「歩く」
ルイス・サッカー/著
金原瑞人+西田登=訳 鎌田歩/画
講談社/発行
ルイス・サッカーというだけど読みたくなる、そして期待に満ちて表紙を広げる。前作の「穴」に続く傑作を期待してしまうのだ。しかし期待は大きいほど、外れるとがっかり度も高い。
「歩く」は矯正施設のシルバー・レイクを出たアームピットが主人公となるお話で、施設を出てもからまじめに働き、コツコツとお金を稼ぎ、自分の人生をきちんと修正しようとする姿を書いています。しかし怪しい儲け話を持ち組んでくるおなじくシルバー・レイクを出たX・レイ・・・読みながらそんな怪しい話に乗らないで、奴と組んではいけないと思うのだが、誰しも簡単にお金が稼げたらどんなにいいか、と考えてしまうもの、せっかく頑張って貯めた857ドルのうち600ドル倍にしてやる、なんていうX・レイに渡してしまなんてバカッ!
儲け話とは、人気アイドル歌手のカイラ・デリオンのコンサートチケットのダフ屋であった。コンサートのチケットをめぐり、アームピットも、彼を慕うジニーも、そしてコンサートの主人公のカイラさえも巻き込んでいく、大きなお話に発展していきます。
2007年8月26日
※表紙掲載許可は講談社さんから得ています。