【ぱにっくトラブル】

セリフなどの右下にある英文は音声ファイル名です。
左端が通し番号、右端が個別番号です。
第1話のみ説明付です

 

ぱにっくとLOVEる

第3話
「演劇部、華道部、始動。」

 

堀都(ほりと)たちが追われている、さらに3日前のこと・・

演劇同好会、おっと失礼w「演劇部」の部室、第1講堂の舞台袖
第2器具準備室にて・・


予備のスポットライトのシャッターや、緞帳(どんちょう:舞台幕)の
開閉装置、機材の設置用の板やロープをさわりながら、微笑み
演劇部・部長の神社 恵瑠(かみやしろ える)が口を開いた。

える 「こんど・・演劇部に男子生徒入れようと思うんだけど・・」

れいこ「えっ?なんですか?先輩!急に・・」

他のわずかな部員はまだ来ていない、とは言っても今年の新一年生を
迎える勧誘開始期限はまだ3日も先だ。
つまり、あと数名の2,3年生が所属しているだけである。

その中の一人、2年生としてこの演劇部に所属する
碑谷下 玲子(ひやした れいこ)は先輩、恵瑠(える)の発言に
驚きをあらわにした。

部活開始の時刻までまだ何分かある。

える 「・・ちょっと!聞いてなかったでしょ?いーい?あのねぇ
    私が仕入れた情報によると、、今年度の同好会の活動には
    おーーーきな“改革”があるのッ!」

れいこ「おおきな・・改革?・・ですか?」

つねづね、自分が立ち上げたこの“演劇部”を
“同好会”と言うことを避けてきた恵瑠(える)・・
その恵瑠(える)が“同好会”という単語を使ってまで
おこる“改革”とは・・?

える 「そ、特に女子生徒には喜ばしいことだろう・・って
    言ってた。」

れいこ「ええっ?どこのだれが言ってたんです?」

える 「ふふーーん、知・り・た・い?」

れいこ「じゃ、聞きません、・・言わなくていいですっw」

える 「ふふっ、生徒会よ・・ 勧誘開始の事前打ち合わせ前に
    何か“コソコソ”話してたんで、それを仕入れてきたの」

れいこ「いつの間に“新聞部”みたいなコトしてたんです!?」

える 「おしえてあーげない!・・そんなこといいから、あなたと
    同じ2年生の堀都(ほりと)って人マークしてて、
    彼が“カギ”らしいから・・」

れいこ「“カギ”って、、“おーーーきな改革”のですか?」

える 「ん〜〜〜改革とは別かも?改革案自体は弐亜(にあ)
    先輩が出したものらしいし・・」

れいこ「???じゃあ、なんで“カギ”なんです?」

える 「とにかく、“入部させれば、有利になる。”
    きっと、そんな感じなんだって」

れいこ「それじゃあ、入部の勧誘をすればいいんですね。」

える 「勧誘開始は3日後、緊急総会後に解禁だから、
    それまでマークしててw」

れいこ「あたし、ストーカーですかっ!???」

える 「あははっ ・・頼んだよっ副“ストーカー”部長さんっ」

恵瑠(える)はそう言うと先程の開閉装置をさわり、スイッチを
ガシャンと上げる“ふり”をして笑った。
「はじまり〜〜はじまり〜〜」とでも言っているようであった。

暗転

我が学校の生ける伝説、そのうちのひとり、華道(兼茶道)部、部長
識野 亜美(しきの あみ)。
この美路根須(みろねす)学園に長く在籍する教師ならば、おそらく
彼女を知らないハズはない。

それというのも、ここ美路根須学園高等部(通称:美路根須高校)には
もともと華道部も茶道部もなかった。

授業において“婦人生活学科”いわゆる家政科がもうけられていたにも
かかわらずにだ。それというのも、この土地一帯が化繊工業が栄えていて
それに類する“洋裁・和裁”が主として学校経営の眼目(がんもく)におかれていたに
ほかならない。(と、筆者は思う)


話しを戻そう。w

そんな、学園に一人の少女が現れた。肌の色は白く、鼻立ちは高く、
長い黒髪を後ろ側でたばね、眼光をやや、ゆるめながら・・

真美「ここに華道部を作りましょう!」

・・・障子(しょうじ)、床(とこ)の間、襖(ふすま)、畳(たたみ)、

4.5畳(じょう)、8畳、20畳、と3種もあるこの学校の各和室、特別室を
まっすぐに見据えながらその少女は言った。

真美「だって、うちは、花屋ですもの・・、お茶の作法はついでで
   かまわないでしょう?」

若干15歳の少女は、その当時の1年生、20数名を自分の髪のように
たばねあげ、その当時2年生から発足予定の“茶道同好会”を吸収し、
ここに『華道部』を築き上げた。

