スロヴェニア、クロアチア
ボスニア・ヘルツェゴビナ
リュブリャナ、ブレッド湖、シュコティアン鍾乳洞、ザグレブ
プリトヴィツェ国立公園、シベニク、トロギル、スプリト、ドブロブニク
モスタル、サラエボ

・日 時  令和5年8月27日(日)〜9月7日(木)
27日  碧南 13:30 =(新幹線等)= 羽田空港 21:55 =
    (ターキッシュエアラインズ、機内食2回)=
28日  = 5:30 イスタンブール空港 7:30 =(ターキッシュエアラインズ、機内食1回)=
    8:30 リュブリャナ空港 10:05 =(路線バス)= ブレッド湖バスステーション 〜
    ブレッド城 〜 Restavracija Sova Bled(昼食) 〜 ブレッド湖バスステーション 14:00 =
    (路線バス)= 15:05 リュブリャナバスステーション 〜 シティホテルリュブリャナ 〜
    Mercator(夕食買出し) 〜 シティホテルリュブリャナ(泊)
29日  ホテル(朝食) 8:30 =(専用車)= シュコツィアン洞窟 = 12:30 ホテル 〜 竜の橋 〜
    Gostilna Sokol(昼食) 〜 プレシェーレン広場 〜 リュブリャナ城 〜
    Mercator(夕食買出し) 〜 16:30 シティホテルリュブリャナ(泊)
30日  ホテル(朝食) 7:50 〜 リュブリャナバスステーション 8:45 =(定期バス、休憩1回)=
    11:30 ザグレブバスステーション =(トラム)= ホテルLaguna =(トラム)=
    13:00 イェラチッチ広場 〜 La Struk(昼食) 〜 石の門 〜 聖マルコ教会前 〜
    イェラチッチ広場 =(トラム)= 夕食買出し(Shops Panda〜Bakery Romaja) 〜
    16:00 ホテルLaguna(泊)
31日  ホテル(朝食) 7:25 =(タクシー)= 7:45 ザグレブバスステーション 8:00 =
    (定期バス)= 10:30 プリトヴィツェ湖群国立公園エントランス2 〜
    Plitviceホテル(昼食) 12:00 〜 ST2 =(園内バス)= ST3 〜 上湖群 〜 P2 =
    (遊覧船)= P3 〜 下湖群 〜 ST1 =(園内バス)= ST2 〜 16:00 Plitviceホテル 〜
    レストランJezero(夕食) 〜 Plitviceホテル(泊)
1日  ホテル(朝食) 9:00 =(専用車)= 11:00 シベニク(聖ヤコブ大聖堂 〜
    Valeria Ice Cream and Coffee Bar 〜 Slasticarnica KaGrom Ice Cream shop Sibenik) =
    13:30 トロギル(Marijana(昼食) 〜 聖ロヴロ大聖堂) =
    16:30 Heritage Palace Varos(スプリト) 〜 ディオクレティオヌス宮殿 〜
    SPAR Supermarket(夕食買出し) 〜 Heritage Palace Varos(泊)
2日  ホテル 〜 Marjanuの丘 〜 8:00 ホテル(朝食) 〜 Saint Domnius Bell Tower 〜
    聖ドムニウス大聖堂 〜 Vestibul 〜 Ela's Gelateria Artigianale 〜
    昼食買出し(Mlinar Split Narodni trg 〜 SPAR Supermarket) 〜 ホテル 〜
    スプリトバスステーション 13:30 =(路線バス、休憩2回)=
    18:00 バスステーションドブロブニク =(市内バス)= ホテル レロ 〜
    20:00 Magellan Cafe Bar Restaurant(夕食) 〜 ホテル レロ(泊)
3日  ホテル(朝食) 8:00 =(市内バス)= Pile Gate 〜 城壁周回 〜 Poklisar Restaurant 〜
    聖ヴラホ教会 〜 ドブロブニク大聖堂 〜 Church of St. Ignatius 〜
    フランシスコ教会/修道院 〜 Gradska kavana Arsenal Restaurant(昼食) 〜 Pile Gate =
    14:00 ホテル(休憩) 16:30 = Pile Gate 〜 ケーブルカー乗り場 =(ケーブルカー)=
    Srd山 〜(登山道)〜 Gradska kavana Arsenal Restaurant(夕食) =
    20:00 ホテル レロ(泊)
4日  ホテル(朝食) 10:15 =(専用車)= 13:00 モスタール(スタリモスト 〜
    Koski Mehmed Pasha Mosqu 〜 Europa Restoran(昼食))= 17:15 Cosmopolitホテル 〜
    永遠の炎 〜 バシュチャルシヤ(セビリ) 〜 Sedef(夕食) 〜 Cosmopolitホテル(泊)
5日  ホテル(朝食) 9:00 〜 Konzum(土産買出し) 〜 ラテン橋 〜 サラエボ市庁舎 〜
    Sarajevo駅 =(ゴンドラリフト)= Trebevic駅(喫茶) = Sarajevo駅 〜 Sac(昼食) 〜
    ガジ・フスレヴ・ベグ・モスク 〜 イエスの聖心大聖堂 〜 Pijaca Markale food market 〜
    Cordoba(喫茶) 〜 バシュチャルシヤ 〜 Konzum(夕食買出し) 〜 16:30 ホテル
    =(タクシー)= 17:15 サラエボ空港 21:15
    =(ターキッシュエアラインズ、機内食1回)=
