「クレイジ-・レディー」 ジェイン・レズリー・コンリー/著
尾崎愛子/訳 福音館/発行

 ヴァーノンの心の整理をするためなのか、日記から本編はスタートする。
 主人公は中学生のヴァーノン少年だが、クレイジー・レディーと呼ばれるマキシンもヴァーノンの詳しい描写で主人公のように生き生きと描かれているのだ。
 ヴァーノンは、父親と姉と兄、そして下に二人の妹と弟がいる丁度兄弟の真ん中です。母親は子どもを残したまま亡くなったのでした。
 ヴァーノンは学校で勉強が遅れがちのために、一年留年していました。
 しかも、今年もまた通知表で散々な成績をとってしまい、もしかするとまた一年留年するかもしれません!ただでさえ同級生より一つ年上なのに、更に留年と言うことは、なんとしても避けたいのでした。そこでたまたま知り合ってしまった「マキシン」に勉強の事を伝えると彼女がなんとか手助けしてくれる事になったのでした。
 それは、喜ばしいと同時にマキシンと付き合わなければならないというヴァーノンにとっては少しばかり悩みの種なのでした。
 マキシンとは、隣町に住む口の荒い女で、ロナルドという少し障害のある息子と一緒に何とも細々、いや細々以下の生活をしていました。マキシンはそれはそれは息子ロナルドを愛していましたが、アル中であることや生活がなりたっていない、などなど子どもを育てる環境を常に整えることのできない人間のようでした。マキシンの知り合いの元学校の先生ミス・アニーの所へ勉強に通いながら、マキシン親子の助けを不本意ながら手伝ううちにこの親子に心も近づくヴァーノン。その少年の熱意とは裏腹なマキシンの道を外れたような行動に翻弄されながら。

※表紙掲載許可は、福音館さんより得ています。

20005年 7月6日