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36.めぐみ-引き裂かれた家族の30年
   ABDUCTION: THE MEGUMI YOKOTA STORY (2006年米) <4.0>     
 [監督]クリス・シェリダン、パティ・キム
  [出演]横田滋、横田早紀江、増元照明
  [時間]90分
 [内容]1977年11月15日朝、いつものように学校へ出かけた当時13歳の横田めぐみさんが忽然と姿を消した。以来、手が
    かりを得られないまま、娘の無事だけを祈り続け、娘を取り戻すための果てしない闘いを続けてきた横田さん夫妻。
    そして、ついに北朝鮮工作員による“拉致”という驚愕の事実が明らかとなる。国家や政治家の思惑が絡む事で横田
    さん夫妻の闘いはさらなる困難に直面してしまう…。
  [寸評]米国在住のジャーナリスト夫妻が、横田さん夫妻の愛と勇気に心打たれ、フィルムを回し製作したドキュメンタリ
    ー作品。非常に観ていて切なく、重いが、観る価値のある作品で、心ある人には観てほしいし、本作品を製作した監
    督は立派だと思う。横田夫妻を始め、インタビュー、過去の映像が細かく出てくる。中でも印象的なのは、めぐみさん
    が小学校6年生時の合唱会で行った「流浪の民」の独唱だ(テープに録音されている)。これまでメディアを通じて写
    真の姿しか見てこなかったが、彼女の肉声を始めて聞いた。自民党本部へ拉致被害者が必死に呼びかける姿、横田
    夫妻間のメディアでの発言の仕方をめぐる言い争いのシーンまで織り込んでおり、印象強い。横田夫妻を始め、拉致
    被害者の方にとって、本当に息をするのも辛い歳月を重ねてきている事を察し、心が痛む。拉致は日本ばかりでなく、
    韓国数百名、その他各国でも行われている、という事で驚愕と怒りを感じる・・・

37.007/カジノ・ロワイヤル CASINO ROYALE (2006年米・英) <4.0>     
 [監督]マーティン・キャベル
  [出演]ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジュディ・デンチ、ジェフリー・ライト
  [時間]144分
 [内容]ジェームズ・ボンドの最初の任務は、世界中のテロリストを資金面で支える男、ル・シッフルの資金を絶つ事だ。や
    がて、ル・シッフルがモンテネグロの“カジノ・ロワイヤル”で大勝負に出る事が明らかとなる。ボンドはその目論見を阻
    止し、ル・シッフルの組織を壊滅に追い込むためにモンテネグロへと向かう。しかし、そんなボンドのもとに、Mは監視
    役として美女ヴェスパー・リンドを送り込む。最初は彼女に対して懐疑的だったボンドだったが、危険を共にする中で
    次第に心惹かれていくのだが…。
  [寸評]過去4作にわたってジェームズ・ボンドを演じてきたピアース・ブロスナンに代わり、新たに抜擢されたダニエル・クレ
    イグが扮する6代目ボンドが初登場するシリーズ通算21作目の作品。私はピアース・ブロスナンのボンドが好きだったの
    で、今回、悪役が似合いそうなダニエル・クレイグのボンドは、どうなる事か気になっていたが、なかなか良いのでない
    かと思う。”00”に昇格した段階の話で、時代を遡るのかと思いきや、冷戦後の設定であり(だからといって文句はない)
    ボンドの知られざるエピソードを描いている。ド派手なアクションが満載で、あれは痛そうだな、というのが感じられるし、
    Mの夫らしき人の姿も見せてくれたり、裏切り者は出るわで、結構、見応えがある。カジノでのポーカーの勝負の時間が
    長い(タイトルだからしようがないか)のが、いつもの007と違うかな、と感じさせられもしたが、総体的には面白い作品で
    した。最後は予想外の展開だったな。それにしても、あの人はどういう組織の人だったのだろうか?数点、疑問を感じた
    事が解消されなかったのが、やや消化不良だが、これも007特有の事かな?ともあれ、次回作も楽しみにしている。

38.硫黄島からの手紙 LETTERS FROM IWO JIMA (2006年米) <4.0>     
 [監督]クリント・イーストウッド
  [出演]渡辺嫌、二宮和成、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童、裕木奈江
  [時間]141分
 [内容]戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、日本軍の最重要拠点である硫黄島に新たな指揮官、栗林忠道中将が降
    り立つ。アメリカ留学の経験を持つ栗林は、無意味な精神論が幅を利かせていた軍の体質を改め、合理的な体制を整
    えていく。上官の理不尽な体罰に苦しめられ絶望を感じていた西郷も、栗林の登場にかすかな希望を抱き始める。栗林
    の進歩的な言動に古参将校たちが反発を強める一方、ロサンゼルス・オリンピック馬術競技金メダリストの“バロン西”
    こと西竹一中佐のような理解者も増えていった。そんな中、圧倒的な戦力のアメリカ軍を迎え撃つため、栗林は島中を
    張り巡らせた地下要塞の構築を進めていく…。
  [寸評]硫黄島での戦いを日米双方の視点から描く2部作の「父親たちの星条旗」に続く第2弾。アメリカ留学の経験を持
    ち、親米派でありながらアメリカを最も苦しめた指揮官として知られる知将・栗林忠道中将が家族に宛てた手紙をまと
    めた『「玉砕総指揮官」の絵手紙』を基に、本土防衛最後の砦として、死を覚悟しながらも一日でも長く島を守るために
    戦い続けた男たちの悲壮な最期を見つめる内容。「父親たちの星条旗」を観ておくと、逆の視点からみれて2部作として
    持つ意味合いが増す。日本側の思いを描いているので、決戦の崖っぷちさが非常に伝わり、哀愁に満ちており、クリン
    スト・イーストウッドは上手くまとめあげたと思う。TVドラマ「優しい時間」で好演した二宮和成の役柄(西郷役)・演技も
    良かった。栗林の西郷に示す最後の「二度ある事は三度ある」の行為も情緒的だ。「父親たちの星条旗」ほど残虐な
    シーンが多くない(あるにはあるが・・・)、戦争は本当に虚しいと感じさせれ、米国艦隊が島に攻め入る凄さはインパク
    トがあった。「父親たちの星条旗」より本作品の方が良かったが、2作を併せて観る事によって、両作品の価値が上が
    ると思う。

