6.ピアノがやってきて2週間+初めての調律

搬入から2週間使っての感想および初めての調律について記します。
 

外部騒音

自分で出している音を戸外で確かめられないのは永遠の課題ですが、色々試してみて、ピアノマスク全閉なら、やはり夜でも大丈夫そうという結論に達しました。ご近所が窓を閉めてくれさえすれば、夜通しでも全く聞こえないだろうけれど、道路上では一応聞こえるから、そこは節度をもって22時で控えよう、という線です。覚悟していたよりはるかにいい状態です。

上面可動蓋の開閉だけでもかなり違います。「全部蓋」と「少し隙間」との間で大差があるのは遮音技術の常識ではあります。しかしそれ以上に今時の軽量鉄骨造りのプレハブが優秀なようで、玄関から入ってくると「こんなに鳴っていたの」と驚くくらいに違うようです。「可動蓋を閉めた状態」&「外が雨」&「静かなところを演奏中」なら玄関に立っても中でピアノが鳴っていること自体が分かりません。

というわけで、「ピアノマスク」がかなり効果的であることは請け負えますが、それで大丈夫かどうかとなると、家のつくり、ご近所の状況もそれぞれあるでしょうから、ケースバイケースになると思います。なお、我が家の基本構造のつくりはピアノ設置場所の床補強をしただけで、壁も窓も某大手プレハブメーカの標準仕様そのままです。
#というだけで、「某プレハブメーカ」がHハウスでもTホームでもない、と分かる人には分かる。

今時の大手のプレハブなら木造でも軽量鉄骨でも、施工に問題ない限り(そこが大問題なのですが)多分同レベル、PCかRCなら同等ないしそれ以上が期待できるでしょうが、古い家と集合住宅の場合は何とも分かりません。
 

室内の音

プレハブの室内にかなり残響があります。しかしくせは特に感じません。これがピアノマスクで多少は曇っているはずの音を助けているようです。演奏者の耳の位置では、なかなか「深い」音がします。ピアノマスクで音源が掴みにくくなっている上に、響きは部屋の響きで補って出来た音のようです。ショールームで弾いたCLEの音の特徴はそのまま感じられ、ヤマハとは勿論、カワイのレギュラー品とも違う(カワイでしたらむしろSKの方がレギュラー品に近いと思いました)のですが、さらに「おごそか」風を少し付け加えた感じで、非常に気に入っています。ピアノの音が良いの悪いのと言っても所詮室内音響込みであることも再確認しました。

ペダルはかなり浅くなります。まだ初心者の家内にはコントロールするのが難しいようで、ペダルを踏むと響きすぎてびっくり、と言っています。可動蓋を開けると違いがはっきり分かり、ということは3dB以上は違うのでしょう、迫力が出ますが、だからといって可動蓋を閉めても物足りないとは思いません。

また、可動蓋を開けたところで、どうせマッチョ系の曲には向きません。低音をじわっと押さえると(例えば「沈める寺」)、「深い」響きが出て非常に気持ちよいのですが、スクリアービンのソナタ4番のコーダのオクターブ5度跳躍では、ヤマハやスタインウェイD型を叩いた時の快感はありません。そういう打鍵に対してジーンと強靭に響くという楽器では元々有りません。スクリアービンを弾くなら後期ですね。これは気持ちいい。ショパンやシューベルトを煽られずに弾けるのも含め、自分で聞くピアノの音はほぼ思っていた通りです(試弾記を参照ください)。

実は譜読みを始めたばかりの「沈める寺」ですが、ソステヌートペダル(グランドピアノの真ん中ペダル)も使ってみました。実質的には初めてですから、自動車教習所に行きたてのクラッチ操作なみです。しかし楽器の余韻が非常に長いので、うまく行くとかなり効果的に響きます。多分響かない楽器&部屋ではこの機能の使いこなしは身に付かないだろうと思いました。
#響いても、私の場合は今さら身に付かないと思いますが。

搬入1ヵ月後に落ち着いたら調律というので、狂うものならそれまでに狂わしてやれ、と思わなかったわけではないですが (^_^;) 、調律は結構狂ってきています。特にト音記号の上半分からダンパーがなくなるまであたりが軒並み。しかし、そのうなる音すら、いとおしく思えます。新品ピアノというのは生まれて初めてなので、この狂い方のペースが正常かどうか分かりませんし、そもそも落ち着く前にガンガン狂わせるのが将来プラスになるのかマイナスになるのか、実は存じません。

タッチは自然です。譜面台に手があたる心配をしなくてもいいだけでなく、アップライトよりも電子ピアノよりずっと弾きやすい。こんなにグランドって弾き易かったっけ、ですが、家内は電子ピアノより断然重くて大変、と言います。初心者ならそう言うはずですし、ということは私は初心者より大分上手い? それはともかく、グランドにすぐ向かえる指を保てたのだから「HE−10」は正しい選択だった、と考えることにします。

 

セカンドピアノとしての電子ピアノ

6年お世話になった電子ピアノ「HE−10」は2階の寝室に据えました。休日の昼間以外はこれを使い続けようという魂胆でした。しかし、平日の帰宅後でも本物を弾けるとなると、電子ピアノの立場は辛いものになります。

こんなはずではなかったのに、と思えるほど音が貧弱です。タッチが安っぽいです。貧弱な音をカバーしようとして音量を上げてもうるさくなるだけで、深みも拡がりもあったものではありません。敢えて弾くなら、試弾記での記述を否定することになりますが、ヘッドフォンで音量を上げるのがまだ一番ましです。

しかし今度はメカニズム音が響きます。1階に居た家内は「2階で何をバタバタ暴れているのだろう?と思った」そうです。RC造りの集合住宅の床はもう少しましだろうとは思いますが、つい最近まで同じことを、よそ様宅に対してやっていたのでした。前の家でアップライトの下に敷いていたゴム板を取ってありますので、それを敷いてみようと思っています。

←敷いてみました。かなり効果があったそうです。やはり自分で弾く音は聴きようがないのですが、家内(修行中)が弾く分には全く聴こえません。

 

初めての調律

(ピアノが届いて1ヶ月後に無料調律がありました。その模様を一旦掲示板だけに書いたのですが、ここに残すことにしました。)

調律前に一般的な取り扱い注意。温度湿度の影響を受ける、飲み物を中にこぼすととんでもないことになる(サークルのピアノで経験有り。まるで駄目になるかというとそうでもないが悪くなったのは確か)いったところはかねてより承知でしたが、

「リビングダイニングの場合、焼肉等の油煙が巻線にこびりついて低音の余韻が全然なくなる場合があり、その時は弦交換しかない」というのは成る程、でした。新品で余韻が長いのが当たり前なわけです。ピアノマスクなら湿度急変にも油煙にも強いのか、と密かに喜んだ次第。
#我が家では関係ないですが煙草の煙も良くないでしょう。
#スピーカのエッジに油煙がついても良くないのでしょう。

調律作業は勿論ピアノマスクの固定蓋(譜面台のレール部材と本体との間にはさみ込んでました)を外して全開でやっていましたが、完了後「月の光」をポロポロ弾いた調律師さん、「この家では全開は無理ですね」、そうです。やたらと響くのでピアノマスク全閉で丁度いいのです。やっぱりいい買い物だった、とまたまた密かに喜んだ次第。

ついでにデジタルピアノHE−10のタッチ調整ができるか聞いたところ、蓋を開けられるなら、ということでしたが、裏からしか開けられないらしいというところで止めました。「グランド触ってしまったら、多少調整したところで多分不満はつきませんよ」とのことで諦めてます。

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