世界の児童図書賞 
(子どもの本・翻訳の歩み事典参考、柏書店様より許可を得て抜粋してあります)

アメリカ

・ニューベリー賞(John Newbery Medal)

 

 アメリカ図書館協会の児童部会が授与する賞、18世紀イギリスの出版業者ジョン・ニューベリーの名前を冠して1921年に創設され、1992年より開始された。前年に出版された14歳以下を読者対象とする本の中から児童文学にもっとも貢献した優秀作品の著者に贈られる。合衆国国民または、在住者の著作で、合衆国で初めて出版された作品が対象になる。

 受賞作とともに数冊のオナーブック(次点作)が発表される。

 

過去の受賞作品
・「大きな火なわじゅう」 ウォルター・D・エドモンズ/著 1943年受賞

・「ティーパーティの謎」 カニグズバーグ著 1977年受賞
・「テラビシアにかける橋」 キャサリン・パターソン著 1978年受賞
・「海は知っていた」 キャサリン・パターソン著 1981年受賞

・「ビリー・ジョーの大地」ヘス著 1998年受賞
・「めぐりめぐる月」シャロン・クリーチ1995年受賞
・「穴」 ルイス・サッカー/著 1999年受賞

スコット・オデール歴史小説賞(Scott O'Dell Award for Historical Fiction)
「青いイルカの島」の作家スコットオデールが歴史児童文学の促進の為に基金を出した事より作られた賞。1981年創設で受賞作は1984年から出している。選考対象は、前年に英語で書かれ合衆国の出版社から出された子どもヤングアダルト向けの作品で、新世界を舞台とした歴史小説。

過去の受賞作品
・「朝の少女」 ドリス著 1993年受賞
・「その時ぼくはパールハーバーにいた」 ソールズベリー著 1995年受賞
・「北極星を目ざして」 キャサリン・パターソン著 1997年受賞
・「ビリー・ジョーの大地」 ヘス著 1998年受賞

・フェニックス賞(Phoenix Award)

児童文学協会より1985年に創設された賞、出版されてから20年たって再評価に値すると考えられた作品に贈られる。選考対象となるのは、20年前に英語で出版され、これまで大きな児童文学賞を受賞した事のない作品に限られる。

過去の受賞作品
・「王のしるし」(1965年に出版) ローズマリー・サトクリフ著1985年受賞
・「ねらわれたスミス」(1967年に出版) ガーフィールド著1987年受賞

・「ドラゴン複葉機よ、飛べ」(1975年出版) ローレンス・イェップ著 1995年受賞
・「イシスの灯台守」(1980年出版) ヒューズ著 2000年受賞

イギリス

 

・カーネギー賞(Carnegie Medal)

 

 イギリスでもっとも権威のある児童文学賞。賞名は、公共図書館の発展に尽力のあったアメリカの実業家アンドルー・カネーギーの名を冠し、イギリス図書館協会(Library Association of Great Britain)によって1937年に創設された。選考対象は、1969年まではイギリス人作家のものと限られていたが、その後その規則はなくなり、前年にイギリスで最初に、または他国と同時に出版された英語による作品となった。

 

過去の受賞作品

・「ダンデライオン」 バージェス著 1997年受賞

・「肩甲骨は翼のなごり」 アーモンド著 2000年受賞
・「あらし」 ケビン・クロスビー=ホランド著 (ほるぷ出版発行)



ガーディアン児童文学賞(Guardan Children's Fiction Award)

1967年、日刊紙「ガーディアン」が創設した賞。選択対象はイギリス人またはイギリス連邦の作家によって前年に出された作品で、絵本は除かれる。また少数の作家による賞の独占を避ける為、一度受賞した作家の作品も除かれる。「ふたりのアーサー・予言の石」(ソニー・マガジンズ発行)の後書きに、同じ作家達から選ばれるとありました。かなり栄誉のある賞のようです。

過去の受賞作品
・「夏休みは大さわぎ」 マッケイ著 1992年受賞
・「ブロックルハースト・グローブの謎の屋敷」 ウォー著 1995年受賞
・「黄金の羅針盤」 プルマン著 1997年受賞
・「ダンデライオン」 バージェス著 1997年受賞
・「ふたりのアーサー予言の石」 
    ケビン・クロスリー=ホランド著 2001年受賞


ドイツ

 

・ドイツ児童文学賞(Deutscher Jugendliteraturpreis)

 

 ドイツ唯一の国定の賞で、長い伝統があり、権威もある。1956年より毎年、授与されている。1956〜1981年の一時期、名称がDeutscher Jugendbuchpreisに変わった事があるが、賞自体は同じもの。対象は前年に出版されたドイツ語の子どもの本(独訳のものも含む)で、絵本、児童書、青少年書、知識の本の各分野別けて選考され、授与される。他に翻訳賞、作家に授与される特別賞がある。

 

過去の受賞作品

・「モモ」 エンデ著 1976年受賞 

・「おばあちゃん」 ヘルトリング著 1979年受賞

・「クラバート」 プロスラー著 1980年受賞

 

カナダ

 

・カナダ総督文学賞 児童文学部門(Governor General's Literary Awards for Children's Literature)

 

 1937年に、カナダ作家協会により創設されたカナダ総督文学賞は、1947年に児童文学部門を作った。最初の受賞は1949年「北極圏のフランクリン」(未訳) 1959年にカナダ・カウンシルが運営を引き継ぎ、児童文学部門はいったん廃止になった。しかし1957年にカナダ・カウンシル児童文学賞という名称で再会された。これには英語作品部門とフランス語作品部門があり、1979年以降は両言語のイラストレーション部門も作られた。その後1987年に再びもとのカナダ総督文学賞に組み込まれる事になり、名称が元に戻る。選考対象は、前年に作られたカナダ人による作品で、カナダ国内の出版に限らない。

 

過去の受賞作品

・「火星を見た事ありますか」 ウィン・ジョーンズ著 1993年受賞

・「丘の家、夢の家族」 キット・ピアソン著 1997年受賞 

フランス

ルノド賞 フランスの権威ある文学賞
「フランスの組曲」
ドイツ占領下のフランスを書いた作品。ユダヤ人女性作家 イレーヌ・ミネロフスキー著
2004年受賞
中日新聞11月10日発行より抜粋

翻訳家リスト

リストと書くとずらっと翻訳家を紹介しているようだが、今のところたった一人しか紹介できてないのだ。いつ増えるのかさっぱりでございます。

金原瑞人(かねはら みずひと)1954年 岡山市生まれ
専門はエスニック文学。欧米、主にヤングアダルト小説200冊以上を翻訳している。
金原さん自身の著書は「大人になれないまま成熟するために」洋泉社発行がある。2004年の芥川賞を受賞した「蛇にピアス」の作家金原ひとみさんは長女。
このHPで一番よく出てくる翻訳家の金原さんが新聞で紹介されいていたので紹介してみました。(2005年1月6日発行中日新聞より抜粋)