「あなたの呼吸が止まるまで」
島本理生/著 新潮社/発行

中日新聞の「週間読書かいわい」で紹介されていたのがとてもよかったので借りました。タイトルがじつにいいではないか、主人公は12歳の中学生の女の子ですが、主人公が少女でも分類は一般書であります。一般書かそうではないのか、どうでもいい事に思われますが、私のサイトは児童書を紹介するのが売りなので、何処で線引きされているのかきちんと分けたいのです。しかし作家名とか出版社で分類を分けてしまうんだろう。内容はかなり大人びていますが、ヤングアダルトでもこれぐらいハードな内容もあったので読書感想推薦書に選ばれてもおかしくないが。
 朔(さく)は舞踏家(ぶとうか)の父と二人暮しです。舞踏家としての仕事は少なく、生活は決して楽ではありません。朔のお母さんはそんな生活が嫌で出て行ってしまいました。帰りの遅いお父さんをたった一人アパートで待っていたり、ご飯を作り、洗濯もできるけど12歳の少女は寂しいのです。朔の周りにはいつも大人がいて、大人との会話はますます朔の精神を大人にしていきます。でも本当の大人になった訳ではありません。クラスメイトに持つ淡い恋心や友達との間で時々揺れ動く感情がリアルに書かれています。12歳の少女だけど、やっぱり書く人が大人だからこんな感じになっちゃう?こんな少女がいたらきっと日本はもっと大人の社会が豊かになる気がします。

2007年11月8日(木)

※表紙掲載許可は新潮社さんより得ています。