6日  = 0:15 イスタンブール空港 2:20 =(ターキッシュエアラインズ、機内食2回)=
    20:00 羽田空港 〜 ホテルヴィラフォンテーヌグランド羽田空港(泊)
7日  ホテル 10:45 =(新幹線等)= 14:00 碧南
・旅行記録
 令和元年7月にアイスランド、フィンランドへ海外旅行に行った直後からコロナウィルスが猛威を振るい、 誰も彼もが海外旅行に行けなくなってしまった。 それから4年、漸くコロナウィルスの猛威が終息を迎えつつあり、海外旅行も正常化して来ている。 わたぼう達は待ってましたとばかりに妻と日程を調整し、8月下旬から待望の海外旅行に行くことにする。
 まずは行き先であるが、前回はわたぼうの希望でアイスランドにしたため、 今回は妻の希望でアドリア海の真珠ドブロブニクを目指すことにする。 スロヴェニアにも行きたいわたぼうはスロヴェニア〜クロアチアの旅行計画を立てることにする。 ただ、今回は移動が長くなるため、アイスランドの時のようにすべて個人手配するのは難しく、適当なツアーを探す。
 すると、ファイブスタークラブのツアーで、リュブリャナ(スロヴェニアの首都)〜 ザグレブ(クロアチアの首都)〜プリトヴィチェ(クロアチアを代表する国立公園)〜
ブレッド湖とブレッド城
澄んだ青い水に感動
スプリト、ドブロブニク(いずれもアドリア海に面し、古代ローマ遺跡が世界遺産の街)〜サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナの首都)という ほぼわたぼう達の希望と合致するツアーを発見する。
 ツアーといっても航空機、バスとホテルの手配のみで、現地観光や、ホテル・バス乗り場などへは自身で計画、移動するというものである。 わたぼう達はこの自由気ままなスタイルも気に入ってツアーの申し込みをする。 ただ、わたぼう達の日程で旅行社が押さえている航空券が既に売れてしまって追加料金が必要になるが、 それでも旅行の申し込みをしておく。
 最終日の羽田空港着が19時半のため、羽田空港のホテルを予約し、 また、ツアーにはプリトヴィツェ公園の入場予約が付いていないため、わたぼう達は苦労してネット予約する。 スロヴェニアの2日間がフリーなので、初日にスロヴェニア最大の観光地ブレッド湖を観光し、 2日目は世界遺産のシュコティアン鍾乳洞を日帰りツアーで訪れることにする。
ブレッド城からブレッド島
雷雨のせいで島には行けず
 観光の下調べや荷物の準備を済ませた出発前週の月曜日の夕方、わたぼうは突如として発熱してしまう。 翌日受診すると、何とコロナウィルスに感染しているとの診断結果で、土曜日までが隔離期間である。 旅行の出発が日曜日なのでギリギリセーフといった感じである。 水曜日には熱が下がるが、隔離期間は大人しく自宅で療養するわたぼうであった。

 8月27日日曜日、21時55分発のイスタンブール行きターキッシュエアラインズに間に合うよう、早めに13時半頃に自宅を出発する。 新幹線などで羽田第3ターミナルまで行き、予約していたグローバルWIFIを受け取り、 銀行でユーロに両替し、食事を済ませてから搭乗手続きを行う。 飛行機は定刻どおりに出発し、わたぼう達をイスタンブールに誘って行く。
 飛び立つと先ずは1回目の機内食で、日本時間で夜中の0時頃なので夜食といった感じである。 前回もそうであったが、飛行機の中では全く眠ることができないわたぼうは、矢張り今回も眠ることができずにじっと過ごす。
シュコティアン鍾乳洞の展望台
普段は澄んだ流れが濁流に
14時間近く座り続けているため、お尻が痛くてしょうがない。 日本時間の朝9時頃になって2回目の機内食があって、お腹が一杯だ。
 イスタンブール空港には定刻よりやや遅れて5時30分頃に到着する。 トルコとの時差は6時間なので日本時間は11時30分である。 リュブリャナ空港行きの乗り継ぎ便は6時55分なので、1時間半程しかない。 わたぼう達は事前の学習どおり、赤いトランジットの看板を目印に動く歩道を利用し、巨大空港の中を急ぎ足で出発ゲートへと移動する。
 ただ、イスタンブール空港は比較的分かりやすく、約30分前の出発ゲートの確定まで途中のロビーで休憩する。 空港自体は綺麗であるが、トイレの大便器がどこも汚れていて利用する気にはなれないのが玉に瑕だ。 リュブリャナ空港への乗り継ぎ便は約30分遅れの7時半頃に出発し、 短い約2時間の飛行時間の間にまた機内食が提供される。
プレシェーレン広場西の通り
落書きが多いのが玉に瑕
 リュブリャナ空港には矢張り30分遅れで、現地時間の8時半頃に到着する。 サマータイム実施中なので、バルカン半島諸国と日本との時差は7時間である。 到着すると先ずは入国審査であるが、わたぼう達は特に何も聞かれることなく30分程で無事に入国する。 初日は9時5分発のブレッド湖行きの路線バスに乗る心算であったが、もう間に合わない。
 リュブリャナ空港周辺は厚い曇り空になっている。 この夏はスロヴェニアもクロアチアも40℃前後の異常高温になっていたが、つい最近になって寒気が低気圧とともに南下して来ているようだ。 でも、雨が降っていないだけまだましか…。 バス乗り場は屋外カフェの道を挟んだ反対側にあり、20℃台前半の心地よい涼しさの中、次の10時5分のバスを待つ。
 バスのチケットを運転手から購入して、わたぼう達は無事にバスの乗客に加わる。 バスは空いていて荷物のザックを横にゆったりと座ることができる。
プレシェーレン広場南の通り
正面は聖フランシスコ教会
空港周辺も家は殆どなかったが、バスの車窓から見ても家は少なく、飼料用のトウモロコシ畑が広がっている。 ところが、ブレッドの街に入ると、道路は大渋滞で、何故かパトカーのサイレンが鳴り響いている。
