美濃平家(みのへいけ) 1,450m

・日 時  令和3年3月26日(金)〜27日(土)
26日  碧南 13:40 = 土岐よりみち温泉 = 18:00 新みやまトンネル北口(車中泊)
27日  登山口 5:40 〜 6:45 標高810m鉄塔(小休止) 〜 7:25 標高960m鉄塔(小休止) 〜
    8:30 標高1124m鉄塔(小休止) 〜 9:15 標高1292m鉄塔(アイゼン装着) 〜
    9:40 標高1374m鉄塔(井岸山) 9:55 〜 10:50 美濃平家 11:05 〜
    11:35 井岸山 11:50 〜 11:55 アイゼン外す 〜 12:30 標高1210m鉄塔(小休止) 〜
    13:15 標高1022m鉄塔(小休止) 〜 14:20 登山口 = 板取川温泉バーデェハウス =
    19:30 碧南
    ≪登り 5時間10分、下り 3時間15分、行動時間 8時間40分≫
・山行記録
 今年の3月は過去に例がない程の異常高温で、月間で平年を4度以上上回るは初めてではないか。 これでは雪がどんどん融けてしまって春山シーズンが台無しである。 こんな年に限って毎週末が雨降りという周期変化に当たって中々山に行けない。 ただ、今週末は土曜だけが晴れの予報で、わたぼうは金曜の午後に休みを取って出掛けることにする。
 今回の目的は奥美濃の美濃平家である。 美濃平家自体は岐阜百山でも続百山でもないが、奥美濃の主要ピークでは3番目の標高があって一度は登っておきたい。 板取の登山口から鉄塔巡視路を利用して登るのであるが、山頂直下だけは鉄塔巡視路から逸れて藪漕ぎをしなければいけない。 それだけに残雪があるうちに早く行きたいところだ。
稜線までは大変な急登
渡し板も急すぎて登り辛い
 標高差は1000m弱だが歩行距離が長いため、わたぼうは登山口付近で車中泊する予定で出掛ける。 登山口に近い板取川温泉バーデェハウスで入浴する心算であったが、 関市のホームページでは3月は土日のみの営業になっている。 わたぼうは仕方なく土岐よりみち温泉で入浴してから板取に向かうと、何とバーデェハウスは営業中ではないか…。
 今夜は川浦(かおれ)渓谷の駐車場のトイレの前で車中泊する心算のわたぼうであったが、 何とトイレは3月末まで冬季閉鎖になっている。 仕方ないのでわたぼうは林道ゲートを越え、新深山トンネルを通り抜けて登山口の偵察に行く。 車を走らせていくと登山口を発見できないまま吾妻清水に着いてしまう。これでは行き過ぎなのでわたぼうは引き返す。
 今度はもっと注意しながら車を走らせる。 すると、地形図記載の登山口付近は土石が押出し、「P」の標識も土石の中に埋もれている。 予想外の展開であるが、更に戻ると新深山トンネルの北側入口の直ぐ横の沢にテープが何本かぶら下がっており、
何処でも歩けて道に迷う
次の鉄塔を目指すが藪に嵌る
鉄塔巡視路の小さな表示板もある。美濃平家の表示は何も無いが、ここが新たな登山口に違いない。
 わたぼうが念のために登山道の偵察に出向くと、道は直ぐに沢から離れて左山腹をロープ場で急登する様になっている。 地形図の道の方角に向かっており、何処かで旧登山口の道と合流するのだろう。 わたぼうは新深山トンネルができる前の通行止めの旧道に車を駐車して車中泊にする。 ビールを空け、明日の早朝出発のために早めに横になる。

 夜中には満天の星が輝いていたのであるが、明るくなるとどんよりと曇ってしまっている。 わたぼうが支度を整えていると、早くも吾妻清水目当てであろう車が2台も通り過ぎる。 結構有名なんだ…。わたぼうはヘッドランプが要らない明るさになったところで車を後にする。 もうスノーシューは不要な季節であろうが、わたぼうは念のためアイゼンと共に担いで行く。
 登山口のロープ場の上でオーバーミトンを忘れたことに気付くが、然程寒くないのでまぁ良いか…。 ほんの少しトラバースすると、道は直ぐに結構な急登の連続になる。
標高1050mピークからの下り
急で狭い急斜面のトラバース
崩壊地には滑り止めの金網が巻かれた板が渡してあるが、これがまるで梯子のような傾斜で登るのに足の踏ん張りが必要だ。 暫く登って下を覗き込むと、真下に車のルーフが見えている。
