愛知県碧南市 「懐かしの風景」は絵の題材に最適 「賑わい横丁」を訪ね歩く

碧南市大浜南部へようこそ!

賑わい横丁 (にぎわいよこちょう)

別名「やかまし横丁」とも 陶器店の赤い「たばこ」看板に往時を懐古する

真っ赤なタバコの看板

<「賑わい横丁」と呼ばれ、たくさんの人々が闊歩した通り。今は和菓子屋と陶器店のみが店を開ける静かな通りとなった。だがその静かさが幸いし、ノスタルジックな気分に浸りながら散策するに最適な心地の良い場所となっている> 堀川橋から南へ続く通りは昔、「賑わい横丁」と呼ばれ、あるいは「やかまし横丁」(喧しい=うるさい、さわがしい)と呼ばれた。 大正12年(1923)の案内図によると、正式には「錦通」という名があったようだが。 現在では、和菓子屋の「大杉屋」と陶器・煙草の「祢宜田陶器店」が営業するのみの静かな通りとなっている。 往時は値切る客、受けて立つ商売主との掛け合い、人々の声、怒号がこの通一帯に溢れていたのだろう。 瓦葺きの祢宜田陶器店屋根に掲げられた「たばこの赤い看板」、木枠ガラスのショーウインドーにその時代の名残を見る。

幅、車一台分の坂

<陶器店と蔵に挟まれた幅員2メートルあまりの狭い道。懐古趣味を満足させる匂いと雰囲気に心落ち着く。高級乗用車に乗ったおばちゃんのスルリと抜ける妙技は見事> 堀川蔵前通りが堀川橋に差し掛かるあたりにカーブミラーの存在。丸くデフォルメされた「祢宜田陶器店」の店舗が映る。 堀川橋の辺から東へなだらかに下る小道。昔ながらの祢宜田陶器店の建物と川岸にある蔵との間に僅か幅員2メートル余りの趣。 懐古的な世界を欲する気持ちが反応する。コンクリートやスティールの都会的な価値観に軽薄さを覚える歳となった私には心落ち着く。 たった10メートルあるかどうかの道を何度も歩き味わう。向こうから高級国産車がやって来た。 理論的には幅員に余裕があるはずだが、見ている側にとっては、「無理じゃないか!?」と思わずジェスチャーしたくなる。 だが、運転者であるおばちゃんは、こちらの心配を余所に、何の迷いもなく抜けていく。大浜のおばちゃんを馬鹿にしては行けない。<※注意:工事により消滅。現在はありません>

ヘボト自画像ヘボトの「如是我聞(にょぜがもん)」

黒壁とカイヅカイブキ

「近藤又左衛門の黒壁」

賑わい横丁にある和菓子店「大杉屋」角から西へ向かう道。簡素かつ剛健な造りの黒壁が続き、立派な形をしたカイヅカイブキが見える。 黒壁の持ち主は、大浜の名家「近藤又左衛門」の屋敷である。近藤又左衛門は安永6年(1859)に近藤兵左衛門の長男として生まれた。 家は江戸時代から木綿問屋を営んでいた。明治20年(1887)大浜村戸長、明治26年(1893)に大浜町長となり、さらに明治44年(1911)には2度目の大浜町長となり、大浜の発展に深く寄与した人物である。 また漢詩や書の才能にも優れ、号を仙霞(せんが)と称し活躍した。大正15年(1926)に68歳で没する。

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