ランカウイ夢のヨットクルージングツアー

名鉄西浦ヨットクラブ会長 佐藤公治(CHESTNUT6)

【海外でクルージングしたい】

 こんなことをするのは金持ちのすることで別世界と思っていた。 50歳を過ぎ仕事も超忙しいが、たまには自分へのプレゼントだ。引退後に世界一周、それも良いが、引退前に楽しむヨットライフ、夢が現実となった。

 行く半年前、2008年11月同じ名鉄西浦ヨットクラブの白井氏とひょんなことから計画が始まった。「外国でヨットに乗りたい」、これはヨットマンなら誰でも思うことだ。「うみは広いな、大きいな、行ってみたいな、よその国」。タイのプーケットのヨットレースKing’s cupは有名で雑誌KAZIで紹介され知っていた。私は1991メルボルン大阪ダブルハンドヨットレースに参加と回航の経験はあるが、やはり海外クルージングは魅力だ。

【よしランカウイへ行こう】 ランカウイはマレーシアの北西国境近く。タイのプーケットの近く(南)です。

 白井氏がロイヤルランカウイヨットクラブ(RLYC)のホームページを探し、現地にメールしたことから始まる。よし、では名鉄西浦マリーナから使節団を組んで訪問、チャーターヨットで楽しもうということになった。皆、働き盛りで仕事は中々休めない。三月の末に連休を見つけた。早速、格安ツアーをインターネットで探した。往復旅券とホテルがあれば、あとはヨット三昧だ。

【チャーターヨット】

 白井氏はRLYCのチャーターヨットを探した。しかしどれも一週間単位、二日間などというちゃちなチャーターは、はじめ理解してもらえなかった。さらに、1週間では結構な値段だ。いろいろ交渉の末、BLUE WATER STAR SAILINGで、なんと55ftのヨットをスキッパー1人付きで頼むことができた。その会社のEva & Gerdはいろいろアレンジしてくれた。目的地は、島の北側のTanjung Rhu Resortへ行くことにした。約30マイルの半日クルージング。丸二日でRM 9000(1リンギッ=30円)、1人当たり4.5万円、20人まで乗れると、6人ではチョットもったいない大きさ。KAZIのバックNo.を繰り、2005.6月号にランカウイの記事を見つけた。それを読んだら、もう行くしかない。クラブのメーリングリストで希望者募集。なかなか仕事の都合が付かず、集まったのは結局、ヨットミストラル6の白井氏、ヨット信天翁3の松吉氏、ヨットYAKO3の中村夫婦、ヨットCHESTNUT6佐藤夫婦の6人で行くことになった。

【RLYCとペナント交換の計画】

 せっかく行くのだから付加価値をと、向こうでRLYCの会長と会い、ペナント交換をする計画を立てた。またマリーナからの挨拶状も作りマリーナマスター大嶽氏にサインして貰った。RLYCにメールしたところ、Mr.Tunku Abdullah, former Commdoreは昨年亡くなり、その息子さんMr.Tunku Yaacobがコモドア、会おうとしたが忙しいと。Asst. General Manager, Mr.Zailaniと会い、ペナント交換をすることになった。

【準備】

 飛行機でのヨット遠征は初めて。カッパやブーツは要るか、ライジャケは、現地に問い合わせる。スプレーや自動膨張のライジャケのタンクは機内持ち込めない。事前に海図が見たい。イギリスのImrayでクルージングの本、海図を手に入れた。それを食卓のビニルの下に引き毎日見る。準備が楽しい。さぁ、準備万端となった。

【出発】

 2009.3.19朝、インターネットでランカウイの天気を調べると3日間ともサンダーストーム、いやな天気、スコールやシャワーなら良いのだが。ヨットツアーに傘は似合わないが、一応持って行くこととした。朝一で中部国際空港セントレアへ、6人が集まってツアーが始まった。シンガポール航空でシンガポール経由ランカウイへ、日本からシンガポールが6時間、3時間の乗り継ぎ、シンガポールからランカウイまで1時間半の旅。ビザは不要だが出入国カードは必要だ。

 インターネットで調べると、ランカウイ島はアジアンリゾート、海の楽園、ホワイトサンド、海水ジャグジーとはヨットの後方の魚網に入りビールやカクテルを楽しむのがランカウイ流とか。ニョニャ料理Nyonya、マングローブの森を探検、スパ、イーグル、ナイトマーケット、ランカウイフェアはモール、非課税といろいろ魅力的。99いや104の島が点在。至福の時を過ごすツアーが始まった。楽しみだ。

 午後8時に空港に着き、ホテルまでJTBに送迎してもらった。JTBのシーさんがいろいろアドバイスをくれた。早速、ホテルの近くへ繰り出した。タイ料理の店へ入った。近所の華僑系のコンビニでビールを買い(68+40RM)持ち込み(現地のレストランではアルコールの置いてない店もある、イスラム圏)。マンゴの木の下にあるレストランで、落ちてきたマンゴはサービス。86RMでたら腹食べた。午前様となった。蚊よけの防虫スプレーはオレンジ色の缶の日本製がよく効くと、23RMでチャイナコンビニにて購入した。ホテルにはイモリが居た。

【クルージング1日目】

 2009.3.20壊れそうなワゴンタクシーでクア(ランカウイ最大の町)へ36RM。クルージング用の食べ物・飲み物はチャーター料にすべて込み。何も用意は要らない。ちなみにローカルスーパーは大抵朝11時からと、ランカウイは夜遅く、朝は全体に遅い。

