2011-01 FrontPage


< 電車の交差点 >


このスナップは、踏切で電車の通過を待っているところを車内から撮った風景だ。



「車内から」といってもバスからではない。こちらも電車なのである。
ふつうではありえないシチュエーションだ。

・・・・

愛媛県松山市では、今も路面電車が市民の重要な足となって活躍している。
市民ばかりでなく、よそ者にとっても、路線がシンプルなので比較的わかりやすく、大変便利な乗り物だ。
(筆者の故郷水戸にもかつてあった風景なので、懐かしさもひとしおだ)

ある日その路面電車に乗っていたら、突然「キンコンカンコン」と踏切のような音が聞こえてきた。
「踏切のような」ではなく、踏切だった。目の前で遮断機が下りた。
これがバスの車窓ならなんでもない風景だが、乗っているのが電車なので、いささか狼狽した。
それが上の場面だ。

やがて向こうの電車が通り過ぎて遮断機が上がると、こっちの電車がおもむろに走り出した。
「ガチャガチャ、ゴットン、ガチャガチャ、ゴットン」
と、結構派手な車輪音を響かせながら相手の線路を真横に踏みしだき、平然と踏切を渡りきった。


車窓から

「びっくりした〜!なもし」

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奥に見えるホームは伊予鉄道(高浜線)大手町駅(2010.11.22)

そこは大手町駅付近で、伊予鉄道高浜線と路面電車とが、ほぼ直角に交差する「電車の交差点」だった。
この地点、鉄道マニアにはつとに有名なところらしいが、
規格の異なる電車が直に平面交差するのは、かなり珍しい風景ではないか。
両電車ともに伊予鉄道の経営で、電圧も同じ600ボルトのために可能な芸当と言えようか。
(2011.1.3-5)



その後、「電車の交差点」は他にどんなところがあるか、ネット検索してみたが、
かつては全国のあちこちにあったことがわかった。
(「平面交差 鉄道」や「ダイヤモンドクロス」などのキーワードから、動画を含めて続々情報が出てくる!)
しかし、線路が直角に交わるものは、現在、数えるほどしかないようだ。

これらのネット情報から、意外にも筆者の通勤圏内である名古屋市内にも、
その数少ない平面交差が現存することを知った。


名古屋市港区大江町・名古屋鉄道築港線

この付近は、三菱や東レといった大企業の工場やオフィス、倉庫などが密集する産業地帯だ。
朝夕の通勤時間帯には、休日でも毎時数本の通勤電車が往来している。
この「交差点」、仕事帰りの人を乗せた電車が、
「カタカタカタン・・・、カタカタカタン・・・」
と、軽快なリズムを残しながら、ごく当たり前のように通過していった。

しかし、この交差点は両方とも単線であって、一方は架線もない錆びた線路だ。
町のど真ん中で規格の異なる電車の複線同士が平面交差する松山とは、比べるべくもない。
(2011.1.16)