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≪水戸一高「歩く会」≫
(そのルーツ?)


我が母校、水戸一高には伝統の「歩く会」がある。
毎年10月のある日、全校生徒が隊列を連ねて午前から歩き始める。
その行程は約70km前後。
クラスごとに思い思いの標語を書いた幟(のぼり)を担ぎ、大小の休憩を挾みながら夜通し歩くのだ。
行程の終盤(20数km)は自由歩行となるが、実はここからが本番、未明から大方の生徒が走り出す。
こうして翌朝へとへとになって本校に帰り着くという、過酷な体育行事だ。

この行事、過酷ながら卒業生にとってはいろいろと思い出深いものになり、
卒業生が小説に描くほどの名物行事となっている。
その小説、恩田陸の「夜のピクニック」は2005年の本屋大賞を受賞し、
2006年秋には映画となって全国公開される。
http://www.yorupic.com/

ところでこの歩く会、
第1回は戦後まもない昭和24年(1949)で、今年(2006)はもう58回を数える。
ところが、
「水戸一高百年史」を紐解くと、この行事は戦前からあれこれ下地のあったことが覗われる。
それは昭和13年からの「健歩会」や、昭和16年からの「鍛錬行軍」などだ。


さて、下の写真である。

(←右から左へ読む)

この写真は明治42(1909)年、前身の「水戸中学校」開校記念日に催された「偉人行列」のスナップだ。
当時就任2年目、気鋭の菊池謙二郎・校長の発案で、
生徒・職員名々が、尊敬する人物の名を記した幟を担ぎ、水戸市内を練り歩ったという“故事”の実写記録である。

偉人行列」絵葉書

この珍妙な行事はこの回限りで終わったのだが、
「行列」、「幟」などのスタイルから思うに、
どうもこのあたりに、水戸一高「歩く会」のルーツ・DNAが潜んでいそうな気がするのだ。

・・・・

余談だが、水戸一高は「伝統の歩く会」がある反面、修学旅行という世にありふれた行事が“伝統的に”
無い
かつてあった修学旅行は、旅先での不祥事が時の校長の逆鱗に触れ、
明治43年10月を最後に、その後廃止されたという。

2004.10.1-2006.8.20


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