14.宇連山(うれやま)(2014.09.13)   参考サイトはこちら他多数

東海自然歩道・愛知コース歩きの2回目になります。ついにテント泊デビューです。

 

1.計画

テント泊を思いついたくだりはこちらに書きました。

テント泊に挑戦しようと決心して以降の山道具は、「獣医さん」の記事を参考にモンベルで買い揃えました。

テントはステラリッジ4型+専用グラウンドシートです。最初本体だけ買ったのですが、家で立ててみて、やっぱり床は保護した方が良さそうね、となり、テントマットは未購入ですが、グラウンドシートは買い足しました。

シュラフは4つともダウンハガー800#5です。当面の目的は低山ですし、大きさと重さを重視して#3は見送りました。マットはULコンフォートで、大人に150、子供に120です。

私のザックは、「もう少し大きいほうがよろしいのでは」という店員さんのアドバイスを受けながらも、大きさにビビッて、トレッキングバック55にしました。

ただ、これが「山小屋」も「オートキャンプ」も「貸しテント」も「幕営指定地」も全部飛ばして、いきなり「山中で野宿」になったのは・・・・

「山小屋」には、この夏に御嶽山で泊まることにしていたのです。小屋も日程も早くから決めて、そろそろ予約を入れようか、というところで諸般の事情によりその日程では動けなくなり、山小屋デビューが流れてしまいました。

「オートキャンプ」には、私は全くそそられません。野外でバーベキューして何が楽しいのだろう、と思ってしまうのは、私が焼肉を好まないから、というのが大きいようにも思いますが、そのくせ屋内屋外を問わず焼肉となると毎回誰よりも沢山の肉を食しております(単なる大喰らいです)。

テント購入前に、宇連山の麓の「愛知県民の森」で「貸しテント」を体験してみようか、という話もありましたが、山の麓での宿泊が中途半端に思えてきて省略することにしました。

テント購入時点では、テント泊デビューは犬山市の「八曽モミの木キャンプ場」にするつもりでした。しかし、「低地の水辺で秋の初めだと、暑いだけでなく虫が多そうだね。」と言ったら、家内から即却下されました。

愛知県内の東海自然歩道で、比較的標高の高い幕営適地となると、寧比曽岳か、田口−大野間の奥三河の稜線の何処か、になります。アプローチが最長になる寧比曽岳は日の長いGW頃でないと到底無理です。田口−大野間は、色々なパターンが考えられますが、「鉄人さん」の日帰りコースを山中一泊にする、という自分の中の原則に従い、「鉄人さん」が日の短い紅葉の季節に一日で歩いたコースをほぼなぞる、でテント泊デビューすることにしました。

ネットで色々調べると、宇連山山頂や棚山高原での幕営の記録が出てきます。三河槙原駅あるいは「愛知県民の森」から登るのであれば、棚山高原が具合良さそうなので、こちらの方と同じ東屋のある休憩所を第1候補にしました。

但し、道中で少なくとも2箇所、「ここは天竜奥三河国定公園でテント・キャンプは禁止されています:新城警察署」(うろ覚え)みたいな看板が出ていたので、この休憩所の周りで張っても「闇テント」になるのかもしれません。しかし、この休憩所の周りはきれいに草が刈られていました。「 テントを張れるように 」 と、どなたかが刈って下さっているに違いない、と感謝しているのですが。

周回コースではないので、電車の利用を最初は考えました。しかし三河槙原駅に9時36分に着くには、自宅を7時には出ないと間に合いません。そしてそれを逃すと、三河槙原駅着が12時11分です(この記憶が後で少しだけ活きます)。車で行けば一時間は早く行けますし、下山後に飯田線に2駅乗れば済む事なので、車は「愛知県民の森」の駐車場に停めることにしました。

宇連山の山頂近くの水場は、しばしば枯れていて、時にはこちらの方のようなドラマを演出しているようです。そんな状況を想定した水までは到底持てませんので、水場が確実に使えそうな日を選んで登る、出発時は4人で4L担いで登り、昼食を食べて少し軽くなったところで水場で8L汲む、そこからは大きな登りもないので幕営予定地まで頑張って行く、と計画しました。

 

 

