「掘るひと」
岩阪恵子/著 講談社/発行

またしても新聞に紹介されていた本を読みました。新聞に書評を書く人は上手いなープロだからな。書評に騙される事はあまりない。新聞に書いてある通りに面白い本に出会う事ができる。
 「掘るひと」は短編集でした。中年の女性が主人公の短編ばかりだ。40才過ぎまで独身を通した女性や老いた夫と生活する女性など年月を重ねた女性の目線が厳しく、時には淡々としていても全編に「男」の影がちらつくところが主人公の女性達を女らしく見せているのだと思う。いつも読んでいる児童書にあるような大きな山場も見せ場もないが、しかしなくてもただ普通の人達の生活の一部を見ているだけなのに感情移入を激しく感じる。主人公の女性達が自分に似ているからなのだろうか。
 「タマゴヤキ」なんか面白く読んだ。47才の女性が58才の離婚歴のある男と付き合っているのだが、世の中の男性は女に何を求める?58才で再婚を考える男の頭の中は主人公の治代の観察の通りだと思う。そんなに期待しないで下さい。

2006年4月21日