 途中から小尾根上の登りになり、暫く行くと分岐がある。 直上する道にはテープで通せんぼがしてあり、左手に山腹をトラバースする道に入る。 谷地形を横切って次の尾根に出会うと再び急な登りになるが、九十九折れになっている分だけ少しはましである。 暫くすると最初の鉄塔が現れてわたぼうは休憩する。標高300m強登るのに1時間強掛かっている。
 最初の鉄塔から九十九折れ道を更に登ると漸く稜線に登り着く。 道の傾斜は格段に緩やかになり、落ち葉が降り積もって不明瞭な位だ。 わたぼうは3番目の鉄塔で小休止するが、鉄塔の先のルートが非常に不明瞭である。 右手の尾根に目印が幾つかあってわたぼうはそちらに進むが、不明瞭のままでも歩けてしまうため次の鉄塔を目印に突き進む。
 悪いことに鉄塔が近くなるとシャクナゲの藪が立ちはだかっている。
標高1440m峰から美濃平家
漸く残雪が繋がるようになる
わたぼうの道間違いはもう疑いようがなく、藪の薄い場所を選んでシャクナゲの枝を必死に掻き分ける。 鉄塔直前の笹薮漕ぎを越えて、漸く鉄塔下に辿り着く。 反対側にはちゃんとした道があって、前の鉄塔の左側下方の平坦地に見えた目印が正しいルートを示していたのであった。
 この標高1022mピーク鉄塔からは先の鉄塔を数本見渡すことができ、先行きの長さを実感できるところだ。 次の鉄塔は標高1050mピークの東側斜面に立っていて、その先で道は鞍部に下る。 この下りが急傾斜で道幅が狭く、今回一番注意を要する箇所であった。 次の標高1124mピーク鉄塔までは急な登りになり、登り切った所で再び小休止を取る。
 標高1100mを超えているのに残雪が非常に少ない。遠くに見える能郷白山や荒島岳は残雪で純白に見えるのだが…。 緩やかな登り続きであるが、倒木や落枝もそこそこあって邪魔になる。 雪の上には動物が歩いた足跡しかなく、ここ暫くは入山者が無かったようだ。 標高1292m鉄塔下は残雪で埋もれており、いよいよかとわたぼうはアイゼンを履く。
山頂直下から山頂を望む
雪と藪の斑模様で藪漕ぎあり
 ところが、その先も殆ど残雪が途切れており、 標高1374mピーク(井岸山)の登りになって漸くアイゼンの本領発揮で、ピークに立つ。 ピークに辿り着いたわたぼうは急激に腹が減り、菓子パンを半分食べてから歩き出す。 ただ、その先も稜線西側に付けられた巡視路には残雪が少なく、標高1400mを超えた辺りから漸く雪庇の上を歩けるようになる。
 標高1440mツイン鉄塔のピークに立つと、美濃平家の丸い姿が望まれる。 山頂部の残雪は斑模様で可也笹薮が露出しており、多少は藪漕ぎが必要になりそうだ。 美濃平家直下の鞍部で雪庇は途切れ、わたぼうは巡視路に移って山頂直下まで進む。 なるべく残雪を繋げて斜面を登って行くが、時々笹藪漕ぎになる。竹のような丈夫な笹で中々手強い。
 残雪に誘導されるように右手に進むと、稜線雪庇の上に出る。 ただ、雪庇は直ぐに途切れ、最後は矢張り手強い藪漕ぎだ。これを突破すると雪原になった美濃平家の山頂に到着する。 北側の景色が開けて純白の白山連峰が望まれるが、山頂自体は目印紐がぶら下がるだけで山名版も何もない。
広い雪原の美濃平家山頂
遠くに白山連峰が望まれる
途中の道間違いもあって5時間以上も掛かっている。
 今日は一日晴天の予報であったが、奥美濃の山域は雲が多くて風が吹くと肌寒い。 折角辿り着いた山頂であるが、帰りも長い。先程の残りのパン半分を食べ、わたぼうは山頂を後にする。 下りも部分的に藪漕ぎが必要であるが、登りと比べて格段に楽である。 鉄塔巡視路に戻れば、後は坦坦と歩くのみだ。帰路は井岸山を下った所でアイゼンを外す。
 標高1124m鉄塔下と標高1022m鉄塔下で小休止を繰り返して下って行く。 標高1022mの下りは正しいルートを行けば、非常に状態の良い道だ。 最後に稜線を離れるとこれでもかの急下降の繰り返しで、長時間行動もあってわたぼうの脚はもうヘロヘロである。 車のルーフが見えてきたら後少しの頑張りで、わたぼうは車が待つ登山口まで戻って来る。
 帰りは板取川温泉バーデェハウスで入浴する。ここに再訪するのは彼是20年振り位だろうか。 露天風呂が広い良い温泉だ。帰り道何かが道路を横切ったので良く見てみると可愛い子ザルである。 見た目は可愛くても集落の人にとっては迷惑な存在だろう。 板取川中流域は満開の桜が見事で、目を楽しませる。それだけに一宮JCTは大渋滞である。