 わたぼう達は終点のブレッドバスステーションでバスを降り立つ。 バスに乗車中は小雨が降ったりしていたが、運が良いことにブレッド湖は曇りのようだ。 バス停から下っていくとブレッド湖は直ぐで、切り立つ断崖上に建つブレッド城の眺めと湖底まで澄んだ青い水に感動する。 まだ11時なので、先ずはお腹を空かせるため、ブレッド城に行くことにする。
 ブレッド城までは九十九折れの石段になった厳しい登りになっている。 頑張ってブレッド城まで登ると、期待以上の素晴らしい眺めが待っている。 眼下に広がる青いブレッド湖と湖上に浮かぶ聖マリア教会が建つブレッド島の眺めが素晴らしい!。 ブレッド城自体も中世西洋の城郭の風格を備えており、城内には歴史的な展示物が並べられている。
トラム走るザグレブの市街地
スリに注意も危険な目に会わず
 湖の対岸道路にはパトカーがサイレンを鳴らして行き来しており、どうも会議か何かに出席する要人が乗った黒塗り車の警護に当たっているようだ。 ご丁寧にヘリまで飛んでいる。 お昼になってわたぼう達はネットで紹介されていたレストランソヴァに向かう。 ソヴァはスロヴェニア語でフクロウという意味らしく、ブレッド城からすると反対岸になるため結構遠い。
 小振りな白い建物のレストランで、わたぼう達は自家製スープ、マグロのタルタル、トリュフのパスタを注文する。 スープは抜群の美味しさ、外の2品も美味しいが、パスタは量が多くてお腹が一杯になる。 ところが、食事を楽しんでいる間に天気が急変し、雷鳴が聞こえるようになる。 レストラン近くのプレトナボート乗り場に行ってみるが、今日は中止とのこと…。
 ブレッド島に渡るプレトナボートを楽しみにしていただけに非常に残念であるが、天気ばかりはどうしようもない。 西岸の方から雷雲が近づいてくるのが見えるため、わたぼう達は急ぎ足で東岸のバスステーションに行く。
イェラチッチ総督広場の風景
近くでストゥルクを食べる
何とか雨に降られずに東岸まで戻るが、 何と途中にある施設が要人参加のレセプション会場になって周辺道路が交通規制されている。
 施設を迂回しようとするも、途中で激しく雨が降り出し、わたぼう達は公衆トイレの軒下で暫く雨宿りする。 雨が収まって来てわたぼう達は迂回路を進むが、途中から迷ってしまう。 スマホを見ながら何とかバスステーションを発見し、預けてあった妻の荷物を受け取る。 すると丁度リュブリャナ行きのバスが止まっており、わたぼう達は慌ててバスに飛び乗る。
 バスの発車間際にチケットも持たずに飛び乗ってきたわたぼう達に対して運転手は明らかに不機嫌そうで、しぶしぶチケットを発券する。 丁度14時発のバスで、バスは空港に立ち寄っただけでリュブリャナバスステーションまで直行する。 雨は強弱を繰り返しながら降り続いている。 リュブリャナに着いてわたぼう達は宿泊するシティホテルリュブリャナに向かう。
ザグレブの石の門
殆どの施設が修理中で見学できず
 わたぼうも妻も飛行機での寝不足と時差ボケで疲れが溜まっており、まだ15時であるが、今日の行動はここまでとする。 ホテルにチェックインして取り敢えずはシャワーを浴び、衣類を節減して来たため着ていたものを洗濯する。 夕食を食べに出る元気はなく、近くにメルカトリというスーパーを発見し、 総菜やアルコールなどを買い出してホテルで済ます。

 酒が回って19時頃にはぐったり寝付いたわたぼうであったが、夜中の1時半に大の方のトイレに行きたくなって目が覚める。 丁度日本時間で朝の8時半で、身体の方はまだ時差ボケを引き摺っているようだ。 早く眠ったため、朝5時には目が覚める。 それでもシティホテルリュブリャナは朝食が6時からなので丁度良く、品数も多くて美味しい朝食に満足する。
 今日はトリップアドバイザーで申し込んだシュコティアン鍾乳洞の日帰りツアーである。 観光化されたポストイナ鍾乳洞の方が有名であるが、シュコティアン鍾乳洞は何といってもスロヴェニア最大の鍾乳洞で世界遺産である。
プリトヴィツェ国立公園のバス
先ずは上湖群の最上流に行く
鍾乳洞が多いスロヴェニア西部をカルスト地方と言い、日本語で言うカルスト地形の語源でもある。 ピックアップは8時半である。
 ホテルの前で待っていると、セダンに乗ったインド人運転手が元気よく手を振ってわたぼう達を招き入れる。 運転手は色々と説明してくれるが、正直話半分以下しか分からない。 車は大いなる田舎を通り抜けて、1時間程でシュコティアン鍾乳洞の管理事務所に到着する。 途中、激しく雨が降ったり止んだりしていたが、現地では運良く雨は止んでいる。
 シュコティアン鍾乳洞は英語の解説付きのグループ行動になっており、初回は10時からである。 運転手によるとシュコティアン鍾乳洞は大人気だから早く入場券をゲットしておいた方が良いとのことである。 無事に入場券を確保してから、運転手はシュコティアン鍾乳洞出口の展望台に案内してくれる。 普段なら澄んだ水が、増水で茶色の濁流になっている。
 10時の開始までに大勢の観光客が集まり、グループは4班に分かれての行動になる。 英語の解説はさっぱり分からないが、巨大な空洞や鍾乳石を見るだけでも楽しい。 後半は激流渦巻く川が現れ、可也高い場所に付けられた歩道を歩き、川を吊橋で渡る。 洞内の歩道は結構アップダウンがあって大変だが、気温は12℃しかないから汗を掻くことは無い。
 1時間強のツアーが終了すると、入口とは別の出口に出る。 ここから幾つかの散策コースに分かれるが、わたぼう達は時間の関係もあって最短コースのケーブルカー経由で戻る。 ケーブルカーを降りると天気が急変し、土砂降りの雨が降って来る。 管理事務所までは結構な距離があって、わたぼうは傘を差していても靴の中がずぶ濡れになってしまう。
 帰りも雨降る中、専用車でリュブリャナのホテルに戻る。ホテルに戻ると、妻が車の中に傘を忘れて来たという。 運転手に連絡を取ろうとするがうまく繋がらず、傘は諦めることにする。
上湖群最大の滝
