ドウの天井 1,333m、明神山 1,136m

・日 時  平成26年11月23日(日)〜24日(祝)
23日  碧南 16:30 = 20:00 上大須ダム湖左岸遊園(車中泊)
24日  上大須ダム 6:25 〜 6:45 衣類調整 〜 7:30 主尾根出合(休憩) 〜 9:00 林道出合(休憩)
    〜 9:50 ドウの天井 10:05 〜 10:15 明神山分岐 〜 11:50 明神山 〜 13:15 明神山分岐
    〜 13:35 下山道分岐 〜 14:40 主尾根末端 〜 15:10 上大須ダム = うすずみ温泉
    = 20:00 碧南
    ≪行動時間 8時間45分≫
・山行記録
 ドウの天井は以前は非常に登り難い藪山であったようだが、 今では山頂直下まで道路が延び山頂には遊歩道を歩いて行ける山になっているようだ。 しかし、山頂に至る道は中電の管理区域として入口から進入禁止になっており、別の意味で登り難い山になっている。 わたぼうが残す奥美濃の岐阜百山も残り少なくなっており、そろそろ登っておきたい所だ。
 そんな折、上大須ダム左岸尾根の踏み跡を登った記録を見付る。 これなら何のお咎めも無く山頂付近の道路に至ることができそうで、わたぼうは俄然、ドウの天井を登りたくなって計画を立てる。 以前、上谷山を登った時に続岐阜百山である鏡山の存在を知らずに行き漏らした経験から、 今度は近くの続岐阜百山である明神山も漏れなく計画に入れる。
 勤労感謝の日の3連休は暖かな好天が予想されており、わたぼうは日曜の午後遅くに自宅を出る。 日暮れの早い時期なので、あっという間に真っ暗で、根尾からは車1台通らない暗闇の道を只管走り続ける。
取水施設の左端から踏み跡あり
いきなり物凄い急登
上大須ダム左岸を進むと公衆トイレがある園地があり、 その先に取水施設?がある顕著な沢があって右岸の尾根に踏み跡がある。
 わたぼうは車のヘッドライトで照らして踏み跡の存在を確認してから、直ぐ側の広い路肩で車中泊にする。 近くに人工の明かりが皆無なため、ヘッドライトを消すと濃密な星明かりだけの世界になる。 わたぼうはビールを空けて早めに横になるが、快晴だけに放射冷却による冷え込みが強く、 明け方は積んであった毛布や布団を被り直す。

 翌日は5時に起床し、車をヒーターで暖めてから支度で動き出す。 長袖の上にカッパを羽織って防寒し、雲ひとつ無い快晴模様の中を歩き出す。 尾根はのっけからとんでもない急登続きで、木やお助けロープにしがみ付きながら冷や汗もので登る。 足許直下に沢の流れがある感じで、転落でもしたら只事では済まされないだろう。
登山口の超急登を上から覗く
この先も暫くは急登続き
 取付きの超急登を終えると階段状の急登になり、中電の黄色い境界杭が点々と続いている。 わたぼうは早くも強制的に身体が暖められ、カッパも長袖もザックに仕舞い込んでシャツ1枚で登る。 階段状の急登は直ぐに終わって、尾根を直上する急登が延々と続く。 落ち葉が積もって踏み跡が不明瞭なところもあるが、黄色の境界杭が良い目印代わりになる。
 1時間程登ると主尾根の末端の様な場所に登り着くが、多分標高750mの尾根の緩斜面だろう。 ここからは踏み跡が幾分明瞭になり、黄色の境界杭を確りとチェックさえしていれば間違いは無さそうだ。 再度、急傾斜の尾根を登ると漸く尾根の傾斜が緩くなる。 こちらが本当の尾根の末端のようで、下りで直進の尾根に付いた踏み跡に惑わされそうになったところだ。
 西北西向きの尾根では主稜線が邪魔をしてわたぼうに暖かな陽射しが届かず、薄暗い雰囲気の樹林の尾根を黙々と登る。
雪残るドウの天井直下の道路
前方の尾根に階段状の遊歩道がある
道路が通じる主稜線が随分近くなったように感じるが、急な登りが長々と続いて調子が上がらないわたぼうを苦しめる。 到着予定時間を大幅に過ぎて焦るわたぼうであるが、恋い焦がれる道路には中々出会わせてはもらえない。
 30分以上も予定時間をオーバーしてやっと林道に辿り着く。 今日の行程は長く、日が短いこの時期では非常に痛い時間オーバーだ。 わたぼうは朝食用のバナナを腹に入れ、パックのアクエリアスを飲み干して元気を取り戻し、管理が行届いた舗装道路を歩き出す。 数日前の寒波で積もった新雪が道路脇に残っており、日陰では水分が凍っていて時折滑る。