2.決行

天気予報は土日の二日とも晴れで、しかもその前の木曜日までにかなりまとまった雨が降っているので、宇連山山頂近くの水場も心配なさそうです。金曜日までに荷造りをほぼ終えて、土曜の朝に水2Lと昼の弁当も詰め込んだら、ザック重量は12kgになりました。前回の7kgから、テントとシュラフとマットで3kg、それ以外の増分はほぼ食料のようです。水場では一食分軽くなる以上に水が増えて、最大時は12.5kgになるはずです。このところ大抵次男が先頭を歩いていましたが、「今日はパパの荷物が物凄く重いから、パパが先頭になる、子供はパパより前に出ないように!」と厳命しました。食糧・シュラフ・マット・雨具は全て個人持ちですから、子供達のザックもそれなりに重かったはずです(量ってませんが)。

犬の散歩を済ませ、この日のために買った自動給餌器を縁側にセットし、7:45頃に発車しました。東名、三ケ日JCTからの連絡線、三遠南信道、全て順調に流れて、9時少し過ぎに「愛知県民の森」駐車場に到着、9:16に出発です。

暫くは「県民の森」の管理用林道を歩きます。樹種が色々あるようで、紅葉の季節にはさらに素晴らしいことになるのでしょう、初秋に歩いても十分気持ち良い道です。
 

10:24に「亀石の滝」に到着、ここで一回目の休憩です。水平距離では宇連山までの半分以上進んでいますが、標高では1/10も稼いでいません。コンパクトデジカメでは写し難く・・・家内のデジタル一眼レフを、継鹿尾山には持っていきましたが、今回は当然ながら持ってきていません・・・明るいところか暗いところか、どちらかが潰れてしまうのですが、高さ32mの実物はまずまず迫力ありました。この「亀石の滝」まで散歩に来た風情の方が何人かいらっしゃいました。

「鉄人さん」は、滝を2つ見て一度100m下って「北尾根」に登るルートでしたが、そこまで同じにするつもりはなく、2つ目の滝は割愛して、「滝尾根」「西尾根」を登る、下りの殆ど挟まらないルートにしました。10:31から、まず北向き斜面を(従って南向きに)「亀石の滝」を樹間に横目に眺めながら80m急登します。「滝尾根」に出ると、一気に明るくなります。15分で登り切ったところで、とりあえずお疲れの長男↓。
 

滝尾根に入っても、急登とまでは言わないまでも、かなりの登りが続きます。11:03に「滝尾根展望台」で休憩です。今回は行動食に「カルパス」(個別包装の小型サラミ風のドライソーセージ)「塩昆布」と塩分補給を意識したものを持参していて、これらが特に好評でした。
 

滝尾根をさらに進むと何か見えます。休憩所かと思って近づいてみると、防火水槽でした。11:32で少し早いのですが、山頂まで登ったら少し遅くなりそうだし、早く食べて軽くした方がいいよ、ということで、おにぎりと唐揚げの弁当をここで食しました。
(お腹に入れても結局同じ重量を運ぶのだ、とは、こういう状況では決して考えないのです。)

昼食でさらにミニカップヌードルまで食べる当初計画だったのですが、手持ちの水を確認して、カップ麺の湯まで沸かしていると水場まで持たないかもしれない、ということになり、カップ麺は水場過ぎてからのおやつにすることにしました。

わずか17分の昼食休憩ですぐ出発、12:08に滝尾根分岐に到着、ここで別パーティが昼食を取っていました。「亀石の滝」以来の人影です。12:26に北尾根分岐、12:51に棚山分岐、と進むにつれ、すれ違いの回数も増えていきます。

そして13:12に宇連山山頂です。「愛知県民の森」駐車場から4時間弱、こちらのタイム(少しルートが違う)には負けていますが、ここのタイムには何時も負けているので、荷物が重い割には頑張った方だと思っています。