写真撮影で渋滞する
丁度雨が止んでいるので傘を買いに街へ出掛けるが、傘を売っている店がなかなか見付からない。 わたぼうが気を揉んでいると、雑貨屋の店頭で漸く傘を仕入れることができる。
 丁度、竜の橋の近くなので、竜の橋を渡って反対側の川岸のショップを眺めたりしてそぞろ歩く。 ただ、お腹は確実に空いているので、有名なレストランソコルに入店する。 ソコルは海賊風に着飾った男性ウェイターが働いていて独特の雰囲気だ。 わたぼう達はタコのサラダと大きなソーセージが乗ったプレートを注文するが、これだけでお腹一杯になる。
 食後はプレシェーレン広場から川沿いの店舗を覗いて歩き、最後にリュブリャナ城に行く。 何時もなら歩いて登る所を、午前中のシュコティアン洞窟散策で疲れたためケーブルカーで往復する。 お城は街の眺めが良いものの、特段見るものが無く直ぐに城下に戻る。 お腹が空かないわたぼう達は今夜もメルカトルで総菜と酒を買い出し、ホテルで夕食にする。

上湖群の景色に魅了される
歩いている時間を忘れてしまう
 夜中の1時半に大の方のトイレに行きたくなって目が覚めたのは昨夜と一緒で、まだ身体は時差ボケのままである。 今日はクロアチアの首都であるザグレブへ移動する。 始めは鉄道で行く予定であったが、遅延が頻発しているためバスに変更になったものだ。 バスは8時25分発なのでゆっくりと朝飯を食べ、チェックアウトしてバスターミナルへ向かう。
 フリックス社のバスなので専用乗場でバスを待つが、8時25分を過ぎてもちっともバスが来ない。 わたぼうがやきもきしていると、20分も遅れて漸くザグレブ行きのバスがやって来る。 どうもリュブリャナバスステーションが始発で無いため、遅れてやって来たようだ。 2階建てのバスの2階に陣取って、わたぼう達は小雨降るリュブリャナの街を後にする。
 ザグレブまで約2時間、バスの移動となるとトイレが心配であるが、途中でトイレ休憩があってホッとする。 ザグレブバスステーションは大きな施設で、明日のプリトヴィツェ行きバスの乗車口が分かるのか心配だ。
上湖群から下湖群へは船で渡る
船は何艘も来るが常に満席
今日のホテルまで結構遠いため、わたぼう達はトラムで移動する。 キオスクで30分有効のチケットを買い、バスステーション前からトラムに乗車する。
 ザグレブのトラムは観光客を狙ったスリが多くてネットで注意喚起されている。 わたぼう達は現金やパスポートなど貴重品をウエストバックに入れ、 身体の前側になるよう2重にベルトを通した上、財布等はウエストバックに繋げている。 ただ、わたぼう達はスリが多い北行きのトラムではなく、駅の南を通る5番と3番のトラムを乗り継いでいくので空いている。
 無事にホテル最寄りの駅に到着し、取り敢えず荷物を置きに行く。 本日宿泊するホテルラグーナはシティホテルリュブリャナと同じく三ツ星であるが、可也老朽化が進んだホテルである。 運良く部屋に入ることができるが、部屋の設備も老朽化した感じである。
下湖群の高台から最大の滝
プリトヴィツェは好天に恵まれる
困ったことに明日の朝食が7時からなので、8時発のバスに間に合わせるにはタクシーしかないようだ。
 わたぼう達は今度は12番のトラムに乗ってイエラチッチ広場に行く。 きらびやかな洋館が広場を取り囲み、人出も多くて賑わっている。 お腹が空いたわたぼう達は郷土料理のストゥルク専門店であるラ・ストゥルクに行く。 ストゥルクはラザニアのような料理で、チーズとトリュフのストゥルクを注文する。美味しくいただくが、矢張り量が多くて満腹になってしまう。
 わたぼう達は満腹のお腹を消化するため街を散策する。 まずは宗教施設の石の門に行ってみるが、 その他のザグレブ大聖堂、聖マルコ教会などの宗教施設は3年前の地震の修復作業のため臨時休業になっていて見学できない。 その後繁華街をぶらぶらするが、昼飲んだワインのせいか足が疲れてしまって、早くもホテルに撤退することになる。
 今夜もお腹が空きそうもないので、わたぼう達はホテル近くの小さなスーパーやパン店に立ち寄って食材を調達する。 ホテルに戻ってシャワーを浴び、今日も洗濯に励む。
シベニクの細道を適当に歩く
前方左に聖ヤコブ大聖堂
明日は待望のプリトヴィツェ国立公園であるが、天気予報では曇り一時雨で、余り良い天気には恵まれ無さそうだ。 わたぼう達は今日も早めに眠るが、夜中に激しく降る雨音が聞こえる。

 翌朝は5時半に起き出し、7時少し前に荷物を持って朝食会場に赴く。 わたぼうは15分で食事を済ませてチェックアウトし、タクシーを呼んでもらう。 タクシーが来たのが7時25分で、バスステーションに到着したのが7時45分である。 電光掲示板だけでは乗り場が分からないわたぼう達は、3番のインフォメーション窓口でバスの乗り場を教えてもらう。
 わたぼう達は無事にバスの乗客になってプリトヴィツェに向かう。 雨は降っていないが、何時降り出してもおかしくない雲行きだ。途中、有名な観光地のラストケ村を車窓から眺めることができる。 プリトヴィツェ・エントランス2のバス停には1時間半程で到着するが、残念なことに小雨が降り出してしまう。 取り敢えずわたぼう達は宿泊するプリトヴィツェホテルに行く。
シベニクは急峻な坂の街
階段と坂道が交錯する
 チェックインの手続きを済ませるが、まだ部屋には入れない。 わたぼうはカッパの上下を着込んで戦闘準備するが、暫くすると、傘なしで外を歩いている人達が見える。 わたぼうはカッパのズボンを脱ぎ、妻の提案でホテルでお昼を食べてから出掛けることにする。 ホテルには軽食しかなかったが、それでもサイズが大きいのでお腹は十分に満足する。
 ホテルに荷物を預けてわたぼう達は早速国立公園に入場する。 わたぼう達は1番長い5時間のHコースを選択したため、先ずは園内の電気バスで上湖群の1番奥まで移動する。 雨は止んだままで、木道を歩きながら湖と滝が連なる景観に魅了される。 融けた石灰岩が湖の先端で再び固まって堤防を形成し、地下水が堤防から滝となって流れ落ちている。
