愛知県碧南市 今も残る瓦工場の煙突は頑張った人達の思い伝える

ありがとう

瓦工場のえんとつ

旺盛期にはモクモクと煙 一所懸命に働いた煙突は今は静かに余生送る

<「この町では、真っ黒なスズメが飛ぶ」そういわれる程、繁盛期には、どの瓦工場の煙突からも煙が競うように出ていた。碧南の代表的産業を支えた煙突達よ、ご苦労様> 碧南市の瓦製産地である権江橋周辺を散策すれば、今も残る煉瓦造りの煙突。 碧南市、特に北東部の地域は農業にあまり適さない土壌の変わりに良質な粘土が取れる事で瓦・土器・土管製造事業が発展した。 最盛期には数多くの煙突が立ち並び、煤煙が途切れることない事がこの町の景色だった。 現在は環境意識が高まりもあり、どの煙突からも真っ黒な煙が出る事もなくなった。 澄み渡る青い空に、ただ往時を偲ぶがごとく伸びる煙突達。 たとえ現役を終えても、ここは瓦の一大生産地だと象徴する姿は健気だ。 碧南市の名声を高め潤してくれた働き者の煙突達にありがとうと感謝したい。いつまでも煙突がこの町に残る事を切に願う。

ヘボト自画像ヘボトの「随喜(ずいき)の涙」

境内秋葉社

「住吉社の煤汚れ」

権江橋の畔にある住吉社。浜尾の氏神として元文4年(1739)大浜・林泉寺より勧請されてこの地へやって来た。 この住吉社を訪れると鳥居・灯籠・狛犬など石造りのものが、全て煤けている事に気づくだろう。 その原因は何か? まだ環境規制がゆるかった時代の話、近隣一帯の瓦工場から出る煤煙が原因である。 この住吉社境内にある秋葉山の社を見て欲しい。寄進した瓦製造業者がたくさん名を連ねている。 神社が汚いとなると快く思わない人もいるが、煤けているのは、皆が一体となって頑張ってきた証である。 大浜・林泉寺は凛とした佇まいが魅力な禅宗の寺院。そんな場所から移ってきた神様が、みんなと一緒に煤だらけになって浜尾を盛りあげてきた。 なんとも微笑ましく思える話である。

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