三ツ瀬明神山は大きく見えますが、その向こうの南アルプスとか富士山は見えていないようです。それでも十分満足いく景色でした。


我々の到着後も登山者が次々と同じ南側から登ってきます。しかし、北側の登山道には登ってくる人も降りる人も居ません。その登山道に13:28に踏み込んでいきました。

13:34に東海自然歩道の分岐に到着(右上)、ここからが第2回東海自然歩道歩き本番になります。

概ね北向き斜面のトラバースで薄暗い道です。最初軽く登った後は、ほぼ平らながら少しずつ下っていきます。

この時点での最大の関心事は「水場」でした。とにかく見落としたらいけない、としっかり前方を見て進みます。途中に水が滴っている場所もありましたが、看板もないので、「水場」はまだ先なのだろう、と進んでいくと(地図上の正確な場所は特定できませんが)14時頃(到着直後の画像は無いので推定時刻)、ついに「水場」発見です(右下)。

三ツ瀬明神山乳岩登山道の水場みたいに樋(トイ)から水が流れてくるのを何となくイメージしていましたが、ここは単なる小さな沢です。コップですくってみると、腐葉土のかけらみたいな黒い破片がわずかに混じります。しかしそんなことに構っておれません。飲んでみれば美味しい水です。

全員で手持ち容器の全てを、お茶の飲みさしが残っている水筒もその上から水を足して、一杯にしました。子供二人はザックのサイドの0.6Lの水筒の他にペットボトル1Lをザックの中、家内が同じ水筒の他にザックの中に1.4L、私がザックのサイドに0.5Lのペットボトル、ザックの中に2.5L、です。

「水場」無事発見祝いにカップ麺、と行きたいところでしたが、薄暗くて狭くて全く気分が出ないので、さらに進みました。林道に合流して少し進んだ傾斜の緩いところで、カップ麺です。各自ザックからカップ麺を出し、私はさらに水とナベ・コンロを出し・・・というところで、水場で突っ込んだペットボトルと取り出すものとが交錯して、ザックの中は既にややこしくなり始めました。

この先、林道と離合を繰り返すルートは、2万5千分の1の地図でも詳しいところがよく分からないところで、ベテラン東海自然歩道ウォーカーも林道から逸れるところの道標を見落として違うところを歩いてしまっているようです。こちらの頁のこの区間分をプリントアウトして、地図と一緒に持ち、次の分岐の方向を意識して歩きました。完璧なナビゲーションで助かりました。

林道から最初に下に逸れるところで沢沿いを歩きます。我々と同じく、宇連山⇒鳳来寺山 の向きに歩いているなら、先の水場が枯れていてもこの沢の水なら汲めそうです。反対向きに歩いている場合は、念のため一旦ここで汲んでおいて、先の水場が枯れていなかったら、より水質の良さそうな水に詰め替える、とするのが手堅いのでしょう(が、そこまで気を回せたら凄いと思います)。

林道上を青っぽい蛇が横切って行きました(右)。これが青大将なんでしょうか。

蛇を見て直後に再び林道から逸れて、15:17に「大島の滝」です。高さ70mの滝ということですが、木々に妨げられてよく見えませんでした。


道標は頻繁に見つかり、道迷いしていないのは分かるのですが、残りの距離と時間はよく分かりませんでした。証拠写真を撮って来なかったのですが、道標に書いてある「棚山高原」までの距離や時間が、前進しているのに増えたりするのです。そもそも看板が意図している場所が「棚山高原」のどの地点なのか、もはっきりしないのです。

幕営予定地が、「バンガロー村廃墟」より先の「棚山高原」の一番奥で、「瀬戸岩」の近く、というのは承知していましたから、淡々と歩いていきました。

やや登りのいささか長い最後の林道区間を終えて、山道区間に入ってしばらく進んで、主観的には「ようやく」バンガロー村廃墟(右)です。

この区間を歩かれた方が漏れなく取り上げる「名所」ですが、日帰りでこの区間を歩くのであれば、どちら向きであれ、日の高い時間帯になるので、アップされている画像は大抵「明るい廃墟」になっています。日の傾きかけた16:00に見た廃墟は、先輩諸兄による画像からイメージしていたものより一段と不気味なものでした。

