DX宣言書

デジタルトランスフォーメーション推進に向けた取組指針

株式会社ツルタ製作所

1経営理念・ビジョン

当社は愛知県刈谷市という自動車産業の中心地において、創業以来、金属プレス加工・金型製作・溶接加工を通じて高品質な製品を提供し続けてまいりました。

「人に勝る資源なし、人を創り、未来を創る」

このスローガンのもと、人材こそが最大の資産であるという信念を持っています。

当社では戦略的な製品の受注として、多品種少量生産品を選択しております。多品種には現場の対応力も問われ、一部の生産品には「生産サイクルの長期化」が特有の課題となっています。2年に一度しか流れない製品、それ以上のものも、多くあります。全てに対応しておりますが、過去の経験や記憶が風化しやすく、その都度ゼロから確認を行う非効率が発生しています。

当社はこれを変革の機会と捉えます。デジタル技術を活用して、時間の経過により失われる「記憶」や、書面だけでは伝わらない「感覚」を補完・永続化させることで、いつでも高い品質を再現できる体制を構築し、持続的な成長と新たな価値創造を実現します。

株式会社ツルタ製作所 500tプレス+コイル材送りライン 株式会社ツルタ製作所 工場内部

本社工場(愛知県刈谷市)と製造現場

2DXビジョン

「どこまでも挑戦:デジタルで繋ぐ、技術と人の未来」

私たちは、アナログ業務のデジタル化を徹底的に推進し、デジタルと技術が組織全体を循環する基盤を構築します。場所や時間、経験年数にとらわれず「誰でも・どこでも・高いレベルで」仕事ができる環境を作り、次世代のモノづくり企業へと進化し続けます。

3リスク・機会を踏まえた方向性(背景と目的)

現在、当社のプレス加工や金型製作の現場では多品種少量生産を行っており、製品の生産ロット間隔が比較的長くなる傾向にあります。長いものでは1年サイクル以上という製品も存在します。

こうした長期サイクルの生産において、過去の作業内容を作業者の「記憶」のみに頼って作業することは極めて非効率的であり、リスクを伴います。また、紙の作業要領書を見ながら作業を行っても、そこに書ききれない微細なコツやニュアンスなど「書面では伝わらない内容」までは再現できず、1年前に行った内容を正確に思い出すことは困難です。

さらに営業活動においても、顧客の要求が高度化・複雑化する中で、個人の記憶や経験則に頼った従来のスタイルだけでは、迅速かつ的確な提案ができず、競争力を維持できないリスクがあります。AIやデータを活用し、顧客の潜在ニーズを捉えた提案力を強化することが急務となっています。

このように、時間の経過による「作業手順の忘却」や「属人化による提案力の限界」は、品質のバラつきや機会損失を招き、経営上の大きなリスクとなっています。これらの課題を解決するため、全社横断的な「DX推進プロジェクト」を始動します。デジタル技術を用いて、忘れがちなポイントの形式知化、営業提案の高度化を進めることで、生産性の向上と強固な経営基盤の確立を目指します。

4DX戦略

戦略の概要

当社のDXビジョンを実現するため、以下の2つの柱を中心とした戦略を実行します。なお、DX推進にあたっては、現場の知識やスキルが伴わないままの性急なデジタル化は形骸化を招く恐れがあるため、「人への教育」と「ツールの導入」をセットで考え、従業員が確実に使いこなせる「身の丈に合ったデジタル化」から段階的に推進していくことを基本スタンスとします。

最重点戦略

戦略1:【どこまでも】技術を繋ぐ
長期サイクル品における「記憶」のデジタル化

1年以上の長いサイクルで生産される製品において、書面だけでは伝わらないノウハウを動画で形式知化し、記憶に頼らない生産体制を構築します。

製品イメージ
作業の動画化・アーカイブ化

久しぶりの作業で思い出すのに時間がかかる製品を中心に、熟練者の作業風景やカン・コツを動画として撮影・保存します。書面では表現しきれない動きや音、力加減などを「見て分かる」状態で資産化することで、1年前の自分や先輩社員が「画面の中で教えてくれる」環境を整備します。

QRコードによる現場連携

作業要領書にQRコードを貼り付け、現場の作業者がタブレット等で読み取ることで、即座に「1年前の作業動画」や詳細手順を確認できる仕組みを構築します。これにより、忘れかけていた内容も直感的に思い出すことができ、経験の浅い社員でも正しい手順で作業が可能となります。

