西尾市茶業組合 EXPO
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概要
  手揉み茶の製法

 市内上町で生存する手揉み茶師としての経験を有する者は五名前後にすぎない。
そのうちの一人、上町浜屋敷の杉浦新九朗(明治37年生れ)の手揉み茶の製造工程をまとめてみた。
摘み取った生葉を一貫目(3.75キログラム)ずつ秤にかけて製茶場に入れる。
製茶は荒茶加工の全工程をこの一貫目を単位に行う。
 加工工程の最初は生葉の蒸熱と冷却、水切りである。
その設備、器具は一般に西洋竈といわれる幅四尺(1.2メートル)、奥行き三尺(90センチメートル)前後のレンガ積みのくどに、水を入れた鶺鴒釜をかけて石炭を焚く。
鶺鴒釜は直径1.6尺(48センチメートル)で、腰部の鍔から下部が深い。
この釜に厚さ3〜5センチメートルもある四角の蓋(椹製、上コシキ)をする。
この蓋(上コシキ)には二寸(6センチメートル)角の穴を穿ち、ここから勢いよく水蒸気が吹き出るようにしている。
その蓋の蒸熱口を中心にしてマンボー(マンパチ)をのせる。そのほかマンボーの蓋と長竹箸を用意する。
マンボーとは、直径約45センチメートルの丸い木枠に藤蔓で目合0.5〜1センチメートルに編んだ網を張ったとおし状のものである。
 作業はマンボーに一貫目の生葉のうちから一掴みを散らして入れ、蓋をする。
数秒を経て蓋を取り長竹箸で手返しをして、再度数秒間蓋をする。
それから手早くマンボーを取ってくどの脇に設けた散茶台に散らして冷却と水切りをする。
この間、数秒間の作業であるが、これで生葉は蒸すことができる。この繰り返しで一貫目の茶葉を蒸し終える。
 この生葉の蒸熱作業はあくまでも作業をする者の勘であり、蒸し方が不足すると乾燥のときに茶葉の茎が赤褐色になり、これを「エビが出る」という。
反対に蒸し過ぎると「茶がカム(カメル)」といって乾燥のとき皮が剥けたようになる。
また、蒸したあと早く冷却しないと青味が失せる。
これらが注意しなければならない点である。

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