「もうこの辺でいいんじゃない」などと適当なことをいう子供達を無視してさらに前進し、16:05頃(到着直後の画像を撮ってなかったので推定時刻)にベンチ番号No.24の休憩所、幕営予定地に到着です。宇連山山頂を出発してからここまで誰にも会いませんでした。宇連山分岐から2時間半かかっています。大分ゆっくりだったと思う一方で、愛知県が出しているコースマップでは宇連山分岐から棚山高原まで 4.8km/1:10 となっていますが、こちらのタイムもちょっとおかしい・・・他の平地区間で平均時速で3km以下になっているのに、林道混じりとはいえ、この山区間で時速4km強になっています・・・ので気にしないことにします。

荷物を東屋に放り出してから、設営開始です。風もなく、地表は乾いていて、地中は程よく湿っていて、設営には最高の条件だったのではないかと思います。20分程かかりましたが、全12か所のペグダウンまで、きちんと設営できたのではないかと思っています。
 
(フライシートの各辺中央をペグで引っ張って完成した状態の画像は残念ながらありません)

早速、マットを膨らまし、シュラフを並べて、を始めたのですが、4人で入ると、狭いは暑いは、で、寝る準備を途中から一任して、私は東屋のベンチで暫くゴロゴロしてから夕飯の支度、メニューは一週間前の昼と同じ、「レトルトカレー+アルファ化米」です。

テントが寝室、東屋がリビングダイニング、という感じです。設営・撤収でも東屋が使えたので大いに助かりました。

夕食後に「瀬戸岩」をみんなで見に行こうよ、と歩き始めたら・・・・テントからわずか10mのところをガサガサと黒い影が横切りました・・・・熊の子供だと言われたら信じてしまいそうな大きさの影でしたが、宇連山〜棚山高原は熊の生息を許すような環境とは思えません。タヌキなら生息できるのでしょうか・・・・。

と、素人考えをしていたのですが、こちらのサイトの記事を全部読んでみて、棚山高原はツキワノグマ生息範囲である、と認識を改めました。「黒い影」はタヌキよりは大分大きい・・体重10kgの飼い犬よりははっきり大きい・・ように思えたので、クマではないとしたら、イノシシかもしれません。(この段14.10.03に追加)

少し気になったので、歌を歌いながら数分歩いて、夕日に浮かぶ「瀬戸岩」です。遥か南の三河湾まで見えていました。その時には「黒い影」が気になって、長居は無用、と最小限で切り上げてしまいましたが、夕焼けが真っ赤になるまで粘れば一段と素晴らしかっただろうに、と今となっては少し心残りです。
 

テントに戻って、マットで私はとりあえず昼寝、シュラフどころか、ズボンを脱いでちょうどいいくらいです。他の3人も適当に寝ていたようです。そういう訳で、このあたりの経過がはっきりしませんが、とにかく8時過ぎには4人とも目を覚ましていて、夜空を見てみようという話になって、外に出てみました。

周りの木が高い中にぽっかり開いている空間ですから、空の見える範囲は狭いのですが、すごい夜空でした。真上に天の川がくっきり見えます。星の数が多すぎて星座など分かりません。それでも長男には夏の大三角が分かったようです。親にはカシオペア座のWだけ分かりました。ダメ元で空に向けたデジカメには勿論何も写りませんでしたが、子供たちの記憶にはしっかり刻みつけられたものと信じています。

・・・・・・

10時ごろにはテントに戻って、もう一度寝ようとしました。虫の音がひっきりなしです。意外と飛行機の音が聞こえます・・・・・と、何か足音が聞こえます・・・・・テントの引き綱に引っかかったような感触が伝わります・・・・・反対側で寝ていた家内には頭の上のフライシートを触っているのが分かったそうです・・・・・勿論、夕方に見た「黒い影」が頭をよぎります・・・・・。

北海道のヒグマの、それも例外的な個体以外には、テントを破壊して襲撃するような野生動物は日本には居ないだろう、他にやっかいなのは野犬だろうけれど、鳴き声が一切聞こえないからには犬でもないだろう、など考えながら息を殺していました。たっぷり10分くらいはテントの周りに居たようです。居なくなったのが先か、家内や私が眠ってしまったのが先か、はっきりとは分かりません。。。。。

15.鳳来寺山につづきます。。。

 

9月13日/14日の全歩行コース(クリックで拡大)
赤:東海自然歩道区間、緑:その他区間(歩き始め/終わり)

・東海自然歩道区間で13.5km歩きました。

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