営業変革

戦略2:【営業変革】AI活用による提案型営業の高度化
商談分析で拓くプラスアルファの価値

当社はこれまでも「顧客の期待を超える提案」をスタイルとして貫いてきましたが、AI技術を活用することでこの強みをさらに深化させます。商談議事録の文字起こしから「要約」「やるべきこと(ToDoリスト)」「改善点」を自動で抽出・整理する仕組みを導入し、顧客の潜在的な要望をより精緻に把握します。これにより、現状の提案スタイルに「プラスアルファ」の価値を付加し、顧客満足度を最大化する営業体制を実現します。

5推進体制

代表取締役および経営層のコミットメントのもと、全社横断的な組織として「DX推進プロジェクトチーム」を発足させました。品質保証、営業、技術、製造、生産管理、総務など各部門から選抜されたメンバーで構成され、現場の課題をダイレクトに吸い上げ、迅速に施策へ反映させる体制を整えています。

推進体制

6環境整備

基本方針

システム導入においては、何も分からないまま高額で豪華なデジタル機器を導入しても、現場が使いこなせなければ無用の長物となるリスクがあります。そのため、当社では以下の指針に基づき環境整備を進めます。

  1. 身の丈に合った導入と定着

    まずはタブレット端末や安価なクラウドツール、QRコード活用など、現場が理解しやすく効果を実感しやすいツールから導入を開始します。操作研修を丁寧に行い、デジタル活用を文化として定着させます。

  2. インフラの整備(通信・ハードウェア)

    工場内のWi-Fi環境整備(アクセスポイントの増設)やセキュリティ対策済み端末の現場配布を進め、製造現場のどこにいてもデジタル情報にアクセスできる物理的な基盤を整えます。

  3. 段階的な拡張と連携

    現場のリテラシー向上と運用定着を確認しながら、徐々に生産管理システムとのデータ連携や、IoT機器による稼働監視など、高度な自動化へとステップアップを図ります。

7KPI(重要業績評価指標)

指標 目標
リピート生産時の段取り・準備時間の短縮 2027年度までに長期サイクル製品の段取り時間を現状比30%短縮
営業・間接業務の生産性向上 2027年度までに議事録作成等の業務時間を月間20%削減
段取り時間短縮の意図

動画マニュアルやQRコード連携の活用により、過去の作業内容をスムーズに再現し、記憶の掘り起こしにかかる時間を削減できているかを測ります。

営業生産性向上の意図

AI活用による定型業務の自動化効果を測り、より付加価値の高い提案型営業へシフトできているかを監視します。

8情報発信

2026年2月14日、代表取締役およびDX推進プロジェクトチーム主導のもと、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が提供する「DX推進指標」を活用した自己診断を実施しました。

診断の結果、経営ビジョンや戦略の明確化は進んでいるものの、データ活用の基盤整備やIT人材の育成面において課題があることを把握しました。これらの結果を踏まえ、IPAの自己診断結果入力サイトへ提出済みです。

今後も年1回の定期診断を行い、ベンチマーク結果と比較しながら課題解決に取り組みます。

9サイバーセキュリティ対策

  1. 情報セキュリティ基本方針の策定

    「株式会社ツルタ製作所 情報セキュリティ基本方針」を策定し、全社員に周知徹底。顧客情報および自社の技術ノウハウを重要資産と位置づけ、保護することを宣言。

  2. 技術的対策の導入

    社内ネットワークの出入口にUTM(統合脅威管理)装置を設置し、不正アクセスやウイルスの侵入を防止。業務用PCおよびタブレット全台にウイルス対策ソフトを導入。重要な図面データや顧客データは、アクセス権限を設定したサーバーで管理し、定期的なバックアップを自動で実施。

  3. 教育と訓練

    「身の丈に合った」教育として、怪しいメールを開かない、パスワードを適切に管理するといった基礎的なリテラシー教育を全社員に対して定期的に実施。

  4. 法令遵守と事故対応

    個人情報保護法や不正競争防止法などの関連法令を遵守。万が一のセキュリティ事故発生時に備え、緊急連絡体制を整備し、被害の拡大防止と迅速な復旧ができる手順を策定。