鳥羽パールレース参戦記 パート2

チェスナット6艇長 佐藤公治

【レースで大風大波】

 実は3回危なかった。台風7号は暴風雨の範囲が広く、遠くにいる時から大波と大風が日本沿岸に押し寄せていた。

 一つは、大波が右後ろからやってきてブローチング。ブーム三分の一が海水につき、人は波で流されて、コックピットに水が溜まり、船が長く傾いたままだった。ロールオーバーするかと思った。このようなブローチングは、そのうち登り切って横倒しになる。ブームに負荷が掛かり折れたり、さらにマストが折れることも。60度傾くとクルーは風下に落ちて、船を沈させる方向に引いてしまう。今回はよく皆がライフラインを離さず落ちずにすんだのが良い結果をもたらした。

 二つ目は、サーフィングして最高新記録の時。フリーで走るのはスキッパーは気を使う。サーフィングは気持ちが良い、しかし度が過ぎると舵が効かなくなる。17kt出たとき、舵が浮いて、このまま上りきってブローチングするのではないかと思った。早くサーフィングが止まってくれと祈っていた。大抵は、前の波に追いついてバウ沈、波に突っ込んで前回り一回転かブローチングして横倒しかとなることがある。

 三つ目は、エンジンキーが抜けた。大波がコックピットに入ったときにフローティングのキーホルダーが効いて抜けた。そのまま海へ流されていたらと思うとぞっとする。幸いスターンの水抜き穴に挟まっていた。神様は味方に付いてくれた。