 平日でも物凄い人出で、ビューポイントでは写真撮影のためしばしば渋滞する。 上湖群を歩き終えると、園内ボートに乗って今度は下湖群に移動する。
トロギルの聖ロヴロ大聖堂
鐘楼の上まで上ることができる
ボートから降りるとレストハウスやトイレがあるが、どれも大行列になっている。トイレだけ済ませて、今度は下湖群を歩き出す。 ここに来て雨が降るどころか天気が劇的に回復して青空が見え、上着不要になる。
 下湖群は石灰岩を水が深く抉った谷底地形になっており、その中に連なる湖と滝の間を木道で歩く。 最終地点の大滝を眺めてからエントランス1方面へ坂を上る。上り坂になると日が射して来て暑くてしょうがない。 谷の上から眺める下湖群と木道は良く写真で見る光景である。 わたぼう達はバス乗り場まで行き、電気バスに乗ってエントランス2まで戻る。
 プリトヴィツェホテルに戻って部屋に入り、シャワーを浴び、恒例の洗濯をする。 プリトヴィツェホテルは二つ星であるが、今までで一番部屋が広く、設備も新しくて快適だ。 夕食時間になってわたぼう達はレストランに行こうとするが、ホテル内には無いとのこと。 紹介されたホテルイェゼロ(意味はホテル湖)内のレストランに向かう。歩いて10分位の所である。
鐘楼の上からトロギルの街並み
オレンジ屋根と青い海が印象的
 レストランでわたぼうはスープと豚肉のソテー、妻はスープとイカの煮物を注文するが、日本人の味覚に合った味付けでとても美味しい。 レストランでの夕食は初めてで、美味しい料理と素敵な雰囲気にビールが進むわたぼうである。 酔っ払ったわたぼうはホテルに戻るなり眠ってしまう。 天気に恵まれて、レストランも美味で最高に楽しい1日であった。

 ホテルの朝食は7時からで、充実した内容で美味しくいただく。 少し離れた席に今回の旅行でイスタンブール空港以来初めて日本人を見掛ける。 ホテルの庭に出ると涼しくて気持ち良く、上湖群の滝も遠目に眺められる。 今日は専用車でスプリトまで行くが、相当な距離がありそうだ。約束の9時になると、女性ドライバーがワゴン車で迎えに来る。
 先ずは最初の立ち寄り先であるシベニクに向けて、どんどんと山を下って行く。 高速道路に入ると、海岸沿いにある山脈をトンネルで抜けて行く。
スプリトの鉄の門西の広場
観光客で常に賑わっている
プリトヴィツェやシュコティアンもそうであるが、スロヴェニアやクロアチアの山は殆どが真っ白な石灰岩で出来ており、高木が育たずに見晴らしが良い。 2時間余り、ドライブ疲れしてきた頃に漸くシベニクに到着する。
 シベニクの観光時間は1時間半であるが、車から降ろされた場所がさっぱりわからずにわたぼうはおろおろする。 ただ、メイン通路と思われる石畳の細道を勘を頼りに進めば、 見事ピッタリに世界遺産の聖ヤコブ大聖堂の前にでる。 聖ヤコブ大聖堂は宗教的色彩が濃い教会で、短パンのわたぼうは入場の際に腰にスカーフを巻くように言われる。
 日本語のパンフレットをもらって中を見学する。 聖ヤコブ大聖堂は16世紀(日本では室町時代)建立の総石造りの建造物である。敬虔な雰囲気を味わってから元来た道を戻る。 昨日までの涼しくて快適な気候は終わり、快晴の日射しが照り付ける暑い天気に様変わりしている。 お昼を食べる時間が無いので、わたぼう達はアイスクリームを2個も舐める。
南東側より聖ドムニウス大聖堂
鐘楼と礼拝堂のドーム
 専用車は今度はトロギルに立ち寄る。入口の橋で降ろされたわたぼう達は、お腹が空いたのでレストランに直行する。 ピザを食べる心算が、道の途中にネットでお薦めのレストランマリヤナを見つけて入店する。 焼き物が名物の店であるが、わたぼうはパスタ、妻はリゾットを注文する。 美味しくいただくが、矢張り量が多くてまたもや満腹になってしまう。
 食後は世界遺産の聖ロヴロ大聖堂に入場する。 こちらは13世紀(日本では鎌倉時代)の建造で、わたぼうの短パンを咎められることなく入ることができる。 礼拝堂を見学した後、わたぼうは石造りの狭いらせん階段を発見する。 登ってみると教会の屋上に上がることができ、トロギルの街の景色が良い。更に屋上から高く聳える鐘楼に登ることができる。
 鐘楼の階段は長く狭く急である。 始めは石段であるが、最後は鉄格子の梯子のような階段を登ると、天辺に登ることができる。
高い所が好きなわたぼうでもビビる程の絶景が広がっている。当然妻は屋上止まりで、鐘楼には登って来れない。 その後は島内を一周し、ヨットが停泊する海岸のベンチで一休みする。とにかく陽射しが強烈で暑くてしょうがない。
 トロギルを後に、最後はスプリトに向かう。 専用車は宿泊するヘリテージ・パレス・ヴァロスの前まで入ることができず、最後は石畳道を歩いて宿に着く。 もう16時半で、1日中専用車に乗っていたため、移動疲れが激しい。 ヘリテージ・パレス・ヴァロス(宮殿遺産の町という意味か。)は四つ星のホテルで、部屋は狭いものの設備等は非常に整っている。
 わたぼう達は恒例のシャワーと洗濯を済ましてから、ディオクレティオヌス宮殿の見学に出掛ける。 ディオクレティオヌス宮殿は4世紀にローマ皇帝ディオクレティオヌスが隠居施設として建造したもので、勿論世界遺産である。 そぞろ歩いていると、中心の広場では結婚式の歌とダンスで大騒ぎになっているのに出くわす。 ローマの衛兵の姿をした人達もいる。
聖ドムニウス大聖堂鐘楼の展望
旧市街とマルヤンの丘
 お昼を食べた時間が遅かったため、又もやわたぼう達はお腹が空かず、 スーパーで総菜と酒を買い出してホテルで食べることにする。 スーパーでは寿司のパックを売っていて、日本の寿司とは少し異なるも、それでも久々の日本食がとても美味しく感じられる。 食後にテレビのチャンネルをいじっていると、わたぼうはワンピースを放映しているのを見付ける。

