これを使用する事にしました.
2.と3.の条件は,いわゆる家庭の事情というものです.

さて,シャーシをぺるけさんの標準シャーシに決定した事で,使用できる真空管と,トランス類のサイズが決まります.

  • 真空管は,GT管と呼ばれるサイズのものを6本(1chあたり3本)まで.
  • 電源トランスと出力トランスは,シャーシ穴のサイズに合うものから選択.

また,パワーアンプの型式は,シングルアンプとプッシュプルアンプに大別されますが,今回は,1CH.あたり2本の出力管を使うプッシュプル,それも,電圧増幅段から出力段まで,定電流回路を使用した差動回路を採用する事にしました.
この回路を採用する理由は,次のとおりです.

  • シングルアンプは,JB-300Bが自宅メインとして手元にあり,これとはキャラクターの違うアンプを作ろうと思ったこと.
  • ショールームで使用しているプッシュプルアンプのSV-9Tで,良好な結果が得られたこと.
  • 情熱の真空管アンプ(木村哲さん著)で,全段差動アンプとして,この回路設計法の詳細が示されていること.
  • 出力段差動とする事で,大出力アンプを製作する事は困難となるが,我が家では,そもそも数W程度あれば充分なため,問題とならないこと.
  • 自宅プリアンプの改造で,なじみのある回路だったこと.

ぼんやりとではありますが,アンプのシルエットらしきものが見えてきて,出力管に何を使おうか,構想(妄想?)はふくらみました.
ここから,結果として大回りをする事になってしまったのですが,詳しくは,次回.


2006.7.18 出力管候補

 
差動PPアンプを作ろうと決め,設計方針の基本も,「情熱の真空管アンプ」を教科書として従う事を決めると,次に検討するのは出力管を何にするか,です。

ぺるけさんが,教科書中で採用されている真空管の一つ,6AH4という球は,もともとTV用の傍熱3極管です。
当初は人気もあまりなく,安い価格で取引されていた(ぺるけさんは,愛情を込めて“駄球”と呼んでいます)ようですが,差動アンプの認知度が上がるとともに高騰し,今では1本数千円くらいします。
6AH4を採用してアンプを作った方の感想を拝見しますと,良い評価が多く,なかなかの実力を持った球のようです。
ただ,その場合,ほぼ教科書通りの設計となってしまい,自分で考えることがあまりなくなってしまいます.
それも面白みに欠けるだろうと“天の邪鬼”が顔を出したため,6AH4は不採用としました.

次に考えたのが,EL34。
非常にメジャーな球で,これも教科書中に例が載っています.
ではなぜ,“天の邪鬼”が,この球に目がい
ったかと言いますと,それは作例のEL34の動作点にありました.
このEL34という球,1球あたり25Wまでの電力をプレートに食わせることが出来るのですが,作例では半分以下の9W程度となっています.
これは,定格の4割未満で,少々物足りなく思えたのです.
そこで,もう少しEL34に頑張ってもらった設計をしたらどうだろう,と考え,出力管候補としたのです。
ただ,EL34の定格ぎりぎりで働かせることもナニでしたので,自分なりの安全率を見て,プレート損失20〜22W程度を目安に計算を始めました.
  


エクセルは,だいたいのパソコンに標準でインストールされている定番ですが,使いこなそうとすると,相当のことまで対応できる,非常に高性能なものです.
ある程度まで計算式を放り込んでおけば,パラメータを変化させた場合の各値の変化も分かりやすいです。
実は,加藤モータースの新車販売の見積書も,エクセルで自作したものなんです.

早速,動作点のプレート損失を22Wとして,最適と思われるロードラインを引いてみたのが左のグラフ.
出力トランスの1次負荷を8kΩとして,エクセルでグラフ化してみたものです.

RL 出力トランス1次負荷
8 kΩ
Ep プレート電圧
367 V
Ip プレート電流
60 mA
Vg バイアス電圧
-32 V

このグラフを元に,電圧増幅段,電源回路と設計を進めていったのですが・・・

まず壁にブチアタッタのが,電源トランス,
教科書の作例と比較して,出力管に倍くらいの電流を流すことになるため,電源トランスの選定からやり直しになりました.
標準シャーシに載るサイズのトランスという制約があるため,汎用の大型トランスをそのまま採用することは出来ません.
かといって,標準シャーシ用の,PH-185(タンゴ製)やPMC-190M(ノグチトランス製)では,取り出せる電流が足りません.

 
そこで,インターネットでうろうろして,目についたのが春日無線さんの特注電源トランス.
電圧値や電流値を自由に設定したトランスを1個単位で作ってくれるお店です.
そのリスト中,BS700という型番のトランスが,標準シャーシに載るサイズで電力量にも余裕がありました.
そこで,必要な電圧,電流から逆算して,次の仕様で電源トランスを特注することを考えてみました.

1次側100V 2次側12.6V4A×1, 5V1A×1 280V255mA×2

取り出せる電流量の制限から,ヒーターは2本直列とし,各チャンネル別電源とすることを考えて決めています.
これで問題解決,と計算を進め,ほぼ一通り決まって発注しようとしたところで,実は大事なことを見落としていたことに気づいたのです.
それは,

各部品の消費電力が高い!=発熱がすごそう!

という点.
たとえば,抵抗の場合,「消費電力=電圧×電流=抵抗値×電流の2乗」であり,消費電力のほとんどが熱に変わります。
電流値を増やした設計をしようとしているのですから,ちょっと考えれば分かりそうなことだったのですが・・・.
しかも,EL34という球,ヒーターだけで1本あたり10W近く消費しますし,プレート損失22Wのほとんども熱に変わります.
そのEL34を4本使うのですから,出力管だけで消費電力が100Wを優に超えてしまいますし,他にも電圧増幅用の真空管や回路上の抵抗などからの発熱も加わることを考えると,アンプ型電気ストーブを設計しているような気になってきました.
真空管アンプを前提に言うのもナニですが,余りにもエコからかけ離れたモノに思えましたので,再検討も必要に思われます.
ここまで来て,当初控えめに感じられた教科書のEL34差動アンプが,丁度良い落としどころをつかんだ設計だったことを思い知らされたのでした.

ここまで来て,さてどうしようかということになったのですが,このあたりは,次回.


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