クロニクル 千古の闇 2
「生霊わたり」
ミシェル・ペイヴァー/作 さくま ゆみこ/訳 酒井駒子/画
評論社/発行
前編にも書いたでしょうか。シリーズを重ねてなぜかつまらなくなる作品もあるのです。毎回の結末が似てきたり、一作目を越えなかったり、色々ですが、中には一作目で完結していなくても、話が途中でも一作目でやめておけばよかった本もありましたが、このシリーズはそういうシリーズ物のジンクスを払拭するものでありました。これを読んで学んで欲しい作家もいる。シリーズを書き続ける意味を考えて欲しい。
精霊わたり、自分が生霊渡りだったことを知ってしまった主人公トラク、生霊わたりとは自分の体からまったく別の生き物へ魂の移動をするまさしく生霊を渡る能力を持った者を差す。
トラクはウルフと離れてワタリラガス族と生活を共にしていました。しかし、そのワタリガラス族に病人が出る。その病は森全体を包み込むように他の氏族たちにも広がりをみせる。病を前にして心が痛み始めるトラク、
この病の原因は魂食らいにあるのではないだろうか・・
トラクは族長のフィン=ケディン逆らいワタリガラス族を抜け出し、深い森にいる病を治すという噂の魔導師捜して一人で歩き出します。
トラクが病を治すために辿り着いた場所には重い答えが待っていました。深い森で伝えられた「海のへ行け」と聞き、辿り着いた場所には重い答えが待っていました。海にいたアザラシ族に捕らえられ、トラクの前に現れたのがアザラシ族の魔導師テンリスでした。この魔導師に従い、指示し、付いて来たトラクに病を治す力があるのだろうか。
私には毎回トラクの旅は空を掴む様な無謀な物に思えます。地図はありません、太陽と星座で方向を決め歩き出すトラクのたくましい姿があって読者の気持ちをぐっと掴んでしまう。
壮大なシリーズとして「ハリー・ポッター」と違い早い段階で重要な事実が本の中で語られ、読者の興味をいつまでも引っ張っていく力があると思うのです。全部で6巻もあるという。まだ先が長そうだ。
2009年1月4日
ワタリガラス(ウィキペディアより)
※表紙掲載許可は評論社さまより得ています。訂正のご指摘ありがとうございました。
2009年1月7日