 今日は午前中がスプリト観光で、午後からドブロブニクへ移動する。 ホテルの朝食が8時からと遅いため、わたぼう達は朝食前にマルヤンの丘まで散歩に出掛ける。 朝の涼しい風の中、長い階段を登り切ると、青い海とオレンジ屋根の街並みが一望の下にある。 朝食後はホテルに荷物を預けて再びディオクレティオヌス宮殿の散策に出掛ける。
 先ず昨夜は閉じていて入れなかった聖ドムニウス大聖堂に入場する。 先に鐘楼に登るも、トロギルの聖ロヴロ大聖堂の鐘楼と同様に長くて狭い。
聖ドムニウス大聖堂の木の扉
キリストの生涯の彫刻
今度は妻も一緒に登り、四周の大絶景を思う存分に味わう。次に聖ドムニウス大聖堂の礼拝堂に入る。 聖ドムニウス大聖堂は4世紀にディオクレティアヌス帝の霊廟として建てられ、埋葬された場所である。
 ところが、ディオクレティアヌス帝はキリスト教徒を迫害したため、後にドムニウス司教を祀る大聖堂に改変されたものだ。 17世紀の主祭壇は金色に輝き、礼拝所の至る所に精緻な彫刻が施されている。 特に13世紀作成の入口の木の扉にはキリストの生涯のレリーフが彫られている。 次にヴェスティブルに行くと、名物のアカペラのコーラスが奏でられている。
 スプリトを十分堪能したので、お昼のパンと飲み物などを調達してホテルに荷物を取りに行く。 午後はドブロブニクへ13時発のバスで移動するため、早めにバスターミナルへ出掛ける。 チケット売場で乗車位置を聞いてバスを待つが、またしてもバスは時間になっても現れない。 ドブロブニク行きのバスがやっと来ても、バウチャーを見せると違うと言われる。
ヴェスティブルの内部
アカペラのコーラスを奏でる
 わたぼうがやきもきしていると、わたぼう達が乗るバスは30分遅れでやっと現れる。 わたぼう達はバスに乗って買い出してきたお昼を食べる。 ただ、ドブロブニクまで4時間半の長丁場で、トイレ休憩のことが分からないため水分は控えめである。 バスは景色の良い海岸沿いの道路を行き、1時間半程でマカルスカという街のバスステーションで最初の休憩がある。
 バスは新しく完成した橋を渡るため、ボスニア・ヘルツェゴビナに入国することなく走って行く。 橋の手前にあるパーキングエリアで2回目の休憩がある。 バスは城壁で有名なストンの町を通っていくため、山の上まで築かれた長大な城壁を眺めることができる。 4時間半掛けて18時にバスはドブロブニクのバスステーションに到着する。今日も乗り物疲れである。
 今日宿泊するホテルレロの前まで直接行けるバスがないため、 わたぼう達は1番の市内バスに乗ってなるべくホテルに近いバス停まで行く。
城壁の上からプラツァ通り
ドブロブニクのメイン通り
ドブロブニクの市内バスは1回2ユーロで乗れるが、バス停のアナウンスが無い上に、降車ボタンを押さないと通り過ぎてしまう。 わたぼうはグーグルマップで学習した景色を思い出しながら、勘を働かせて下車する。
 下車してみたものの正しいかどうか全く分からず、グーグルマップで位置を検索する。 するとホテルまで20分程歩く必要はあるものの、予定していた場所で下車できたようだ。 ただ、全部の荷物を担いで、ホテルまでの上り坂を20分も歩くのは結構きつい。 妻の愚痴を聞きながら歩いて行くと、19時近くになって立派な四つ星ホテルのレロに到着する。
 シャワーを浴び、恒例の洗濯を終えてから、わたぼう達は食事に出掛けることにする。 下調べしておいたホテル近くのマラングンというレストランに入り、今回初めてアウトサイドの席で食事する。 わたぼう達はタルタルステーキ、スズキの料理、魚介のリゾットを注文し、ビールとワインで乾杯する。 夜のロマンチックな雰囲気、美味しい料理と酒に大満足する。

城壁からロブリイェナッツ要塞
アドリア海がとても綺麗
 ホテルの朝食は7時からで、内容が充実していてお腹いっぱい食べる。 今日は日曜の朝とあって相当な混雑ぶりである。 わたぼう達は先ずはスルジ山のロープウェイに乗るべく5番の市内バスに乗ろうとホテル前のバス乗り場で待つが、1時間近く待っても5番のバスが来ない。 わたぼう達は諦めて4番のバスに乗り、旧市街入口のパイルゲートに行く。
 パイルゲートから旧市街に入場し、早速、城壁巡りのチケットを購入する。 城壁の上に上ると四周の展望が開け、旧市街の街並み、アドリア海とロブリイェナッツ要塞、スルジ山が一望である。 城壁を進む都度移り変わる景色に写真を撮りまくりである。 ただ、今日も快晴の空から強烈な日差しが照り付け、わたぼうは帽子を被って来て正解だったと安堵する。
 前半は海岸沿いの絶壁の高台に建造された城壁を歩く。成程、守備に好適な地形に築かれた城壁だった訳だ。 アドリア海の景色を楽しみながら歩いて行くと、次には港の周囲を行くようになる。
城壁から港とスルジ山の風景
左のドーム内がアーセナル
後半は旧市街の山側の高台に築かれた城壁を行くため、きつい登りが待っている。 石段が連なる旧市街の細道を眺めながら最高点のミンチェタ要塞まで登る。
 ミンチェタ要塞からは急激に下ってパイルゲートに辿り着き、城壁一周をコンプリートする。 強烈な日差しにわたぼう達はバテ気味になり、プロチェゲート近くの屋外レストランで喫茶する。 その後は旧市街を散策しながら、聖ヴラホ教会、ドブロブニク大聖堂、聖イグナチオ教会、フランシスコ教会/修道院を見学する。 旧市街では時々日本人を見掛ける。
 お昼になってわたぼう達は人気のレストランアーセナルに出向く。 ここは港を眺めながら食事ができるという素晴らしいロケーションに恵まれた半ドーム内のレストランである。 人気なだけに少し待たされるが、おしゃれなテーブルに案内される。 わたぼう達が本日のパスタを注文すると、カボチャのペーストをベースにしたパスタである。でも、量は相変わらず多い。
