
「騎士見習い トムの冒険 T」
偉大なる騎士サー・ジョン!
テリー・ジョーンズ/著 マイケル・フォアマン/絵 斉藤健一/訳 ポプラ社/発行
表紙の絵で本を選ぶ人は多いと思う。しかし表紙に騙されてしまう事も時々ある。これはだまされてない。というか冴えない表紙のわりには中身はよかった。マンガっぽい表紙はあまり好まないが、中にある挿絵は同じ人が描いたのに物語をよく理解して生き生きとしている。冴えない表紙を除けばあとは全部よかった。残念だ。
騎士見習とあるように、サー・ジョンに使える騎士となり、百年戦争とよばれる戦に戦いを挑みます。挑むと言っても、実際はあまり戦っていない。偉大なるサー・ジョンとあるが偉大さがさっぱり解らない。14世紀には珍しいとされた主人公のトムは両親を失い、幼い妹と暮らしていました。そんな彼は、村の司祭様に読み書きを教えてもらい本が読めたのです。この物語のポイントは「本が読める」という事だと私は思う。
トムは司祭が薦める修道院に行きたくありませんでした。彼は騎士になりたかったのです。そして戦いたかったのです。しかし戦争とは、人が死ぬか生きるかだけではなく、その土地の文化も葬り去るという意味を含んでいるのだ。
彼が読めた「本」を読めない者が消し去ってしまう。きっと本当の戦争もこんな事の繰り返しなんだろう。なんという切なさだろうか。
2006年4月29日
※表紙掲載許可はポプラ社さんより得ています。
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