39.私の頭の中の消しゴム A MOMENT TO REMEMBER (2004年韓) <3.0>     
 [監督]イ・ジェハン
  [出演]チョン・ウソン、ソン・イェジン、ペク・チョンハク、パク・サンギュ、クォン・ビョンギル
  [時間]117分
 [内容]建設会社の社長の娘スジンは妻ある男性と不倫の関係にあったが、ついに破局を迎える。その夜、傷心のまま彷
    徨っていた街で一人の男性チョルスと出会う。その時は気づかなかったが、彼こそスジンの運命の人だった。やがて、
    再会した2人は、ほどなく恋に落ちて、結婚に至る。甘い新婚生活に浸る2人だったが、いつの頃からかスジンの物忘れ
    が度を越したものとなっていく。心配になって医者に診てもらったところ、若年性アルツハイマーという思いもよらぬ診断
    結果を告げられるのだった・・・。
  [寸評]劇場公開時から注目をしていながら、レンタル化されても観ずにいたが、TV放送をされたので、これを機に録画して
    妻と拝見。韓国映画を日本語吹替で観るのは初めてで、余り違和感がない事を予想していたが、やはり外国映画は字
    幕で観るのが良いかな。韓国独特の言い回しもあるので、感動度合いも影響したかもしれない(マイナス作用だった
    感じ)。若年性アルツハイマーという難病に冒され少しずつ記憶を失い、愛する人さえも頭の中から消えていく運命にあ
    るヒロインと、そんな彼女をまっすぐな気持ちで受け止めて支え続ける夫との愛を描いた作品。チョン・ウソンもソン・イェ
    ジンも良い演技を見せていると思うし、物悲しい話なのだが、想定していたより、感動度合が少なかったな・・・。不倫相
    手が再び出てくる必要はあるのか?ともかく実生活でいえば、妻にはずっと元気でいてほしいと懇願する。チョルスの
    身を思うと非常に辛すぎる。本当に健康である事には感謝しないといけない。2人の出会いの場所の「FAMILY MART」
    が何度か出てきたが、韓国では多いのかな?先般、韓国に出張した際に宿泊したホテルの前にも「FAMILY MART」が
    あり、2回行ったが・・・

40.名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード) (2003年日) <3.5>     
 [監督]こだま兼嗣
  [出演]<声の出演>高山みなみ、山ア和歌奈、神谷明、堀川りょう、宮村優子
  [時間]107分
 [内容]ある日、東京郊外の某神社で密談を交わしていた3人の男達が殺された。犯人は翁の能面をつけ、日本刀と弓矢で
    一瞬のうちに3人の命を奪った。時を同じくして大阪、京都でも殺人事件が発生した。やがて殺された5人は、有名な仏
    像や美術品の窃盗を繰り返してきた盗賊団のメンバーである事が判明する。彼らはお互いを義経や弁慶、あるいは、
    その家来達の名前で呼び合っていた。その頃コナンたちは、8年前に山王寺から盗まれた国宝級の仏像の捜索を依頼
    され、京都を訪れていた。コナンは仏像を盗んだ犯人を窃盗団と疑い、早速捜査を開始するのだったが…。
  [寸評]「名探偵コナン」の劇場版シリーズ第7弾がTV放送されたので録画して妻と拝見。これで全10作の内、9作品を観た
    事になる。今回は京都を舞台に、平次の初恋の物語を軸に、複雑に張り巡らされたトリックと歴史に埋もれた幾多の謎
    の解明に挑む内容で、服部平次と遠山若菜が中心となる。平次が冒頭のお馴染みのコナンの秘密の経緯を途中から
    ぶんどって解説する。私は平次と若菜のキャラが好きなので、そんなに違和感はなく観れたが、やはり、メインとなるべ
    きの新一と蘭の心の通いの描写が薄まってしまうのは残念だ(描かれるには描かれたが・・・)。シリーズが長いとこうい
    う作り方をせざるをえないのもやむをえないのだろうが・・・。今回の事件は、入り方は非常に良かったが、途中から後
    半にかけた解明の仕方が今ひとつ釈然としなかったな。平次は強すぎるぞ!何だかんだ言っても、コナン・シリーズが
    楽しめるのは間違いない。第4作目の「瞳の中の暗殺者」を観て、来年4月劇場公開の第11作目「紺碧の棺」にのぞも
    う!それにしても今年は会社の研修があったり、仕事が多忙だった事から、初見作品の鑑賞が40作品に留まってしま
    った。年々減少傾向にあり、来年も更に多忙化する事が目に見えているが、何とか週1作品、年50作品は初見作品を
    鑑賞したいもの。