「僕はここにいる」
エリザベス・ストーン/著 岡本さゆり/訳 ポプラ社/発行


 ある日、贈り物がエリザベスの元へ届く、それは25年も前のかつて彼女が新米教師だった頃の教え子ヴィンセントから送られた彼の人生を綴った10年間の日記だったのだ。日記に添えられた手紙には
「先生はどうして僕が日記をあなたに送るように遺言を残したのか・・・」と始まります。つまり送り主はすでにこの世を去っているのだ。彼とエリザベスの間柄はクリスマスカードによって細々と続けられていた程度の仲だった。ヴィンセントの学校を去り、二人が会わなくなって実に25年の歳月が経っているというのに、何故日記を送ってよこしたのか?彼は何を伝えたかったのか?そして彼の生涯は幸福だったのか・・・・・・
 人は「死」に対して恐怖や不安を抱いていると思いますが、いつか誰にでも訪れる死を、真剣に考えるきっかけを作ってくれた本のような感じです。訪れる死後の為に自分自身を整理しておく心の余裕があまりないとは思いますが。

2005年9月16日
※表紙掲載許可はポプラさんから得ています。