グランビア購入記

序章
車選び
ハンコ押す
納車


序章

1994年に車の雑誌でアストロという車を目にした。かなりの衝撃を感じた。と同時にかなりの欲求を感じた。アメリカのビッグ3の一社であるGMのシボレーディビジョンであった。兄弟車でGMCディビジョンのサファリというのもある。円高が進んで85円台/ドルなんて時代だったから、諸費用込みでも400万円程度あればコンバージョンモデル(ハイルーフでTVビデオはもちろん、本皮シートで、あらゆる所にリアルウッドが施されたもの)を手にすることができた。さあ、金貯めよう。目標は500万円としよう。その前に家のローンをある程度返済しとかなくちゃ。

輸入車を扱ってる自動車屋さんを何軒も回った。Sakuraさんちの近くの店にも行った。何回かは家内を連れてった。家内に気に入らせなければ、どうしようもない。実車を見せると家内はかなり気に入っていた。日本車には無いその堂々たる外観と、グラスウッド(鏡面仕上げ)の内装に興味を示していた。「よしよし!」これで第一段階突破。ってなことをしているうちに、円高の時代が遠ざかり、120円/ドルという円安の時代に。もちろん、アストロの価格はこれに比例して上昇していった。そして、いつしか僕の身分を越えていってしまった。並行輸入車でよければまだ手が出そうだが、正規輸入車にしたかった。並行輸入車では、ショップの保障しかなく、それも1年が相場だ。これでは心配だった。何しろアメ車はすぐ壊れるからね。あきらめムードが漂ってきた。


車選び

ランクル60VXを11年乗った。500万円の予算も確保できた。あれほど欲しかったアストロを円安のためいよいよあきらめる時が来た。そして何の車を買おうか相当の時間を費やして悩んだ。平成10年のことである。過去の経歴から当然ランクル100にいくかと思いきや、この100には何の興味も沸かなかった。ロクマルの後にハチマルがあったが、この車にも興味が沸かなかった。ハチマルが出たときには買い替えを考えてはいたが、どうしてもあのデザインが気に入らなかった。ロクマルの無骨なスタイルからはかけ離れていた。それに輪をかけたように100のスタイルは都会的過ぎた。かつてのランクルという愛称で親しまれた車ではない。と感じていた。
余談だが、あとで雑誌の広告で知ったことだが、この100用のボンネットフードとグリルが「下町のランクル屋」こと、キープスラントという四駆ショップから販売されている。これが実に格好良い。惚れ惚れしちゃう。100はクロカン四駆ではなく徹底的に都会的にアレンジした方がピッタリとくると感じた。100を検討の方は、是非一度これを検討してみて欲しい。
話が横道に反れてしまったので元に戻そう。それで、何の車にしようかだが、ミニバン系を模索していた。候補に上がったのは、グランビア(トヨタ)、、
フィリー(イスズ)の2車種。フィリーとは、エルグランドのOEM。実は僕の会社は自動車部品メーカなのだが、日産との取引が無いため、通勤車として利用するには抵抗があった。会社の駐車場も隔離されたように遠い所になる。でもイスズブランドなら問題無かった。条件は、とにかくでかいこと。3リッター以上のガソリン車であること。ディーラーなりが、キャンピング登録(8ナンバー)してくれること。これら条件を網羅できるのは国産車ではこの2台しかなかった。フロントのデザインは押し出し感の強いフィリーが好み。でもリアのデザインはテールランプ位置が低いグランビアが好み。内装の作りはどうみてもグランビアがいい。で、グランビア優勢だった。

トヨタ系にモデリスタという車両の仮装メーカーがることをご存知だろうか。なんとここから、僕の欲しかったアストロと同様のコンバージョンをグランビアに施したものがリリースされていた(上の写真)。現行車はハイルーフラウンジという名前で販売されている。残念ながら、ハイルーフにTV、ビデオが無くなってしまったようだが...。この車にアストロを重ね合わせてしまって、欲しくなった。価格はって〜と結構する。車両だけで600万円。やっぱりあきらめるか。これなら、アストロの方が安い。


ハンコ押す

決めかねている中、ディーラーにも何度か足を運んだが、セールスマンと話すことはなかった。イスズブランドもどうかと思い始めていたので、心の中は十中八九グランビアだった。そして、ある日家内を連れてディーラーへ行った。トヨタオート(現在のネッツトヨタ)だ。オプションはすべて決めていたので、その仕様を述べて見積もりをしてもらった。その上で、キャンピング登録の話を切り出した。「残念ながらその要望にはお答えできません。」という回答だった。非常に残念な回答だった。愛知トヨタでは、外注業者への依託で8ナンバーキットを取り付けて応じていることを知っていたので、なぜこのディーラーではできないのかといぶかしく思ったので、この愛知トヨタのことと合わせて「8ナンバー登録してくれるなら、今日ハンコ押すよ。」と言ってしまった。(内心自分でも驚き)。すると、「それでは当社でも検討しますので、お時間ください。」という回答に変わった。あらまっ、ハンコという言葉に弱いのね。この日はこれで退散した。
しばらくして、ディーラーからTELがあった。なんと、ネッツトヨタ独自でグランビア用のキャンパーキットを開発したということだった。さっそくディーラーへお邪魔し、それで見積もりを取った。見積書上は値引きはゼロで、460万円だった。さぁ、これからが本番だ。と気を入れるまもなく、間髪入れずに、家内が「キリのいいところで400万円にして!」 おぉ〜。なんていう勇気。僕にはそんな大胆な発言はできない。さすが女性は強い。これに対してセールスマンは、「それじゃ赤字ですよ〜。」という対応。当然だよな。60万円も値引きしろってんだから、言われたセールスマンも驚いたと思う。いくらかのやり取りが行われて、「420万円でどうでしょう。」と言ってきた。40万円引きってことか、悪くないな。と思ったら、間髪入れずに家内が言った。「42って数字がよくないわ〜。シニだから。もう一万円引いて419万円にしてくれる〜!」と。う〜ん、確かにそうだとは思うが良く言ったもんだ。これに対してセールスマンは「しょうがないですね。OKにしましょう。」と言ってくれた。もちろんハンコを押した。1998/03/28のことである。


納車

ついにグランビアの納車日になった。1998/05/21、今日はお日柄も良く大安である。当然会社は休んだ。ピンポ〜ン。玄関のチャイムが鳴る。出るとディーラーのセールスマン。操作説明なんかを始めようとしていたが、丁重にお断りした。そんなものは取説見ればいいことだし。それよりも早く転がしてみたかった。ところが、「営業所まで送ってもらえません?」とセールスマン。なんと、帰りの足が無い模様。納車費用を9000円も取っておきながら、なんたることだ。でも納車に浮かれていたから、「いいですよ。」と僕。今考えてみれば、もう9000円値切っておけば良かった。なんて家内のことを笑えない自分がいた。

納車日の3日前の5/19が登録日だった。なんとこの日は、ナンバーの3桁化の初日だった。結果は一桁番号になってしまった。うれしいような悲しいような。すぐに覚えられてしまうもんね。