8.ブラームスも弾いてみた

 

学生時代には、ブラームスとラヴェルが嫌いだ、と公言していたような気がします・・・シューマンだと殊更に公言する必要性を感じていなかったようです・・・。ラヴェルだと、私より遥かに腕の立つ人たちが「夜のガスパール」や「クープランの墓」を弾きたがるのが理解できませんでした(し、今でも理解できていません)。ブラームスだと、何と言っても交響曲第1番が嫌いでした。今でもこの曲には若干の抵抗を感じますし、オリジナルのピアノ独奏曲にも余り惹かれませんが、全体として「ブラームス嫌い」の看板は下ろしました。

ラヴェルとブラームスを学生時代に全く弾いていないわけではなくて、但し、弾いたのはどちらも編曲物です。作曲者自身編曲の連弾版「ボレロ」と、ジンガー編曲の「交響曲第4番」より第2楽章、の演奏会録音は残っています。

よく覚えていませんが、フランクのヴァイオリンソナタ目当てで買ったオイストラフのCDにカップリングされていたブラームスの同第3番が意外と気に入ったので、第1番第2番が入ったクレーメルのCDを買って、特に第1番にメロメロになった、という経過だったように思います。で、弾いてみたのは、そのヴァイオリンソナタ第1番の第1楽章のソロ編曲版です。

原曲は19世紀後半のヴァイオリンソナタの名曲として確たる地位を築いています。しかし、この第1楽章の第2主題が一区切りしてから提示部が終わるまでの間の単調な音形の繰り返しなどにブラームスの手癖が出てしまったために、第1主題第2主題の両方に必殺の名旋律を投入したにもかかわらず、19世紀後半No.1の座をフランクに譲っているように思います・・・という元アンチのたわごとは聞き流してください。あと、この両曲とも、ヴァイオリンの機能を実は余り生かしていないからピアノソロ編曲でも上手くいくのだろう、とも思っています。

その、こちらで取り上げた、フランクのヴァイオリンソナタのピアノソロ編曲に手を出した勢い(!)で、IMSLPを探してみたら、ピアノソロ版があっけなく見つかりました。編曲者は Paul Klengel で、この曲のチェロ+ピアノへの編曲もやっています。チェロ+ピアノの方は、プロの録音も多数見つかる、「メジャー」な編曲なのですが、ピアノソロ版は youtube にも見当たらない、ので、youtube 一番乗りを目指してみた、次第です。

アップロードしようとして調べてみたら、2楽章だけ先にアップされていました。危ない危ない。プロの方なのでしょうか、私より大分上手い方のようです。

子供を行かせているピアノ教室の発表会は、2014年は開催するとしてもホームコンサートになります、とのお話だった(結果的に流れました)ので、それに向けてはバッハ=ラフマニノフの無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番のプレリュードを準備しつつ、この曲をそのまた次のホールでの発表会の候補曲にしよう、としていたのですが、しっとり系のこの曲を弾いているうちに鬱憤が溜まっていった、のは、こちらの冒頭に書いたとおりです。その後さらにスクリアービンの虫干しも加わり、ここ最近で日々弾く曲が、

○バッハ=ラフマニノフ 無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番よりプレリュード
○ショパン スケルツォ第4番
○スクリアービン ソナタ第4番(大抵第2楽章のみ)
○スクリアービン ソナタ第10番
 スクリアービン エチュードOp.42-5
 プロコフィエフ ソナタ第7番第3楽章
 ブラームス=クレンゲル ヴァイオリンソナタ第1番第1楽章

という豪華メンバーに膨れ上がってしまいました。曲目に○を付したのは93年のコンサートに取り上げた曲で、スクリアービンのエチュードの代わりに詩曲Op.32-1 を弾いていたらフルメンバーになったところです。スケ4でもスクリアービンのソナタでも鬱憤を溜めた挙句に他の曲に逃避する、などということには決してならなかった、ことを鑑みるに、看板を下ろしたとはいえ、私とブラームスとの相性はやはり良くないのでしょう。

それはともかく、、、
日曜日から妻が子供二人を連れて鉄道旅行に出かけたので、暗譜もまだ出来ていませんが、この機会に録音することにしました。

普段はピアノマスク全閉で弾いているのですが、過去の経験でこのままマイクを近づけると寝ぼけた音になる、と承知していました。そこで、余りにもうなりのひどい音を3つだけモグラ叩き調律をした上で、大屋根を全開にして録音した・・・のですが、こちらに書いたことがそのまま起きてしまいました=自分に聞こえる音が大きすぎて、テンポもリズムもおかしくなってしまいました。

前回は4日かけて大きすぎる音に自分を適応させていった、のですが、今回は朝から休憩を挟んで夕方まで弾いても碌な録音になりません。諦めて大屋根を半開にして弾いてみた最初のテイクがこれになります。その後もさらに3回ほど弾いたのですが、もはや集中が切れていて、普段外さないようなところを外してばかり、となりました。もう少し早いタイミングで大屋根半開を決断すべきでした。

全く弾けない、という箇所は残していないのです。どの部分であれ、悪くても10回弾いて9回は外さずに弾けるはずです。しかし、そういう箇所がいくつもあると、全部通して外さないというのもありえないわけでして、、、さらに、10回に9回の箇所を全部クリアしたと思ったら、100回に99回の箇所で丁度100回目が来てしまう、とか。。。公開したテイクも展開部で(ここは最初から10回に9回の場所)で看過できない外し方をやらかしていますが、その他ではミスが少なく、全体の流れもまずまずだったので、ここらが自分の限界かな、と思った次第です。

実は、この録音に楽譜を添えて公開しようとして、家族がまだ帰ってこない月曜日にせっせと作業したのですが、作ったものを再生してみると、画像にあらわれる楽譜と音の不一致(=ミスタッチ)が、(必要以上に)気になります。せっかく時間をかけて作ったのですが、公開するのはボツにして、作曲者と編曲者の肖像画を並べただけの静止画像としました。

ブラームスのオリジナルのどのピアノ曲(全部ではないにしろ、有名作品は大抵聞いていると思います)よりずっと魅力的だ、と元アンチの私は思うのですが、いかがでしょうか。

 

 

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