野路菊を 一輪供へし 苔地蔵

秋空を 見上げて眺む 雲の景

団栗の 一つ置かれし 道祖神

山越へて 人影のなし 里の秋

峠茶屋 こぼるる萩の 塀越える

峠茶屋 黄明かりまぶし 女郎花

山清水 受けて溢るる 流れかな

ゑのこ草 揺らして仰ぐ 空の色

模擬店の 売り子の声や 秋の風

とろろ汁 秋の夜長の 笑顔あり


南瓜煮て 母の好物 供えもす

犬の子や 草の実つけて 散歩道

秋刀魚焼く 匂い漂う 路地の奥

里の道 両手にずしり 栗拾う

栗飯や 口に広ごる 母の味

里の道 風に揺れ立つ 吾亦紅

銀杏の 落ちし音あり 寺の庭

潮の香を まといて眺む 秋の海

遍路道 潮の香まとい 歩きけり

ランチ会 会話弾みし 秋の膳

寺の奥 銀杏黄葉の 散り初めし

境内の 団栗拾う 子等多し

朝寒や 快音響く グランドに

一枝の 残菊手折り 供えもす

犬呼べば 草の実付けて 走り来る

     



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