「シャドウ・ラインズ」 〜語られなかったインド〜
    アミタヴ・ゴーシュ著 井坂理穂訳 而立書房発行

 サブタイトルの「語られなかったインド」がなかったら読まなかった作品である。「モンスーン・・・」以上の壮絶な物語が語られると勝手に思っていた。表紙もなああってもなくてもよいぐらい手間をかけなさすぎの表紙だなあ。
この作品を読んで「物語」である前にインドの歴史を垣間見るという感じを受けました。

 どう違うのか、それは「モンスーン」の中の少年達とは違う、多分かなり階級的には上のクラスの人々のお話であると、共通する事はまじめで率直なインドの人達である事・・・・
 最後まで主人公の名前がわかんない、それなのに何故こうまでに主人公の青年に感情移入してしまうのか?それはゆえにゴーシュの巧みな表現力とそれに「僕」自身や彼を取り巻く人々達の素晴らしさだろうか・・・すいませんワタクシの表現力が感想に追いつかない。

 しかし内容は難しい、3回くらい読み返さない真の理解できそうもないワタクシでございます。
 本の中では「僕」という主人公の語り部によって時代背景がさかのぼる事がたびたびある。祖母が亡くなったシーンがあるのに次にはまた祖母の回想録になったりと、しかし祖母の存在は作品のキーワードの1つであり、物語に外せないキャラだったのだ。
 物語の時代は、1970年代だろうか、実際に起きたインド・パキスタン分離独立後の背景が書かれているが本書に末尾に詳しすぎるほどの後書きが記されているので、参考になります。よかった・・・調べなくてもいいのね・・・ほっ

※表紙掲載許可は、而立(じりつ)書房さんより得ています。電話で即答してくれて嬉しいなあ。ありがとう!