ソーラーパネルでEVへ充電? (Old Car)
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最近 facebookの、とある「グループ」でこんな動画が話題になりました。
タイトルは「ソーラーパネルでEVカーへ充電!
URLは 「 https://youtu.be/iQIFXjCjh08 」です
 
 
[目次]
 1.最初の感想
 2.大雑把な試算
 3.システムを移動運用する場合の検討
 4.結論
 5.出典 ・ 参考資料




 1.最初の感想

 タイトルと無関係な前置きが 75%を占める動画(0:00〜3:07)で
やっと本題に入ったと思ったら、全てスチール写真のパン&ズームだけ(3:08〜4:21)

全体の構成を見せただけで、定量的な情報はソーラーパネルからの電流値のみ。
捉えどころの無い内容で、最後の結論に曰く、「いざという時に役立ちます」と。
どんな根拠を以って、役に立つと言うのか理解出来ませんでした。


 2.大雑把な試算 (充電量・充電時間(日数) )

 そこで、これを検証(反論)するために、ある程度根拠を調べて
どこまで実用になるのかごく大雑把な試算をしてみる事にします。
算出条件は、現時点(2015年市販)の製品レベル程度の性能を想定します。
 
(注記)「」は、環境依存文字なので、以下「m2」と表記した所もあります
 
   構成図(備 考)
1kW
ソーラーパネルは、畳1枚の大きさとして4枚構成とします
充電器は、バッテリーへの充電効率を 80%とします
3kWバッテリーの容量は、1日の発電量を貯める事が
できる様に 3kWhとします
インバーターは、EV/PHVの充電が行える容量として、
変換効率は 80%とします
12kWアウトランダーPHEVのバッテリー容量は、12kWhです
車載充電器の効率は 80%とします
 
 
(1) 太陽光のエネルギー   1kW/

  太陽光エネルギーは 1平方メートル当り約 1kWです。

(2) 発電電力   約 1kW/畳4枚 (155W/

  面積の想定
    動画では4枚のソーラーパネルが映っていますが寸法は不明です。
    そこで、大きさは畳サイズを想定します。
    畳4枚分の面積は小型車(マーチやヴィッツ)の平面の面積とほぼ同じです。

  晴天の発電ピーク時の発電電力
    現在入手可能なソーラーパネルの変換効率は約15〜16%程度ですので
    ここでは 15.5% として計算します。
    畳1枚分(1.6平方メートル)のソーラーパネルの発電電力は

    1(kW/m2) * 1.6() * 15.5(%) = 1000*1.6*0.155 = 248(W)

    畳4枚分では 248(W/枚) * 4(枚) = 992(W) . . . . . 切りよく 1kW とします。

(3) 発電電力量   3kWh/日 (0.5kW*6hr)

  1日に発電できる電力量
    夏と冬では太陽の高さや日照時間が大幅に違います。
    年間の日射量や日照時間のデータもありますが、
    ここでは、春分(秋分)の日の晴天(好条件)を想定して、
    仮に、平均500Wで 6時間/日 発電できるとします。
    (かなり強引ですが概略なので (^_^ゞ )

    500(W) * 6(h/日) = 3000(Wh/日)

(4) 充電電力量(一時貯蔵電池)   2.4kWh/日 (効率: 80%)

    ソーラーパネルから直接インバータで AC100/200Vに変換しない理由は
    得られる電流(電力)が小さい事と、気象条件などの変化で発電量が
    不安定なためです。
    前項で試算した値の 3kWhを蓄えられる容量のバッテリーが必要です。

    また、ソーラーパネルは、発電電力を最も効率良く取り出せる様に
    負荷を制御する必要があります。
    この負荷制御とバッテリーの充電の制御にもロスが発生します。
    ソーラーパネルからバッテリーへの充電時の効率を仮に 80% とします。

    3(kWh) * 0.8 = 2.4(kWh)

(5) 充電電力量(EV電池)   1.5kWh/日 (効率: 64%)

    発電した1日分の電力を、インバーターで AC100(or200V)に変換して
    EVに充電します。この時のインバーターの効率を仮に 80% とします。

    2.4(kWh) * 0.8 = 1.9(kWh)

    また、EVも入力された AC100(or200V)を直流に変換してEV車載電池を
    充電します。 この時の車載充電器の効率を仮に 80% とします。

    1.9(kWh) * 0.8 = 1.5(kWh)

