尾瀬周遊

尾瀬周遊　尾瀬沼～燧ガ岳～尾瀬ガ原～至仏山

・日　時　　平成１６年８月８日（日）～１１日（水）

８日　　碧南4:00～10:30大清水
　　　　　大清水11:15～12:15一ノ瀬12:30～13:00水場～13:50三平下14:20～14:50尾瀬沼ヒュッテ
９日　　尾瀬沼ヒュッテ5:45～6:45休憩7:05～7:55休憩～8:50ミノブチ岳9:05～9:35俎嵓（9:50～10:00柴安嵓
　　　　　～10:10俎嵓）10:20～11:35熊沢田代11:55～12:55広沢田代～14:10御池ロッジ
１０日　御池ロッジ6:55～7:55西田代～9:15休憩～10:15赤田代10:35～11:20見晴十字路12:20～
　　　　　13:45下ノ大堀川～14:50尾瀬ロッジ
１１日　6:40尾瀬ロッジ～7:35休憩～8:30休憩～9:45至仏山10:15～11:15オヤマ沢田代12:05～
　　　　　13:30鳩待峠

・山行記録

　昨年１０月の燧ガ岳登頂計画が雨に祟られたため、今回、計画をグレードアップして再び家族連れで尾瀬に向う。何月も前から宿の予約をし、準備万端である。

尾瀬沼畔のお花畑。左遠方に燧ガ岳
燧上空で雷鳴が轟いている

　大清水には極めて順調に到着する。お盆休み週間というのに駐車場は思いの外空いている。まずは、一ノ瀬までの林道を歩くが、これが夏の陽射しに照らされて暑いのなんの。重荷も加わって早くも汗まみれである。三平峠への急な登りではわたぼう一人遅れがちになる。上空には雷雲が急激に発達している。
　三平下でコーヒーを入れて大休止。尾瀬沼の対岸、燧ガ岳の上空には黒雲が垂れ込め、時折威嚇するかのように雷鳴が轟く。雨に降られると嫌なので、早めに尾瀬沼ヒュッテへチェックインする。
　お盆の頃はやはり空いているようで、ヒュッテはガランとしている。お風呂に入ってから自然観察教室に参加し、いろんな花の名前を教えてもらう。この時期は、サワギキョウ、コバギボウシ、イワショウブ、コオニユリ、オゼミズギク、キンコウカ、ワレモコウ、ハンゴンソウ、オタカラコウ、マルバダケブキ、ミヤマアキノキリンソウなどが尾瀬の水辺を飾る。空は再び晴れ渡り、明日も晴天のようだ…

　今日は燧ガ岳を越えなければならないので、４時に起床する。ところが、信じられないことにまだ暗い空では稲光がピカピカと青白く光輝き、ゴゴォという遠雷の唸りが響いてくる。途端に出発意欲が薄れ、５時出発の予定が５時４５分になってしまう。幸い黒雲が垂れ込めてはいるが、雨は降っていない。

ミノブチ岳山頂にて。背景は俎嵓

　長英新道の前半は緩やかだが、その分ぬかるみがひどい。ずっと樹林の中なのでどれくらい登ったのかも見当もつかない。ただ、天候だけは緩やかに回復して来ているようだ。
　長英新道の後半は急な登りとなり、これを汗だくになって頑張ればミノブチ岳に到着する。ミノブチ岳からは目の前に俎嵓の山頂が近い。反対の眼下には尾瀬沼が印象的だ。青空が覗き、汗が乾いて爽快な気分である。
　岩っぽい尾根をひと登りで俎嵓に登頂だ。ただ、わたぼうは最高点の柴安嵓を是非とも踏んでおきたいので、単独往復に出掛ける。あまり家族を待たせるわけにいかないため、往きは１０分、帰りは５分という超特急だ。柴安嵓からは尾瀬ガ原が一望の下にある。
　コンビーフ入りマヨネーズパンで昼食を済ませてから御池へ下山を始める。途中から石のゴロゴロした沢状の道歩き難い道となり、苦労して熊沢田代へ到着する。まだ午前中なのに地図のコースタイムを見れば御池までもう１時間しかない。思った以上に早く着きそうなので、腰を据えて休憩を取る。