 道路の西側は抜群の展望で、屏風山の三角錐が際立ち、でかい能郷白山は早くも雪化粧している。 遅れた時間を取り戻そうとわたぼうは早足に道路を上がる。 途中、明神山分岐で目印標識を確認してから一段上れば、ドウの天井直下では雪道になっている。 残る足跡は昨日一昨日のものだろう。山頂部北側を通り越し、北東側の尾根から山頂遊歩道に取付く。
展望台で整備されたドウの天井
レリーフの展望版は何のためにある…
 遊歩道は整備してから余り管理されていないようで、草木の浸食が激しくなっている。 長い階段にゼイゼイと息を上げて行けば、展望台になった山頂に登り着く。 レリーフ状の立派な展望版が設置されており、遊歩道といい、区画線入りの駐車場といい、 本当は観光施設になる筈だったのではなかろうか…。遠く御嶽山が煙を噴いているのが印象的だ。
 パンを齧ってからわたぼうは慌ただしく山頂を後にする。 未だ予定より20分遅れになっており、下手すると明神山が往復できなくなってしまう恐れがある。 わたぼうは往きに確認した明神山分岐から藪の斜面に突入する。ここからが今日の登山の本番と言えよう。 踏み跡らしきものがあるのはほんの最初だけで、直ぐに踏み跡不明な急斜面が待ち構えている。
 藪漕ぎではストックが邪魔になり、わたぼうは途中でデポする。 目印は殆ど無く、見通しも利かないため、真っ直ぐに下って良いのかも判らない。
踏み跡不明の明神山への下り
標高1150m付近で尾根に取付く
単純に斜面を下ってしまうことに一抹の不安を覚えたわたぼうは、右手にある顕著な尾根に移動して尾根上を下り始める。 ところが、取付いた尾根は谷間に落ち込んでおり、明らかに明神山へのルートではない。
 元の斜面に戻るべくわたぼうが藪の急斜面を横切って行くと、ピンクテープの目印を発見する。 しかし、目印の場所でキョロキョロと周囲を見渡すも次の目印が見当たらない。 わたぼうは今度は左手の顕著な尾根に取付こうと登り気味に尾根に近づいて行く。 ところが、尾根上には藪がびっしりと密生しており、とてもじゃないが取付けそうもない。
 尾根の先を眺めるとどうもこの尾根が明神山の稜線につながっている様子である。 わたぼうが尾根に沿って斜面を下っていくと、標高1150mで尾根が平坦になった場所に目印を発見する。 わたぼうは斜面を横切って漸く尾根上に立つことができる。 右往左往していたせいで、道路の分岐から既に1時間近くも経過しており、時間切れ敗退の大ピンチである。
笹や灌木の中の踏み跡
標高1114m峰から明神山まで続く
 わたぼうは12時までに明神山に着かなかったら引返すことに決め、先を急ぐことにする。 尾根上は踏み跡がある様なない様な感じで、目印を付けながら歩き易い場所を下って行く。 すると、次第に明瞭な踏み跡が現れ、随分と歩き易くはなる。 ただ、灌木の枝や笹薮を掻き分けて行くので行程は捗らず、特に登りは笹薮を押し退けて進むのが一苦労だ。
 次のピークが明神山だろうと期待して登って行くと大外れで、樹林の向こうに更に高いピークが現れてガッカリする。 時間が切迫して焦りまくりで藪漕ぎするわたぼうであるが、山頂は中々姿を見せない。 やっと山頂に立てたのは制限時間10分前の11時50分で、ぎりぎりセーフである。 展望が無い山頂でわたぼうは慌ただしく栄養補給する。
 わたぼうには登頂の余韻に浸っている時間は無く、10分程で山頂を後にする。
樹林の中の明神山山頂
制限時間にかにここ間に合う
帰り道の方が藪に慣れて来たのか行程が捗るが、道路までの最後の登りは踏み跡が無い急斜面で非常に辛い。 灌木に掴まって強引に登り続けると、ドンピシャリにストックのデポ地点に辿り着き、わたぼうは無事道路に生還する。 全身汗まみれの埃まみれではあるが…。
 時間は13時15分なので、もう日暮れの心配をすることなく下れそうである。 11月下旬にしては異常なほど暖かな日和で、道路歩きを終えて急な尾根の下りに掛かると汗が吹き出し、帰りもシャツ1枚で十分である。 最後の難関、とんでもない急斜面の下りを超慎重に下れば、上大須ダムの周回道路に降り立ち、今日の登山は無事終了になる。
 帰り支度をしていると直ぐ近くの道路をサルが横切っている。 良く見ればわたぼうの車はサルの群れに取り囲まれてしまっているが、サルは一定の距離を保って近づいては来ない。 うすずみ温泉でのんびりと湯に浸かってから、食堂で晩飯に親子丼を注文する。 岩魚の刺身と卵という珍しい親子丼は絶品である。わたぼうは充実した1日に満足して帰路に就く。