 クルージングはマリーナを出て東海岸に沿い北上、島の北、タンジュンルーを目指す。タンジュンルーリゾートは隠れ家高級リゾート。我々は空港近くである島の南西で西海岸パンダイ・テンガーのホリディヴィラホテルに宿泊、ここをベースとし荷物は置いておいた。一番大きな都市クアは島の南東にあり、さらにその南にハーバーはある。Kuahタウンはこの島の中心で多くの店やモールまである。前の日にコンシェルジェに予約しておいたが、タクシーはいくらでもあるから予約不要だった。

 タクシー30分ほどでマリーナに着いた。途中はのどかな道。ブルーウォーターのオフィスに行くと社長のドイツ人Gerdが迎えてくれた。ハーバー(図1)は観光船の発着所近くでもあり騒がしい。世界からの大型ヨットがポンツーンにつけてある(図2)。皆、ここへ立ち寄ると。ポンツーンにヨットCHANTIQUEを見つけた。55フィートの2000年就航のきれいなヨットだ。

 ヨットは11時出港に準備中と。55フィートのチャンティックは電気製品の揃ったクルージング艇(図3)。すぐに出港、島の間を縫って機走、結構浅いところが多く、チャンネルは狭い、ベアボートは難しいかもしれない。すぐにラットを持たせてくれた(図4)。といっても風がなく帆走でなく機走。ドイツ人でオーストラリア人のキャプテンハームと二人の女性クルー、食べ物飲み物は至れり尽くせり。天気は曇りで適度な暑さ。島の間をスラロームし東海岸に出る(図5)。少し風が出てきたので帆走した。電動ウインチ、ファーリングでいとも簡単にセッテイングできた(図6)

 島の東を回って北上、また風が落ちた。シェルターKilimへ(図7)、ここでアンカリングし昼食(図8)。クルーが美味しいのを何品か作ってくれる。ワインが旨い。船の後ろにあるゴムボートを降ろしてマングローブ探検をした(図9,10)。ここにのんびりムアリングしているヨットがたくさんいる(図11)

 スコールが来て雨の中を逃げるように出港した。GPSプロッターが分かりやすい。島の北東に出ると風が良く帆走(図12)、タンジュンリゾート北を通りすぎてタイとのボーダーラインへ(図13)。一瞬ボーダー黄色線?を越えてバックした。

 南国の夕日はきれいだ(図14,15,16)。思わず皆が写真を撮る。

 ホテルの沖に停泊。ホテルに「今、着いた、沖にいる」と電話。ゴムボートで砂浜ビーチへ上陸、ボーイが迎えに来てくれた。高級リゾートへゴムボートディンギーで上陸するとは変わった客だろう。そのホテルにはポンツーが無く、テンダーでホテルへ上陸しかないのだ。ここのビーチや夕日は有名だ。

【クルージング2日目】

 2009.3.21朝起きると雷雨、ボーイに聞くと一日降ると。カッパは上だけ持ってきたが役に立った。11時にキャプテンがテンダーで迎えに来てくれた(図17)。男四人でヨットへ。女性群はスパとマッサージをしてハイヤーで四時にマリーナへということになった。

 小雨の中、回航を始めた。段々雨も上がった。島の東外を南下、クルージングした(図18)。風は全体に10ノット以下、晴れ、日焼けした。ランカウイレガッタが行われる12月1月が良い風吹くと。

 ランカウイのブイは右ミドリ。島の間は島に付けてある小さな白ブイをマークに航行、浅いところあり、特にマングローブ近くは注意が必要だ。フェリーや漁船多いが、海賊パイレーツは居ないと。国境警備隊は高速ボートだ。

 クルー兼コック兼のウェンディ28歳とキャプテンの妻40歳は料理上手いがクルー歴はいかほどか不明。スピンは上げられないと!?。まあメインファーラーもファーリングジムもアンカーも電動で簡単に上げ下げできる、まさに至れり尽くせりのクルージングボートなのでゲストもやることがない。

 島の東を外回り、4時半にはマリーナへ着いた。

【RLYC訪問】

 2009.3.22 最終日、ランカウイロイヤルヨットクラブのAsst. General Manager, Mr.Zailani(Zack)に会う。クラブ旗の交換をした(図19,20)。ぜひ多くのセーラーが訪れて欲しいと。ランカウイレガッタヨットレースの案内をもらった。安いから、ここへヨットを置いて交代で乗りに来たらよいとか、ここからプーケットへ1週間のクルージングが良いとか教えてくれた。レンタカーのようにヨットも乗り捨てできるとのこと。興味のある方はRLYCのホームページを参照されたい。

【終わりに】

 夢の海外クルージングも時間がなくあっという間に終わり。また日常の雑踏に巻き込まれた。ノウハウが分かったのでまたチャレンジしてみたい。

図21 今回のクルージングの航跡 一日目のみ、帰りは同じコース

図22 静かな入り江Kilim

図23 島の北西にもゴージャスなヨットハーバーがあった。そこで食事。

参考資料

名鉄西浦ヨットクラブのホームページ

 http://mnyc.web.fc2.com/

全世界の海図や海関係の本を扱っているイギリスの会社

 https://www.imray.com/index.cfm

プーケットからランカウイのクルージングガイドの本

 SAIL Thailand, 4th edition,

参考

1) Eva & Gerd

 BLUE WATER STAR SAILING (M) Sdn. Bhd. 725041-K

 Royal Langkawi Yacht Club

 Jalan Dato Syed Omar, 07000 Kuah, Langkawi

 Phones: Office: 04-96664858, Eva: 019-4470745 & 017-5849353

 Gerd: 013-4073166, Fax: 04-9664868

 www.bluewaterstarsailing.com , mailto: sydaddeldu@aol.com

 Bank: Maybank, Pulau Langkawi, Kedah

 Acc.No.: 55 20 77 00 27 30 Swift Code: MBBEMYKL

2) RLYC Website : www.langkawiyachtclub.com

3) Regatta website : www.langkawiregatta.com