「アメリカ文学にみる女性と仕事」
ハウスキーパーからワーキングガールまで
野口啓子+山口ヨシ子/編著

少女がお鍋の番をしています。こんな素朴な表紙が素晴らしい。
児童書を読むとよく出てくるのが子どもの労働でありますが、生活のためであったり、また家族経営の農場などはやはり、家庭の中の手伝いを越えた労働になっている場合が多いのです。それは昔に関わらず、今現在だって働く子どもは大勢いるのですが。
児童書の中の女性は主人公の少女自身(キャサリン・パターソンのワーキングガールなど)が働いている場合と、母親という姿で登場する場合が多いですね。
本編にはローラ・インガルスが登場します。西部開拓における妻の役割など書かれていて興味深いです。また大草原シリーズではあまり触れてないメアリーの失明した部分や、亡くなった赤ん坊の事などは起きてしまった不幸な事実はあえて書かず、困難に立ち向かう家族の姿を書き続けている。暗い部分は書かない風潮になっていたようなのです。
他には珍しく奴隷農園体験を語る女性なども登場しますが、奴隷によって運営されている農園主の妻という立場でありながら実は奴隷制度に反対しているなど、そのような思想が一般の人にもあったことをしりました。

お手持ちの児童書の参考の一つになれば幸いです。

2008年12月11日

※彩流社(さいりゅうしゃ)さんより表紙画像の許可を得ています。