文教委員会視察報告書 星野雅春

1、                千葉県浦安市・・特別支援教室

 特別支援教育はこれまでの特殊教育という言い方を改めて2001年からこう呼ぶようになった。来年4月から養護学校、聾学校、盲学校などの呼称がすべて特別支援学校になる。同時に地域の小中学校でも支援していくことになる。
 特別な教育環境必要とする子供の学習環境を整え、より豊かな学校生活を実現できるよう、子供保護者学校現場を支援することはとても大切なことだ。
 浦安市の特別支援教育は、旧労働省からの出向された女性助役の指導力と市長の決断による先進的な取り組みだと思う。まなびサポート事業は相談や指導助言に関することなど7項目あり、とりわけ市が採用する補助教員の資質向上のための研修や管理職にはリーダーシップ、担任には意識改革に力を入れている。通常学級で学ぶ特別支援を要する児童生徒数は79名で、補助教員は68名いる。また、特殊学級では教職員一人当たりの児童生徒数は1.9人となっている。補助教員は幼稚園を含め141名で、年間約3億円の市費を投じている。浦安市の障害者への特別支援事業の成果を求めて県外からの転入も増えていて、平成17年、18年に大きな伸びを見せている。通常学級で学ぶ特別な支援のいる子供たちの社会性は見につけるものの、養護学校などでは見につけられる身辺自立ができない傾向にある。ここが大きな問題になっている。保護者はできるだけ通常の学級で学ばせたいとの願いがあり、その意見を表明する委員会が設けられている。そこで子供たちがどの学習環境がいいのか検討されるが簡単ではないことが想像できる。現場の先生の意識改革や保護者との連携が問題解決のポイントと思われる。

市独自採用の補助教員の人件費は本来統合教育を奨励する国の責任においてするべきである。できる都市とできない都市との格差が広がる懸念もある。

トップの覚悟と決意によって、特別支援教育を豊かに実践する浦安市の取り組みは都市の生き方、都市像を明確にするものとして注目したい。

 

2、                相馬市・・市民文化会館『ゆめはっと』

市民文化会館『ゆめはっと(公募によって名称決定)』平成15年に竣工以来、(財)南相馬市文化振興事業団に委託し、事業を実施してきたところである。18年度から指定管理者導入に当たり、文化振興事業団が3年間受託することになった。民間事業者の申請がなかったため受託となったが、今後民間との競争に打ち勝っていかなければならないことから、財団とはいえ意識改革を進めて行きサービスの充実を図りたいとしている。

市民文化会館の運営では 、市民参加を促すために、もぎりや場内案内、舞台技術補助などの『ゆめはっとサポーター』と会員限定の特典のある『ゆめはっと友の会』、財団事業への提案、提言、検討する『企画委員会』を組織している。

 市民参加型の施設運営を目指していること。芸術文化の振興のための条例や文化振興基本計画などの策定を課題としていること。芸術文化が市民の生活に気持ちのよりどころとなること。指定管理者市場が3兆円あり、大手民間氏業者が受託することでなく、南相馬市の文化振興財団の果たす役割が大きいとの認識が強いことなど、財団のこの施設運営にかける意欲を強く感ずることができた。

若者の楽器演奏利用が年々伸びているとのこと。防音室1回利用が500円と安く、ドラムやアンプなどが設備されていて、好評を得ている。刈谷市でも駅のコンコースやライブハウス(東陽町にあったが解体)での練習機会や場所の乏しい若者を支援する施策としての参考とすべき点である。

 

3、                仙台市・・指定管理者による体育施設の運営

仙台市におけるスポーツ施設の指定管理者による運営について研修した。施設の概要と受託者等は省略する。@指定管理者の評価についてA指定期間についてB選定委員会についての3点に着目した。指定管理者の評価は管理者独自のアンケート調査や施設内の運営委員会などで自己評価するであろうが、市としての客観的評価をどのようにするかが大きな関心事でもある。仙台市は独自の評価シートを作って指定管理者の評価をすることにしているとのこと。この評価に基づいて3年後の新たな指定管理者募集に当たっては、現管理者に特典を与えて引き続き受託するような配慮をすることも視野に入れている。指定期間が3年と短く、受託者としても緊張感と意欲をかきたてる反面、長期的視点での計画が立てにくく、成果が出にくいのではないか、との不安が残る。

選考委員は6名で、市職員委員3名、民間委員を3名配置している。民間委員は大学教授、税理士でうち一人を除き継続的に委員になっている。委員の好みに偏りがあったり、委員名は非公開とは言え問題が発生する可能性も出てくる。選考委員会への配慮と注意が求められる。(文責 星野雅春)