ミンチェタ要塞から旧市街
城壁の最高地点からの景観
 お腹を満たしたわたぼう達は、暑さでバテ気味の身体を休ませるため一度ホテルに戻ることにする。 1時間半程休憩するともう16時半になっているが、サマータイム中なのでまだ十分に明るい。 わたぼう達は夕暮れのドブロブニクをスルジ山から展望すべく、ロープウェイに乗りに行く。 下りは登山道を歩いて下る心算なので、登りだけの片道切符である。
 山上からの素晴らしい眺めを味わってから、わたぼうは勘でクロアチア紛争博物館の前を通り抜けて登山道の入口を探り当てる。 登山道を下る人影はわたぼう達の外には見当たらず、意外にも登ってくる人は大勢いる。 次第に大きくなる旧市街を見下ろしながら登山道を下って行く。 ドブロブニクの日は長く、明るいうちに旧市街に帰り着いてしまう。
 運動して適度に空腹になったわたぼう達は再びレストランアーセナルに行く。 今度はあまり待つことなくテーブルに案内される。夜のテーブルには小さな明かりが灯してあるだけだ。
スルジ山から旧市街を俯瞰
登りはロープウェイ、下りは徒歩
わたぼうはイカのグリルを妻はムール貝を注文し、ドブロブニクの夜をビールで乾杯する。 食事をしているうちに次第に日が暮れて、港や後方の町の夜景が宝石の如く輝きだす。
 わたぼう達は夜の旧市街を散策しながらパイルゲートに行き、市内バスでホテルに戻る。 旅の残り日数が少なくなって、今日はもう洗濯の必要がなくなっている。 身体もすっかり時差に慣れてしまい、睡眠やトイレもクロアチア時間になっている。 暑すぎるきらいはあったが、天気に恵まれて観光ができ、美味しい料理も味わうことができて楽しい1日だった。

 今日は専用車でモスタルを経由してサラエボまで行く日である。 初めはバス移動のツアーであったが、旅行社がバスの予約を確保できずに追加料金なしに専用車になったものだ。 バスだとバスステーション8時発なので、ゆっくりと朝食を食べる間もなくタクシーでバスステーションに行かねばならず、 ホテル9時発の専用車になって本当にラッキーである。
レストランアーセナルの夜景
ロケーション抜群で大人気
 わたぼう達がチェックアウトを済ませてホテルのロビーで待っていると、9時を過ぎても専用車が来ない。 30分過ぎても来ないため、ホテルのフロントにお願いして現地旅行代理店に電話を掛けてもらう。 その返事が来るまでの間に、東京のファイブスタークラブにも連絡を入れてみる。 すると、双方とも答えは同じで、渋滞で1時間以上遅れるとのことである。
 10時15分になって漸く専用車がやって来る。 運転手は初老の男性で、色々話しかけてくれるが、矢張り話半分以下しか分からない。 専用車はネウムの町の手前からボスニア・ヘルツェゴビナに入国し、山間部のハイウェイを走って行く。 矢張り石灰岩の高原が広がるばかりで、森林は殆ど見られない。2時間以上も走り続けて漸くモスタル郊外に辿り着く。
 スタリモストまであと少しであるが、トイレが我慢できなくなったわたぼうはガソリンスタンド併設のカフェに車を止めてもらう。 トイレと珈琲休憩を済ませてホッとしてから、スタリモスト近くの小さな石橋の傍らまで車を走らせる。
プラツァ通りの美しい夜景
夜は大道芸人が出没する
そもそも当初のバス移動ではモスタルを観光することはできず、 専用車になったため有料のオプションで付けてもらったものだ。
 車を止めると、運転手はわたぼう達を案内するためか、先導して一緒について来る。 スタリモストに続く石畳の細道に入ると、両側には土産物店が立ち並び、観光客で大混雑になっている。 スタリモスト(古い橋という意味)は、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦で一度破壊されてしまったが、 戦後に川の中から材料を拾い揚げて復活させたものである。
 滑りやすい石畳み坂になったスタリモストを渡って対岸の土産物街に出る。 対岸の川沿いからはスタリモストの全景が良く見える。 運転手は少し先のレストランエウロパをお勧めだと言って、更にその先のコスキ・メフメド・パシャ・モスクにわたぼう達を案内してから、先程のレストランで待っていると言って引き返す。 マージンでも貰っている感じである。
 モスク自体は是非入りたかったので、わたぼうは喜んで入場する。勿論短パンのわたぼうは腰巻を付けてもらう。 モスク自体は17世紀の建造であるが、イスラム教は祭壇がないためステンドグラス以外は至ってシンプルである。 尖塔へはすり替わりも難しい狭いらせん石段をぐるぐる回って上る。 塔の上は正しく絶景でスタリモストだけでなく街全体が見渡せる。
 素晴らしい景色を堪能した後、わたぼう達は先程のレストランに入店する。 運転手は1階で談笑しており、やはり顔なじみのようだ。わたぼう達は2階席に案内される。 わたぼう達はスープとトマト煮込み料理を注文する。ボスニア・ヘルツェゴビナに入国して少しメニュー内容が変わった感じである。 食後は再び混み合うスタリモストを通り抜け、専用車に戻る。
 モスタルを後に専用車は一路サラエボに向かう。モスタルは晴れて暑かったが、長い道程の途中から雨が降り出してくる。 時々戦争で破壊された建物を見ながら走って行くと、2時間余り掛けてトラム走るサラエボにやって来る。
コスキ・メフメド・パシャ・モスクから
スタリモスト方面の眺め
今日も5時間近い移動で、移動疲れも極限に達しそうである。 17時15分になって今日宿泊するコスモポリットホテルに到着する。
 今日も疲れてホテルで撃沈しそうであったが、 わたぼうは折角なのでバシュチャルシヤの夜景を見に行こうと妻を外に連れ出す。 ホテルの隣にあるショッピングモールでお土産の下見をしてから、永遠の炎の前からフェルハディヤ通りを歩いて行く。 ヨーロッパ調の街並みが突如としてアラビア風の街並みに変わると、異国情緒漂うバシチャルシア地区である。