ガス（雷雲）流れる熊沢田代
この直後、雷鳴轟く

　天気は早くも下り坂で、熊沢田代の上をどんどんガスが通り抜けて行く。燧ガ岳の山頂部は既に雲の中だ。怪しい雲行きを眺めていると、突然、雷鳴が鳴り渡る。１１時台だというのに早すぎると思いつつも、急ぎ休憩を切り上げて先を急ぐ。小雨もパラついてくる。
　熊沢田代末端からは岩交じりの急降下になっている。山慣れた人ならピョンピョン岩伝いに飛び降りて行けるようなところであるが、家族連れではそうはいかない。倍の時間を掛けてようやく広沢田代に到着する。モウセンゴケが多くて、赤っぽい湿原である。
　広沢田代からは遂に雷雨が激しく降り注いでくる。広沢田代から下も岩っぽい道で、疲れもあってなかなか道のりを縮めることが出来ない。１時間ほど降り続いた雨がようやく小降りになった頃、待望の御池に到着する。
　今夜の宿、御池ロッジは、山とは別世界のような綺麗な施設である。部屋は広くベットルームまであり、風呂は温泉、食事も大満足である。宿に着いてからも更に激しい土砂降りの雨が降り続く。

尾瀬ガ原下田代から燧ガ岳

　天気予報は午後の雷雨を告げている。今日も雷雨か…と落胆するも、わたぼうは朝食をしっかり食べて出発する。今日は山ノ鼻まで殆ど平坦な道であるが、距離は結構ある。
　裏燧林道は最初に１５０ｍほど登れば、あとは僅かな起伏があるだけである。最初のうちは上田代、横田代、西田代と次々に現れる湿原の景観に酔いしれることができるが、後半は樹林の中の道を只管歩くことになる。唯でさえお盆の尾瀬は人が少ないのに、裏燧林道では殆ど人に出くわさない。
　山腹に付けられた坦々とした木道の段吉新道を黙々と（家族は尻取りを興じている。）歩けば、尾瀬ガ原の一角、赤田代に漸くたどり着く。ここからはずっと湿原の木道で、花の散策に忙しい。新たにウメバチソウ、チョウジギク、ミヤマアケボノソウ、アオヤギソウなどが見つかる。トンボがわんさかと飛んでいて、差し出すストックの先に止まって面白い。
　見晴十字路のベンチで昼食にスパゲティを茹でる。空は薄曇であるが、心配していた雷雨はなさそうだ。ゆっくり食事を済ませてから尾瀬ガ原の木道を行く。振り返れば燧ガ岳の優美な姿が美しい。

至仏山高天ガ原付近から尾瀬ガ原

　木道敷設替えの材料運搬のヘリが上空を行ったり来たりする中、至仏山に向って真直ぐ延びる木道をのんびりと歩く。中田代、上田代には池塘が多く、可憐なヒツジグサの花が水面を埋めている。
　山ノ鼻の小屋に近付いた頃、木道脇の草花がなぎ倒されている光景が目に付くようになる。どうも熊が頻繁に出没してるらしい。今日の宿、尾瀬ロッジに入る前に自然研究路へオゼコウホネを求めて出掛けるが、そこにあったのは木道の上に残された熊の糞ばかりだ。
　尾瀬ロッジでも入浴することができ、気分はサッパリ。家族はロビーで尾瀬の紹介ビデオ（キャイーンが登場）を見て喜んでいるが、わたぼうは心地良い酔いに早々と沈没する。

　最終日は雲ひとつない爽やかな快晴に恵まれる。至仏山の登りは最初から急であるが、直ぐに森林限界に達し、背後には尾瀬ガ原の見事な景観が広がる。素晴らしい景色を堪能しつつ、蛇紋岩の岩場を少しづつ登って行く。高天ガ原から山頂にかけては、ミネウスユキソウ、イブキジャコウソウ、タカネニガナ、ミヤマリンドウ、タカネツメクサなどが足元を飾る。

小至仏から見るアルペン的様相の至仏山

　山ノ鼻から３時間かけて待望の山頂に立つ。乾燥した快晴に大展望が広がる。百名山だけで、燧ガ岳、会津駒ガ岳、平ガ岳、越後駒ガ岳、巻機山、谷川岳、苗場山、浅間山、武尊山、赤城山、皇海山、日光白根山、男体山と勢ぞろいだ。子供とおやつを取り合いで食べつつ、暫し感激に浸る。
　小至仏岳を越える縦走路から振り返ると、岩が露出する至仏山の景観にアルプスにいるような錯覚さえ覚えてしまう。オヤマ沢田代手前まで一気に下り、展望ベンチでラーメンを煮る。これも取り合って食べるから最高に美味い。
　ベンチの先から樹林帯に突入する。あとは鳩待峠まで唯々下るのみだ。午後の太陽に照らされて４日間に渡る山行の疲れが一気に出てくるところだ。燧ガ岳もそうであったが、どうも下りはコースタイムどおり行けないようである。下りに嫌気が差して来た頃、やっと鳩待峠に到着。尾瀬堪能の長い山旅の終焉である。

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