(6) EV電池容量を充電する日にち      晴天8日 (1.5kWh/日)

    アウトランダーPHEVの電池容量はカタログ値から 12kWh です。
    空っぽの状態から、満充電状態にするには、1.5kWhづつ毎日充電すると
    晴天の日が続いたとして8日間かかります。

    12(kWh) / 1.5(kWh/日) = 8(日)  (晴天日)

(7) 実際にEV電池容量を充電する日にち      20日 (2.5倍)

    実際には好天は続かないので、仮にこの 2〜3倍 程度の日数が必要と
    思われます。

    8(日) * 2.5 = 20(日)

    この 2.5倍はあまり根拠は有りません。 農業と同じで「お天道様次第」です。

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 3.システムを移動運用する場合の検討

 この投稿では「屋根もってなくても」と言っているので
これらの装置類を持ち運ぶ場合の検討をします。

(1) 重量   150kg

    畳位の太陽電池パネルが 20kg/枚とすると 4枚で 80kg

    よく使われている鉛電池の場合を想定すると
    約1kWh(12V,90Ah)で 18kg、1日の発電分を貯めると 3個で 54kg
    (リチウム電池ではこの重量の 1/2〜 1/3位?)

    その他に、バッテリへの充電コントローラ、インバータなどの
    重量も加える必要が有ります。 仮にそれぞれ 5kg とする。

    80(kg) + 54(kg) + 5(kg) + 5(kg) = 144(kg)

(2) 寸法・容量   軽トラの荷台程度の大きさが必要

    畳4枚、電池3個、制御装置2台、
    さらに実際に使うには、ソーラーパネルを地面に直接置けないので、
    簡易な架台や、接続ケーブル類など細々とした装備が必要です
    これらを積載するには、軽トラの荷台程度の大きさが必要です。

    アウトランダーならルーフキャリアと荷物スペースに載るかも?
    でもそれでは、本来の人や荷物は少ししか運べない。
    乗用車タイプだったらトレーラーでも牽引しないと持ち運べません。



 4.結論

(1) 悲観的な結論   あまり役立ちません

    晴天の日に1日中(昼間)、フルに充電しても 1.5kWh程度なので
    アウトランダーの場合は 10kmも走れないでしょう。 プリウスでも 10km程度。
    これでは、あまり役立ちません。
    ソーラーパネルがもっと沢山必要です。(当然ですが持ち運びが難しくなります)

(2) 前向きな結論   役立てる事も出来ます

    ソーラーパネルからの電力で車を走らせるには電力が足りませんが
    災害時の非常用電源として EVのバッテリーを活かす事はできます。

    屋根の上のソーラーパネルは、独立型太陽光発電(オフグリッドソーラー)
    として稼働可能なタイプなら、昼間だけでも利用可ですが
    電力を蓄える仕組みが無いと夜間や雨天の日は利用出来ません。

    最近は、電力を蓄える事ができる EVのバッテリーを非常用電源として
    使う事に感心が集まっています。
    大電力が必要な機器(エアコンや電気釜など)以外の、殆んどの家電品は
    動かす事が出来ます。
    (インバータの容量さえ許せば大電力機器でも短時間なら可能)



 5.出典 ・ 参考資料

大雑把な試算が目的なので根拠は、手っ取り早く wikipedia を利用しました。

wikipedia には、またその根拠が示されています。
(測定器におけるトレーサビリティと同じ考え方ですね)

(1) 太陽光 (参考資料) 太陽エネルギーは約 1kW/

  太陽から放出されたエネルギーは
  地球軌道付近で約1.37kW/(太陽定数)
  日本付近では最大約1kW/ となる
 
(2) 太陽電池 (参考資料) 発電の原理や特徴
 
(3) 変換効率ランキング (参考資料) 市販品は 15〜16%が多い
 
(4) 太陽光発電 (参考資料) 一般知識
 
(5) 年間晴れ日数 (参考資料) 全国平均 217.6日
1位 香川県249.5日
47位 秋田県158.5日
 
(6) 日射量 (参考資料) 年間 1100〜1600kW/

(7) 日照時間

  日本各地の年間日照時間は、おおむね1500時間から2200時間程度
  日照時間は、直達日射量が120W/m2以上である時間と定義される
  日照なしの目安(120W/m2以下)は、直射光によって物体の影が認められない程度。
  1850(h) / 365(day) = 5(h/day)





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