 わたぼう達は先ず有名なセビリを見に行くが、ブルカなどで身体を覆った女性も多く、独特の雰囲気がある。 わたぼう達はフェルハディヤ通りを引き返し、イエスの聖心大聖堂近くのセデフというレストランに入店する。 子羊の煮物とチェバプチチを注文するが、チェバプチチは美味しくいただく。 わたぼう達は気持ちよく酔ってヨーロッパ最後の夜を過ごす。
コスキ・メフメド・パシャ・モスク
尖塔からの景色が前の写真
 セデフではユーロが使えるというので、わたぼうは食事代をユーロで支払うことにする。 食事代は約25ユーロなので50ユーロ札で支払い、お釣りを現地通貨のマルカで貰う。 1ユーロは約2マルカなので約50マルカのお釣りである。 食事を済ませてホテルに帰る途中から弱い雨が降り始める。わたぼう達は傘もささずに可也の早足でホテルまで戻る。

 8時からの朝食を済ませてから、 わたぼう達は隣のショッピングセンター内のコンズム(その名も消費という意味。)というスーパーマーケットに行ってチョコレートなどのお土産をたんまりと買い出す。 チェックアウトを済ませから、ホテルに荷物を預けて街の散策に出掛ける。 夕べの小雨は止んでいるが、猛暑日の日本とは違い上着がないと寒くて居られない。
 先ずはラテン橋に向かう。 ラテン橋は第一次世界大戦開戦のきっかけとなったオーストリア帝国皇太子暗殺(サラエボ事件)の舞台である。
バシチャルシアのセビリ
イスラム的な異国情緒漂う
現場に行くと何気ない石橋が架かっているだけである。次にサラエボ市庁舎に向かう。 戦争で破壊された市庁舎は、今は博物館になっている。戦時中の虐殺の記録が展示されていて、気持ちの良いものではない。
 午前中の最後はゴンドラリフトに乗りに行く。サラエボの街を見下ろすトレベヴィチ山の頂上まで架かる可也長いゴンドラリフトである。 わたぼう達は少々迷いながら山麓駅に辿り着き、一気呵成にゴンドラで上る。 見る見る内にサラエボの街が小さくなって、盆地になったサラエボ周辺の地形までもが一目瞭然である。 わたぼう達は山上の喫茶で一休みする。
 ゴンドラ観光を終えて、わたぼう達はチェバプチチと並ぶもう一つの名物のブレク(パイのようなもの)を食べにサックを訪れる。 初め注文方法が分からずにおろおろするが、肉入りのブレクを買って妻と分け合って食べるがこれが旨い。 ただ、2人で1枚でお腹が膨れてしまう。 わたぼう達は金物店街をそぞろ歩きしてから、今度は青物市場に行ってみる。
サラエボ市内のトラム
モスクと教会が入り交じる
 途中でイエスの聖心大聖堂に入ろうとするが、矢張り短パンのわたぼうは入館を断られてしまう。 青物市場は非戦闘地域に指定されていたが、一発の爆弾が落とされて十数人の市民が犠牲になった場所である。 市場の中の爆弾が落とされた場所にはサラエボのバラが刻まれている。 サラエボのバラはフェルハディヤ通りにもあって戦争の記憶を留めている。
 わたぼう達は一度ショッピングセンターに戻り、アウトサイドの喫茶でお茶にする。 わたぼうは少々お腹が空いたのでホットケーキを食べる。 サラエボ空港発の飛行機は20時30分発なので16時半にホテルをタクシーで出発すれば十分である。 今はまだ15時なので出発まで1時間半もあり、わたぼう達はもう一度バシチャルシアに行って時間潰しをする。
 歩いているとわたぼうの右足の親指辺りが痛くなって来る。 スリッパで歩ていたせいかとも思うが、結局は連日の長時間移動で水分を控えてトイレを我慢していたため、遂に通風を発症してしまったようだ。
トレベヴィチ山へのゴンドラ
盆地のサラエボ市街が一望
まだ最終日の発症なので良かったのであるが…。 空港で食べる用の夕食をスーパーで買い出してから、ホテルに戻ってタクシーをお願いする。
 タクシーでホテルを出発したのが丁度16時半であるが、サラエボ市内の道路は渋滞が酷い。 専用車でサラエボ入りした時に酷い渋滞を見ていたため、早めに空港に向けて出発したものだ。 通常は20分程のところを倍の時間掛かって空港に到着する。 わたぼうの手元には41マルカの現金があったが、チップも含めて21マルカをタクシーに支払う。
 空港に着いて先ずは搭乗手続きと荷物を預ける。 ボスニア・ヘルツェゴビナの通貨マルカは日本で両替できないため、わたぼう達は空港の土産店で全部使い果たす。 買ってきた夕食を食べてから、搭乗ゲートに入って飛行機を待つ。 だた、飛行機は45分遅れの21時15分発に変更になっており、搭乗口の前で2時間以上も待つことになる。

サラエボの青物市場
足下にサラエボのバラ
 イスタンブール空港まではたった2時間の飛行で、その間に慌ただしく機内食が提供される。 イスタンブール空港で羽田行きの搭乗口に行くと、久々に日本人が大勢いる。 東欧3国ではマスク着用率はほぼ0%であったが、ここではマスクの着用が目立つようになる。 飛行機は時間どおりに飛び立ち、羽田空港まで11時間以上の長い空の旅路が始まる。
 わたぼうは機内では矢張り眠ることができずに映画ばかり見て過ごす。 また、機内で水分を控えめにしていたため痛風が余計に悪化してしまう。 羽田空港にはやや遅れて20時過ぎに到着する。 わたぼうはびっこを引きながらホテルヴィラフォンテーヌグランド羽田空港にチェックインし、10日振りに泉天空の湯にどっぷりと浸かって心身ともにホッとする。

 翌日は10時半になって飛び起きる。チェックアウトは11時までなので危ないところである。 2人共に余程睡眠不足と疲れが溜まっていたに違いない。 わたぼうの痛風は悪化したままで、びっこを引きながら新幹線に乗って懐かしの我が家まで帰って来る。 痛風は翌日には随分と良くなる。乗り物疲れはあったものの、やっぱり海外旅行は楽しいものである。