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単側波帯 エス・エス・ビー(SSB:single side band):
通常の振幅(DSB:double side band)による短波通信装置から発達した方式である。すなわち,上下側波帯のいずれか一方を利用するので,DSB方式に比べ同じ周波数帯から2倍の数のチャンネルがとれるので航空会社の地・空間専用HF通信として利用されている。HF・SSB会社通信を一般に仲介している機関として,IAL(International
Aeradio Limited)がロンドンにあり,契約を結んだ航空会社にHF・SSB通信をサービスしている。日本航空もこのIALのHF・SSB通信を採用しているが,この通話方式は,航空機より“スピードバード・ロンドン”とIALのSSB地上局のオペレーターを呼び出すと,オペレーターがちょうど電話の回線をつなぐように,日本航空の運航管理センターにつなぐ方式になっている。 |
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インテルサット(INTELSAT:international telecommunications satellite consortium):
世界的な商業衛星通信システムの運営を目的として,各国の政府および通信企業体が参加して作られた国際商業衛星通信機構のこと。1965年インテルサット1号通信衛星を打ち上げて運用を開始し,現在ではインテルサットX号系により国際電話,テレビの宇宙中継等に広く利用されている。米国(コムサット),日本(KDD国際電信電話株式会社),カナダ,イギリス,フランスをはじめ多数の国がインテルサットに参加している。 |
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コムサット(COMSAT:communications satellite corporation):
衛星通信回線を,他の通信業者に賃貸するアメリカの通信衛星会社。コムサットは一営利企業であると同時に,米国を代表してインテルサットに参加している最大の出資者である。また,インマルサットができるまで米国独自の海事通信衛星を打ち上げ運用していた。現在でもコムサットの保有する海事通信衛星のうち,いくつかをインマルサットに貸している。 |
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エアリンク(ARINC:aeronautical radio incorporation):
北米,欧州の主要航空会社および米国の自動車産業メーカーなどが株主になって設立された非営利団体であり,軍事を含む航空通信の分野で米国の国益を代表する組織。 |
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エーカーズ(ACARS:automatic communications addressing and reporting sysytem):
空地デジタル・データ・リンク・システムとして,必要な運航情報をARINCの通信網を介して航空機側から地上へ,または地上から航空機側へ自動的に提供するシステム。出発・到着時刻や出発地・目的地,便名,搭載燃料などのデータはデータリンクの無線通信系を介して地上のACARS無線局に送信される。このデータは無線局から中央の処理装置に伝送され,電文型式にフォーマット変換された通報は,ARINCの電子式蓄積交換装置を介して各航空会社のコンピューター・システムへ直接伝送される。データ通信の内容としては,上述のほか最新の気象情報やフライトプランデータの送付,航空機の故障情報などの送付が可能であり,航空機側にも機上プリンターなどが設置されている。現在,欧米の航空会社ではVHF-ACARSが実用に供されており,衛星を利用した空地データ通信もすでに実用化されている。
図1-5-11 ACARSシステム概要
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シッタ(SITA:societe internationale de telecommunications aeronautiques):
航空輸送の運営に関係するあらゆる種類の情報の伝送および処理に必要な手段について研究,設定,運用することを目的として,1949年ブリュッセルにて設立された民間航空会社の共同組合的組織体で,欧州各社が中心である。また,航空通信業務ではARINCとともに世界二大勢力の一つである。 |
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インマルサット(INMARSAT:international maritime satellite):
1976年に,米国の私企業により打ち上げられた,マリサット衛星による海事衛星通信サービスを母体にし,1979年旧ソ連を含む主要国の参加を得て結成された国際海事衛星機構である。国際協定のもとに運営されており,各当事国は自国の通信業者を指定して業務運営を担当させ,日本ではKDD(国際電信電話株式会社)がその指定企業となっている。使用する衛星にはインテルサットX号(海事用中継機搭載),欧州宇宙機関が開発したマレックス,米国のマリサットの3種類の衛星があり,これらを組み合わせて太平洋,大西洋,インド洋上にそれぞれ現用,予備を含め計7個の衛星を配備している。 |
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アブサット(AVSAT:aviation satellite corporation):
衛星を利用した航空専用の,データ通信サービスを行うために,ARINCから独立して設立された。サービス内容は音声通信とデータ通信で,運航管理通信,業務管理通信,公衆通信が中心である。 |