それが、識野 真美(しきの “ま”み)。
初代・華道部 部長にして、現五代目部長、識野 亜美(しきの “あ”み)の
姉である。

「良く似ている・・」、現教務主任にして当時の真美(まみ:姉)の担任は
そう語った。だが、それ以上のことは口を開こうとしないw

さて、その姉の築き上げた『華道部』の一番小さな部室で
五代目部長、識野 亜美(しきの あみ)が声を発した。

あみ 「くるみ〜?く・る・み?・・そこにいないの〜?」

くるみ「は〜〜〜いwここにいま〜〜〜すっw」

日本庭園風の中庭を望む廊下、その廊下づたいの隣の8畳の部屋の
襖(ふすま)が開き、新一年生のマークのピンバッヂをつけた
丸顔の小柄な少女が顔を出した。

くるみ「えっと〜、お疲れ様です〜 先輩、・・何かご用でした?」

あみ 「あいさつはいいわ、私の姉(ねえ)さんから聞いたけど、
    あんた、うちの“華道部”へ入るつもり・・だってね」

くるみ「はい、まだ、入部決定時期前ですけど、先にごあいさつしようと
    思ってましたぁ」

あみ 「だから・・あいさつはいいって・・それより、スグ動いて
    もらいたいコトがあるの・・」

くるみ「え?なんですかぁ?」

あみ 「そっちのケータイ見て、画像送るから、・・彼、堀都(ほりと)
    って言うんだけど・・」

ピピピッ♪
言われて胡桃(くるみ)がケータイの着信を確認すると、亜美(あみ)から
送られたバスケの練習試合のユニフォーム姿の堀都(ほりと)が中にいた。

くるみ「・・これ?・・だれですかぁ?」

あみ 「あたしより、1コ下、・・あんたより1コ上、・・2年の元バスケ部
    堀都(ほりと)」

くるみ「へ〜〜〜♪、なんかカッコよさげですねぇ〜〜〜
    あ、ひょっとして、もしかして・・、元彼とかですか?」

あみ 「・・ふふっ、もしそうだったら話しが早いんだけどねぇ」

少し笑いながら、両手で茶碗をとり、きめ細かい泡が消えかけた抹茶を口に含んだ。
見慣れた茶碗を愛(め)でることなく、スウッと片手で飲み口をふき取り、
つづいて使い慣れたそのハンカチで軽く口元をおさえた。

そして、ひざもとに置いてあった白い用紙を、その手際でスウッと、前に・・

あみ 「彼にこの用紙を渡して、名前を書いてもらってほしいの」

くるみ「・・名前を・・書いて・・もらうんですかぁ?なんです?この紙?」

日本庭園風の中庭から、まだ明るい日差しが差し込んで来ている。
あと少しすれば離れたグラウンドから野球部の掛け声が聞こえるころだ。

もし、ここに竹で出来た“獅子嚇し(ししおどし)”があれば、
そこに水が流れ溢れそうになったのならば、
確実に『カコーン』と高らかな音が響いたであろう、
だが、残念かな、ここにはない。

しかし、その水がたまる程度のわずかな沈黙のあいだに
先ほどの亜美(あみ)の指先のようにスウッと風が入ってきた。

指先で抑えている白い用紙の端が同じ指先でめくれあがった。

『華道部 入部希望〔届〕』
最後の文字は胡桃(くるみ)には読めなかったが、おそらくそう書いて
あるだろう。

あみ 「ふふふっ・・部長の立場の人間が、直接フライングするのは
    なにかと困るから・・そのかわり・・」

風が止(や)んだ。

あみ 「うまくいけば、“いいこと”あるよw」

くるみ「“いいこと”って?なんなんですかぁ?・・あっ!わかった!
    識野(しきの)先輩、この人のこと〜〜・・」

あみ 「ふふっ・・違うけど、・・一緒にいて損はない・・かもね。」

もう同好会臨時総会は始まったであろうか?
いや、おそらく識野(しきの)にとってそれは、“ささいなこと”なのである。


第3話おわり
・・・あれ?槍備 剣(そうび けん)と鵜狩 末斗(うかり すえと)が出ていない?
てことは

まぼろし(?)の第4話へは右上の鵜狩(うかり)くんの名前よりGO!


★第4話の前に“こちら(第2話のおまけ)をどうぞ”


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